トレハロースは、植物や動物、微生物の体内にも存在する天然の糖質です。
1800年代に海外でライ麦から発見され、食品に添加することに関して優れた特性を多く持っていることから、たくさんの食品や飲料に利用されています。
トレハロースとは
トレハロースとは、ブドウ糖の2つの分子がα、α–1、1でグリコシド結合した構造の糖類のことをいいます。
トレハロースは自然界にも多く存在しており、海藻類やキノコなどに多く含まれていることが分かっています。
また、エビやハチ、チョウ、バッタなどの昆虫類にもトレハロースがあることが確認されています。
ちなみに、ヒトは体内で生成することはできませんが、腎臓や小腸で消化吸収できるとされています。
トレハロースは、1832年にウィガーズによって発見されて以来、実用化に向けて様々な研究が進められていましたが、その抽出は難しく、当初は大変高価な物であったようです。
しかし、1990年代になると、岡山県の株式会社林原がトレハロースをデンプンから大量生産できる手法を確立したことにより、様々な食品や飲料、その他の分野にも応用できるようになったと言われています。
現在は日本をはじめ、アメリカやEUなど世界でも多くの国で使用が認められています。
トレハロースの特徴
トレハロースは、常温で白色の粉末の形状をしており、水によく溶ける性質があります。
糖類ですが、その甘味度は砂糖の45%程度と言われています。口にしたとき、甘さがさほど残らず、上品ですっきりとした後味とされています。
ただし、カロリーは砂糖とほぼ同様であるとされているので、同じような甘さにするためには多く摂らないと満足感が得にくいかもしれません。
また、トレハロースは甘いだけでなくデンプンの劣化防止、高い保湿性、タンパク質変性の抑制、脂質変敗抑制、加熱・加工臭の防止、冷凍食品の劣化防止などさまざまな機能を持っているのも特徴です。
トレハロースの効果と用途
トレハロースは、甘味料というよりは食品の保存料や品質保持剤としての用途が多いようです。
デンプンを使用した食品の劣化を防ぐため、食感がパサパサせずに、硬くなるのを遅らせるという効果があり、パンや菓子、コンビニのおにぎり類に使用されています。
その他にもタンパク質や脂質に対しても品質を保持することができるため、水産加工品や畜産加工品、レトルト、冷凍食品にまで使用することができます。
さらに、熱や酸に対しても耐性があり、安定している物質であることから、キャンディーやクッキーなどの乾燥した菓子類に使用されています。
食感や味も損ないにくく、しかも甘味が控えめであることから食材の味をうまく活かすことができるため、食品メーカー側からすると、トレハロースは非常にありがたい物質であると言えます。
トレハロースには保湿性があるため、食品に使用すると乾燥を防いでくれ新鮮さを保ってくれます。
この高い保湿性は、食品以外に基礎化粧品や入浴剤に利用されており、幅広い用途で使われており、さらには、タンパク質を保護する作用があることから医療の現場で用いられたりもしています。
また、2013年にトレハロースのメーカーである株式会社林原の研究では、トレハロースには脂肪細胞の肥大を防ぐなどのメタボ予防効果があることを発表するなど、さまざまな研究が進められています。
家庭での使い方
トレハロースは、専門店やインターネットで誰でも簡単に手に入れることができ、さまざまな家庭料理を手軽においしくしてくれます。
ごはんを炊く時に一緒に入れると、ふっくらと炊き上がり、保湿性が高いためお弁当やおにぎりなど時間がたってもおいしくいただけます。
野菜に使用する場合には、トレハロースの水溶液に30分程度浸しておくだけでとシャキッとした新鮮な触感を簡単に保てます。
他にも、卵料理や煮物、揚げ物など幅広い料理に活用できるのでぜひお試しください。
トレハロースの危険性
トレハロースには、急性毒性や変異原性などの安全性試験でも異常は見られず、危険性は高くない物質とされています。
そのため、現在、世界機関による一日摂取許容量や国による使用基準などは設定されていません。
とはいえ、大量摂取には注意が必要です。
まずカロリーについてですが、トレハロースのカロリーは4キロカロリーで砂糖と同じカロリーですが、甘味度は砂糖の45%程度なので砂糖のような甘味が欲しい時にはカロリーを取り過ぎてしまいます。
また、一度に大量摂取すると、お腹がゆるくなることがあり、腹痛や下痢を起こしてしまう可能性があると言われています。
トレハロースは、食品に加えられている程度の摂取ならば、とりあえず健康に影響することはあまりないと考えてよいでしょう。
ただし、糖尿病の方は注意が必要です。トレハロースは緩やかながらも血糖値を上げてしまうため、血糖値を上げない人工甘味料の替わりに使用することはできませんのでご注意ください。
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