最近スマホを利用する支払をするシーンを多く見かけるようになった「QRコード」。
最近はスマホ決済の一つとして「QRコード決済」が普及しつつあります。
確かに便利ですがなぜ普及し始めているのか、メリットや安全性などの面を調べてみました。
キャッシュレス化が進む理由
政府はキャッシュレス決済の比率を「2025年までに40%に引き上げる」ことを掲げています。
政府が「キャッシュレス化」の後押しを進める理由として、紙幣やコインの製造や流通、その管理などに膨大な費用がかかること、近い将来やってくる「無人店舗」や「無人コンビニ」など、少子高齢化による人手不足の対策となる自動化やICT化にはキャッシュレス化が重要だと考えているからです。
海外の他国と比べても、日本のキャッシュレス決済比率は低いのが実情です。
2015年のデータによると上位は韓国が89.1%、中国が60.0%、カナダが55.4%に対し、日本はわずか18.4%という状況です。※
- ※引用:経済産業省「キャッシュレス・ビジョン」「支払い方改革宣言」
QRコード決済とバーコード決済の違い
スマホを使って支払いを行うキャッシュレス決済を「スマホ決済」と呼びますが、スマホ決済の中でも最近急速に増えているのが「QRコード決済」です。
QRコード決済をふれる前にバーコード決済との違いを確認します。
例えば「PayPay」はQRコード決済とバーコード決済の両方に対応しています。
なぜ両方に対応する必要があるのでしょうか。
それは手順の違いです。
QRコード決済の場合、購入者がお店に提示されているQRコードをスマホで読み取り、支払う金額を入力して支払いが完了したことを店員に見せます。
一方、バーコード決済の場合、スマホに表示されているバーコードを店員がバーコードリーダーで読み込んで会計が完了します。
利用者にとっては金額を入力する手間がない分、バーコード決済の方が楽に感じます。
なお、最近ではバーコードを読み取るのではなく、スマホに表示されている「QRコード」をお店に提示する決済方法も出てきています。
この場合は、バーコードと同様、読み取ってもらうだけで支払いが完了します。QRコードとバーコードの利便性は同じです。
QRコード決済が普及する理由
バーコードとQRコードの2種類に対応している、というのは導入するお店側が状況に応じて選択できるという利点があります。
レジなどで既にバーコードリーダーを利用しているお店の場合、従来のレジと連動したバーコード決済システムをPayPayに対応させます。
一方、バーコードリーダーを利用していないお店は、バーコードを読み取る決済システムを導入する必要があるため、コストが発生します。
QRコード決済であれば特別な機器を設置することなく、そもそもレジ自体がなくても導入ができます。
お店側が用意するのは右の写真のようにQRコードを表示した紙やパネルだけです。
利用者のスマホだけでインターネットを介して決済するので、決済時の画面を店員に見せながら支払いを済ませます。お店のレジや決済システムを一切使用しないのです。
この「お店にとって導入しやすい」ことは、利用可能なお店を増やして普及させるためにはとても重要なポイントといえます。
写真のようにスタッフが販売用のQRコードを持ち歩くだけで、現金を持たずに販売する、ということも可能になるわけです。
QRコード決済は導入時のコストが最小限で済むため、今までコストが課題でキャッシュレス決済の導入に二の足を踏んでいた小規模のお店でも、比較的導入しやすいという特徴があります。
ほかの決済方法との違いは
ほかの決済方法とも比較して、安全面やメリットを調べてみました。
現金
日本では約80%を占めているといわれている、現在もっとも多い支払い方法。
一番安心できそうですが、財布を忘れたり、小銭でかさばったりと面倒なこともあります。
お店側は、毎日売り上げの集計や、お釣りの間違えや金庫保管など安全に運用するための管理に手間がかかります。
また、料理を扱うお店は現金は不衛生だともいわれています。
いつもニコニコ現金払いと言う言葉は、もう死語なんでしょうか。
クレジットカード決済
既に普及していて、万が一被害にあった場合にカード会社の保証もあるため、一定の安心感があります。また、ポイントやマイレージがたまるものもあります。
利用者側は、決済時にサインや登録した暗証番号の入力といった手間があります。
また、カード紛失時の悪用や、スキマーと呼ばれる機器ですれ違うだけでカード情報を盗みとられるスキミングの心配があります。
最近はチケット券売機にスキマーが取り付けられていたというケースもあります。
電子マネー決済(ICカード決済)
「電子マネー決済」の定義が広いため、ここではカードをかざして決済する「ICカード決済」に絞ります。
特徴はNFC機能といって専用リーダーに近づけると、非接触で決済できることです。電車などの改札口で利用している「交通系IC」がこれにあたります。
クレジットカードと連携されているものもあり、交通系ICでポイントやマイレージがたまるものもあります。
QRコード決済で気になる部分と対策
ほかの決済手段も確認しましたが、QRコード決済で気になる点は何があるでしょうか。QRコード決済はスマホとインターネットを使用します。
そのため、スマホを持っていない人やスマホの充電が切れている場合は利用できません。
また、停電やインターネットのトラブルなどによって通信できない場合も利用できません。
利用者側ではバーコード決済と比較すると、アプリ画面を開き、金額を直接入力するといった手間がかかります。
安全性は
QRコード決済について、しくみ自体の安全性は比較的高いといわれています。
悪用された例としては、QRコードを第三者がすり替えて支払代金を横取りした事例があります。
これを防ぐためにレジでは、自分のお店の決済として正常に行われたかどうか、店員がスマホの画面を確認する手順をとっています。そのため、このような犯罪は人的に抑えることができるのです。
また、決済に関わることにQRコードを利用する際は通常、発行する企業側が安全性を考慮して有効な期限(時間)を設けています。
例えば、QRコードを提示・発券してから「10分以内に決済してください」といった制限があるのは、QRコードが流出したり、紛失したりした場合に第三者による悪用を防止するためです。
その際、一度使用したQRコードは無効になります。
安全性が高いとはいえ、決済に使うQRコードはなるべく第三者の目にふれないよう注意することが大切です。
QRコードが表示された画面のスクリーンショットをSNSなどにむやみに投稿することは控えることが必要です。
最後に
政府が推進しているキャッシュレス社会。多くの企業が参入し、各社が競ってお得な割引やクーポンを提供している人もあって、スマホ決済とキャッシュレス化の波は加速しています。
お店側が大きな設備投資をしなくても手軽に導入できるQRコード決済は、この普及に一役買っているのです。一部の地域ではほとんどのお店がスマホ決済に対応しており、財布を持たず、スマホだけで何でも買い物ができそうに感じます。
いよいよ到来するキャッシュレス時代、そのしくみをしっかり理解して、かしこく使っていきたいですね。
今回紹介したQRコードは決済以外に多くのシーンで活用されています。
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