「クッキー」と「ビスケット」は、国や文化によってその定義や使われ方が異なります。
特に日本では独自の明確な分類がありますが、国際的には曖昧な部分が多いです。
クッキーとビスケットの違いってなに?
以下に、それぞれの違いを詳しく解説します。
1. 日本における定義
日本では、「全国ビスケット公正取引協議会」という団体が、消費者の誤解を招かないよう明確な基準を定めています。
- ビスケット (Biscuit)
- 小麦粉を主原料とし、練った生地を形成して焼いた菓子の総称。
- クラッカー、乾パン、パイ、プレッツェル、そしてクッキーなども広義のビスケットに含まれます。
- 一般的に、糖分と脂肪分の合計が40%未満のものを指すことが多いです。
- サクサク、カリカリとしたしっかりとした食感が特徴です。
- クッキー (Cookie)
- ビスケットの一種であり、**「手作り風の外観を持ち、原材料中の糖分と脂肪分の合計が40%以上含まれるもの」**と定義されています。
- バターや砂糖が多く使われるため、サクサク、ほろほろとした軽い食感が特徴です。
- ドロップクッキーのように形が不揃いで、手作り感のある見た目のものが多いです。
ポイント: 日本では、クッキーはビスケットの仲間であり、より糖分と脂肪分が多く、手作り感のあるものを指します。
これは、戦後アメリカからクッキーが伝わった際に、当時の日本にあったビスケットとの区別をするために制定された経緯があります。
2. 世界における定義
世界的には、日本のような厳密な分類はあまり一般的ではありません。
- イギリス (British English)
- 日本でいうクッキーもビスケットも、すべてまとめて**「ビスケット (Biscuit)」**と呼びます。
- 紅茶と一緒に食べる文化が根付いており、様々な種類のビスケットがあります。
- アメリカ (American English)
- 日本でいうビスケットもクッキーも、すべてまとめて**「クッキー (Cookie)」**と呼びます。
- ただし、ケンタッキーフライドチキンなどで見られるような、スコーンに似た柔らかいパンのようなものは「ビスケット (Biscuit)」と呼ばれます。これは日本のビスケットとは全く異なるものです。
- その他の国
- フランスでは「ビスキュイ (Biscuit)」、ドイツでは「ビスキュイート (Biskuit)」など、国によって呼び名が異なります。
3. 歴史的背景
- ビスケットの語源: ラテン語の「bis coctus(2度焼いたパン)」が語源とされており、日持ちを良くするためにパンを二度焼きしたものが始まりと言われています。古代から航海や遠征の保存食として利用されてきました。日本には16世紀にポルトガルから「ビスカウト」として伝わった記録があります。
- クッキーの語源: オランダ語の「koekje(小さなケーキ)」が語源とされています。
まとめ
項目 | 日本の定義 | イギリスの定義 | アメリカの定義 |
---|---|---|---|
広義 | 焼き菓子全般を「ビスケット」と呼ぶ | 焼き菓子全般を「ビスケット」と呼ぶ | 焼き菓子全般を「クッキー」と呼ぶ |
狭義 | 糖分・脂肪分40%未満で硬めのものを「ビスケット」と呼ぶ | N/A | スコーンのようなパン状のものを「ビスケット」と呼ぶ |
クッキー | ビスケットのうち、糖分・脂肪分40%以上で手作り風のもの | 「ビスケット」の一部 | 「クッキー」全般 |
語源 | ラテン語(ビスケット)、オランダ語(クッキー) | ラテン語(ビスケット) | オランダ語(クッキー) |
食感 | ビスケット:ザクザク、カリカリ。クッキー:サクサク、ほろほろ | 様々 | クッキー:サクサク、ほろほろ。ビスケット:しっとり、ふんわり |
このように、日本でのクッキーとビスケットの違いは、主に「糖分と脂肪分の含有量」と「手作り風の外観」という明確な基準によって区別されていますが、海外では国によってその呼び名や指すものが大きく異なっていました。
クッキーとビスケットの仲間たち

クッキーやビスケットは、その多様なバリエーションが魅力ですよね!
主に小麦粉を主原料とし、油脂、砂糖、卵などを加えて焼いたものの総称ですが、その製法や材料、見た目、食感によって様々な仲間がいます。
広義の仲間たち
地域や文化によって呼び方や定義が異なることもありますが、一般的に以下のようなものがクッキーやビスケットの広義の仲間として挙げられます。
- スコーン: イギリス生まれのパンとお菓子の中間のような存在で、膨らし粉で膨らませ、外はカリッと中はふんわりとした食感が特徴です。クロテッドクリームやジャムを添えて食べられます。
- クラッカー: 無糖または甘さ控えめで、薄く焼かれた塩味のビスケットです。チーズやディップと一緒に食べられることが多いです。
- ウエハース: 薄い生地を何層にも重ねて焼き上げた、軽くてサクサクとした食感のお菓子です。クリームを挟んだものも多いです。
- マカロン: アーモンドプードル、砂糖、卵白を主な材料とした、外はカリッと中はしっとりとしたフランスの焼き菓子です。カラフルで様々なフレーバーがあります。
- メレンゲ: 卵白と砂糖を泡立てて焼いた、非常に軽く、口の中で溶けるような食感が特徴のお菓子です。
種類豊富なクッキー・ビスケットの仲間たち
さらに、クッキーやビスケットの中にも、製法や材料の違いでたくさんの種類があります。
ドロップクッキー
生地をスプーンなどで天板に落として焼くタイプです。
- チョコチップクッキー: 定番中の定番で、チョコレートチップがたっぷり入っています。
- オートミールクッキー: オートミールを加え、ザクザクとした食感が楽しめます。
アイスボックスクッキー
棒状に成形して冷やし固め、カットして焼くタイプです。
- 市松模様クッキー: プレーン生地とココア生地などを組み合わせて、可愛らしい模様に仕上げます。
- 抹茶クッキー: 抹茶を加えて和風の風味を楽しみます。
型抜きクッキー
生地を麺棒で伸ばし、型で抜いて焼くタイプです。
- バタークッキー: シンプルな材料で、バターの風味が際立ちます。
- アイシングクッキー: 焼き上がったクッキーにアイシングでデコレーションを施します。
その他
- ショートブレッド: バターをたっぷり使った、ザクザクとした食感が特徴のスコットランドの伝統的なビスケットです。
- サブレ: フランスの焼き菓子で、バターを多く使用し、サクサクとした軽い食感が特徴です。
- ビスコッティ: イタリアの伝統的なビスケットで、二度焼きすることで非常に硬く、コーヒーなどに浸して食べることが多いです。
- グラハムクッキー: 全粒粉を使用した、香ばしくて素朴な味わいのクッキーです。
これらの他にも、地域ごと、家庭ごとに様々なクッキーやビスケットが存在します。お好みのクッキーやビスケットは見つけてみてはいかがでしょうか。
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