天皇誕生日(2月23日)が国民の祝日として制定された理由について、詳しくご説明します。
2月23日 天皇誕生日 が制定された訳
1. 天皇の誕生日を祝うという伝統
日本の歴史において、天皇陛下の誕生日は古くから祝われてきました。
- 「天長節」: 奈良時代に光仁天皇の誕生日が「天長節(てんちょうせつ)」として祝われるようになったのが始まりとされています。これは、天皇の長寿と国家の繁栄を願うという意味合いがありました。
- 国民の祝祭日: 明治時代以降は、天皇の誕生日が国家的な祝祭日として位置づけられ、国民全体で祝う日として定着していきました。
2. 戦後の「国民の祝日に関する法律」による明確化
第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍総司令部)の占領下で日本の祝日の見直しが行われました。その中で、1948年(昭和23年)に**「国民の祝日に関する法律(祝日法)」**が制定されます。
この祝日法において、天皇誕生日は正式に「国民の祝日」の一つとして定められました。その趣旨は「天皇の誕生日を祝う」とされており、国民が共に天皇を祝い、天皇が象徴する平和と繁栄を願う日と位置づけられています。
また、この際に、それまでの「天長節」という名称が、より国民に親しみやすい「天皇誕生日」へと変更されました。
これは、戦後の新しい憲法のもとで、天皇が「日本国民統合の象徴」とされたことを反映し、天皇と国民の距離を縮めるという意味合いも込められています。
3. 天皇の代替わりに伴う日付の変更
天皇誕生日の日付は、その時々の天皇陛下の誕生日に合わせて変わります。
- 昭和天皇の誕生日(4月29日): 祝日法制定当初は、昭和天皇の誕生日である4月29日が「天皇誕生日」でした。昭和天皇の在位期間が長かったため、多くの国民にとって「天皇誕生日=4月29日」という認識が深く根付いていました(現在は「昭和の日」として祝日)。
- 上皇陛下(明仁さま)の誕生日(12月23日): 1989年(平成元年)に昭和天皇が崩御され、平成天皇(上皇陛下)が即位されると、天皇誕生日はその誕生日である12月23日に変更されました。
- 今上天皇陛下(徳仁さま)の誕生日(2月23日): 2019年(令和元年)に上皇陛下が退位され、今上天皇陛下が即位されたことに伴い、天皇誕生日は今上天皇陛下の誕生日である2月23日に変更され、2020年から適用されています。
さいごに
2月23日の天皇誕生日は、
- 日本の伝統として天皇の誕生日を祝う慣習があること
- 戦後、国民の祝日に関する法律によって正式に「国民の祝日」として定められたこと
- 天皇の代替わりに合わせて、その時々の天皇陛下の誕生日に日付が変更されること
によって制定されています。
これは、天皇を国民統合の象徴として敬い、その誕生日を国民全体で祝う、日本にとって重要な意味を持つ祝日です。
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