食品の栄養価向上? 強化剤

食品添加物

強化剤とは

栄養強化剤は、食品の栄養価向上を目的とした食品添加物で、単に強化剤とも呼ばれます。ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類に大別され、製造や貯蔵の過程で失われた栄養分を補填したり、本来その食品に備わっていない栄養分を付加したりする役割を果たすものです。

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  1. アスパラギン酸
    1. アスパラギン酸とは
      1. アスパラギン酸のはたらき
      2. 食品添加物としてのはたらき
      3. アスパラギン酸を多く含む食品とは
    2. アスパラギン酸の効果・効能とは
      1. デトックス効果で肝臓を守る
      2. 疲労を回復して体調を整える
      3. 肌の調子を整えて美肌をつくる
      4. アスパラギン酸の効果いろいろ
    3. アスパラギン酸の注意点って?
      1. アスパラギン酸単体での摂取は避ける
      2. アスパラギン酸は加熱しない
      3. アスパラギン酸ナトリウムの使用基準
    4. アスパラギン酸はできれば食品から摂取したいもの
  2. 核酸
    1. 核酸とは
    2. 一般的な核酸の効果
    3. 核酸系の調味料の種類
    4. 核酸系の調味料の危険性
  3. 硫酸銅
    1. 硫酸銅とは
    2. 致死量が設定されている?その毒性とは
    3. 乳児用のミルクにのみ使用可能
  4. 塩化カルシウム
    1. 塩化 カルシウムとは
    2. 塩化カルシウムの毒性
    3. 食品添加物としての用途
  5. β(ベータ)カロテン
    1. β(ベータ)カロテンとは
    2. β(ベータ)カロテンの食品添加物としての用途
    3. 過剰摂取による危険性
  6. 炭酸カルシウム
    1. 炭酸カルシウムとは
    2. 食品添加物としての用途
    3. 主な用途
    4. 炭酸カルシウムを含む食品の安全性
  7. グリシン
    1. グリシンとは
    2. 食品添加物としての用途や効果
    3. 基準となる摂取量や副作用は
  8. パントテン酸カルシウム
    1. パントテン酸カルシウムの食品への用途
    2. 効果や効能は?
    3. パントテン酸カルシウムはサプリで補給できる
  9. ビタミンB2
    1. ビタミンB2を多く含む食品や飲み物
    2. ビタミンB2が不足すると口内炎に(欠乏症)
    3. 過剰摂取にも注意が必要
    4. 関連

アスパラギン酸

アスパラギン酸とは、アスパラガスから発見された物質で、とても嬉しい効果や効能をもったアミノ酸です。
健康にも美容にもいいので、ぜひ積極的に取り入れたいところなのですが、実は、アスパラギン酸にはちょっとした注意点もあります。
では、アスパラギン酸にはどんなありがたい効果・効能があって、それを得るためにはどこに気をつければいいのでしょうか。

アスパラギン酸とは

アスパラギン酸とは、体内にあるアスパラギン酸アミノフェラーゼという酵素によって生成されるアミノ酸です。体内で作り出すことができるため、非必須アミノ酸です。
ちなみに、このアスパラギン酸にアンモニア、アデノイド三リン酸にアスパラ銀合成酵素がはたらくとアスパラギンになりますし、逆に、アスパラギンに酵素がはたらけばアスパラギン酸になります。

また、アスパラギン酸は、食品添加物として加工食品にもちいられることもあります。

アスパラギン酸のはたらき

アスパラギン酸はカリウムやマグネシウム、カルシウムといったミネラルを体中に運び、たんぱく質を作ったり、アンモニアを排出したり、スタミナを増したりするはたらきももっています。

さらに、アスパラギン酸は中枢神経系の興奮性神経伝達物質でもあるので、記憶や学習に関わるNMDA受容体にも作用しているのです。
このNMDA受容体は、大脳皮質や小脳、脊髄など、体内のさまざまなところに存在します。

食品添加物としてのはたらき

アスパラギン酸は、グルタミン酸と同じうま味成分でもあるため、食品添加物としても使われます。
アスパラギン酸のうま味成分はアミノ酸系の酸味で、醤油や味噌など発酵食品のうま味と同じです。ちなみに、昆布のうま味成分の一つもこのアスパラギン酸です。

アスパラギン酸はそのままでは水にとけにくいので、ナトリウムと結合させ、アスパラギン酸ナトリウムとして使われます。食品添加物として認可(指定)されているアスパラギン酸はL-アスパラギン酸ナトリウムです。
主要な用途は調味料ですが、アスパラギンを補うための強化剤としても使用されます。

なおアスパラギン酸ナトリウムと似た名前でアスパラギン酸カリウムという物質があります。
こちらは食品添加物としては使用できず用途は医薬品として使用されています。

アスパラギン酸を多く含む食品とは

アスパラギン酸は枝豆やそら豆、もやしのような豆類、サトウキビ、レンコンやアスパラガスなどの野菜類、牛肉、鶏肉などに多く含まれています。
ただし、アスパラガスから発見された成分なのでアスパラギン酸という名前が付いていますが、アスパラガスにとくに多く含まれているというわけではありません(笑)。

アスパラギン酸は食品のほか、化粧水や乳液、美容液などの基礎化粧品、保湿クリームや肌荒れケアクリームなどのスキンケア用品、リンスやトリートメントなどのヘアケア用品にも使われています。

アスパラギン酸の効果・効能とは

デトックス効果で肝臓を守る

アスパラギン酸には利尿作用があるので、体内の毒素を排出するデトックス効果が見込めます。
また、アンモニアは肝臓に負担をかけたり、中枢神経系にダメージを与えたりするのですが、尿として排出することでそういった危険性からも回避できます。

利尿作用とはアンモニアを体外に排出する作用です。アンモニアが体内から排出されないと血液中に残ってしまい脳やせき髄にある神経細胞が集まっている中枢神経系にダメージを与えてしまいます。そのダメージの一つに肝臓に負担がかかり肝臓の働きに悪影響をきたしてしまうことがあるのです。

アスパラギン酸は体内の毒素であるアンモニアを素早く無毒化して対外に出すことができる作用があり、肝機能を保護してくれる効果があります。

また脳への神経細胞との情報伝達物質のアミノ酸として作用することから、ストレスを和らげてくれる効果が期待されています。また中枢神経にダメージを受けると、脳梗塞や脳出血が心配されますが、その予防にも効果が期待されています。

疲労を回復して体調を整える

人は、乳酸がたまることで疲労を感じます。アスパラギン酸には乳酸を分解してエネルギーに変える力があるので、疲労回復にもつながります。

また、病気になったり、ストレスが溜まったりすると、体内のエネルギーが消費され、ビタミンやミネラルが不足してしまい、これによりますます体調が悪くなってしまうのですが、アスパラギン酸はカリウムやマグネシウムなど、足りなくなった栄養分を体中にはこんで体調を整えてくれるのです。

乳酸を分解して疲労回復に効果的であるという面に関してもう少し詳しい仕組みを話すと、アスパラギン酸の作用は、体内で糖と脂肪とアミノ酸がうまく変化していく過程に作用して、疲労の原因となる乳酸を分解してエネルギーを産出するため、疲労回復に効果があると言われています。

これはタンパク質の代謝と体内の糖の代謝に作用する効能があるからです。アスパラギン酸はタンパク質の代謝に良く作用し、エネルギーを作る物質を作る効果があるのです。

体内で糖(グルコース、ブドウ糖と呼ばれるもの)が不足するとエネルギーが作られません。しかし糖を作り出す代謝経路にアスパラギン酸が働きかけてくれるのです。

たとえば激しい運動の後には体力を消耗しますが、これは糖が不足したことが原因で感じるのであり、この疲労感に有利に働きかけてくれるのがアスパラギン酸なのです。

肌の調子を整えて美肌をつくる

アスパラギン酸には保湿効果があるため、しっとりした、なめらかな肌を作ってくる上にタンパク質を作り出す成分の一つなので、肌の新陳代謝を高めるはたらきもあります。

肌の新陳代謝にも効果的なアスパラギン酸は美肌への効果が期待され女性にはうれしい作用があります。アスパラギン酸は保湿効果が優れているので角質の水分を保護してくれる効果があると言われます。

またタンパク質の合成に関りを持つ成分なので、肌の新陳代謝を高める効果があり、美肌作りに効果が期待されています。

肌のたるみを予防し、ハリを持たせると言われるコラーゲンのアミノ酸組織にもアスパラギン酸がたくさん含まれています。アスパラギン酸をたくさん含んでいるコラーゲンは、肌のたるみを予防するだけではなく、髪や爪にも良いといわれ、アスパラギン酸は女性の美容はうれしい効果がたくさん期待されている成分といわれています。

アスパラギン酸の効果いろいろ

疲労を回復してくれる項目で少し触れましたが、アスパラギン酸はカリウムやマグネシウムなどの栄養素であるミネラルの不足を細胞に運ぶ働きがあり、崩れた栄養バランスを整え、体調を整える効果があると言われます。

そしてこの効果についてもう少し詳しく見てもると、アスパラギン酸は体内の体液のバランスを整える作用があるのです。これはたとえばストレスが多かったり病気にかかって体内のビタミンやミネラルがたくさん消費されてしまうと、体液のバランスが崩れてしまい、先ほど話したカリウムやマグネシウムなどの栄養素も不足し体長不良に陥ってしまいます。その時アスパラギン酸は、必要な栄養素などを細胞に運ぶ作用があり、崩れた栄養バランスを整えて体調を整えてくれる効果に期待されているのです。

体内の体液というのは体の50~70%は水分でできていています。このうちの約2/3(体重の約30~40%)が細胞内液、そして1/3(体重の約20%)が細胞外液と言われるものです。

細胞内液は細胞膜を介して物質交換をし、細胞外液は体内を体の中を循環して酸素や栄養素を受け取り、体内の老廃物を体外に排出すること働きをしています。

体がストレスのたまった状態であったり病気であるとミネラルやビタミンなどの栄養素がどんどん消費されてしまい、この体液の循環のバランスがくずれてしまいます。乱れた体液の働きに手助けして細胞にカリウムやマグネシウムなどのミネラルやビタミンなどの栄養素を細胞に運び体調を整える効果があると言われています。

アスパラギン酸の注意点って?

アスパラギン酸単体での摂取は避ける

アスパラギン酸を単体で摂取すると、脳神経を過剰に刺激して細胞を壊してしまうことが指摘されています。
ちなみに、アスパラギン酸とフェニルアラニンという物質を組み合わせたアスパルテームという甘味料がありますが、このアスパルテームは私たちの身体にとって有害であるという報告がなされています。
砂糖の200倍もの甘みがあるということで、さまざまなお菓子やジュースに使われているアスパルテームですが、摂り過ぎにはじゅうぶん注意しましょう。

アスパラギン酸は加熱しない

アスパラギン酸は熱に弱いため、加熱しすぎるとせっかくの成分が壊れてしまいます。
健康や美容にいかすためにも、できれば非加熱、加熱するとしても短時間にとどめておきましょう。

アスパラギン酸ナトリウムの使用基準

食品添加物のL-アスパラギン酸ナトリウムの使用基準は定められていません。対象の食品も使用量の最大限度も使用制限も定められていません。

アスパラギン酸はできれば食品から摂取したいもの

食品添加物として加工食品にもちいられているL-アスパラギン酸ナトリウムですが、これは、アスパラギン酸を含む食品から抽出、精製したものです。
もともと食品に含まれているものだから安心だといえばそうなのですが、やはり、精製されたものはそれだけ刺激が強いといえます。健康や美容にいいアスパラギン酸ですから、積極的に摂りたい成分ではありますが、できれば豆類などそれを含む食品から摂取したいものです。

核酸

核酸は、健康や美容に良いとされている栄養分です。イワシやサケ、レバーなどの動物性食品から摂取することもできますが、不足する分をサプリで補うこともできます。ただし、摂りすぎには注意が必要です。

核酸とは

一般的に核酸は、DNAとRNAの遺伝情報を持つ高分子のことを言います。食品添加物において、核酸とは5’−イノシン酸二ナトリウム、5’−ウリジル酸二ナトリウムなどの、核酸を原料として製造された核酸系の調味料のことを言います。

一般的な核酸の効果

核酸は、傷口の修復や体の免疫系などに関して働きかける効果があることが知られています。また、花粉症やアトピーなどのアレルギー症状の予防や、身体の発育などにも良いとされています。
さらに、肌のターンオーバーを促す美肌効果や白髪や薄毛などの老化予防にも良いとされていたり、ガン予防にも期待されていたりしますが、これらはまだ十分な研究データだ出ていないようです。

核酸は、イワシや鶏レバー、アンチョビなど動物性の食品に含まれていることが多く、カロリーや脂肪が気になる場合もあるでしょう。これらを普段から欠かさず摂取するのが難しいという場合には、サプリで栄養を摂る方法もあります。ただし、サプリを摂取する際は、そればかりに頼って普段の食事をおろそかにするのではなく、通常の食事で不足する分をサプリで補うようにしましょう。

核酸系の調味料の種類

核酸が食品添加物として使用されている場合、成分表示には「調味料(核酸)」と表記されています。核酸系の調味料には、国が指定添加物として挙げているものが6種類あります。シイタケの旨み成分である5’−グアニル酸二ナトリウム、カツオ節、煮干し、肉などに含まれる旨み成分である5’−イノシン酸二ナトリウムなどが挙げられます。

核酸は調味料や乳児用のミルクに使用されています。ミルクに核酸が使用されているのには、身体の組織の成長を促す効果があったり、病気への抵抗力をつけたりと、核酸が子どもにとっては必要な栄養であると考えられているからでしょう。

核酸系の調味料の危険性

核酸には使用制限の設定はありませんが、成人は1日あたりの摂取量は1.5〜2.0g摂取できれば良いとされているようです。通常の食事で摂取する分には、特に健康上問題はないとされています。

ただし、妊娠中の女性はあまり大量に摂取しない方が良いようです。特に、核酸をサプリで経口摂取した場合、胎盤を通じて胎児に良くない影響を及ぼす可能性が示唆されているようなので、妊娠中の女性は摂取を控えた方が良いかもしれません。また、核酸を摂取することで、痛風になる可能性もあると昔から言われています。
いずれにせよ、大量摂取することは私たちの健康には好ましくないとされている栄養素のようです。

硫酸銅

硫酸銅は、学生時代の化学の時間に有毒な物質であると学んだ記憶のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかしその危険な硫酸銅が、食品に使用されているということはご存知でしょうか。一体どのような食品に使用されているのでしょうか。

硫酸銅とは

硫酸銅とは、一水和物や三水和物などもありますが、一般的に硫酸銅五水和物を言います。水に溶けやすく、水溶液は青色を呈しますが、銅が含まれているため急性毒性があります。そのため、国では劇物指定されている他、法律によって「医薬用劇外品」とされ、取り扱いには十分気をつけなければならないものとされています。

致死量が設定されている?その毒性とは

硫酸銅の毒性は強く、塩基性硫酸銅の致死量は200mg/kgとされています。摂取すると、溶血、肝臓や腎臓の壊死が起こる可能性が示唆されています。また、子どもの皮膚やけどに硫酸銅を塗布したところ、深刻な溶血性貧血を引き起こしたという報告もあります。

乳児用のミルクにのみ使用可能

硫酸銅は毒性が強いにもかかわらず、食品にも使われることがあります。注目すべきは、それが乳児用のミルクに使用されているという事実です。銅は、乳児にとっては必要な成分とされており、特に完全に人工乳に依存している乳児には微量の銅の摂取が必要とされているようです。そのため、国から標準調整濃度に調乳した際に6mg/Lまでは強化剤としての摂取が認められています。

硫酸銅の使用は、日本では母乳代替食品にしか認可されていませんが、中国では工業用の硫酸銅がピータンに使用されていたとして一時期話題にのぼりました。ピータンはアヒルの卵からできていますが、これを短期間で黒ずませるために硫酸銅が用いられたようです。

輸入元の対応は、十分に検査しているので大丈夫とのことだったそうですが、このような商品が他にも日本に輸入されていないか、非常に懸念される事態です。

また、直接口にすることはないものの、硫酸銅は農薬であるボルドー液にも使用されています。ボルドー液は、主に果樹や野菜の栽培に使われており、硫酸銅の殺菌作用を活用して、消石灰と混ぜて作られています。消石灰もヒトが摂取するのはあまり良くありませんが、本来毒性のある硫酸銅と混ぜることによって、何か私たちの健康に影響はないのか気になるところです。しかし、ボルドー液を農薬として使用しても、収穫物の人体への影響はほとんど無いとされているようです。さらには、ボルドー液を使用した農産物には「有機農産物」と表示することも認められています。

硫酸銅は毒性が強い物質であることが明らかであるだけに、食品に使用されるのは、国による使用制限が厳しくなっています。さらに、出荷される前に検査も行われているので、私たちが硫酸銅を摂取するということはほとんどないと捉えても良いかもしれません。

塩化カルシウム

菓子や海苔、靴などを乾燥させる乾燥剤やクローゼットの湿気を取る除湿剤として使用されている塩化カルシウムは、豆腐やチーズなどの凝固剤として食品に添加されています。

塩化 カルシウムとは

塩化カルシウムとは、英語ではcalcium chlorideと表記され、化学式CaCl2で示される塩素とカルシウムが結合した化合物です。
吸湿性があり溶液が低温でも凍結しない特性があるため、主な用途として日本では冬の積雪や凍結に備え、道路の各所に配備されています。

塩化カルシウムは、融雪剤として道路に散布すると路面の氷を溶かしてくれます。また、クローゼットなどの湿気取りとして除湿剤や乾燥剤にも使われています。他にも、防じん対策としてグラウンドや砂利道に散布すると砂ぼこりが舞いにくくなります。私たちの普段の生活で身近に存在する化学製品です。食品には豆腐用凝固剤などの食品添加物として使用されています。

塩化カルシウムの毒性

塩化カルシウムは自然界にも存在する物質なので比較的安全ですが、濃度により取り扱いに注意が必要です。

食品への添加は食品の1%と決められています。

除湿剤に溜まった塩化カルシウム溶液を誤飲してしまったり、誤って食べてしまった際の主な症状として、嘔吐や下痢、腹痛などを引き起こします。塩化カルシウムは苦みが強いため、大量摂取はしにくいですが、万が一大量に誤飲した場合は、体液が正常よりも酸性に傾くアシドーシスを引き起こすことがあります。また、直接手に触れると、触れた部分が軽度の火傷を受ける場合があります。家庭でできる処置として、水や粘膜を保護してくれる牛乳を飲むとよいでしょう。皮膚や眼に入った場合は、十分な水で洗い流し、様子を見て医療機関で受診することをおすすめします。

食品添加物としての用途

塩化カルシウムの食品への添加はカルシウムを強化する目的として、豆腐凝固剤やチーズの凝固剤として使用されています。

またアルコール飲料や清涼飲料水などの硬度やPH調整剤としても使われています。市販されているチーズの大半は塩化カルシウムが使われており、日本のチーズは加熱殺菌することが多いため、生乳が加熱することでカルシウムが不足し、凝固しにくくなるため塩化カルシウムを添加します。

豆腐の凝固剤として、にがりを使用する場合がありますが、塩化カルシウムと併用して使用するケースが多いです。飲料の場合は、使用する水の硬度を調整するために使用されており、PHを下げ酵素の働きを活発にする調整をしています。

β(ベータ)カロテン

βカロテンと聞くと、すぐに緑黄色野菜をイメージして、健康に良いものと捉えていらっしゃる方も多いことでしょう。ただし、あまり多く摂取しすぎるのも健康に害を及ぼすことがあるようです。

β(ベータ)カロテンとは

βカロテンとは、1930年代にロシアの化学者ポール・カーラーによって発見されました。元々、「カロテン」とは人参の英語名「キャロット」が由来とされています。

βカロテンは、植物や野菜に含まれる黄色いものであり、特に人参、ほうれん草、かぼちゃ、ピーマンなどの緑黄色野菜や柑橘類、スイカなどに含まれています。βカロテンは色鮮やかな食野菜や果物類に多く含まれる傾向にあります。

βカロテンは、摂取すると肝臓でビタミンAに変えられるという特性があります。ビタミンAには、肌荒れや乾燥肌の改善、シミやシワ予防、ニキビの改善の他、夜盲症の予防や改善などにも効果があるとされています。さらに、強い抗酸化作用があり、ガン抑制や認知症の予防にも効果があるとも言われています。βカロテンを摂取することで、美容にも健康にも効果があるとは私たちにとっては嬉しいものです。

β(ベータ)カロテンの食品添加物としての用途

βカロテンは、食品添加物として、食品の色を黄色っぽく見せるときに着色料として使用されることがあります。

使用されている食品の例としては、菓子類や麺類、マーガリン、卵焼きなどがあります。

また、ビタミンAに変化する特性があることから、栄養強化剤として、健康向上を謳った食品や飲料に使用されていることもあります。ただ、食品添加物としてのβカロテンには、使用が制限されている食品もあります。例えば、昆布類、食肉、茶、海苔、野菜などが挙げられます。これらの制限は国による基準で定められているので、市販されている食品でβカロテンが添加されているものを私たちが口にすることはないとは思われます。ただ、情報として普段の食事で食べ合わせを考える際の参考程度にはなるでしょう。

過剰摂取による危険性

一般的に私たちの健康に良いとされるβカロテンですが、過剰摂取はあまり良くないようです。βカロテンを多く含む食品を摂取すると、皮膚の色が黄色く変化する柑皮症を発症することがあるためです。しかし、これは一時的な症状であるとされるので、摂取を控えるようにすると改善されるでしょう。
むしろ、それより心配されることは、βカロテンを過剰摂取してビタミンAが体内に多く残ることです。その副作用としては、妊婦の健康への影響や胎児奇形が現れる可能性があるということが挙げられます。また、一般の成人でも過剰摂取によって目まいや吐き気などの体調不良を起こしたり、重篤なものになると肝臓への障害を起こす可能性があるともされています。
ただし、βカロテン自体は多少摂りすぎたとしても、健康への影響はさほどないようです。さらに、体内でビタミンAに変わる際も必要に応じて変わるとされているので、あまり神経質になる必要もないでしょう。

炭酸カルシウム

炭酸カルシウムは工業製品や医薬品、塗料、プラスチックなどの原料だけでなく、化粧品や歯みがき粉と言った私たちの日常生活の身の回りの物に幅広く使われており、安全性が高いことから様々な食品に添加物として使用されています。

炭酸カルシウムとは

炭酸カルシウムは英語でcalcium carbonate、化学式CaCO₃で表されるカルシウムの炭酸塩です。

石灰岩や大理石の主成分で貝殻やサンゴ、鶏卵の殻の主要な構成成分です。チョークや研磨剤として消しゴムや歯みがき粉、直接肌に触れる化粧品や入浴剤の原料にも含まれています。また農業用には、PH調整剤として土壌改良や栄養強化を目的として、牛や豚のエサに使われています。炭酸カルシウムは中性で使いやすいため、食品のカルシウム補強剤として繁用されている食品添加物です。

食品添加物としての用途

炭酸カルシウムは1957年に厚生労働省により食品添加物として指定されました。主な用途としてはカルシウムの強化剤、膨張剤、改良剤、基礎剤の他にも酒の脱酸剤や飴の中和剤として用いられています。

主な用途

  • 栄養強化剤:チョコレートやビスケットなどの菓子や即席中華麺、納豆、ベビーフードなど製品のカルシウムの補填に使用されています。
  • 膨張剤:イーストフードやパンの発酵を早める目的で使用されています。
  • 品質改良剤:麺やかまぼこなどの魚肉練り製品に弾力と柔らかさを与え、食感を良くする目的で使用されています。
  • 基礎剤:チューイングガムの基礎剤の一部として使用されています。

※強化剤として使用するときは表示する義務がなく、用途により物質名ではなく「膨張剤、ガムベース、イーストフード」など一括表示される場合があります。

炭酸カルシウムを含む食品の安全性

2016年3月に食品安全委員会が、炭酸カルシウムの食品添加における健康への影響に関して各種試験を実施し評価しました。その結果、日本国内での炭酸カルシウムの使用量は、チューイングガムの場合は全体の10%以下、その他の食品の場合は全体の1.0%以下と規定されていましたが、使用基準を設定しない改正案を出しています。

炭酸カルシウムは、卵の殻やサンゴなど自然界に多く存在します。日本で取り扱う炭酸カルシウムは国内で産出したもので、食品添加物には石灰石が原料となっています。また使用される炭酸カルシウムには2種類あり、不純物の少ない石灰石を粉状にした重質炭酸カルシウムと、石灰石の不純物を二酸化炭素と反応させ除去した軽質炭酸カルシウムがあり、どちらも食品に使用されています。重質も軽質も安全面に問題はないとされています。

グリシン

グリシンという言葉は聞いたことがあるでしょうか。恐らく多くの人にはあまり馴染みのないものかもしれません。しかし、このグリシンは意外にも私たちの暮らしに関わる様々な用途に使われているのです。

グリシンとは

グリシンとは、アミノ酸の一つであり、私たちの体内で合成できる物質です。グリシンは、従来から睡眠改善に役立つとされており、サプリも販売されています。また、食べ物から摂取することもでき、エビやホタテ、牛スジや鶏の軟骨などに多く含まれているとされています。

グリシンは、1800年代に欧州で発見されましたが、その効能とされている睡眠改善効果については21世紀に入ってから、偶然発見されたために研究がなされるようになったと言われています。

グリシンは、美肌をつくるのに欠かせないコラーゲンを構成する約3分の1のアミノ酸であり、保湿効果や身体に有毒な活性酸素の生成を防止する役割もあるとされています。女性にとっては摂取することで嬉しい効果の多い物質と言えるかもしれません。

食品添加物としての用途や効果

グリシンは、元々私たちの体内でも生成されていることから、比較的安全性の高い物質と言えます。

食品添加物としてグリシンは調味料としての役割、栄養強化としての役割があります。国が定めた使用目的とは異なりますが、保存料、着色料や香料としての効果も併せ持ちます。またミネラルなどの吸収を促進するキレート作用の利用など、様々な用途に利用されています。グリシンそのものに自然な甘味や旨味があることから、食品添加物には使用されやすいようです。

その他にもグリシンは、実に様々な用途に利用されている物質です。例えば、栄養補助として点滴をする場合に利用されたり、胃酸の濃度を抑制する際に使用されたりする医薬品としての役割が挙げられます。また、工業製品の研磨剤や洗浄剤、さらに農業用肥料やペットフードなどにも用いられていることもあります。

グリシンを使用することで得られる効果としては、睡眠改善効果や美肌効果に加え、抗うつ効果があると言われています。グリシンは、脳内伝達物質であるセロトニンの増加を促すため、それが不足することによって起きると言われているうつの症状に効果があるとされているのです。

基準となる摂取量や副作用は

グリシンは適切な量を摂取するのであれば、私たちの健康に影響を与えるものではないとされています。一日摂取量の目安としては3000ミリグラムと言われています。

グリシンは私たちの体内でも生成されるため、あまり大量に摂る必要はないのですが、睡眠不足に悩まされている人などにはこの位が適量とされているようです。

比較的安全性が高いと言われているグリシンですが、過剰摂取すると胃腸の不調や呼吸筋の麻痺などの症状が起きる可能性があるとされているので注意が必要です。特に、妊娠中や授乳育児中の女性については、安全性の確認は未だされていないことから、控えた方が良いとされています。また、統合失調症の人で薬を内服している人は、その薬との相性が良くない可能性があることが指摘されているので、摂取しない方が良いでしょう。

パントテン酸カルシウム

パントテン酸カルシウムは、他のビタミンと協力して糖分や脂質の代謝を良くする、皮膚や髪の毛の健康を保つ効果のあるビタミンB5というビタミンの一種です。また、弛緩性便秘や湿疹に対する効能も広く知られています。

パントテン酸カルシウムの食品への用途

パントテン酸カルシウムのパントテンとは、ギリシャ語で「広くどこにでもある」という意味です。
このことから分かるように、パントテン酸カルシウムは様々な食品の中に含まれています。特に肉やナッツ類の中に多く含まれていますが、とりわけ含有量の多い食品としてレバーや納豆、干ししいたけなどが挙げられます。

パントテン酸カルシウムは栄養強化剤として食品へ添加されていることの多い栄養素です。そのため、サプリメントや健康食品などに成分として含有していることも多く、栄養ドリンクではデカビタCシリーズ、医薬品ではハイチオールCに多く含まれているほか、調整粉乳をはじめとする強化食品、化粧品や育毛剤にも多く使われています。

効果や効能は?

パントテン酸カルシウムは副腎皮質ホルモンの分泌をうながす作用があるため、近年ではアトピー性皮膚炎や花粉症のようなアレルギー疾患に対する効果も期待されています。
また、細胞の形成や成長、性ホルモンの生成にも関与しているため、自律神経を調整し、髪や肌を健康に保つ効能もあります。

コーヒーやアルコールはパントテン酸を消費しますので、それらを摂取する際には多めに摂取するようにしましょう。パントテン酸カルシウムが不足すると低血糖症や血液や皮膚の障害などが生じることがあります。

また、副作用として吐き気や嘔吐、下痢などの症状がみられることもありますが、水溶性ビタミンであるため摂り過ぎた場合は体内で尿と混ざり合い、外に排出されます。そのため、過剰摂取の心配はありません。

パントテン酸カルシウムはサプリで補給できる

パントテン酸カルシウムを補給する場合、各社から様々な商品が発売されています。その中には原材料が天然のものと合成のものに分けることができますが、天然のもので含有量の割合が最も高いものは「ナチュレサプリメント」です。また、合成のものでは「DHC」が最も高い割合で含まれています。

「ナチュレサプリメント」は大豆や米ぬかといった天然素材から作っているのに加え、パントテン酸の吸収率を高めるタイムリリース加工を施していることから人気です。
ビタミンをミクロのカプセルで包むことで摂取後長時間かけてゆっくりと溶け出ますので、ビタミンを長く体内に留めておくことができます。

ただし、パントテン酸カルシウムは腸内細菌によって体内でも作られますし、通常摂取する様々な食品にあらかじめ含まれている栄養素なので、欠乏してしまうことはありません。

サプリによる補給が必要なのは消耗性の病気や胃腸に病気のある人であり、日頃ちゃんと食事がとれている人にとっては必ずしも必要なものではないと言えるでしょう。

ビタミンB2

ビタミンB2は、別名リボフラビン、ラクトフラビンともよばれる水溶性ビタミンの一種です。成長や皮膚のターンオーバーに深くかかわっている成分であり、欠乏症や過剰摂取による症状が顕著です。そんなビタミンB2に関わる症状とは一体どのようなものなのでしょうか。

ビタミンB2を多く含む食品や飲み物

ビタミンB2は、レバーや海苔などに多く含まれています。

意外かもしれませんが、インスタントラーメンにも多く含まれています。これは、インスタントラーメンの麺に食品添加物としてメーカーがビタミンB2を添加しているためです。

食品添加物というと体によくない成分が含まれているように聞こえてしまいそうですが、食品添加物の中には「栄養強化剤」というものも存在します。これは、名前の通り食物の栄養を強化するため加えられるビタミンやミネラルのことです。この場合、「インスタントラーメンは体に悪い」という不名誉な称号を払拭するために、本来含まれていない成分を添加しているのです。食べすぎはよくないですが、インスタントラーメンでもビタミンB2を摂取することができるのです。

ビタミンB2が不足すると口内炎に(欠乏症)

ビタミンB2は、皮膚や粘膜を保護し、健康的に維持する役割を持った成分です。ビタミンB2が不足すると、皮膚や粘膜を守れなくなり、炎症を起こしやすくなってしまいます。その中でも特に有名なのが口内炎です。この記事を読んでいる方の中にもなった方がいるかもしれませんね。

「栄養不足だからなる」と言われるその「栄養」とは、ビタミンB2のことだったのです。口内炎ができてしまうと痛くて食事しづらいですし、炎症により腫れた場所を噛んでしまった場合治りづらくなってしまいます。

他にも、黒目の表面にある角膜で炎症が起こる角膜炎や、子供における発育不良などが挙げられます。ビタミンB2の欠乏症は、主に皮膚や粘膜に症状が現れるのが特徴です。

過剰摂取にも注意が必要

ビタミンB2は水溶性のビタミンですので、腸管での吸収には限界があります。過剰な分は尿と一緒に出て行ってしまうため、体内に蓄積できるわけではありません。ただ、それならたくさん食べても大丈夫、というわけではありません。

いくら吸収に限界があるからといって、過剰摂取による過剰症がないわけではありません。ビタミンB2を摂りすぎると、体がしびれたり、かゆくなったりする症状が現れることがあります。特に、サプリメントを使ってビタミンB2を摂ろうとしている方は注意が必要です。

サプリメントは食物から摂取する時に比べて、少ない量でたくさんの目的成分を摂取できるように作られています。目安量を大きく超えてしまうと摂りすぎになってしまうことがありますので、適量を心がけましょう。

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