成人の日が国民の祝日として制定された経緯は、第二次世界大戦後の日本の状況と、若者たちへの希望を託すという社会的な願いが深く関わっています。
成人の日が祝日になった訳
1. 戦後の混乱と若者への希望（1940年代後半）
- 荒廃からの復興: 第二次世界大戦終戦後の日本は、国土が荒廃し、経済も疲弊していました。国民全体が疲弊し、特に若者たちは未来に希望を見出しにくい状況でした。
- 若者の育成の重要性: このような中で、未来を担う若者たちを激励し、社会の一員としての自覚を促すことの重要性が認識され始めました。
2. 「青年祭」の発祥（1946年・昭和21年 埼玉県蕨町）
- 地域からの動き: 成人の日のルーツとされるのは、1946年（昭和21年）11月22日に埼玉県北足立郡蕨町（現在の蕨市）で開催された「青年祭」です。
- 若者への励まし: 終戦直後の混乱期、当時の蕨町長であった岡田徳輔氏が、「次代を担う青年たちに希望を与え、励ましたい」という強い思いから、この青年祭を企画しました。
- 全国への波及: この蕨町の青年祭は、若者たちを鼓舞する試みとして全国的に注目され、同様の趣旨の行事が各地に広がるきっかけとなりました。
3. 「国民の祝日に関する法律」の制定と成人の日の確立（1948年・昭和23年）
- 祝日制度の再編: 戦後、GHQ（連合国軍総司令部）の占領下で、戦前の国家神道や皇室に関わる祝祭日が見直され、民主主義国家にふさわしい新しい祝日制度の創設が求められました。
- 「国民の祝日に関する法律」の公布・施行: 1948年（昭和23年）7月20日、「国民の祝日に関する法律」が公布・施行されました。この法律は、「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを『国民の祝日』と名づける」という理念に基づいています。
- 成人の日の制定: この法律の制定当初、成人の日（当初は1月15日）は、その趣旨を「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」として、国民の祝日の一つとして正式に定められました。
- 1月15日とされた理由: 1月15日という日付は、かつて旧暦の正月（小正月）に、男子の元服（げんぷく）や女子の裳着（もぎ）といった成人を祝う儀式が行われていた伝統に由来するとされています。
4. ハッピーマンデー制度による日付変更（2000年・平成12年）
- 国民の祝日に関する法律の改正: 1998年（平成10年）の祝日法改正により、2000年（平成12年）から成人の日は、それまでの1月15日から「1月の第2月曜日」に変更されました。
- 目的: これは、特定の祝日を月曜日に移動させて3連休を創出し、国民の余暇活動を促進し、経済の活性化を図る「ハッピーマンデー制度」の一環として行われたものです。
このように、成人の日が祝日となった経緯は、戦後の復興期における若者への期待という社会的なニーズと、それを後押しする地域からの動き、そして民主的な祝日制度の確立という流れの中で形成されてきたと言えます。
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