ペンタックス*ist DL2 | 人は食べた物で創られる

ペンタックス*ist DL2

それでもPENTAX

ペンタックスのデジタル一眼レフ機「*ist D」シリーズの最新作が「*ist DL2」です。先行発売の「*ist DL」をベースにして、小型軽量ながら持ちやすいボディ、機能を簡潔にまとめた操作系、大きくて見やすい2.5型液晶などを受け継ぎつつ、AFセンサーや撮影モードの強化を図っています。

AFセンサーは、従来の3点測距からクロスセンサー5点測距に改良され例えば記念写真を撮る際、人物ではなく背景にピントが合ってしまうのを防げるなど、気楽にスナップを楽しむ場合に役立ち狙った1点にきっちりとピントを合わせたいシーンでは、メニューの設定から中央1点測距の切り替える。

撮影モードは、これまでのピクチャーモード(人物、風景、マクロ、動体、夜景人物、ストロボオフ)に加えて、8種類のシーンモード(夜景、サーフ&スノー、テキスト、夕景、キッズ、ペット、キャンドルライト、美術館)を新搭載。これらのモードはコンパクトデジカメでお馴染みのもので選んだシーンに応じて露出や発色の傾向などが自動的に最適化されるので、難しいことを考えずに手軽に撮れる。

自分で細かく設定を決めて撮りたい場合には、プログラムAEや絞り優先AE、シャッター優先AE、マニュアルモードなどを利用する。絞りやシャッター速度、露出補正は背面のセレクトダイヤルで調整でき、ドライブモードやホワイトバランス、ISO感度などは、背面のFnボタンと十字キーを使ってスムーズに切り替えられる。デジタル一眼レフ機として最軽量クラスとなる470グラムのボディ。レンズキットに付属の標準ズーム「DA 18-55mm F3.5-5.6AL」を装着した場合は、SDカードとアルカリ電池を含め約800グラム撮影メニューのAFエリアで、ワイド(5点測距)とスポット(1点測距)の切り替えを行う。またAFモードは、通常のシングルAFのほか、シャッターボタンの半押しの間ずっとピントを合わせ続けるコンティニュアスAFを選べるモードダイヤルを「SCN」に合わせ、FnボタンとOKボタンを押すとシーンモードの選択画面が表示される。説明文を読み、使いたいシーンのアイコンを選ぶボディ上部のモードダイヤル。オートピクチャーモードとは、カメラが被写体を判別し、標準、人物、風景、マクロ、動体の5モードが自動的に切り替わるモードのこと。最も手軽な撮影モードだピクチャーモードの「風景」で撮影。通常よりも発色が鮮やかに、シャープネスが高くなり、メリハリ感のある画像となるピクチャーモードの「動体」で撮影。AFモードがコンティニュアスAFになり、動きのある被写体にもピントが合いやすくなるシャッター優先AEモードを選び、1/60秒のシャッター速度で流し撮りを試してみた。コンパクトデジカメよりもスピーディなAFは、動体撮影に便利

2.5型の大型液晶とペンタミラーのファインダー

ボディは、ブラックの樹脂外装を採用。安っぽさを感じさせない質感があり、内部のフレームには軽量ながら頑丈なステンレスを使用。デザインは従来の*ist DLと同じだが、カラーリングを若干変更し、液晶パネルや液晶モニターの回りの色がシルバーに。

ファインダーは*ist DLと同じくペンタミラー方式で、視野率は96%、倍率は0.85倍。上位機の「*ist DS」や「*ist DS2」が採用するペンタプリズム方式のファインダーに比べると少し見劣りするものの、特に見えにくいというほどではない。*ist DLに比べると、ファインダー下部の情報表示が約20%大きく表示されるようになった点はいい。

液晶モニターは2.5型の低温ポリシリコンTFTで、画素数は約21万画素。表示が明るく、屋外でもまずまずの視認性がある。ただし、少々明るすぎるせいか、液晶のポストビュー表示を基準にして撮ると、実際にはやや暗めに写っているケースがる。ファインダーは、下部の情報表示が*ist DLよりも見やすくなった。ピントが合うと、電子音が鳴り、下部の合焦マークが点くが、スーパーインポーズの表示はない。価格重視のための割り切りだが、慣れれば問題はない小型軽量ボディの低価格機ながら2.5型の大型液晶モニターを搭載。操作ボタン類はシンプルにまとまっていて、すぐに把握できる。特に、感度やホワイトバランスを素早くセットできるFnボタンが便利だ筆者の大きな手にも持ちやすい形状のグリップ。標準ズーム「DA 18-55mm F3.5-5.6AL」を付けた場合のバランスもいい「*ist D」シリーズに共通した特徴は、電源に単三形(リチウム、アルカリ、ニッケル水素)電池4本を使えること。旅行など外出先でも入手しやすいのがうれしい。またリチウム電池「CR-V3」(左)2本も使用可能。その場合の電池寿命はCIPA準拠で約850枚記録メディアにはSDメモリーカードを採用。SDメモリーカードのコンパクトデジカメと併用するユーザーにはありがたいはず

デジタルプレビュー機能を新搭載

ユニークな新機能としては、デジタルプレビュー機能がある。これは、電源レバーを右に回すと、いったんシャッターが切れ、液晶モニターに画像が表示される機能。実際の撮影とは異なり、その画像は保存されない。撮る前に、ピントが合う範囲や構図、明るさ、発色などをチェックしたい場合に役立つ。カスタムメニューの設定から、一般的な光学プレビューにも変更できる。

 デジタルフィルタ機能も強化された。これは、撮影した画像に対して補正を施し別途保存する機能。白黒、セピア、ソフト、スリムに加え、±8段階の明るさ調整が可能になった。いずれもレタッチソフトを使えば簡単にできる補正だが、カメラ内で行える点がミソだ。画像をそのまま印刷したり、人にあげたりする時に利用するといい。

 そのほかの機能としては、秒間2.8コマの連写、露出のオートブラケット、スポット測光、ストロボ光量補正、長時間露光時のノイズリダクションなどに対応する。別売のリモコンやケーブルスイッチを使って遠隔撮影ができるのは、用途によっては有効だろう。

 感度は、オートのほかISO200/400/800/1600/3200を選択できる。オートを選んだ場合には、明るさに応じて自動的に感度が上がり、その上限をISO400/800/1600/3200のいずれかにセットできる。画質重視の場合は上限をISO400か800にし、ぶらさないことを優先するならISO1600や3200にセットするのがお勧めだ。シャッターボタンの回りに電源レバーがあり、このレバーがプレビュー機能の働きを兼ねる。ストロボはポップアップ式の内蔵タイプのほか、上部のホットシューに外部ストロボを装着できる「風景」モードで撮影した元画像に対して、デジタルフィルタの「ソフト」と「明るさ調整」を適用した。霧がかかったようなイメージになった。中国重慶にて「風景」モードを選び、最低感度のISO200で撮影。画素数は有効610万画素と特に細かくはないが、遠景の細部まできっちりと表現できた夕方だったので、ぶれ防止のためシャッター速度を1/30秒に、感度をオートにセット。結果的には最低感度のISO200になったが、仮にこれ以上暗い場合はシャッター速度はそのままで、感度が自動的にアップする室内で動きのある被写体を撮るため、感度のISO1600に設定。ホワイトバランスは電球にセットした。それなりにノイジーになるとはいえ、大きな問題はないだろう同じくISO1600で撮影。ちょうど光が反射した像の部分にはハレーションが生じているが、ハイライトからシャドーまでがきれいに描写できている最高感度のISO3200で撮影。最近は高感度対応のコンパクトデジカメが増えているが、高感度時の画質では、やはりデジタル一眼レフ機が1枚も2枚も上だ

Kマウントの豊富な交換レンズを使用できる

 撮像素子には、これまでと同じくAPS-Cフィルムサイズの有効610万画素CCDを採用する。近ごろはコンパクトデジカメでも、600万画素以上が当たり前になりつつあり、画素数自体は特に高画素とはいえない。だが言うまでもなく、コンパクトデジカメの小さいCCDに比べると素子のサイズが大きいため、画質はワンランク上である。

 発色は、画像仕上げのデフォルトである「鮮やか」モードでは、彩度が高く、コントラストやシャープネスも強めになる。レタッチを加えずにそのまま印刷するのに適した画質傾向といえる。一方、素材感を重視したい場合には「ナチュラル」モードに切り替えると、やや落ち着いた発色になる。

さらにメニューの設定から、彩度、シャープネス、コントラストをそれぞれ±2段の範囲でカスタマイズも可能だ。まずはデフォルトで使いこなし、撮った画像を検証しながら自分の好みや用途に合った画質設定を見つけるといい。

以上のように、*istDL2はエントリー向けのデジタル一眼レフ機として必要十分な機能と装備を備えている。それでいてボディの実売価格は6万円前後は、非常にリーズナブルだ。標準ズームを合わせたレンズキットでも実売は約8万円。

 すでにコンパクトデジカメを所有しているユーザーが、初めて買うデジタル一眼レフ機にうってつけかもしれない。個人的には複数のデジタル一眼レフ機を持っているが、この価格ならもう1台という物欲に悩まされる。海外取材が多い筆者にとっては、小型軽量ボディと電池の汎用性が何よりも大きなポイントだ。

 それに、ペンタックス製のレンズには、他社にはない魅力的なレンズが数多くある。中でも、昨年末に登場した魚眼ズーム「DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5ED[IF]」は実に楽しいし、使い勝手がいい。最後に、この魚眼ズームと標準ズームで撮った作例を紹介しよう。撮影メニューの画面。画像仕上げで2モードを選べるほか、彩度、シャープネス、コントラストの調整が可能今回の作例で使用した標準ズームの「DA 18-55mm F3.5-5.6AL」(左)と、魚眼ズーム「DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5ED[IF]」(右)。このほかフィルム時代からのレンズも含め、KAF2、KAF、KAマウントの豊富な交換レンズを利用可能

コメント

タイトルとURLをコピーしました