「ヤクザ」と「暴力団」は、日本の犯罪組織を指す言葉として使われますが、厳密には以下のような違いがあります。
ヤクザと暴力団の違い
ヤクザ（通称・自称）
- 歴史的・文化的背景を持つ通称:
- 「ヤクザ」は、古くから使われてきた日本の伝統的な犯罪組織や、そこに属する者を指す通称です。「博徒（賭博を家業とする者）」や「的屋（露店商人を仕切る者）」といった伝統的な組織の系譜を引きます。
- 語源は諸説ありますが、花札の博打で「八（ヤ）」「九（ク）」「三（ザ）」の目が最悪の目（ブタ）であったことに由来し、「役立たず」「役に立たないもの」といった自嘲的な意味合いで使われたという説が有力です。
- 彼ら自身が自らを「ヤクザ」と呼んだり、あるいは「極道（ごくどう）」「任侠団体（にんきょうだんたい）」といった美称を用いることもあります。
- 法律上の明確な定義はありません。
暴力団（法律上の定義・警察用語）
- 法律に基づいた組織の指定:
- 「暴力団」は、日本の警察や法律（暴力団対策法など）において使用される、集団的または常習的に暴力的不法行為を行うことを助長するおそれがある団体の総称です。
- 1992年に施行された「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律（暴力団対策法）」により、その活動が規制される対象として明確に定義されました。
- 暴力団は、その団体の構成員が集団的または常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体を指し、その団体に所属する者が「暴力団員」と定義されます。
- **「指定暴力団」**とは、都道府県公安委員会が、暴力団対策法に定められた一定の要件（組織性、暴力性、犯罪経歴者の割合など）を満たした団体として指定した暴力団のことです。指定されると、組員個々の不当な行為が厳しく規制されます。現在、全国に22団体が指定されています。
さいごに
- ヤクザ: 伝統的な呼称、当事者や世間での通称。「極道」「任侠団体」などとも自称する。法律上の明確な定義はない。
- 暴力団: 警察や法律が用いる、犯罪対策上の公的な呼称。暴力団対策法に基づき、その活動が規制される対象として明確に定義されている。
要するに、「ヤクザ」は社会や文化の中で使われる通称であり、「暴力団」は、警察が取り締まりの対象とする組織に対して用いる公的な名称である、という違いがあります。
現代では、警察やメディアは「暴力団」という言葉を公式に用いていますが、一般社会やフィクションなどでは依然として「ヤクザ」という言葉も広く使われています。
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