人は食べた物で創られる 食品添加物⑬-2甘味料

食品添加物

甘味料とは、食品に甘みをつけるために使われる調味料である。なお食品衛生法による食品の表示にあっては食品添加物に区分され、近年では、天然に存在しない人工甘味料である合成甘味料も利用されています。

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  1. トレハロース
    1. トレハロースとは
    2. トレハロースの特徴
    3. トレハロースの効果と用途
    4. 家庭での使い方
    5. トレハロースの危険性
  2. キシリトール
    1. キシリトールとは
    2. キシリトールの効果
    3. キシリトールの過剰摂取による副作用
  3. グリチルリチン酸
    1. グリチルリチン酸とは
    2. グリチルリチン酸の副作用
    3. グリチルリチン酸の用途
  4. ソルビトール(ソルビット)
    1. ソルビトール(ソルビット)とは
      1. 還元とは
    2. ソルビトールの用途
    3. 過剰摂取による危険性
  5. 人口甘味料ネオテーム
    1. ネオテームとは
    2. ネオテームの危険性
    3. 使用されている食品
  6. サッカリン
    1. サッカリンとは
    2. サッカリンの発がん性の指摘
  7. 人口甘味料アドバンテーム
    1. アドバンテームとは
    2. アドバンテームの危険性
    3. 使用されている食品
  8. アスパルテーム
    1. アスパルテームとは
    2. アスパルテームを含む食品
    3. 安全性や副作用について
  9. グリセリン
    1. グリセリンとは
    2. グリセリン脂肪酸エステルの種類
    3. 使用されている食品
  10. スクラロース
    1. スクラロースとは
    2. スクラロースの使用基準や用途
      1. ヤクルトの甘味料に使用
      2. 梅干しにも使用されている
    3. スクラロースの危険性
      1. 高温で熱すると有毒ガスが出る
      2. スクラロースの血糖値への作用
      3. スクラロースの妊婦への影響
      4. スクラロースの犬への影響
    4. スクラロースの副作用
    5. スクラロースの安全性
    6. 砂糖が原料なのに虫歯の原因にはならない理由
      1. 虫歯の原因になる甘味料(う蝕性)
      2. 虫歯の原因にならない甘味料(非う蝕性)
    7. 最後に
  11. 人口甘味料アセスルファムk(カリウム)
    1. アセスルファムk(カリウム)とは
    2. 他の甘味料との相性がいい
    3. 厚生労働省の定めた使用基準
    4. アセスルファムkの危険性や副作用
      1. 人工甘味料は血糖値を上昇させてしまう危険性
      2. 人工甘味料による発がん性の問題
      3. 下痢に関する心配について
      4. 虫歯に関する心配について
      5. 頭痛に関する心配について
    5. まとめ
    6. 関連

トレハロース

トレハロースは、植物や動物、微生物の体内にも存在する天然の糖質で、1800年代に海外でライ麦から発見され、食品に添加することに関して優れた特性を多く持っていることから、たくさんの食品や飲料に利用されるようになりました。

トレハロースとは


トレハロースとは、ブドウ糖の2つの分子がα、α–1、1でグリコシド結合した構造の糖類のことをいいます。

トレハロースは自然界にも多く存在しており、海藻類やキノコなどに多く含まれていることが分かっています。また、エビやハチ、チョウ、バッタなどの昆虫類にもトレハロースがあることが確認されています。ちなみに、ヒトは体内で生成することはできませんが、腎臓や小腸で消化吸収できるとされています。

トレハロースは、1832年にウィガーズによって発見されて以来、実用化に向けて様々な研究が進められていましたが、その抽出は難しく、当初は大変高価な物であったようでが1990年代になると、岡山県の株式会社林原がトレハロースをデンプンから大量生産できる手法を確立したことにより、様々な食品や飲料、その他の分野にも応用できるようになったと言われています。現在は日本をはじめ、アメリカやEUなど世界でも多くの国で使用が認められています。

トレハロースの特徴

トレハロースは、常温で白色の粉末の形状をしており、水によく溶ける性質があります。

糖類ですが、その甘味度は砂糖の45%程度と言われています。口にしたとき、甘さがさほど残らず、上品ですっきりとした後味とされています。ただし、カロリーは砂糖とほぼ同様であるとされているので、同じような甘さにするためには多く摂らないと満足感が得にくい欠点があります。

また、トレハロースは甘いだけでなくデンプンの劣化防止、高い保湿性、タンパク質変性の抑制、脂質変敗抑制、加熱・加工臭の防止、冷凍食品の劣化防止などさまざまな機能を持っているのも特徴です。

トレハロースの効果と用途

トレハロースは、甘味料として使用されるよりも食品の保存料や品質保持剤としての用途が多いようです。

デンプンを使用した食品の劣化を防ぐため、食感がパサパサせずに、硬くなるのを遅らせるという効果があり、パンや菓子、コンビニのおにぎり類に使用されています。

その他にもタンパク質や脂質に対しても品質を保持することができるため、水産加工品や畜産加工品、レトルト、冷凍食品にまで使用することができてさらに、熱や酸に対しても耐性があり、安定している物質であることから、キャンディーやクッキーなどの乾燥した菓子類に使用されています。

食感や味も損ないにくい上に、しかも甘味が控えめであることから食材の味をうまく活かすことができるため、食品メーカー側からすると、トレハロースは非常にありがたい物質として使われています。

トレハロースには保湿性があるため、食品に使用すると乾燥を防いでくれ新鮮さを保ってくれます。この高い保湿性は、食品以外に基礎化粧品や入浴剤に利用されており、幅広い用途で使われており、さらには、タンパク質を保護する作用があることから医療の現場で用いられたりもしています。

また、2013年にトレハロースのメーカーである株式会社林原の研究では、トレハロースには脂肪細胞の肥大を防ぐなどのメタボ予防効果があることを発表するなど、さまざまな研究が進められています。

家庭での使い方

トレハロースは、専門店やインターネットで誰でも簡単に手に入れることができ、さまざまな家庭料理を手軽においしくしてくれます。その一つに、ごはんを炊く時に一緒に入れると、ふっくらと炊き上がり、保湿性が高いためお弁当やおにぎりなど時間がたってもおいしくいただけます。野菜に使用する場合には、トレハロースの水溶液に30分程度浸しておくだけでとシャキッとした新鮮な触感を簡単に保つことが出来ます。

他にも、卵料理や煮物、揚げ物など幅広い料理に活用できるので、使用用途は沢山あります。

トレハロースの危険性

トレハロースには、急性毒性や変異原性などの安全性試験でも異常は見られず、危険性は高くない物質とされています。そのため、現在、世界機関による一日摂取許容量や国による使用基準などは設定されていません。

とはいえ、大量摂取には注意が必要です。まずカロリーについてですが、トレハロースのカロリーは4キロカロリーで砂糖と同じカロリーですが、甘味度は砂糖の45%程度なので砂糖のような甘味が欲しい時にはカロリーを取り過ぎてしまいます。

また、一度に大量摂取すると、お腹がゆるくなることがあり、腹痛や下痢を起こしてしまう可能性があると言われています。トレハロースは、食品に加えられている程度の摂取ならば、とりあえず健康に影響することはあまりないと考えてよいといわれています。

ただし、糖尿病の方は注意が必要です。トレハロースは緩やかながらも血糖値を上げてしまうため、血糖値を上げない人工甘味料の替わりに使用することはできませんのでご注意ください。

キシリトール

ガムや飴、タブレットなどの商品に使われているキシリトールは虫歯予防に効果がある糖アルコールの一種で、天然甘味料として広く使われているのは多くの方がご存知のことと思います。

キシリトールとは

ガムや飴、歯みがき粉などに含まれているキシリトールは別名キシリットと呼ばれ、化学式はC5H12O5で表します。

1997年4月に厚生労働省より食品添加物として許可された人工甘味料です。人工甘味料は2種類に分けることができ、地球上の食品に存在しない甘味成分を人工的に作った「合成甘味料」と自然の素材成分で作つた「糖アルコール」に分けられます。

キシリトールは糖アルコールの一つで、イチゴやナスなど野菜や果物の中にも含有されている天然素材の甘味料です。野菜や果物だけでなく、人間の身体の中にも存在し、肝臓で1日あたり15gほど作られています。

ガムなどに使用されるキシリトールは野菜や果物から抽出したものではなく、白樺の樹液やトウモロコシの芯を原料にして作られています。

キシリトールの効果

キシリトールは砂糖と同等の甘さがありますがカロリーは砂糖の4割程度で、他の糖分とは異なり、虫歯予防や非ウ蝕誘発性(虫歯を起こす効力がない)が特徴の甘味料です。

虫歯は、歯の再石灰化が行われていれば虫歯になりにくいと言われています。ガムを噛むことで唾液が多く分泌され、この唾液により再石灰化が促されます。キシリトール配合のガムを噛むことで唾液が分泌され、再石灰化が進み、その結果虫歯になりにくくなります。

また、キシリトールは他の糖に比べて消化吸収が1/2程度と遅いので、食後の血糖値の急な上昇を抑える効果やそれに伴うインスリンの分泌を抑える効果が期待できます。ただし、血糖値の上昇は砂糖ほどではありませんが上昇はします。キシリトールと同じ糖アルコールの中で、血糖値を上昇させない天然由来の糖質はエリスリトールだけです。

キシリトールの過剰摂取による副作用

人工甘味料であるキシリトールは安全性が高く1日の摂取量は決まっていませんが、1日に20~30gほどの量を過剰摂取すると、副作用として腹痛や下痢を引き起こしやすくなるといわれています。

また、キシリトールの原料に白樺の樹液を使用しているため、花粉症の一種である白樺アレルギーの人が食べると、くしゃみや目、鼻のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こす可能性があります。発祥例は少ないですが、平成25年5月10日にテレビや新聞で一部の人にキシリトールはアレルギー症状が発祥すると報道されています。幼児や妊婦、授乳中の方は摂取量などを十分注意して摂取することをおすすめします。

グリチルリチン酸

グリチルリチン酸は、植物由来の成分で、主に医薬品や化粧品などに多く使用されています。食品添加物としても使用は認められていますが、対象は限定的です。グリチルリチン酸とは一体どのような物質なのか調べてみました。

グリチルリチン酸とは

グリチルリチン酸は、マメ科カンゾウの根などから抽出した甘み成分です。その甘さは、砂糖の200〜700倍程度と言われており、高甘味度甘味料として食品に添加されています。

グリチルリチル酸は医薬品や化粧品にも広く使用されています。医薬品には、甘草の薬効として、解毒、鎮咳、抗炎症作用、抗アレルギー作用など様々な特徴が活用されています。また、アメリカではグリチルリチン酸は、甘味料として菓子類に使用されたり、タバコや矯味剤に使用されたりしています。

グリチルリチン酸の副作用

グリチルリチン酸には、使用にあたり副作用があることも分かっています。そのため、医薬品として配合できるのは、1日あたり最大で200mgまでとされています。

過去に、グリチルリチン酸を長期間にわたって摂取し続けた結果、偽アルドステロン症を発症したという事例があったため、国が使用基準を設けたのです。グリチルリチンには、副腎皮質ホルモン、特にアルドステロンを分泌させる作用があるとされており、この状態を偽アルドステロン症と呼んでいます。アルドステロンが多く分泌されることで、身体に浮腫が生じたり、高血圧の状態になったりするのです。

また、その他にも低カリウム症や無気力、脳症を引き起こす危険性もあるとされています。さらに、妊婦、授乳期の女性、子どもは経口摂取を避けるべきとされています。特に妊婦にとっては、グリチルリチンの原料となっている甘草が、子宮を刺激する作用があるために、流産や早産を引き起こす可能性が示唆されているので、摂取は絶対に控えるべきです。

他にも、肝疾患、重度の腎不全、浮腫を伴う心疾患、高血圧症、低カリウム症の人は摂取を避けるべきとされています。ただ、一般的には食品に含まれている量のグリチルリチン酸の摂取は、おそらく健康には支障をきたさないとされています。

グリチルリチン酸の用途

グリチルリチン酸の甘さは、砂糖よりも甘みの立ち上がりが遅く、後に長く引くという特徴があります。また他の人工甘味料とは違い、甘草の持つ特徴的な甘みがあると言われています。

グリチルリチン酸は、甘さの質自体は良くないものの、食品に添加することで塩味を和らげたり、旨味を引き出したりする効果があるとされています。

グリチルリチン酸は水に溶けにくい性質があるため、ナトリウム化させたグリチルリチン酸二ナトリウムとして食品には添加されています。グリチルリチン酸二Naは、食品に使用する場合には、その使用量に制限はありませんが、使用対象は甘味料としてしょう油とみそのみに制限されています。

ソルビトール(ソルビット)

ソルビトールは、食品添加物などに使用される糖アルコールのことですが、自然界にもその成分は存在しているといいます。しかし、全く危険性のない安全なものとも言い切れないもののようです。果たして、私たちが本当に摂取しても大丈夫なものなのでしょうか調べてみました。

ソルビトール(ソルビット)とは

ソルビトールとは、ブドウ糖を還元してできる糖アルコールのことで、リンゴやプラムなどのバラ科の植物などに含まれている成分です。
食品や飲料への添加物として使用される他、保湿性があることから化粧品やスキンケア商品などに使用されたり、下剤や栄養剤などの医薬品に使用されたりすることがあるようです。

還元とは

酸化物から酸素を奪う反応、もしくはある物質が水素と化合する反応のこと。

ソルビトールの用途

ソルビトールは、食品添加物としては主に甘味料の用途で使用されています。サッカリンやアセスファムカリウムと比べて、甘味の質が良いとされていますが、その甘味度は、砂糖の60%程度と言われています。

そのため、ダイエットのための食品や飲料、サプリメントなどに使用されていますが、甘みが少ないために満足感を感じにくいようです。そして、結局多めに摂取してしまうことで、ダイエット効果そのものも得にくいかもしれません。

ただ、ソルビトールは溶解する際に吸熱反応を起こすことから、口の中に入れると清涼感を得られます。この性質がガムや飴などの菓子類に利用されているのです。

また、ソルビトールは保湿性や安定性があるため、煮豆や佃煮、生菓子などにも使用されています。ソルビトールを冷凍のすり身に加えると、水分を保持し、冷凍後も品質が変わりにくくなるとも言われています。コンビニで販売されているおにぎりにも、米がパサパサしないようにソルビトールが添加されていることがあります。

過剰摂取による危険性

2012年に、海外で医療機関においてソルビトールを投与された女性が死亡した事故が発生したという、ショッキングな報道がありました。しかし現地当局の情報によると、女性の死因は他の物質の摂取によるものであったとされています。実際のところ、その因果関係は明らかになっていませんが、ソルビトールの摂取が直接の死因となったわけではなさそうです。

一般的に、ソルビトールは、通常の摂取量ならば特に危険性はないとされています。しかし、過剰摂取すると健康への影響が心配されます。具体的な症状としては、お腹がゆるくなりやすく、腹痛や下痢などを起こしやすくなります。ソルビトールは国際機関でも安全性が高いと評価されているため、1日あたりの摂取許容量は定められてはいないようです。

また、ソルビトールには発がん性などの毒性も確認されておらず、安全性は高いと言われています。ただし、糖尿病を罹患している人は、ソルビトールの摂取は要注意です。砂糖に比べて、血糖値をがさほど上昇させないため安全ではないかと思われるかもしれませんが、ソルビトールは細胞中に溜まりやすい性質があるため、高血糖の糖尿病の人は合併症を引き起こすリスクがあるとされています。

また、ソルビトールは甘みが控えめであることから、より多く摂取したくなる衝動に駆られやすく、依存性の高いものとされています。健康な人でも、あまり積極的に摂取することは好ましくないかもしれません。

人口甘味料ネオテーム

砂糖の約1万倍の甘さを持つ物質と聞いて、一体どういうことだろうと感じる人が多いはずです。日本で認可されている他の人工甘味料と比べても、ダントツの甘味度を誇っています。ただ、これだけ特別な甘味であると健康への影響はないか気になることもあります。

ネオテームとは

ネオテームは、アメリカの企業によって研究開発され、近年になって使用されるようになったアミノ酸由来の高甘味度甘味料です。日本では、2007年に食品添加物の認可を受けており、今後使用される可能性が高い甘味料の一つでもあります。ネオテームの甘味度は、砂糖の約1万倍、同じ人工甘味料のアスパルテームの約50倍とも言われています。

ネオテームのネオは新しいという意味で、ネオテームのテームはアスパルテームのテームです。つまりアスパルテームの改良品ということになります。

アスパルテームは熱に弱く水によく溶けるのに対し、ネオテームは熱に強く水には溶けにくい特徴を持っています。ただしアルコールにはよく溶けます。

その味には、雑味がなくクリーンな甘味が長く残るとされています。サッカリンなどは高濃度になると苦味が出ますが、ネオテームはほとんどそのようなことはないようです。

また、人工甘味料にはよくあることですが、体内で消化吸収がなされないために、カロリー摂取はほとんどないとされています。

ネオテームの危険性

ネオテームの危険性としては、動物実験の結果、摂取することで、体重減少や体内で発がん性物質を生成する可能性があるということが挙げられます。

一方で、ネオテームを販売しているメーカーでは、発がん性試験、催奇形性試験、ヒト臨床試験などの安全性試験を実施し、安全性が確認されているとしています。国で認可されているとはいえ、マイナスの評価がなされている現状もあるので、ネオテームがふくまれている飲料や食品に躊躇してしまう人もいることでしょう。

使用されている食品

ネオテームは、安定性が高く、食品の製造工程にある発酵や焼成、加熱などに対しても耐性があるため、実に様々な菓子類に使用することができるとされています。例えば、ヨーグルトやケーキ、キャンディ、ガムなどが挙げられます。また、コーヒー飲料や清涼飲料水などにも使用されているようです。

ネオテームは、非常に強い甘味を出すことができるため、使用量は少量でも十分な味が出せると言われています。

そして、カロリーゼロや低カロリーの商品として販売されることも少なくありませんが、実際のところ、砂糖によるカロリー摂取がほとんどないとしても、ネオテームを構成する成分上、肥満や糖尿病にならないとは限らないとも言われています。

お菓子や甘みのある飲料に入っている可能性のあるネオテームですが、それを摂取することでダイエットに繋がるかどうかは疑問が残りますし、消費者として安全性についてもちょっと気になる物質です。

サッカリン

サッカリンはかつて発がん性が指摘され、日本では未だ使用が制限されている物質です。そのため、あまり耳馴染みのない名称と感じる人も多いことでしょう。サッカリンとはどのような物質で、具体的にどのような用途に使われているのでしょうか。

サッカリンとは

サッカリンは、無色透明の結晶、もしくは白色の粉末の形状をしている人工甘味料です。1800年代後半にアメリカで発見され、すぐに商用化されるようになりました。ショ糖の約200〜700倍の甘さがあり、高濃度では苦味を感じられると言われています。非常に甘いにもかかわらず、カロリーが低いためダイエットを目的とした飲食物に使われることもあります。

サッカリンは非水溶性であるため、チューインガムのみしか使用できませんが、これをナトリウム塩にした水溶性のサッカリンナトリウムによって様々な用途に使用することができます。

例えば、漬物や練り製品などの加工食品、醤油や味噌などの調味料、清涼飲料水、アイスクリームやジャムなどの菓子類に使用されています。また、食品以外にも歯磨き粉や口紅、家畜の飼料などに使われています。サッカリンは、私たちがほぼ毎日使うような調味料や歯磨き粉など大変身近なものにまで使用されているのです。

ちなみに、サッカリンは厚生労働省によると、許容一日摂取量は体重1キログラムあたり5ミリグラムまでとされており、安全性に問題がないということが確認されているようです。サッカリンは過剰に摂取すると、血糖値が高くなる恐れがあったり、胃腸に負担をかけたりすることがあるようです。

サッカリンの発がん性の指摘

サッカリンは、1960年代にアメリカで行われた動物実験により、弱い発がん性があるとみなされたため、日本を含む世界各国で使用禁止になった物質です。ところが、一旦使用禁止になったものの、後年になって先の実験結果が見直され、サッカリンに発がん性はないという見方がされるようになりました。
そして、各国で使用が再開され、日本でも現在は使用が認められています。

ただし安全性の観点から、法律で食品などへのサッカリンの使用量については定めがあります。このようなことを背景に、近年、加工食品にはサッカリンの代わりとしてスクラロースやアスパルテームなどが多く使用されるようになってきているようです。

ちなみに、この時同様に発がん性の問題で使用禁止になった人工甘味料にズルチンやチクロと呼ばれる物質がありますが、サッカリンとは異なり、これらは日本では未だ使用禁止のままです。

一方で、最近になってサッカリンには抗がん作用があるという驚きの研究結果がアメリカで報告されています。従来の発がん性があるという印象がまだ十分に払拭できているとは言いがたいわが国の使用状況からすると、にわかに信じがたい事実です。今後、さらに研究が進み、サッカリンが抗がん剤として使用されるようになる日もやってくるのかもしれません。

人口甘味料アドバンテーム

アドバンテームは、2014年に日本で認可された、驚異的な甘味度を持つと言われている甘味料です。日本で開発した味の素株式会社によると、アドバンテームは味質の改善やコスト低下に役立つとされていますが、危険性はないのか気になります。

アドバンテームとは

アドバンテームとは、ショ糖の14,000〜48,000倍の甘味度を持つと言われているアミノ酸由来の高甘味度甘味料の一つです。
高甘味度甘味料と言えば、従来のアスパルテームも挙げられますが、アドバンテームはアスパルテームの90〜120倍の甘味度があるとされています。

アドバンテームは味の素株式会社が独自で研究開発した人工甘味料で、2014年にヨーロッパとアメリカで食品添加物としての認可を得た後に、日本でも認可を得ています。

高甘味度甘味料の需要は、世界的に増加しつつあるとして、今後徐々に市場が拡大する可能性があるとされています。
アドバンテームが比較的新しい甘味料であることから、それを使用した商品は市場にはまだそれほど流通されていないとされていますが、今後どんどん増えてくることが予想されます。

アドバンテームの危険性

アドバンテームは、アスパルテームの100分の1の量で甘味を出すことができるとされています。使用量が少なくて済むことで、コストダウンに繋がることから、メーカー側からするとメリットのある甘味料と言えるでしょう。

また、糖分の摂取が制限される糖尿病を罹患している人にとっては、砂糖そのものを摂取することなく甘味を味わえるという点においては利点と考えられます。

しかし、それだけの甘さを人工的に作り出しているということは、何か弊害があるのではないかと考えられます。

実際に、アドバンテームの安全性を確認する試験で、実験動物に大量に摂取させたところ、動物の消化器に障害が現れたという結果もあるようです。
さらに、アドバンテームをコーラのような炭酸飲料に使用したところ、26か月で52パーセントが別の物質に変化した、という驚きの実験結果も出ているようです。別の物質とは、分解物によるものとも思われますが、その危険性は私たち消費者にとって未だ詳しいことは明らかになっていないのが現状です。

使用されている食品

アドバンテームは、甘さが長く続くことから雑味をマスキングする効果があるとされています。また、アドバンテームはそれ単独で使われることよりも、アスパルテームなどと併用されることがよくあるそうです。

使用例としては、ノンアルコール飲料、ガム、加工フルーツ、シロップなどが挙げられます。
アドバンテームは焼成や発酵などにも耐性があることから、特に菓子類には非常に幅広く使用できるものとされています。例えば、プリンやゼリー、焼き菓子などです。

さらに、カロリーがほとんど無いことからダイエットを謳った飲料や食品にも、今後使用されることが考えられます。

高甘味度甘味料は、認可されるごとに、研究によって改良が進んだものが使用されるようになり、そして、それを使用できる分野は広くなってきています。

アスパルテーム

アスパルテームは、2種類以上の物質を人工的に結合させてできた人工甘味料の一つです。1960年代に米国で開発されて以降、砂糖代わりに世界各地で使われるようになりましたが、その安全性については疑問の声が上がっている物質でもあります。

アスパルテームとは

アスパルテームとは、砂糖のおよそ200倍近くの甘さを持つ人工甘味料です。

アスパルテームは、アスパラギン酸とフェニルアラニンというアミノ酸とメチルアルコールを結合させてできた合成甘味料でもあります。
アスパラギン酸は、アスパラガスに多く含まれているアミノ酸です。フェニルアラニンとメチルアルコールに関しては有害なのではないかと心配されていますが、どちらもこのアスパルテームを含む食品を過剰に摂ることがなければ、一般的には健康上に害を与える心配は少ないとされています。

普段口にする人も多いと思われるキシリットを含んだガムは、このアスパルテームが配合されているものが多くあります。

アスパルテームを含む食品

アスパルテームを含む食品は、私たちの身のまわりに多く存在しています。

例えば、普段食事代わりにノンカロリーやローカロリーを謳った飲食物を摂る人もいることでしょう。その中には、アスパルテームを含むものが多く存在しています。

アスパルテームは他の特定の物質と併せて使用することで、甘味を調整することができるので、口に入れた時も砂糖の200倍の甘さを直接感じられることは少ないのです。
若い世代を中心に愛飲する人も多い清涼飲料水も、カロリーを抑える代わりに、甘さを出すことで美味しく感じられるように工夫しているのです。

また、喫茶店やファミレスに行くと、コーヒーや紅茶に使用する砂糖として、このアスパルテームを含むものが置いてあることがあります。聞き慣れないと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、アスパルテームは私たちの食生活に既に浸透しきっている物質なのです。

安全性や副作用について

アスパルテームは、日本でも1980年代から使用が認可されており、現在も様々な飲食物で使われています。

その一方で、この物質の安全性や摂取することで生じる副作用について懸念する人が多いのも事実です。中でも、フェニルケトン尿症の患者については摂取を控えた方が良いとされています。フェニルケトン尿症は、先天性の病気で数万人に一人の割合で発症するとされています。
アスパルテームは、ヒトの体内で代謝されるときに、アスパラギン酸、フェニルアラニン、メタノールの3つの物質に分解されますが、そのうちフェニルアラニンという物質は、フェニルケトン尿症の患者の体内では分解することが困難であるため、そのまま蓄積されてしまうのです。そして、それを放置すると脳の発達に影響を与えるとされています。

ただし、このフェニルアラニンは必須アミノ酸とも言われており、むしろ摂取することは必要とされている物質でもあるので、健康な人は特に気にする必要はないでしょう。

グリセリン

グリセリンとは代表的な三価のアルコールのことで、甘味があり粘稠な無色透明な液体です。石鹸製造の副産物として得られました。現在は、食品添加物として乳化剤、保存料、甘味料、医薬品や化粧品の原料といった様々な用途があります。

グリセリンとは

グリセリンとは三価のアルコールのことで、グリセリンが脂肪酸とエステルを形成したものがグリセリン脂肪酸エステルで、別名油脂と呼ばれています。

一口にグリセリン脂肪酸エステルといっても、様々なものがあり、例えば高級脂肪酸と呼ばれている、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸があります。これらは天然の油脂を構成しています。

他にも、ギ酸、酢酸といった飽和脂肪酸、アクリル酸、メタクリル酸といった不飽和脂肪酸があります。

また、グリセリン脂肪酸エステルは代表的な食用品乳化剤の1つです。乳化剤とは水と油のようにお互い混ざり合うことのない2種類の液体を、安定した乳濁液にさせる事ができる第三の物質のことを指します。

グリセリン脂肪酸エステルの種類

グリセリン脂肪酸エステルは全9種類あります。

飽和脂肪酸に含まれるのが、ギ酸、酢酸、パルミチン酸、ステアリン酸で、不飽和脂肪酸に含まれるのがアクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸です。

不飽和脂肪酸を構成脂肪酸にもつ油脂の中には、常温で固体の油脂に変化するものがあります。このようになったものを硬化油といい、マーガリンなどの原料に使われています。

マーガリンは精製した動植物油とその硬化油を混ぜ合わせ、これに食塩・乳化剤・香料・ビタミンA、Dなどを加えて練り固めた、バターに似た食品で、パンなどによく塗るため世間ではお馴染みの食品だと思われます。19世紀末頃からマーガリンはつくられ、当初はバターの代用品と認知されていましたが、今日のものは風味、栄養ともにバターに匹敵しています。

使用されている食品

グリセリンは様々な用途で使われており、薬品・化粧品などの原料の他、食品添加物としても用いられています。グリセリンを含むものとしては、マーガリンやシリアル、お菓子などといった様々なものがあります。

昨今、食品添加物が含まれるものは身体に良くないから摂取すべきではないという風潮がありますが、この考え方は少し間違っています。グリセリンは比較的毒性が低く、食べ物に含まれる量であれば全く問題がなく安全であると言えます。だからと言って過剰に身体に取り入れれば、いくらか悪影響が出るので、バランス良く摂取するのが良いでしょう。

食品添加物が含まれているから、これは健康に悪いと決めてかかるのではなくて、適当な用量であれば身体に悪いわけではないと理解して、日々の食生活の中に取り入れていければ良いのではないでしょうか。

スクラロース

スクラロースは平成11年7月30日に食品添加物に指定された一番新しい人工甘味料(合成甘味料)です。
砂糖に塩素原子を3つ結合させた物質がスクラロースです。ちなみに砂糖の主成分であるショ糖を英語でスクロース(Sucrose)といいます。
スクラロースは、菓子類や飲料などに多く使用されています。それらの製品の原材料として、記載されているのを目にしたことのある人もいることでしょう。一体どのような特徴のある物質なのでしょうか。

スクラロースとは

スクラロースは1970年代にイギリスの大学と企業の共同研究によって開発された人工甘味料の一つです。砂糖を原料として造られたスクラロースですが、その甘味度は砂糖の約600倍とも言われています。
日本では、1999年に食品添加物として認可されており、世界でも80カ国以上で使用が認められているとされています。

特徴として甘さの質が比較的良いのでガムや菓子、生菓子、ジャム、清涼飲料水、乳飲料、乳酸菌飲料などに使用されています。またアルコールにも良く溶けるため清酒、合成酒、果実酒などにも使用されています。
スクラロースは他の人工甘味料(合成甘味料)との併用が多いことも特徴としてあげられます。

スクラロースの使用基準や用途

スクラロースの使用基準は、菓子類については1キロにつき1.8グラム以下、ジャムについては1キロにつき1.0グラム以下、また酒類や清涼飲料水、乳飲料などについては1キロにつき0.4グラム以下などと定められています。

スクラロースは、高い甘味度を有する甘味料にもかかわらず、口にしたときに感じる甘さは、自然でくせがなく、ほとんど砂糖のように感じられるといわれています。

また、食品などの製造過程における加熱に耐えうることに加え、安定性も高い物質であることから、様々な食品や飲料などに使用されています。例えば、菓子、ジャム、デザート類、パン、清涼飲料水、酒類、漬物、調味料などが挙げられます。また、スクラロースはノンカロリーであることから、ダイエット用の食品や飲料などにも使用されています。その他にも、医薬品や健康食品などに使用されることもあります。

ヤクルトの甘味料に使用

腸の中の良い菌を増やし悪い菌を減らすことで腸内環境を改善し、おなかの調子を整える乳酸菌シロタ株を含有していることでおなじみのヤクルトの一部の製品の甘味料にスクラロースが利用されています。

通常のヤクルトの甘さには砂糖やとうもろこし由来のぶどう糖果糖液糖が使われていますが、近年の肥満予防などのダイエットブームに伴い糖質やカロリーをひかえた商品が開発され、そうしたヤクルトの商品には砂糖やぶどう糖果糖糖液糖の成分の含有量を減らす代わりに、甘さの味の質を調整するために人口甘味料のスクラロースが使用されています。

たとえば「Newヤクルト」65ml/50kcalの甘味成分はブドウ糖果糖液糖と砂糖が使われ、糖質は11.5gであるのに対して、この商品よりカロリーを50%offした「Newヤクルトカロリーハーフ」65mlはカロリーを半分、そして甘さや糖質をひかえ、甘味成分にはブドウ糖果糖液糖と還元水あめほか、スクラロースを少量添加して味の質を調整し糖質を5.7gにしています。

人工甘味料の危険性がささやかれている中で、人工甘味料のスクラロースの使用についてヤクルト側に問い合わせたところ、「使用する量はごく少量であり、健康に影響はない」と回答をもらいました。

梅干しにも使用されている

市販されている梅干しや減塩または甘味仕立ての梅干しの甘味料に人工甘味料のスクラロースが使用されているものもあります。

高級な甘味仕立ての梅干しは天然のはちみつを使用していることをうたっている商品もありますが、一般にスーパーなどで販売されている梅干しはほんのり甘さを出し食べやすく味の質を整えるためにスクラロースが添加されています。

砂糖やハチミツなどを使用すると高価になってしまうのでコスト削減も一つの理由です。その使用量は国が定める食品添加物の規格や基準に基づき使用されているので、健康には害はないと考えられてます。

スクラロースの危険性

高温で熱すると有毒ガスが出る

内部告発によってスクラロースは138度以上で熱すると化合された塩素から有毒ガスが出るという報告が出されています。以前国会でも取り上げられました。

前述した菓子、ジャム、デザート類、パン、清涼飲料水、酒類、漬物、調味料などの食品であれば138度に加熱されることはないとは思います。しかしスクラロースの原体を138度以上で加熱すると塩化水素ガスが出るというデータがあるということは厚生労働委員会も認めています。
塩化水素ガスが出るということはスクラロース自体が変化しているということですが変化した物質の危険性については不明のままとなっています。

厚生労働省はスクラロース製造メーカーが作成したデータで安全基準を決めているようです。また厚生労働省はスクラロースを添加物として指定する際クッキーを210度で8分焼いた場合に塩素を含むものを含め分解物は検出されなかったと報告しています。

スクラロースの血糖値への作用

過去にワシントン大学で行われた研究で糖尿病と診断されていない肥満者に対してこんな実験が行われました。

1回目:水を飲んだあとブドウ糖負荷試験を行う
2回目:スクラロースを飲んだあとブドウ糖負荷試験を行う

スクラロースに糖質は含まれていないので血糖値は1回目と変わらないはずなのですが、2回目のほうが水を飲んだあとに計った血糖値よりも高くなってしまったそうです。
これは最近の研究によると、インスリンを分泌する膵臓細胞はグルコース(ぶどう糖)以外の甘味料(スクラロースなど)にも反応してインスリンを分泌するということです。血糖値の下がった空腹時にノンカロリー甘味料を摂取するとますます低血糖状態になるため危険です。

スクラロースの妊婦への影響

妊娠中の女性がスクラロースを摂取した場合、下痢によって流産しやすくなるなどとささやかれていますが、これに関して具体的な調査報告書はありません。

スクラロースは体内で消化、吸収されないので体内に入ると、体はスクラロースを異物として捉え早く排出しようとするため水分をいっぱいだしてそれが下痢になりやすくなる場合があることは、食品の表示欄などに注意書きされていることもあります。ただしスクラロースが直接の原因となって流産するかどうかの明白な事例は上がっていません。

スクラロースが妊婦に悪影響を及ぼすことを心配する団体が、スクラロースを妊娠中の動物に投与し実験したという報告を目にしました。それによると半分近くの試験動物が下痢を起こし流産したことで、下痢による流産の危険のある食品であると意見があがったのは事実です。

その団体はもし妊娠した女性が下痢を起こせば子宮に悪影響を与えるため、厚生労働省にスクラロースの使用基準について安全審査を作り直すように働きかけているようです。

近年砂糖に代わる甘味料として使用されているスクラロースなどの人工甘味料は、日本や欧米などでは人の健康に悪影響を与えることはないと評価しています。日本でもスクラロースは厚生労働省が管轄している食品衛生法に基づき、色々な基準が定められて甘味料の食品添加物として使用が認められています。

たとえばその基準の一つである、人が一生涯に渡って毎日摂取し続けても健康への悪影響はないと推定される1日の摂取許容量(ADI)は、スクラロースの場合0-15(mg/kg 体重/日)などという基準があります。

またスクラロースとは限りませんが、人工甘味料を妊娠している試験動物の母体に与え、胎児の発生や生育におよぼす影響を調べる催奇形性試験なども行われるなど、化学的に安全性の評価がなされた物質です。

スクラロースは様々な検証をもとにした国の規定の下で、健康に影響がないように管理され添加されており、また実際に摂取している量は極めてわずかなので心配する必要はないというのが商品を製造する側の意見です。

しかしながら、なんでも過剰摂取するのは体には毒なことであり、特に妊娠中は免疫力も落ち何が起こるかわからないため、清涼飲料水を飲みすぎたり、アイスなどのお菓子類を食べすぎないように気を付けた方がよいと言われるのも事実です。

スクラロースの犬への影響

近年のペットブームでは犬を家族同様に飼っている愛犬家が多い中で起こってしまった事故ですが、愛犬が家庭内で人工甘味料入りのお菓子を食べてしまって重篤な症状が出てしまったという事故がありました。その後の検査で犬は菓子に含まれているキシリトールによって中毒症状を起こしたことがわかり手当てをしました。

中毒の原因となったキシリトールはスクラロースと同じ非糖質系甘味料の天然甘味料で、人間にとっては毒性のない安全な甘味料なのですが、人間と犬は代謝や感受性が異なり、犬が摂取した場合重篤な症状を起こすという報告が2006年アメリカの獣医学会から発表されています。

人間が摂取した場合は血糖値の上昇やインスリンの分泌を抑制しますが、犬の体内ではインスリンの分泌を促し血糖値がさがり低血糖をおこし、その症状は嘔吐、衰弱、意識の低下、脱力、昏睡、痙攣などの症状が現れるそうです。また最近では肝臓の障害を起こす可能性があると報告されており、犬にはキシリトール入りの食べ物を与えてはいけないといわれています。

では同じ非糖質系甘味料でもスクラロース入りのお菓子などをもし犬が食べてしまったときはどうなるのだろうという愛犬家の心配の声をもとにその実態を調べたところ、スクラロースが犬の体に悪影響を及ぼすかどうかの具体的な報告書は現在のところありません。

実際日常生活で考えると、例えば甘味料にスクラロースを配合したバニラアイスを犬が食べても犬の体になんら影響は見受けられません。もしアイスを食べて下痢や嘔吐してもスクラロースが直接の原因であるとは獣医師も見ていないようです。

犬に甘みのあるものを与えるのはすすめられていませんが、たとえ人工甘味料のスクラロースが入っているアイスやクッキーなどのお菓子を犬が食べてしまっても、犬の体に悪影響がでたという報告はなく、もし何らかの症状があるなら、他からの原因が考えられるようです。

スクラロースの副作用

東京都健康安全研究センターが行った調査でも報告されていますが、スクラロースに限らず人工甘味料を過剰摂取することで下痢を引き起こすことがあるようです。
ただしこの下痢の症状は一過性であり病変ではないとのことです。

スクラロースの安全性

スクラロースの甘さは砂糖の600倍もありますが砂糖とは異なり体内で分解されることはありません。分解されないということは体内に吸収されることはないということになります。

体内に吸収されないということは血糖値が上昇することもなく、インスリンの分泌にも影響を与えません。
前述したように、過去にスクラロースを使用してブドウ糖負荷テストを実施したら血糖値が高くなってしまったという結果も報告されていますが脳の誤反応であるならば問題ありません。

現時点で厚生労働省の発表では、血圧・神経系・呼吸器・心臓なども含め、異常は認められていません。
高温で熱すると塩素系ガスが発生するという報告は無視できませんが国としては使用基準を守れば添加物として使用できることになっています。

スクラロースの1日の一日摂取許容量は1kgに対し10~15gとなっています。スクラロースは個人で購入することはできない物質です。企業しか買えない物質であるため、企業が使用基準を守っていれば安全といえるでしょう。

砂糖が原料なのに虫歯の原因にはならない理由

スクラロースは、砂糖を原料としているにもかかわらず、虫歯の原因にはなりません。
虫歯の原因は歯に付着している細菌が糖質を餌として分解消化するときに生成される酸が、歯の表面を壊してしまう症状です。これをう蝕(虫歯)いいます。

スクラロースは糖質を含まない甘味料のため非う蝕性であり虫歯にはなりません。

虫歯の原因になる甘味料(う蝕性)

・グルコース(ぶどう糖)
・異性化糖
・マルトース
・水飴
・はちみつ

など。

虫歯の原因にならない甘味料(非う蝕性)

・マルチトール(還元麦芽糖水飴)
・ソルビトール
・マンニトール
・キシリトール
・エリスリトール
・サッカリン
・ステビア
・アスパルテーム
・スクラロース

など。

最後に

スクラロースが開発された経緯としては、元々農薬の開発途中で偶然に発見されたことが発端であったとされています。スクラロースの用途がほとんど食品や飲料などであることを鑑みると、少しショッキングな事実ですが、過剰摂取しなければ非常に有能な甘味料といえます。

人口甘味料アセスルファムk(カリウム)

アセスルファムk(カリウム)は正式には合成甘味料です。人工甘味料は天然の素材から作られるのに対し、合成甘味料は化学物質を掛け合わせて人工的に「甘み」を作り出します。そのため危険性や副作用などがあるといわれています。
アセスルファムk(カリウム)は加熱に強い甘味料のため多くの食品に使用されています。

アセスルファムk(カリウム)とは

アセスルファムk(カリウム)は西ドイツで開発された合成甘味料です。甘さは砂糖の約140~200倍もあります。
天然甘味料や人工甘味料とは異なり化学物質の掛け合わせで作られているため後味が悪いと感じる人もいるようです。

日本では平成12年4月(2000年4月)に食品添加物に指定され、使用基準及び成分規格が定められました。平成11年時点で世界90ヶ国以上で使用が認められています。
また2008年には医薬品添加物に指定され医薬品にも使用できるようになりました。

アセスルファムkは英語でAcesulfame Potassiumといいます。

植物のさとうきびやてん菜などを原料とした砂糖などを「糖質甘味料」というのに対して、アセスルファムkは「非糖質甘味料」と呼ばれます。また非糖質甘味料は「非栄養甘味料」とも呼ばれています。

その理由は体内では栄養にならない食品添加物だからです。アセスルファムkは摂取したほとんどが尿や便に排出されてしまいます。そのことは「日本栄養・食糧学会誌」でも紹介されていますが、その内容をみると、アセスルファムkは摂取したほとんどが24時間以内に尿中に排泄される、そして7日以内にはその全量が排出されると述べられており、そのような裏付けから非栄養甘味料とも呼ばれているのです。

アセスルファムkは砂糖よりも強い甘味をつけることができるのに糖質の摂取量はゼロなので、近年のメタボリックシンドロームや糖尿病などの生活習慣病の原因となる肥満を解消すべき話題に取り上げられる健康志向やダイエットということに着眼されて、砂糖の代用となる食品添加物として使われているのです。

低カロリー、カロリーゼロ、カロリーオフをうたう商品に使い消費者の気をひくため、また高い甘味度を利用してのコスト削減、そして味の調整がしやすい点などを理由に飲料などの商品に使用されています。

ちなみにアセスルファムkは砂糖に比べておよそ200倍もの甘味があることから「高甘味度甘味料」と呼ばれたり、甘味が強いので少量でも甘さを加えることができるため、摂取エネルギーを抑えることができることから「低エネルギー甘味料」とも呼ばれます。このような表記を目にした時の参考にされてください。

他の甘味料との相性がいい

アセスルファムkを単体で使用するとわずかに苦みを感じるため、他の甘味料と併用することで後味をよくすることができます。特にアスパルテームと相性が良く併用すると砂糖に近い味になります。
またスクラロースと併用することで甘さの調整をする場合もあります。

アセスルファムkは匂いの無い白色の粉末で水によく溶けるため飲料水にもよく使われています。
加熱しても成分が失われにくいためあんこや生菓子、アイスクリーム、ガム、ジャム、タレ、漬物、リキュール、乳飲料、乳酸菌飲料などさまざまな食品に使用されています。
ただし食品によっては厚生労働省により使用基準が定められています。

厚生労働省の定めた使用基準

さまざまな食品に使用されているアセスルファムk(カリウム)ですが、以下の食品に添加する場合は使用量の制限があります。

  • 砂糖の代わりに使用する場合・・・食品1キロ当り15g(1.5%)以下
  • 栄養機能食品(タブレットに限る)・・・食品1キロ当り6.0g(0.6%)以下
  • チューインガム・・・食品1キロ当り5.0g(0.5%)以下
  • 生菓子、菓子及びあん類・・・食品1キロ当り2.5g(0.25%)以下
  • ジャム類、漬物、氷菓、アイスクリーム類、たれ及びフラワーペースト・・・食品1キロ当り1.0g(0.1%)以下
  • 果実酒、雑酒、清涼飲料水、乳飲料、乳酸菌飲料及び、はっ酵乳(希釈して飲料に供する飲料水にあっては希釈後の飲料水)・・・食品1キロ当り0.50g(0.05%)以下
  • その他の食品・・・食品1キロ当り0.35g(0.035%)以下

 (厚生労働省医薬食品局食品安全部、「食品添加物の指定、使用基準の改正等について」、平成16年1月20日)

使用量は少なくても砂糖の200倍の甘さなので十分なのです。

アセスルファムkの危険性や副作用

アセスルファムk(カリウム)はジケテン(刺激性のある有毒な物質)という食酢(ビネガー)に含まれるの物質と酸性洗浄剤などに利用されるスルファミン酸(アミド硫酸)を反応させ、さらに無水硫酸を加えるなどの化学合成により製造されます。

JECFA(国連の食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)の合同食品添加物専門家会議)の評価では突然変異・発がん性は認められず、アセスルファムk自体・加水分解物ともに毒性試験では無害と確認されていて、各種動物実験でも安全性が確認されています。

しかし使用基準が設けられているということは継続的に摂取することで何らかの危険性が増すということでしょう。
例えば以下のような危険性が心配されているようです。

人工甘味料は血糖値を上昇させてしまう危険性

過去にワシントン大学で行われた研究で糖尿病と診断されていない肥満者に対してこんな実験が行われました。

  • 1回目:水を飲んだあとブドウ糖負荷試験を行う
  • 2回目:合成甘味料(スクラロース)を飲んだあとブドウ糖負荷試験を行う

ブドウ糖負荷試験とは血糖値の推移を見るために30分から数時間ごとに採血し血糖値の推移を計る検査のことです。また血糖値測定と併せて血液中のインスリン濃度も計測します。

スクラロースに糖質は含まれていないので血糖値は1回目と変わらないはずなのですが、2回目のほうが水を飲んだあとに計った血糖値よりも高くなってしまったそうです。
これは結果的に脳が騙され血糖値が上昇したということが考えられます。

人工甘味料による発がん性の問題

前述したとおりアセスルファムk単体での使用については突然変異・発がん性は認められていません。しかしアセスルファムkは他の甘味料と併用されることが多いので他の人工甘味料と併用した場合の安全性は未知数です。

化学物質で作られた物質同士を併用した場合の研究結果はありませんので危険性はぬぐい切れません。
なお過去に発がん性が問題になり禁止された人口甘味料にズルチン、サイクラミン酸ナトリウム(チクロ)があります。

下痢に関する心配について

アセスルファムkなどの非糖質甘味料を使用した飲料などを摂取して下痢を引き起こす場合があると言わることがあります。しかし都民の低カロリー系飲料などの摂取における調査結果によると、アセスルファムkが添加されている飲料を摂取したことが原因で下痢の症状が出たと自覚している人はほとんどいませんでした。

しかしながらアセスルファムkが下痢を引き起こしやすいと言われる理由に考えられる点は確かにあります。アセスルファムkは体に吸収されずその全量がほぼ体外に排出されてしまうので、甘味度が高いのに低カロリーでダイエットに良いと言われる反面、体内の免疫力が反応してアセスルファムkを異物と捉えて早く体外へ排出しようと水分をたくさん放出するために下痢になりやすいと考えられていることです。ただ、調査結果にもあるように、アセスルファムkを成分表示している飲料を摂ったから下痢になったと感じる人はいないようです。

虫歯に関する心配について

大人もまた子供に関しても虫歯の予防対策の効果に期待し、飲料や菓子などの食品にノンシュガーと表示されるものを摂取することあると調査報告があがっています。

食品表示にあるノンシュガーの飲料や食品の甘味成分には人工甘味料のアセスルファムkなどが使われています。口の中の細菌は砂糖を餌にして歯石の原因となる物質を産出したり、歯のエナメル質を溶かす酸を作るので、それが虫歯の原因の一つになるのですが、アセスルファムkは口の中の細菌の餌にならず、またはされにくい性質があると報告されています。

そのためその性質を利用して「虫歯になりにくい」と表示したガムやキャンディ、歯磨き粉などにアセスルファムkなどの人口甘味料は利用されています。

頭痛に関する心配について

海外の食品安全機関などの報告書から人工甘味料の摂取によって頭痛や吐き気、胃痛などの症状があるという意見書があげられています。人工甘味料のアセスルファムkの副作用の急性症状の一つに頭痛が報告されているのは事実です。

その原因には、体内で吸収されないアセスルファムkは体から異物として排出されるまでに体の様々な臓器に負担をかけてしまうことが動物実験などで報告されていることから、その急性病状の一つに頭痛があげられるのです。

まとめ

アセスルファムk(カリウム)は加熱に強いためさまざまな食品に使用されていますが、後味の悪さから他の甘味料と併用されることが多い甘味料です。そのため発がん性のリスクがぬぐい切れないなどの不安はあります。

アセスルファムkのような人工甘味料(合成甘味料)を食品に使用する目的は低カロリーを前面に押し出したいためです。それは低カロリー=健康的というイメージによるものです。果たして本当にそれが健康的といえるのかは消費者であるわたしたちが判断すべきことです。

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