2020年という年は、間違いなく私たちの歴史において「大きな分岐点」となった1年でした。
カレンダーをめくるたびに新しい「日常」が塗り替えられ、戸惑いと変化の連続だったあの日々。
改めて振り返ると、新型コロナウイルス一色だったようで見えて、実は日本社会を揺るがす大きな事件や、胸が熱くなるような明るいニュースもたくさんありました。
2020年に何があった?
今回は、2020年の日本で起きた出来事を、季節を追いながらじっくりと振り返ってみましょう。
【1月〜3月】忍び寄る影と、消えた日常
2020年の幕開けは、穏やかでした。誰もが「いよいよ東京オリンピックの年だ!」と胸を躍らせていた時期です。
しかし、その裏では未曾有の事態が静かに進行していました。
1月:ダイヤモンド・プリンセス号と「未知のウイルス」
1月中旬、国内で初めての新型コロナウイルス感染者が確認されました。
まだこの頃は「中国の対岸の火事」だと思っていた人も多かったはずです。
しかし、2月に入り横浜港に到着した大型クルーズ船**「ダイヤモンド・プリンセス号」**での集団感染が報じられると、空気は一変しました。
連日テレビで流れる防護服のスタッフと船体の映像は、映画のような非現実的な恐怖を私たちに植え付けました。
2月:突然の「一斉休校」要請
2月27日、当時の安倍首相が全国の小中高校へ**「一斉休校」**を要請。
この衝撃は凄まじいものでした。共働きの親たちはパニックになり、子供たちは卒業式を満足に挙げられないまま学校を去ることになりました。
この頃から、街中のドラッグストアからマスクやトイレットペーパーが消えるという、深刻な物資不足も始まりました。
3月:五輪延期と「高輪ゲートウェイ」
3月14日、山手線の新駅**「高輪ゲートウェイ駅」が開業。
明るい話題もありましたが、世の中の関心は「オリンピックは本当にできるのか?」に集中していました。
そして3月24日、ついに東京2020大会の1年延期**が決定。
近代五輪史上、戦争以外での延期は初めてのことでした。
さらに、志村けんさんの急逝というニュースは、日本中に「コロナは本当に恐ろしい」という実感を突きつけ、深い悲しみに包まれました。
【4月〜6月】「ステイホーム」と静まり返った街
春の訪れとともに、日本はこれまでに経験したことのない「静かな日々」に突入します。
4月:初めての「緊急事態宣言」
4月7日、東京など7都府県に緊急事態宣言が発令され、後に全国へ拡大されました。
渋谷のスクランブル交差点から人が消え、飲食店は軒並み休業。私たちは「3密」を避け、**「ソーシャルディスタンス」**を保ち、家から出ないことを求められました。
一方で、この時期に「テレワーク」や「オンライン飲み会」といった新しい文化が急速に普及しました。
5月:検察庁法改正案への抗議
自粛生活が続く中、SNSでは政治への関心も高まりました。
ハッシュタグ「#検察庁法改正案に抗議します」が数百万件も投稿され、ネット世論が政治を動かす大きな力となる現象が見られました。
6月:富岳の世界一と、日常の模索
理化学研究所のスーパーコンピュータ**「富岳」**が計算速度で世界一を獲得。
科学の力が希望を感じさせてくれました。
また、5月末に緊急事態宣言が解除されると、少しずつですが「新しい生活様式」を取り入れた日常が動き出しました。
【7月〜9月】記録的な猛暑と、政治の大きな転換点
夏になると、ウイルスだけでなく自然の脅威も日本を襲いました。
7月:令和2年7月豪雨と「Go To」の開始
九州を中心に甚大な被害をもたらした**「令和2年7月豪雨」が発生。
コロナ禍での避難所運営という、難しい課題が浮き彫りになりました。
一方、冷え込んだ経済を支援するため、物議を醸しながらも「Go To トラベル」**キャンペーンが開始。
観光地には少しずつ賑わいが戻り始めましたが、感染拡大とのジレンマに悩まされる日々が続きました。
8月:将棋界の彗星と、安倍首相の退陣
明るいニュースでは、**藤井聡太七段(当時)**が棋聖のタイトルを獲得し、史上最年少の二冠と八段昇段を達成。
「藤井フィーバー」は沈んだ日本に活気を与えてくれました。
しかし、月末に衝撃が走ります。
安倍晋三首相が持病の悪化を理由に辞任を表明。
歴代最長政権が幕を閉じることとなりました。
9月:菅内閣の発足
安倍氏の後を継ぎ、菅義偉内閣が発足。
携帯電話料金の値下げや、デジタル庁の創設といった「仕事師」としての姿勢を打ち出し、新しいリーダーシップへの期待が高まりました。
【10月〜12月】空前の大ヒットと、第3波の足音
1年を締めくくる最後の数ヶ月は、文化的な盛り上がりと、厳しい現実が交互にやってきました。
10月:『鬼滅の刃』現象
映画**『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』**が公開されると、日本中で空前の大ブームが巻き起こりました。
興行収入は歴代1位を塗り替え、暗いニュースが多かった2020年において、唯一無二のエンターテインメントの力を証明しました。
11月:第3波の到来
秋が深まるとともに、感染者数が再び急増。
**「第3波」**の到来です。
これを受けて、順調だったGo To トラベルも一時停止の議論が始まり、年末年始に向けて再び緊張感が高まってきました。
12月:はやぶさ2の帰還と、今年の漢字「密」
12月6日、探査機**「はやぶさ2」の再突入カプセルが地球に帰還。
宇宙からの贈り物は、閉塞感のある地球に大きな夢を見せてくれました。
そして今年の漢字に選ばれたのは「密」**。
誰もが距離を気にし続けた1年を象徴する一文字となりました。
2020年を振り返って:私たちが得たもの
改めて2020年を見返すと、そこには「失われたもの」だけでなく、**「新しく生まれたもの」**もたくさんありました。
- デジタル化の加速: 数年かかると言われていたDX(デジタルトランスフォーメーション)が、わずか数ヶ月で進みました。
- 価値観の変化: 家族との時間や、自分にとって本当に大切なものは何かを、多くの人が問い直しました。
- エンタメの底力: 配信ライブや『鬼滅の刃』など、形を変えても人は感動を求めることを再確認しました。
まさに「激動」という言葉以外に見つからない1年でしたが、私たちはこの混乱の中でも、少しずつ新しい歩き方を学んできたのだと感じます。
いかがでしたでしょうか?2020年の出来事は、どれも昨日のことのように思い出されるものばかりです。
「海外編」

2020年という年は、日本国内だけでなく世界中が「激震」に見舞われた1年でした。
パンデミックという共通の困難に直面しながら、それぞれの国で歴史を塗り替えるような出来事が次々と起こりました。
2020年の世界を揺るがしたニュースを、当時の空気感とともに振り返る「海外編」のまとめをお届けします。
【1月〜3月】予兆と、世界が止まった瞬間
年明け早々、世界は感染症以外の「危機」にも直面していました。
1月:中東の緊張とオーストラリアの悲劇
新年早々の1月3日、アメリカによるイラクでの空爆で、イランの軍事指導者ソレイマニ司令官が殺害されました。
これにより中東情勢は一気に緊張。SNSでは「第三次世界大戦」がトレンド入りするほどの緊迫感に包まれました。
また、オーストラリアでは数ヶ月続く大規模な森林火災が深刻化。
広大な面積が焼失し、10億匹以上の野生動物が犠牲になったというニュースは、気候変動の脅威を世界に突きつけました。
1月末:イギリスのEU離脱(ブレグジット)
長年揉めに揉めたイギリスのEU離脱が、1月31日にようやく実現しました。
欧州の枠組みが大きく変わる歴史的な瞬間でしたが、その後の経済交渉の難航を予感させる幕開けでもありました。
3月:パンデミックの宣言と「ロックダウン」
中国・武漢から広がった新型コロナウイルスは、3月に欧州、そしてアメリカへと猛烈な勢いで拡大。
WHO(世界保健機関)がパンデミックを宣言すると、イタリアやフランスなどで次々と**ロックダウン(都市封鎖)**が実施されました。
ニューヨークやパリといった大都市から完全に人が消えた光景は、世界中に衝撃を与えました。
【4月〜6月】分断と、「息ができない」という叫び
家の中に閉じ込められた人々は、ネットを通じて社会の歪みや不条理を目の当たりにすることになります。
5月:ジョージ・フロイドさん事件と「BLM」
5月25日、アメリカのミネソタ州で黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に拘束され、死亡する事件が発生しました。
「I can’t breathe(息ができない)」という彼の最後の言葉は、人種差別に対する怒りの火をつけ、「Black Lives Matter(BLM)」運動として世界中に波及しました。
パンデミック下でありながら、正義を求める何万人もの人々が街頭に溢れました。
6月:香港国家安全維持法の成立
中国で香港国家安全維持法が可決・施行。
これにより香港の「一国二制度」は事実上の崩壊を迎え、自由を求める民主化運動は厳しい弾圧を受けることになりました。
世界のパワーバランスが大きく変わる象徴的な出来事となりました。
【7月〜9月】爆発する不満と、宇宙への新たな希望
8月:ベイルート港での大爆発
レバノンの首都ベイルートで、貯蔵されていた硝酸アンモニウムが大爆発。街の半分が破壊されるという痛ましい事故が発生しました。経済危機に喘いでいたレバノン社会に追い打ちをかける悲劇となり、政府への大規模な抗議デモへと発展しました。
8月:民間企業による宇宙開発の加速
暗いニュースが多い中、イーロン・マスク氏率いるスペースXの宇宙船「クルードラゴン」が、民間企業として初めて有人宇宙飛行に成功し、無事に地球へ帰還。宇宙開発が「国家」から「民間」へ移る新しい時代の幕開けを感じさせてくれました。
【10月〜12月】世紀の選挙と、科学がもたらした光
1年の締めくくりに向け、世界は「政治」と「科学」の大きな動きに注目しました。
11月:アメリカ大統領選挙
世界が最も注目したアメリカ大統領選挙。現職のトランプ氏と、前副大統領のバイデン氏による激しい一騎打ちは、記録的な投票率を叩き出しました。
結果はジョー・バイデン氏の勝利。
トランプ氏による選挙結果の拒否という異例の事態も含め、アメリカ社会の深い分断が浮き彫りになりました。
12月:ワクチン接種の開始
12月8日、イギリスで世界で初めて新型コロナウイルスのワクチン接種が始まりました。
通常10年はかかると言われるワクチン開発を、わずか1年足らずで実現させた科学の力。
それは、長く暗いトンネルの中に差し込んだ、確かな「希望の光」でした。
2020年を総括して:地球規模の「リセット」
2020年の海外情勢を振り返ると、一つのウイルスが「人種」「政治」「経済」のあらゆる問題を加速させたことがわかります。
- 格差の可視化: 医療体制の不備や、人種による死亡率の差など、隠れていた社会の弱点が露呈しました。
- 対面からデジタルへ: Zoomやオンライン会議が標準となり、国境を越えたコミュニケーションの形が劇的に変わりました。
- 民主主義の試練: 各国でのデモや選挙を通じて、人々の「声」がどのように政治に反映されるべきか、世界中が問い直されました。
「Before 2020 / After 2020」で世界は別の姿になった、と言っても過言ではありません。
あの時、私たちは離れ離れになりながらも、同じニュースを見、同じ空気を共有していたのです。
2020年の海外ニュースを駆け足で振り返ってみましたが、いかがでしたか?

コメント