「白身魚フライ」は、その名の通り、白身魚を主原料として、衣を付けて揚げた料理を指します。
コンビニエンスストアやスーパーマーケット、ファストフード店などで広く提供されており、日本人にとって非常に身近な食品の一つです。
「白身魚フライ」の正体
その「正体」を詳しく見ていきます。
1. 使用される魚種
白身魚フライに使われる魚は、一種類に限定されているわけではありません。主に以下の魚種が挙げられます。
- ホキ(Hoki): 主にオーストラリアやニュージーランドの深海に生息するタラ目の魚で、淡白な味わいでクセがなく、加熱しても身が縮みにくいのが特徴です。日本のコンビニ弁当などの白身魚フライでよく使われています。
- スケトウダラ(Pollock): 北太平洋地域で多く獲れるタラの一種で、日本人が最もよく食べる白身魚の一つです。フライにするとサクサクとした衣とふんわりとした身の食感が楽しめます。マクドナルドのフィレオフィッシュの日本版にも使用されています。
- メルルーサ(Hake): タラ科の魚で、世界的に広く流通しています。安価で美味しい深海魚として、白身魚フライにもよく利用されます。マクドナルドのフィレオフィッシュの海外店舗で使われることもあります。
- パンガシウス(Pangasius): ナマズの一種で、主に東南アジアで養殖されています。成長が早く低コストで生産できるため、安価な白身魚フライの原料として注目されています。日本では「バサ」という英語名で流通することもあります。泥臭いイメージがあるかもしれませんが、養殖されたものはクセがなく美味しいとされています。
- その他: タラ、スズキ、オヒョウ、ナイルパーチ、ブルーホワイティング、マダラなども白身魚フライの原料となることがあります。
これらの魚は、多くの場合、漁獲地や養殖地でフィレ(三枚におろした状態)やドレス(頭、内臓、尾などを除去した状態)に加工され、冷凍されて世界中に輸出されています。
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2. 白身魚フライの加工と特徴

- 加工: 魚の切り身に塩こしょうなどで下味をつけ、小麦粉、溶き卵、パン粉の順に衣を付けて揚げて作られます。家庭で作る場合は、オーブンで焼く「揚げない白身魚フライ」のレシピもあります。
- 規格化: 大量生産される白身魚フライは、骨抜きがされていたり(もしくは最初から骨を含まない部分)、大きさが均一に揃えられていたりする特徴があります。また、2000年代に入ると、10g単位で完成品のロットを揃える業者も増え、衣と身の厚さの比率で等級が区分され、安価なものほど身よりも衣が厚い傾向があります。
- 冷凍技術: 白身魚フライに使用される魚(特にホキなど)は、鮮度を保つためにマイナス40℃といった超低温で冷凍・管理されていることがあります。
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3. 歴史的背景
白身魚フライが日本で普及した背景には、特に「のり弁当」の存在が大きく関わっています。
- のり弁当の革命: 持ち帰り弁当チェーン「ほっかほっか亭」が、創業当初の「ホキのみそ漬け焼き」から「白身魚フライ」に切り替えたことで、全国的に普及しました。これは、冷凍技術の進歩により、冷凍の白身魚を揚げることで手軽に美味しく提供できるようになったこと、また、コロッケやメンチカツよりもグレード感があるのに食材費が変わらないという利点があったためと言われています。
また、イギリスの「フィッシュ・アンド・チップス」も、白身魚のフライを主とした歴史を持つ料理であり、産業革命期に安価で腹持ちの良い食事として労働者の間で普及しました。
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さいごに
白身魚フライは、ホキ、スケトウダラ、メルルーサ、パンガシウスなど、複数の種類の白身魚が使われており、加工技術の進歩とコスト効率の良さから、私たちの食卓に広く浸透した食品と言えます。
その淡白な味わいとサクサクした衣の組み合わせは、多くの人々に愛されています。
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