食品添加物⑪ 腐敗細菌などの微生物を死滅させる 殺菌料

食品添加物

食品中の腐敗細菌などの微生物を死滅させることを目的に食品に添加されたり、食品製造器具に使用される食品添加物。

静菌作用を持つ保存料に比べ、一般に毒性が強めなものが多いと言われています。

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酒精(しゅせい)

酒精という物質をご存知ですか。
言葉の雰囲気では、なんとなくお酒の元になりそうな物質か、その逆に、お酒から作られた調味料のようなものをイメージしやすいかもしれません。
酒精とは、味噌をはじめ。さまざまなものに使われている食品添加物。いったいどんな効果があって、どんな目的で使われているものなのでしょうか。

そして、危険性や毒性などはないのでしょうか調べてみました。

酒精とは

酒精は「しゅせい」と読み、発酵アルコールのことです。
成分は醸造用のエチルアルコールと同じで、食品添加物に指定されています。

アルコールの種類

アルコールには食用に使用できる発酵アルコールと工業用に使用する合成アルコールがあります。

発酵アルコール

発酵アルコールは、一般飲食物添加物(一般に食品として飲食に供されている物であって添加物として使用されるもの)に分類されています。
発酵アルコールは、糖蜜やサトウキビなどの糖質と、とうもこし、さつまいも、じゃがいもなどのデンプンを原料とし、それらを糖化、発酵後、蒸留して作られています。

合成アルコール

合成アルコールは、石油から得られるエチレンを原料にして作られます。

余談ですが、ジャッキーチェンの酔拳のラストシーンで竹筒に入っているのは工業用アルコール(合成アルコール)です。

酒精とアルコール・エタノール・エチルアルコールの違い

すべて同じです。
アルコールは、エチルアルコールやメチルアルコールなど、アルコール類の総称です。
ただし、単にアルコールというときは、エチルアルコールのことを指している場合がほとんどです。
また、エタノールは国際化学命名法の名称でエチルアルコールが慣用名、日本語名称が酒精なのです。

酒精の表示義務

酒精には表示義務があり、そのまま「酒精」と表示される場合もあれば、「アルコール」「エタノール」と記載されることもあります。

酒精の用途と効果

使用する食品によって用途は異なりますが一般的は殺菌のための殺菌料として使用されます。

酒精は要はアルコールのことなので殺菌に使用されます。アルコール殺菌という言葉はよく耳にすると思います。
また酒精には、発酵を止め、二酸化炭素(炭酸ガス)の発生を抑える効果があります。

酒精がよく使われている食品は、味噌

味噌は発酵食品ですが、実は酵母が発酵するときは、二酸化炭素が発生するのです。
二酸化炭素が発生するとどうなるのかというと、容器が変形したり、膨張したり。家庭でも、しばらく置いておいたお菓子などの袋がパンパンに膨らむのを見たことがあるのではないでしょうか、それを防いでくれる(発酵を止める)のが酒精なのです。

酒精以外に味噌の二酸化炭素発生を抑える手段

二酸化炭素を抑えるためには、酵母のはたらきを止める必要があります。そのため、食品を加熱殺菌しても同様の効果が得られます。

また、食品に酒精を入れず、発生した二酸化炭素が抜けるように容器に工夫を施した商品もありますが、こちらはコストが高めになってしまうデメリットがあります。

味噌以外に使われているもの

酒精は味噌のほか、魚介類の加工品や麺類、お菓子などさまざまな食品に使われています。

また、みりんや醤油といった調味料にも、日本酒やワイン(酒精強化ワイン)、焼酎といったお酒にも使われていますし、さらには消毒用のアルコールなどにももちいられています。

酒精強化ワインとは

ワインの一種でスペインのシェリー酒やポルトガルのポートワインなどがありますが、これらは酒精を醸造過程で添加して作られている酒精強化ワインです。
これらのワインは気温が高い地域で作られており、他のワインと比べると腐敗や酸化が早く進み保存性が良くないゆえに酒精(アルコール)を殺菌の目的で添加するのです。

酒精の危険性や毒性

酒精は食品添加物です。食品添加物とは、食品安全委員会による安全性テストを経た上で、厚生労働省が使用許可を出しているものですから、定められたラインはきちんとクリアしたものだということ。
それを踏まえた上で、注意しておきたいのは以下のとおりです。

酒精が加えられた食品に健康効果は、ない

すでに述べたとおり、酒精を加える目的は酵母のはたらきを止めて二酸化炭素の発生を抑えることです。

しかしながら、味噌もそうですが、身体にいいとされているのは発酵食品だから。すなわち、酵母が生きているからなのです。
つまり、酵母のはたらきを止めてしまっている食品に健康効果はありません。

アトピーやぜん息の人は注意が必要

調理で加熱された酒精は、揮発性有機化合物として空間に漂うことがあります。
そのため、アトピーやぜん息の持病をもつ人はこの物質に反応して、症状があらわれることがあるようです。

もちろんアトピーやぜん息だけでなく、なんらかの化学物質過敏症の人は注意が必要です。

酒精の成分はアルコールと同じ

酒精=アルコール=エタノール=エチルアルコールですから、酒精もお酒と同じです。
食品添加物としてもちいられている以上多量にはなりませんから、普通に食用、引用しているぶんには問題ありませんが、アルコールに弱い人は、とくに摂取量に気をつけたほうがいいでしょう。

酒精をすすんで摂取するメリットは

酒精がもちいられるのは、二酸化炭素の発生を抑えるためという、あくまでも生産時の都合。

酒精を摂取することによって得られる健康、美容の効果はとくにないので、できれば酒精の使われていないものを選びましょう。

とくに味噌は、本来、大豆・こうじ・塩のみで作られる発酵食品です。
その健康効果は立証されており、がんの予防に役立ったり、生活習慣病を改善したり、骨粗鬆症や老化を防いだりとさまざまな嬉しい効果が得られます。
そういったせっかくの効果、効能も、酒精を添加することで台無しになってしまうのです。

せっかくの効果や効能を得るためにも、食品はできれば酒精が使われていないものを選びたいものです。

しかしながら、摂取したからといってとくに危険性が高い物質ではないことも確か。

すすんで摂りたい成分ではありませんが、かといって、どうしても避けなければいけないとまでは考えなくても大丈夫です。

過酸化水素

食物についている雑菌を殺したり、減らしたりする「滅菌作用」がある食物添加物のひとつとして、過酸化水素が挙げられます。

子供が5%の溶液を15~30ml飲むと死亡するというレポートもあり、食物に対する使用に関して懸念の声も見られます。果たして、本当に食物の滅菌に使って大丈夫なのでしょうか。調べてみました。

過酸化水素とは

過酸化水素とは強い滅菌効果をもつ物質であり、その溶液は「オキシドール」という名前で傷口の消毒にも使われていました。理科の教科書に出ていた、レバーにかけると酸素が発生する液体です。

その過酸化水素はカビや細菌の発生を防ぎ、食物の保存性をよくするための殺菌剤、あるいは食物の色を抜いて美しく見せるための漂白剤としても使われているのです。

例えば、コンビニやスーパーで売られているカット野菜やサラダの殺菌、お正月のおせち料理に入っている数の子の血筋の漂白などにも使われています。

ただし、過去に黒ゴマを過酸化水素で漂白し、白ゴマであると偽装して販売されたことがあるため、ゴマに対しての利用は認められていません。

過酸化水素の滅菌効果

過酸化水素の強い滅菌効果は、数々の食品で起こりうる食中毒を防ぐのに一役買っています。

もちろん、滅菌剤を使うことにより食物のロスが減る、スーパーやコンビニにおいて安定した商品の供給ができるなどといった長所もあります。

しかし、人体に有害なものなのではないかと疑いをかけられ、特に食物に使われている場合、どうしても敬遠しがちになってしまうことが多いのではないでしょうか。

しかし、実はそんな心配は不要なのです。

過酸化水素は、食物の殺菌に使っても最終的にはほとんど残らないようになっているのです。

ですから、スーパーやコンビニで売られているカット野菜の殺菌に使われていたとしても、店頭に並んでいる時点では人体に影響を及ぼすほど含まれていないことになります。

過酸化水素の食品添加物としての用途

過酸化水素は、食品添加物として使用した場合、最終的に出荷する食物には残らないよう十分に洗浄することが義務付けられています。

このような食物添加物は「加工助剤」扱いとなり、原材料名一覧への表示が免除されています。

食品のパッケージの裏面を見ても、「過酸化水素」という文字を見かけることは少ないはずです。

しかし、過酸化水素は、食物に含まれているビタミンを破壊したり、でんぷんを変化させたりする効果も併せ持っています。

つまり、添加物によって食物内の成分が変化するというようなことも起こりうるわけです。

成分の変化が起きている可能性があるのに食物に使われたことが消費者に伝えられていないのは少し考えものかもしれませんが、食物を通じて直接的に摂取してしまうことはないため極度に心配することはないと言われています。

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