近年、「推し活」にハマる人が増えている背景には、社会の変化と個人の心理的な欲求が複雑に絡み合っています。
なぜ推し活にハマる?
いくつかの要因を以下に解説します。
1. 心理的要因
- 承認欲求の充足:
- 推しを応援し、その推しが活躍したり評価されたりすることで、まるで自分自身が認められたかのような「自己効力感」や「承認欲求」が満たされます。
- SNSで推しの情報を発信し、他のファンから「いいね」や共感を得ることも、承認欲求を満たす大きな要因となります。
- 所属感・連帯感の獲得:
- 同じ推しを応援する仲間(ファンコミュニティ)と出会うことで、共通の話題や感情を分かち合える「所属感」や「連帯感」が生まれます。これは、学校や職場といった従来のコミュニティでは得にくい、より深い絆となることがあります。
- 孤独を感じやすい現代社会において、安心できる居場所や心の拠り所を求めている人が少なくありません。
- ストレス発散・心の癒し:
- 推しを応援する活動は、日々のストレスや不安からの現実逃避となり、心の癒しやリフレッシュ効果をもたらします。
- 推しの存在が「希望」となり、推し活自体がストレスコーピング(ストレス対処法)となることがあります。
- 自己投影と理想の追求:
- 人は無意識のうちに、自分が理想とする姿や持っていない能力を推しの中に映し出します。推しは、そうした「理想の結晶」のような存在であり、推しを応援することで、自分自身の「こうなりたい」という願望を追体験している側面があります。
- ドーパミンの分泌による快感:
- 楽しいことや良い刺激を感じると、脳内でドーパミンが分泌され、快感や達成感をもたらします。コンサートで推しが自分に手を振ってくれたり、グッズを手に入れたりする喜びは、このドーパミンによるもので、この快感を繰り返し求めたくなる心理が働きます。
- 成長過程への共感(並走ストーリー):
- 完成されたアイドルだけでなく、まだ成長途中の推しを応援することで、「自分たちの応援が推しの成長につながっている」というリアルな共感や一体感を味わいたいという欲求も高まっています。
2. 社会的背景
- インターネット・SNSの普及:
- SNSの普及により、推しに関する情報をリアルタイムで簡単に収集・発信できるようになりました。これにより、ファン同士の交流が活発になり、コミュニティが形成されやすくなりました。
- また、個人が自分の「好き」を自由に表現し、発信しやすい環境が整ったことも大きいでしょう。
- エンターテイメントの多様化:
- 動画配信サービスやSNSの台頭により、アイドル、アニメ、ゲーム、VTuberなど、推しの対象が非常に多様化しました。これにより、自分の興味や好みに合った推しを見つけやすくなりました。
- また、従来の「受動的にコンテンツを楽しむ」だけでなく、「コンテンツを自ら選び、その世界観に深く没頭する」という体験型消費へのシフトも推し活を後押ししています。
- 社会の多様性受容:
- 個人の多様な価値観が尊重されるようになり、「オタク」という言葉がポジティブに受け止められるなど、趣味に対する社会の寛容度が高まりました。
- これにより、年齢や性別に関わらず、オープンに推し活を楽しむ人が増えています。
- 「推し縁」の登場:
- 学校、職場、家族といった従来の「血縁」「地縁」「社縁」に加えて、共通の「推し」で繋がる「推し縁」という新しいコミュニティの形が生まれ、人々に新たな交流の場を提供しています。
- 非日常体験への欲求:
- 日常の忙しさやストレスが多い現代社会において、推し活は非日常的な体験を提供し、現実から一時的に離れて没頭できる時間を与えてくれます。
3. 消費行動の変化
- 「コト消費」「トキ消費」への価値観のシフト:
- モノを所有することよりも、体験や感動に価値を見出す「コト消費」や、その瞬間でしか味わえない「トキ消費」が重視される傾向にあります。ライブやイベントへの参加、コラボカフェでの体験などは、まさにこの「トキ消費」であり、推し活の大きな要素となっています。
- 推しへの貢献意識:
- ファンは、グッズの購入やイベント参加が「推しを応援する」「推しの活動を支える」という貢献につながると考え、消費に躊躇が少ない傾向があります。
これらの要因が複合的に作用し、推し活は現代社会において多くの人々の心を掴む活動として広がりを見せています。
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