人は食べた物で創られる 五大栄養素②炭水化物 | 人は食べた物で創られる

人は食べた物で創られる 五大栄養素②炭水化物

体に必要な栄養素

炭水化物

 炭水化物とは、活動のエネルギー源になる大切な栄養素。脂質やたんぱく質と並んで、「三大栄養素」のひとつです。1日あたりに必要なエネルギーの50〜65%を炭水化物から摂り入れることが目標とされていることからも、特に重要な栄養素であることが分かります。
物質面からみると、炭水化物はいくつかの物質が合わさってできている化合物です。炭水化物を構成している物質は、大きく分けると「糖質」と「食物繊維」のふたつに分類できます。

食事制限ダイエットで人気があるもののなかで、「炭水化物抜きダイエット」と「糖質制限ダイエット」というふたつの方法があります。どちらもよく似ているため、炭水化物と糖質は同じものだと思ってしまいがちですが「糖質」は、炭水化物を構成している栄養素のひとつで「炭水化物」と言うと、糖質だけでなく食物繊維も含まれます。

炭水化物と糖質は仲間なので混同してしまうのも仕方がないですが、炭水化物と糖質の違いが分かれば、なにをどう制限すればいいのかもおのずとわかってきます。効果的にダイエットするためにも、炭水化物と糖質の違いを理解しおいたほうが効果的です。

炭水化物のはたらき

わたしたちが身体を動かす際には筋肉を使います。炭水化物が体内に取り込まれることで、筋肉を動かすエネルギー源へと変換されるのです。また、筋肉だけでなく脳のエネルギー源にもなります。 炭水化物のはたらきを簡単にまとめると「身体や脳を動かすエネルギー」といえますが、実は糖質と食物繊維は体内で別のはたらきを担っています。それぞれの役割を調べてみました。

糖質のはたらき

糖質のはたらきは主にふたつあり、「エネルギー生成」と「燃料の貯蓄」です。「身体や脳を動かすエネルギー」になるのは食物繊維ではなく糖質なのです。

エネルギー生成

体内で分解された糖質は必要な組織に運ばれ、1gあたり4kcalのエネルギーになります。人間はじっとしていてもカロリーを消費しています(基礎代謝)。生命維持に必要なエネルギーはここから生まれているんですね。 ちなみに三大栄養素と呼ばれる炭水化物、脂質、たんぱく質はいずれも人間のエネルギー源となりますが、なかでも糖質はまっ先にエネルギー源として使われる栄養素です。

燃料の貯蓄

また、分解された糖質は血液にも送られます。この血液中にある糖(ブドウ糖)の濃度が「血糖値」です。血液のなかで余ったブドウ糖はさらにグリコーゲンという物質に作り変えられ、肝臓や筋肉に蓄えられます。蓄えられたグリコーゲンは、必要に応じてエネルギー源として使われます。糖質は種類によって多糖類、二糖類、単糖類に分類されますが、それぞれの糖が体のあらゆる場所で活躍しています。

食物繊維のはたらき

食物繊維は、“水溶性食物繊維”と“不溶性食物繊維”のふたつに分けられます。

水溶性食物繊維

水に溶ける水溶性食物繊維は、主にこんにゃく、こんぶやわかめなどの海藻類、バナナ・りんごなどの果物に多く含まれます。水に溶けることでゲル化し、お腹を空きにくくしてくれます。また、血糖値や血中コレステロールの上昇を抑えたり、腸内の善玉菌を増やす働きがあります。

不溶性食物繊維

一方、不溶性食物繊維は大豆やごぼう、ライ麦などの穀類に多く含まれ、水に溶けない食物繊維です。水に溶けにくい繊維質で、水分を含んで大きくふくらみ、腸壁を刺激して老廃物の排出を促します。また、不溶性食物繊維はよく噛んで食べなければならないため、食べ過ぎを防ぎ、顎の発育を促します。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は1:2のバランスで摂るといい、と言われています。一般的に太るイメージのある炭水化物には、このように必要な栄養素も含まれているのです。正確に覚えることで、ダイエットに欠かすことのできない食物繊維まで制限することのないようにしたいです。

炭水化物を多く含む食べ物

米類

・玄米 炭水化物 74.3g(糖質 71.3g/食物繊維 3g) ・精白米 炭水化物 77.6g(糖質 77.1g/食物繊維 0.5g)

パン類

・食パン 炭水化物 46.6g(糖質 44.3g/食物繊維 2.3g) ・フランスパン 炭水化物 57.5g(糖質 54.8g/食物繊維 2.7g) ・ライ麦パン 炭水化物 52.7g(糖質 47.1g/食物繊維 5.6g)

麺類

・うどん(ゆで) 炭水化物 21.6g(糖質 20.8g/食物繊維 0.8g) ・中華麺(ゆで) 炭水化物 29.2g(糖質 27.9g/食物繊維 1.3g) ・そば(ゆで) 炭水化物 26.0g(糖質 24g/食物繊維 2.0g)

野菜

・さつまいも(皮付き) 炭水化物 33.1g(糖質 30.3g/食物繊維 2.8g) ・西洋かぼちゃ 炭水化物 20.6g(糖質 17.1g/食物繊維 3.5g) ・とうもろこし 炭水化物 70.6g(糖質 61.6g/食物繊維 9.0g) ・れんこん 炭水化物 15.5g(糖質 13.5g/食物繊維 2.0g)※すべて100gあたりダイエットをするためには、糖質は控え、食物繊維は積極的に摂取したいものです。“糖質制限ダイエット”は中性脂肪に変わってしまう糖質だけを制限するため、全般的に炭水化物の摂取を控えてしまうダイエットとは異なるダイエット方法です。 炭水化物を多く含む食品の中でも糖質と食物繊維の含有量はさまざまなので、自分の身体に必要な食品を選ぶようにしましょう。

炭水化物の理想摂取量

炭水化物は、明確な摂取基準も摂取目安も決められていません。年齢や性別、運動レベルなどによって必要なエネルギー量が違うためです。 ただ、冒頭でも挙げたように1日あたりに必要なエネルギーの50〜65%を炭水化物から摂り入れることが目標とされているため、気になる人は計算してみると良いでしょう。また、炭水化物はごはんやパンなどの主食に多く含まれていますが、「1日に何をどれだけ食べたら良いか」の目安として、厚生労働省と農林水産省から発表されている「食事バランスガイド」を活用するのも良いでしょう。

糖質・食物繊維の摂取目安

糖質は炭水化物と同じく目標値は決められていません。 食物繊維は目標摂取量が決められており、18歳〜69歳の男性は20g/日、女性は18g/日となっています。日本人の食物繊維摂取量は常に不足気味のため、意識的に摂取したいです。

炭水化物

            男性             女性            
 目標量
(%エネルギー)
目標量
(%エネルギー)
1~2(歳)50~6550~65
3~5(歳)50~6550~65
6~7(歳)50~6550~65
8~9(歳)50~6550~65
10~11(歳)50~6550~65
12~14(歳)50~6550~65
15~17(歳)50~6550~65
18~29(歳)50~6550~65
30~49(歳)50~6550~65
50~69(歳)50~6550~65
70以上(歳)50~6550~65
妊婦(付加量) 
授乳婦(付加量)
  • 目標量は炭水化物エネルギー比率(%)で示されています。炭水化物エネルギー比率(%)=炭水化物(g)×4/総エネルギー(kcal)×100
  • 妊婦、授乳婦では数値の掲載はありませんが、目標量がないということではありません。通常時を参考にして適度な摂取が大切です。
  • 上記の目標量にはアルコールに由来するエネルギーも含みますが、アルコールで代用してよいという意味ではありません。

食物繊維

           男性            女性            
 目標量
(g/日)
目標量
(g/日)
1~2(歳)
3~5(歳)
6~7(歳)11以上10以上
8~9(歳)12以上12以上
10~11(歳)13以上13以上
12~14(歳)17以上16以上
15~17(歳)19以上17以上
18~29(歳)20以上18以上
30~49(歳)20以上18以上
50~69(歳)20以上18以上
70以上(歳)19以上17以上
妊婦(付加量) 
授乳婦(付加量)
  • 6歳未満、妊婦、授乳婦には数値の掲載はありませんが、目標量がないということではありません。6歳以上の目標量を参考にして適度な摂取が大切です。

炭水化物の過不足で起こる問題

人間の活動に欠かせない炭水化物。重要な栄養素だからこそ、不足したり過剰摂取したりすると、身体にさまざまな影響が出てしまいます。

炭水化物の不足

炭水化物が不足するとエネルギー生成に必要な糖質が足りなくなり、代わりに体内タンパク質が分解されていきます。タンパク質は筋肉や骨などをつくる材料になる栄養素。糖質が不足すると、身体からタンパク質を分解してしまうため基礎体力が低下し、疲労がたまりやすくなるのです。 また、脳の働きにも影響を与え、「仕事がはかどらない」「能率があがらない」といった状態に陥ります。

炭水化物の過剰摂取

エネルギーとして消費しきれなかった糖質は、中性脂肪として体内に蓄積されます。中性脂肪が増えることで、肥満や生活習慣病の原因になる恐れがあります。

糖質制限ダイエットは安全性

もともと、糖質制限は高血糖を改善させるために考え出された治療方法です。血糖値を上げる糖質の摂取を制限することで、重篤な糖尿病や様々な病気を予防することが目的です。しかし、減量効果が高く、またその結果が早く出ることから、糖質制限ダイエットとして人気のダイエット方法になっています。炭水化物抜きダイエットよりも制限の厳しい糖質制限ダイエットは、確実に、短期間で減量ができる方法とされています。しかし、それはあくまでも適切な期間、正しい糖質制限をおこなうことが前提で、誤った方法や無理な制限をおこなうと、結果が出ないばかりか健康を損なう可能性があるため、注意が必要です。

全ての糖が血糖値を上げる?

血糖値を上げる一番の原因は食事です。とくにブドウ糖のもとになる糖質を摂取すると、当然血糖値は上がります。しかし、なかには血糖値を上げない、上げにくい糖も存在します。ブドウ糖のような単糖類はそのまま体に吸収されますが、二糖類、多糖類と頭につく数字が増えるにしたがって吸収スピードが遅くなります。なかでも、糖アルコールに分類されるエリスリトールは、体に吸収されず、血糖値を上げません。安全性も高く、熱にも強いことから、糖質制限時には砂糖の代用品としても使用されます。糖質は血糖値を上げる悪者のように言われますが、なかにはそうでないものもあるのです。また、血糖値を上げる物質は糖質だけとは限りません。ストレスや加齢、運動不足、風邪など体調によっても血糖値は上がることが知られています。そのほか、副腎皮質ホルモン(ステロイド)や経口避妊薬(ピル)などの薬品、カフェイン、喫煙後なども血糖値は上がります。▼意外と見落としてはいませんか?

効率的にダイエット

炭水化物はわたしたち人間の体には、欠くことのできない栄養素のひとつです。多すぎても害になり、また、少なすぎても害になるものですが、その分、炭水化物を管理することによって常にベスト体重をキープできる栄養素でもあります。糖質を制限するダイエットは短期間で効果のあるダイエット方法として人気があります。しかし、なかには挑戦したものの思ったほど効果が上がらなかったというひとがいるのも事実です。その原因は糖質のとらえ方があいまいなため、と言われています。炭水化物と糖質の違いをしっかりと把握することで、より効果的なダイエットもできるというものです。糖質ダイエットのコツは短期間で、正確におこなうことだと言われています。今回の情報をもとに、正しく安全なダイエットを心がけてください。

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