一般的に、市場で流通するお米には明確な公的な格付け制度はありません。
しかし、品質を評価するいくつかの指標や、販売業者が独自に設定している基準が存在します。
お米のランク

品質評価の指標
公的な格付けはありませんが、お米の品質を評価する際に重要な要素として以下のものがあります。
- 整粒歩合: 収穫されたお米の中で、形や大きさが整った粒の割合です。この割合が高いほど品質が良いとされます。
- 被害粒・死米・未熟米の混入率: 病害虫による被害を受けた粒、死んだ米粒、十分に成熟していない米粒の混入率です。これらの混入率が低いほど品質が良いとされます。
- 水分: お米の水分含有量も品質に影響します。適切な水分量が保たれていることが重要です。
- 食味: 実際に炊飯して食べた際の味、香り、粘り、硬さ、外観などの総合的な評価です。食味官能試験などによって評価されます。
販売業者による独自の基準や表示
公的なランク付けがない代わりに、販売業者や産地によっては、独自の基準を設けて品質を評価し、表示している場合があります。
- 特A・A・Bなどの評価: 一部の地域や団体では、食味試験の結果などに基づいて、独自に「特A」「A」「B」といった評価を行っていることがあります。これは、消費者がお米を選ぶ際の目安の一つとなりますが、全国共通の基準ではありません。例えば、日本穀物検定協会が行う「米の食味ランキング」は広く知られています。
- ブランド米: 特定の品種や栽培方法、産地などの基準を満たしたお米は「ブランド米」として高値で販売されることがあります。これらのブランド米は、一定以上の品質が保たれていることが多いです。
- 特別栽培米・有機栽培米: 農薬や化学肥料の使用を減らしたり、有機的な方法で栽培されたお米は、安全性や環境への配慮という点で付加価値がつき、高価格で販売されることがあります。
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「米の食味ランキング」について
日本穀物検定協会が毎年発表する「米の食味ランキング」は、食味試験の結果に基づいてお米を評価するもので、消費者の購入時の参考情報の一つとなっています。
- 評価基準: 複数のお米を実際に炊飯し、外観、香り、味、粘り、硬さの5項目について専門の評価員が官能試験を行います。
- 評価ランク: 「特A」「A」「A´」「B」「B´」の5段階で評価されます。「特A」は、複数産地のコシヒカリのブレンド米を基準米とし、それよりも特に良好な場合に付けられます。
お米の等級
お米の等級は、農産物検査法に基づいて玄米の状態で行われる検査によるもので、1等、2等、3等、そして規格外の4つの区分があります。
等級は、整粒歩合(形の整った米粒の割合)や、被害粒、死米、未熟米の混入率、水分含有量、異物の混入の有無など、複数の項目を総合的に評価して決定されます。
- 1等: 最も品質が良いとされ、整粒歩合などの基準が最も厳しく設定されています。
- 2等: 1等に次ぐ品質です。
- 3等: 2等に次ぐ品質です。
- 規格外: 1等から3等のいずれの基準も満たさないものです。
「一等米」と「特A」の違い

「一等米」と「特A」は、どちらもお米の品質を示す言葉ですが、その基準と意味合いは大きく異なります。
一等米
- 基準: 農産物検査法に基づいた等級の一つです。玄米の見た目や成分を検査して評価されます。具体的には、以下の項目などが基準となります。
- 整粒歩合: 形の整った米粒の割合
- 被害粒、死米、未熟米の混入率: 病害虫の被害を受けた粒や、発育が不十分な粒の割合
- 水分含有量: 適切な水分量であるか
- 異物混入の有無: 石やゴミなどが混入していないか
- 意味合い: 一等米は、これらの基準をクリアした品質の良いお米であることを示します。見た目が良く、品質が安定しているため、市場で高く評価されます。ただし、食味(味)そのものを保証するものではありません。
特A
- 基準: 一般社団法人日本穀物検定協会が行う「米の食味ランキング」における最高評価です。専門の評価員が実際にご飯を炊いて食味官能試験を行い、以下の項目を総合的に評価します。
- 外観
- 香り
- 味
- 粘り
- 硬さ
- 総合評価 基準となる複数産地のコシヒカリのブレンド米と比較して、特に良好な場合に「特A」の評価が与えられます。
- 意味合い: 特Aは、実際に食べておいしいと評価されたお米であることを示します。ただし、見た目の美しさや粒の揃い具合などを保証するものではありません。
主な違い
項目 | 一等米 | 特A |
---|---|---|
評価基準 | 玄米の見た目、成分(整粒歩合、水分など) | 炊飯したお米の食味(味、香り、粘り、硬さなど) |
評価者 | 農産物検査員 | 専門の評価員(食味官能試験) |
評価団体 | 農産物検査法に基づく登録検査機関(JAなど) | 一般社団法人日本穀物検定協会 |
保証する点 | 品質の安定性、見た目の良さ、一定の成分基準を満たしていること | 食味の良さ |
注意点 | 必ずしも食味が良いとは限らない | 見た目や粒の揃い具合は評価対象ではない |
まとめ
- 一等米は、品質の安定した、見た目の良いお米です。
- 特Aは、実際に食べておいしいと評価されたお米です。
最高品質のお米を選ぶのであれば、「一等米」であり、かつ「特A」の評価を受けているものが理想的と言えるでしょう。
贈答品など見た目の良さも重視する場合は一等米を、味にこだわりたい場合は特Aを選ぶといったように、用途に合わせて選ぶのも良いかもしれませんね。
お米の主要な品種と主な生産地
日本には非常に多くの種類のお米と、それぞれの栽培に適した地域があります。
主なものと生産地をいくつかご紹介しますね。
お米の主要な品種と主な生産地
- コシヒカリ: 新潟県、茨城県、栃木県など全国的に広く栽培されています。特に新潟県は「コシヒカリ」の代表的な産地です。
- ひとめぼれ: 宮城県、岩手県、福島県など東北地方を中心に栽培されています。
- あきたこまち: 秋田県、茨城県、岩手県などで栽培されています。秋田県が主な産地です。
- ななつぼし: 北海道で主に栽培されています。
- ヒノヒカリ: 熊本県、福岡県、鹿児島県など九州地方を中心に栽培されています。
- ゆめぴりか: 北海道で栽培されている比較的新しい品種です。
- つや姫: 山形県で開発され、主に山形県で栽培されています。
- ササニシキ: 宮城県など東北地方の一部で栽培されています。
- 新之助: 新潟県で開発された新しいブランド米です。
- きぬむすめ: 島根県、岡山県、鳥取県などで栽培されています。
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その他の品種と主な生産地
- はえぬき: 山形県
- まっしぐら: 青森県
- キヌヒカリ: 滋賀県、兵庫県、京都府
- あいちのかおり: 愛知県
- チヨニシキ: 福島県
- ふさおとめ: 千葉県
- ミネアサヒ: 岐阜県
- ハツシモ: 岐阜県
- 夢つくし: 福岡県
- さがびより: 佐賀県
- 森のくまさん: 熊本県
生産量が多い都道府県(令和5年産)
- 新潟県
- 北海道
- 秋田県
- 山形県
- 宮城県
最後に
日本には、この他にも地域に根ざした様々なお米があります。
それぞれに味や食感の特徴がありますので、食べ比べてみるのも楽しいかもしれませんね。
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