化学的根拠はないのに何故か信じてしまう 日本の迷信④

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日本には数多くの迷信があり、その多くは科学的根拠がないにもかかわらず、長い歴史の中で現在の日本文化の一部となり日常生活に溶け込んでいます。それは、迷信や言い伝えが適当な作り話ではなく、いつもと違った現象から先を読むことを生活の中で作り上げていった先人の知恵であり、現代にも通じることが多いからだと思います。

そんな昔から言い伝えられている日本の迷信を調べてみました。迷信を信じない人も、言い伝えが生まれた由来を知ることは、日本文化や歴史を垣間見ることができ、いかに迷信が人々の暮らしに寄り添っていたかを感じるきっかけになるでしょう。そして、意外にも迷信はあなたの中に浸透し心に抱いていることを感じるかもしれませんよ。

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茶碗を叩くと餓鬼が集まってくる

餓鬼とは、生前に悪行を働いた人間が飢餓道に落ちた姿です。餓鬼は常に飢えとのどの渇きに苦しんでいて、隙あれば人間に取りつき家の食べ物を食べ尽くしてしまいます。そのため餓鬼に取りつかれた家はたちまち食糧が底をつき、不幸が訪れるという迷信が信じられていました。
 
「茶碗をたたくと餓鬼が集まってくる」と子どもを怖がらせることで食事中の行儀を正し、悪ふざけを直す戒めとして日本各地で広まり言い伝えられてきました。

夜に靴をおろしてはいけない

街灯がない時代、夜道を歩くことは大変危険でありよっぽどのことがない限り外出することはありませんでした。ましてや夜の暗闇を新しい靴で歩くのは、誰かが亡くなった時、つまりお通夜くらいでした。そのため、夜に靴をおろすことは死を連想させ縁起の悪いものと迷信化していきました。

さらに出棺の際、亡くなった人に新しい靴を履かせて送り出す風習があったため、夜に新しい靴を履いて玄関を出ることは、死者の姿に近いから不吉であると言われてきました。

カラスが鳴くと人が死ぬ

カラスは古来からすは神の使いと考えられていたと同時に、真っ黒な外見と鳴き声から、不吉なものとして日本各地で言い伝えが残っています。カラスが鳴くと人が死ぬという迷信は、お供え物を狙って墓地によく現れるため、死者の近くにいることを連想させるからと考えられています。

昔は亡くなった人を山に土葬しお供え物をする風習がありました。賢いカラスは夜になると人間がいなくなることを知っていたため、夜の墓場がカラスの餌場になっていました。夜の墓場に響くカラスの歓喜した鳴き声は人間には不気味で不吉に聞こえたのでしょう。

4(死)と9(苦)は縁起の悪い数字

日本では、4は「死」を、9は「苦」を連想させることから不吉な数字として言い伝えられてきました。これらの数字は忌み数と呼ばれ、特に死を連想させる4は平安時代から避けられてきたと言われています。ホテルの客室や受験番号、病室などでも4という数字を避ける風潮は今でも残っています。

数字にまつわる迷信は日本に限らず、海外でも忌避される数字があります。韓国でも数字の4は、死の発音と似ているため嫌う傾向があり、西洋においては、13が忌み数で広く避けられています。

梅干の種を食べるとバチが当たる(梅には天神様が宿っている)

梅干の種に天神様がいるという由来は、太宰府の満宮の天神様、菅原道真の飛梅伝説にあると言われています。梅の種の中身「仁」は別称「天神様」と呼ばれ、これは道真が梅を大変好んでいたことからつけられました。道真の死後、神様として祭られたことからも、庶民は梅の種には天神様が宿っているとありがたく思うようになり迷信化していきました。

また、生の梅の種には中毒を起こす成分も含まれており、食べ過ぎては健康を害するという戒めの意味もあったと言われています。

ビワを庭に植えると病人が出る

日本古来から親しまれ今では高級品として有名なビワですが、「ビワを庭に植えると病人が出る」という縁起の悪い迷信が言い伝えられています。一説では、昔ビワの葉は病気やケガの治療薬として使われていたため診療所の近くに多く植えられていました。そこからビワは病気を連想させるものとして迷信が生まれたと言われています。

また、ビワの葉には中毒を引き起こす成分が含まれているため食べ過ぎると身体に健康被害が出てしまうため縁起が悪いものと言われるようになったとされています。

彼岸花を家に持ち帰ると火事になる

彼岸花を家に持ち帰ると火事なるという迷信は、一説では彼岸花の別名が、「火炎花」「火事花」であることが理由であるとされています。赤い独特の花のイメージはあの世を連想させ、彼岸の時期お墓に多く咲いていることから縁起の悪いイメージが定着しました。

また彼岸花には毒性があり、中でも球根部に多くの毒が含まれています。お墓参りに来た子どもが珍しい彼岸花に触れないよう「火事になる」と脅かしてむやみに持ち帰らぬよう戒めの意味があると言われています。

彼岸花を摘むと死者が出る

日本で土葬が一般的だった当時、故人が眠るお墓を荒らすモグラやネズミなどの駆除、近づけない目的で、毒性のある彼岸花を墓地周辺にたくさん植えるようになりました。知らずに彼岸花を摘んでしまうと、動物達によって墓が荒らされ死者が掘り起こされてしまうことから、「彼岸花を摘むと死者が出る」という迷信が生まれたと言われています。

彼岸花には毒性があるため安易に摘んで持ち帰らぬよう戒めの意味も込めて各地に広まっていきました。

ため息をつくと幸せが逃げる

ため息は、疲れた時、ストレスがたまった時など体にたまった悪い気を吐き出すことを言います。ため息は周囲の人も不快にしてしまうことから、昔の人は「幸せが逃げる」と言って相手を励まし、ため息をやめさせようとしたことが迷信化していったのではないかと言われています。

また、緊張が続き精神状態が悪いと呼吸が浅くなる傾向があります。すると体中にたまった悪い気を一気に吐き出そうとするため無意識にため息がもれてしまうのです。蓄積された悪い気はいずれ体調不良につながるため、体のSOSとも言えるでしょう。

朝や出掛け前に縫い物をしてはいけない

朝や出掛け前に縫い物をしてはいけないという迷信は、衣類の繕いなどは普段から気に留めて行うことであり、出掛けの一番忙しい時にするものではないという生活の心構えを解いたものです。つまり、翌日の準備ができていないことを戒めるものです。

またお盆期間中に縫い物をしてはいけないと言い伝えらえています。これは、針仕事で怪我をし血を流してしまうことを避けるためで、ご先祖様に血を流すようなことをしては失礼だと考えられていたからです。

最後に

日本には、まだまだたくさんの言い伝えや迷信があると思います。全国的に広まっているものや各地方に根強く生き抜いているもの各ご家庭内だけのものなど様々です。そんな言い伝えや迷信をもっと共有出来たら面白いかもしれませんね。私ももう少し調べていきたいと思います。

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