梅干しと調味梅干し 違いは何? | 人は食べた物で創られる

梅干しと調味梅干し 違いは何?

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梅干しと調味梅干しは、どちらも梅を原料とした日本の伝統的な食品ですが、その製造工程、原材料、風味、塩分濃度、保存性に大きな違いがあります。

日本農林規格(JAS)でも明確に区別されています。

梅干しと調味梅干し 違いは何?

梅干し(伝統的な梅干し、白干梅など)

  • 定義・製造工程:
  • 梅の果実を塩または梅酢、梅酢+塩水のみに漬け込んで干したものです。
  • 伝統的な製法では、熟した梅を塩漬けし、梅酢が上がったら土用(梅雨明け)に天日干しをします。この天日干しによって、保存性が高まり、独特の風味と食感が生まれます。
  • 赤じそを加えて漬け込んだ「しそ漬け梅干し」も、調味液を使っていなければ「梅干し」に分類されます。
  • 原材料: 基本的に梅と食塩のみ、またはそれに加えて赤じそです。
  • 風味:
  • 非常に酸味が強く、塩辛いのが特徴です。梅本来の酸味と塩味がストレートに味わえます。
  • 「白干梅」と呼ばれるものは、特に塩分が高く、酸味も強いです。
  • 塩分濃度: 高い傾向にあります(一般的に18%前後)。
  • 保存性: 塩分濃度が高いため、保存性が非常に高いです。昔ながらの保存食として重宝されてきました。冷蔵庫でなくても常温保存が可能なものが多いです。
  • 栄養素: 梅本来の栄養素(カリウム、カルシウムなど)が比較的多く残っています。

調味梅干し

  • 定義・製造工程:
  • 一度「梅干し」として塩漬け・天日干しされた梅を、水やお湯などで脱塩(塩抜き)した後、再度、様々な調味液に漬け込んで味を調えたものです。
  • つまり、「梅干し」をベースに、さらに一手間加えていると言えます。
  • 原材料: 基本の梅と食塩に加えて、**糖類(はちみつ、砂糖、水あめなど)、食酢、だし(かつおだし、昆布だしなど)、みりん、香辛料、甘味料、調味料(アミノ酸等)**など、多岐にわたる調味料が使用されます。
  • 風味:
  • 脱塩して調味液に漬け込むため、塩味が控えめで、甘みや旨味が加わった、まろやかな味が特徴です。
  • はちみつ梅、かつお梅、昆布梅など、多種多様な味のバリエーションがあります。
  • 塩分濃度: 低い傾向にあります(一般的に3%~10%前後)。
  • 保存性: 塩分濃度が低いため、「梅干し」に比べて保存性が劣ります。冷蔵保存が必要なものが多く、保存料が使用されることもあります。
  • 栄養素: 脱塩の過程で、梅本来のカリウムやカルシウムなどの栄養素が「梅干し」に比べて減少する傾向があります。

まとめ

項目梅干し(伝統的)調味梅干し
定義・工程塩漬けし、天日干ししたもの(しそ漬け含む)梅干しを脱塩し、調味液に漬け込んだもの
原材料梅、食塩(+赤じそ)梅、食塩 + 糖類、食酢、だし、甘味料、調味料など
風味強い酸味、塩辛い塩味控えめ、甘みや旨味がある、まろやか
塩分濃度高い(18%前後)低い(3%~10%前後)
保存性非常に高いやや低い(冷蔵保存推奨が多い)
栄養素梅本来の栄養素が比較的多く残る一部の栄養素が減少する傾向がある

スーパーなどで梅干しを購入する際には、パッケージの「名称」欄を見ると、「梅干し」と書かれているか「調味梅干し」と書かれているかで、上記の違いを判断することができます。

どちらが良い悪いということではなく、それぞれの特徴を理解した上で、好みや用途に合わせて選ぶことが大切です。

梅干しと調味梅干し 栄養価が高いのはどっち

一般的に、伝統的な梅干し(白干梅など)の方が、調味梅干しに比べて梅本来の栄養価を高く保持していると言えます。

その主な理由は、調味梅干しの製造工程にあります。

  • 脱塩(塩抜き)の過程: 調味梅干しは、一度塩漬けされた梅を水やお湯で塩抜きする工程があります。この塩抜きの際に、塩分だけでなく、水溶性のビタミン(ビタミンCなど)やミネラル(カリウム、カルシウムなど)も一緒に流れ出てしまうことがあります。
  • 糖類や添加物の追加: 調味梅干しは、甘味料や調味料が加えられることで、カロリーや糖質量が増える傾向があります。これは、梅本来の栄養素とは異なるものです。

具体的に、以下の栄養素について比較すると、伝統的な梅干しの方が優位なことが多いです。

  • カリウム: 体内の余分な塩分を排出する働きがあり、高血圧予防に役立つミネラルです。調味梅干しでは、脱塩によって量が減少する傾向があります。
  • カルシウム: 骨や歯の健康に重要なミネラルです。こちらも脱塩によって減少することがあります。
  • 有機酸(クエン酸、リンゴ酸など): 梅の酸味の主成分であり、疲労回復やミネラルの吸収促進、殺菌作用などが期待されます。調味梅干しでは、調味液で味が薄まるため、有機酸の濃度が相対的に低くなることがあります。ただし、梅干し自体の有機酸が全て失われるわけではありません。
  • ポリフェノール(梅リグナンなど): 抗酸化作用が期待される成分です。これも、加工工程や脱塩によって量が変化する可能性があります。

注意点

  • 塩分濃度: 伝統的な梅干しは塩分濃度が非常に高いため、一度に大量に摂取すると塩分の摂りすぎになる可能性があります。高血圧の方などは注意が必要です。
  • 個別の製品差: 調味梅干しの中にも、メーカーや製法によっては、栄養素の流出を抑えたり、特定の栄養素を強化したりしているものもあります。また、甘味料の種類によってはカロリーが低いものもあります。

結論として、梅本来の栄養素をより多く摂りたいのであれば、塩分が高めでも「梅干し」(白干梅など)を選ぶのが良いでしょう。

さいごに

一方、塩分を控えめにしたい、食べやすさを重視したい、という場合は「調味梅干し」が選択肢となります。

その際も、添加物が少ないものや、自然な甘みを生かしたものを選ぶなど、製品の成分表示を確認することですね。

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