昔聴いた曲を聴くと当時を思い出すのは何故? | 人は食べた物で創られる

昔聴いた曲を聴くと当時を思い出すのは何故?

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昔よく聴いていた曲を久しぶりに耳にしたとき、突然、当時の情景や感情が鮮明に蘇ってきた経験はありませんか?

あの曲を聴くと蘇る、忘れかけていた記憶

なぜ音楽には、まるでタイムマシンに乗ったかのように、私たちを過去に連れ戻す力があるのでしょうか。

今回は、この不思議な現象の謎に迫ります。

脳の「特別な結びつき」

私たちの脳は、**「海馬(かいば)」「扁桃体(へんとうたい)」**という部分が、記憶と感情を司っています。そして、音楽を聴いたときの脳の働きには、この二つの部分が深く関わっています。

新しい曲を聴いて「良いな」と感じたとき、その曲は単なる音の羅列としてではなく、その時に抱いた感情や、一緒にいた人、場所といった情報とセットで記憶されます。

この感情と結びついた記憶は、海馬と扁桃体が協力して保存するため、非常に強力で忘れにくいものとなります。

「プルースト効果」と音楽

五感の中で、特に記憶を呼び起こす力が強いのが嗅覚です。

紅茶の香りから過去の記憶が蘇る現象を**「プルースト効果」**と呼びますが、実は音楽にも同じような効果があることが分かっています。

音楽を聴くという行為は、単に音を耳で聞くだけでなく、その音に付随する様々な情報を脳が同時に処理しています。

例えば、学生時代に流行った曲を聴けば、その時の友人との会話、テスト勉強で疲れた気分、文化祭の賑わいといった、多くの情報が連鎖的に呼び覚まされるのです。

理屈を超えた「感情の引き出し」

音楽が持つもう一つの大きな力は、理屈を超えて感情に直接訴えかけることです。

人は、出来事を論理的に記憶するだけでなく、その時に感じた感情(嬉しい、悲しい、寂しいなど)も同時に記憶しています。

音楽は、この感情の記憶にアクセスする鍵のような役割を果たします。

メロディーや歌詞が、心の奥深くにしまわれていた感情を揺さぶり、それが引き金となって、当時の記憶全体がまるで鮮やかな映像のように脳裏に浮かび上がってくるのです。

まとめ

音楽が過去の記憶を鮮明に蘇らせるのは、感情と結びついた記憶が脳に特別に保存されているためです。

理屈ではなく、感情に直接語りかける音楽の力が、忘れかけていた記憶の扉を開き、私たちを懐かしい日々へと連れ戻してくれるのです。

次に昔の曲を聴くときは、ぜひその「魔法」のような感覚を意識してみてください。

それは、音楽と脳の不思議な関係を体感する、素敵な瞬間になるはずですよ。

最新の曲は覚えられないのに何十年も昔の曲は忘れないのは何故?

「昔の曲は歌詞を見なくても歌えるのに、最近の曲は何度聴いても覚えられない…」。

そんな経験、ありませんか?

これは、年齢のせいだと諦めがちですが、実は私たちの脳と記憶のメカニックに深く関わる、とても興味深い現象です。

1. 「思春期の記憶」は特別に強力!

多くの人が、昔の曲をよく覚えている理由として、**「思春期の曲」**が挙げられます。

10代中ごろは、私たちの人生において、アイデンティティを形成する重要な時期です。

この時期に聴いた音楽は、単なるBGMではなく、恋愛、友情、受験、将来への不安など、多感な時期に経験した強い感情や出来事と密接に結びついて記憶されます。

脳は、感情と結びついた記憶を「重要」と判断し、特別な場所に保存するため、何十年経っても鮮明に蘇るのです。

最新の曲を聴くときは、すでに多くの経験を重ねた後なので、若い頃のように強い感情と結びつくことが少なく、記憶として定着しにくい傾向があります。

2. 脳の「新しい記憶」をつくる機能の低下

私たちの脳には、新しい記憶を一時的に保持する「ワーキングメモリ」という機能があり、この能力は20代をピークに徐々に低下すると言われています。

また、記憶を定着させる「新しい学習を行う速度」も、加齢とともに低下することが研究で示されています。

つまり、若い頃のようにスピーディーに新しい情報をインプットし、記憶に変換する能力が、残念ながら衰えてしまうのです。

そのため、最新の曲を聴いても、昔のようにスッと頭に入ってこないと感じてしまうのです。

3. 脳の「記憶の整理」と「忘却」の仕組み

脳は、記憶容量に限りがあるため、常に新しい情報を入れ、不要な情報を削除したり圧縮したりして整理しています。

昔の曲は、何年もかけて何度も繰り返し聴き、様々な出来事と結びついてきた「長期記憶」として脳にしっかりと定着しています。

一方、最新の曲は、まだ長期記憶に移行するほど繰り返して聴き込まれていないことが多く、脳が「不要な情報」と判断して忘れてしまう可能性が高いのです。

4. 昔の曲は「思い出のアンカー(錨)」

心理学では、特定の記憶や感情を呼び起こすきっかけを**「アンカー」**と呼びます。

昔の曲は、まさに当時の記憶と感情に深く結びついた「アンカー」として機能します。

そのため、その曲を聴くと、当時の感情が蘇り、それに付随する記憶全体が芋づる式に呼び起こされるのです。

この連鎖的な記憶の呼び起こしが、懐かしさを感じさせ、また曲への愛着を再確認させてくれます。

まとめ

最新の曲が覚えられないのは、単に年齢のせいではありません。若い頃に形成された、感情と結びついた強力な記憶と、加齢による新しい学習能力の低下、そして脳の記憶の整理機能が複雑に作用した結果なのです。

しかし、これは決してネガティブなことではありません。昔の曲を大切に記憶していることは、あなたが豊かな人生を送ってきた証拠。

これからも、昔の曲を聴いて、その曲に込められたかけがえのない思い出を慈しんでいってくださいね。

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