こんなに違う 蕎麦(そば)とうどん | 人は食べた物で創られる

こんなに違う 蕎麦(そば)とうどん

その他

昼休みなどで食事するときに、今日は蕎麦にしようかそれともうどんにしようか悩んだことありませんか。なぜ同じ麺類で迷ったりするんでしょうか。少し気になったので違いを調べてみました。

「そば」と「うどん」

両方提供するお店も多く、トッピングする具材を入れ替えてもおいしく食べられるのは同じです。

そんな似たもの同士であるそばとうどんの違いに、風味、つゆや食べ方、栄養など細かな違いがあります。

つゆの違い

かけそばやかけうどんに使われるつゆは、お店の好みや作る人の趣向にもよりますが、一般的にはうどんが透き通った薄口テイストに比べて、そばは醤油の色合いが濃厚な濃口テイストであることが多いようです。

一説には、うどんを打つ際に塩水を加えているため麺自体にも塩味がついており、醤油による塩気を最小限に抑えてもおいしく食べられるからとのことです。

一方そばの材料は、そば粉のほかにはつなぎの小麦粉と水だけ。そのためつゆに醤油をしっかりめに加え、濃厚なテイストにしているのだそう。

ベースとなるだし汁にも、濃いめの醤油とうまく調和するように旨味の深いものを選ぶのが良いとされています。自宅でかけそば・かけうどんのつゆを作る際に、この点を少し意識して味を調整してみてはいかがでしょうか。

食べ方の違い

そばもうどんも麺状ですのでずずっとすすって食べることが多く、かけそば・かけうどん・ざるうどん、それぞれはとくに特別な食べ方はありません。

けれども、ざるそばだけには“粋な食べ方”というものが存在し蕎麦通の食べ方があります。

ざるそばがテーブルへ運ばれたら、まずはつゆも何もつけずにそのままのそばを食べて風味を楽しみます。

そばの上に塩を少しのせて、塩の味だけでそばを食べるのも通といわれてます。

その後、薬味をそばの上にのせてつゆにつけるのですが、つゆはそばの1/3〜半量ぐらいを目安に浸し、つけすぎないようにするのが良いとされています。

さらに、そばは時間が経つとすぐ伸びてしまうので、できるだけ素早くずずっとすすって食べます。

そばを食べ終わったら、残りのつゆにそば湯を足して飲み干すのもお忘れなく。

このほかにも、

「そばを箸で掴む際には一度に3〜6本程度にする」

「薬味はつゆに混ぜてもいいけれど1種類ずつにする」

など、ざるそばの食べ方は人によってさまざまなんです。

もちろん強制ではなくおいしく食べるのがいちばんなので、食べ方に囚われすぎないようざるそばを楽しみたいものです。

栄養の違い

※両方1束260gで計算しています。
【総カロリーと三大栄養素】

そばうどん
エネルギー296kcal273kcal
タンパク質12.48g6.76g
脂質1.82g1.04g
炭水化物57.48g56.16g

【ビタミン】

そば うどん 主な役割
ビタミンE0.26mg0.26mg抗酸化作用
ビタミンB10.21mg0.05mg皮膚・粘膜・脳神経の健康維持
ビタミンB20.05mg0.03mg皮膚・粘膜の健康維持、代謝の活性化
ナイアシン1.56mg0.52mg細胞でエネルギーを生産する酵素の補助
ビタミンB60.13mg0.03mg筋肉や血液の生成の補助
葉酸13μg5.2μgタンパク質や細胞の生成するDNA核酸の合成
パントテン酸0.57mg0.34mgエネルギー生産に不可欠な酵素を補助
ビオチン0.78μgアミノ酸の代謝に関わる酵素の補助

【ミネラル】

そば うどん 主な役割
ナトリウム130mg312mg体内の水分量を適切な状態に調整
カリウム33.8mg23.4mg細胞・血圧の調整、塩分の排出
カルシウム31.2mg15.6mg骨・歯・神経・筋肉運動の健康維持
マグネシウム85.8mg15.6mgエネルギー生成の補助、血圧の維持
リン187.2mg46.8mg骨や歯の生成の成分
2.34mg0.52mgヘモグロビンの生成
亜鉛1.04mg0.26mg新陳代謝に必要な酵素の成分
0.26mg0.1mg鉄を必要な場所に運ぶ
マンガン0.86mg0.31mg代謝・抗酸化作用のある酵素の構成成分
セレン5.2μg抗酸化酵素の合成に不可欠
クロム2.6μg血糖値・血圧・コレステロールを調整
モリブデン5.2μg尿素の代謝に関与する酵素の構成成分

【その他】

そばうどん
食物繊維3.9g2.08g
食塩相当量0.26g0.78g

食物繊維は蕎麦のほうが多い

一人前あたり、蕎麦に含まれる食物繊維は3.9g、うどんに含まれる食物繊維は2.08gです。一人前を食べたときの食物繊維の量は、2倍も異なるということが分かります。
食物繊維は、お腹をスッキリさせてくれる効果やコレステロール値の低下、生活習慣病の予防につながる役割を持っている栄養素です。腸内では、善玉菌に働きかけてくれるので整腸作用を持ちますし、体内の脂肪を吸収する際に使う胆汁酸を排出することで、脂肪の吸収を抑えてくれる効果もあります。
このような食物繊維の恩恵を受けたいのであれば、蕎麦を選択することがおすすめです。

カロリーはうどんのほうが低いが

一人前で比較すると、うどんは273キロカロリー、蕎麦は296キロカロリーです。食物繊維は蕎麦のほうが多く健康的なイメージですが、カロリーはうどんのほうが低いのです。では、ダイエット中はうどんを選ぶほうが良いのかと言うと実は、ダイエット中は低カロリーのものを選びたいので、うどんのほうが魅力的に感じますが、原材料に注目すると、うどんは小麦粉から、蕎麦は蕎麦粉からできています。小麦粉が原材料であるうどんは、血糖値を上昇しやすく糖質も蕎麦より多いです。ダイエット中は低カロリーのものが良いと思いがちですが、糖質を抑えたいダイエット中に食べるものとしては、うどんはあまり適切ではないといわれています。

ポリフェノールであるルチンは蕎麦からしか摂れない

蕎麦に含まれているポリフェノールの『ルチン』。蕎麦がルチンを持っていることは、蕎麦の健康効果が注目されている理由の1つです。
ルチンの健康効果として実験結果が出ているのは、認知症の予防、生活習慣の予防、血管系の疾患の予防、関節系の疾患の予防、などがあります。これらは、ルチンのもつ強力な抗酸化作用や、毛細血管を強化する性質などにより得ることができる効果です。
ルチンは蕎麦粉に含まれていますので、もちろん蕎麦にのみ含まれており、うどんには一切含まれていません。ルチンを摂りたいのなら、蕎麦を食べましょう。

血糖値が気になる人には十割蕎麦

血糖値が気になる人は、蕎麦とうどんのGI値を調べてみましょう。シドニー大学の研究によると、うどんGI値は62です。それに対し、蕎麦はGI値が46と低い値を示しています。
GI値は高ければ高いほど血糖値を上昇させるスピードが早いので大量のインシュリンを必要とします。インシュリンは脂肪の合成を促し、脂肪の分解を邪魔してしまう性質がありますから、血糖値が気になる人はGI値の低い食品を選ぶほうが良いのです。
つまり、血糖値が気になっている人は、蕎麦を選択するほうが正解です。

消化に良いのはうどん

消化に良い食べ物の条件といえば、胃腸に負担がかからないものです。柔らかく煮ている、温かい、消化に負担のかかる繊維質が少ない調理方法や食べ物が消化によい食べ物と言えます。
調理法で柔らかく煮ていれば、食べ物を胃腸が消化吸収する際の負担が減ります。また、温かい料理は胃腸の働きを高めてくれます。さらに、食物繊維は消化できないものですから、胃腸の消化吸収に負担をかけてしまいます。食物繊維を多く含んでいるということは、健康面からはメリットが多いのですが、消化によい食材を選ぶときにはデメリットになります。
よって、風邪をひいたときのように、消化に良い食べ物を食べたいときはうどんを選ぶと良いでしょう。たまご入りの月見うどんにすることで、消化に良い炭水化物と、たまごのたんぱく質を同時にとれるので、特におすすめです。

日常的には蕎麦、風邪で胃腸が弱っているときはうどん

蕎麦は食物繊維が多かったり、GI値が低かったり、ルチンというポリフェノールを含んでいたりと、健康によい性質をたくさん持っています。よって、蕎麦かうどんかで迷ったときは、蕎麦を選ぶことをおすすめします。うどんは小麦粉の塊なので、パスタと同じくあまり良い主食とはいえません。
ただし、うどんは消化によい食べ物です。特に温かいうどんは、風邪のときに重宝するでしょう。よって、日常的には蕎麦を食べ、風邪のときのみうどんを食べることをおすすめします。

作り方の違い

蕎麦打ちとうどん打ちの工程は同じような手法ですが、いろいろな違いがあります。

蕎麦打ちは乾燥を避けるためにでっち玉にしてから短時間の作業になりますが、うどんはその前に踏んだり練ったりする工程があり、その後数時間寝かせます。

そうすることで、コシが強くなり生地に柔らかさが出ます。

うどんは伸縮力が強いために延しに力がいるので、一般的には太い麺棒を使いますが、蕎麦打ちは力任せに延さないので傾向的には細めの麺棒を使います。

「蕎麦は女の仕事・うどんは男の仕事」といわれる所以です。

蕎麦は繋ぎに中力粉か準中力粉を使うことが多いのですが、うどんは塩を少量入れた小麦粉だけで仕上げます。

蕎麦粉が多い蕎麦打ちは繋がりにくいので、難しいと思われてしまいます。

包丁の形状も少し違い、本来片刃が蕎麦用、両刃がうどん用です。

蕎麦・うどんの好みは夫々ですが、どちらも日本を代表する二大麺です。

日本三大そば・うどん

日本三大そばとうどんの事、ご存知でしょうか。私は、そんな言葉すら知らなかったので調べてみました。

【日本三大そば】

岩手県:わんこそば

熱いそばつゆをくぐらせた一口大のそばを客のお椀に入れ、それを食べ終わるたびに、給仕がそのお椀に次々とそばを入れ続け、それを客が満腹になりふたを閉めるまで続けるというスタイルが基本となっている。

長野県:戸隠そば

戸隠そばの特徴として、挽きぐるみ(ソバの甘皮を取らずに挽く)の蕎麦粉を使用すること。中には玄そばまで挽き込むこともある。
延すとき、四つ出し(四角く伸ばす)をせず、丸延しすること。
麺棒は一本のみ。
水を殆ど切らずに出すこと。

島根県:出雲そば

蕎麦粉を作るときソバの実を皮ごと石臼で挽くためそばの色は濃く黒く見え、香りが強い。
出雲そばの中では三段の丸い漆器にそばを盛って出す割子(わりご)そばがもっとも有名な形である。
他の地方の蕎麦に比べて、だし汁の掛け方が違う。他地方では蕎麦をだし汁の中に入れる場合が多いが、出雲そばの場合、だし汁自体を器に入れて食べるため、だし汁を入れる容器の口が狭くなっている。それに薬味をかける場合が多く、おろし大根は定番である。

【日本三大うどん】

秋田県:稲庭うどん

秋田県南部の手延べ製法による干しうどんである。日本三大うどんのひとつに数えられる。
ひやむぎより太く、やや黄色味かかった色をしている。製法としては、うどんというより、そうめんに近い。打ち粉としてデンプンを使う点や、平べったい形状が特徴。ひねりながら練るという独特の製法により、麺は気泡により中空になっている。そのため滑らかな食感が得られる。

群馬県:水沢うどん

水沢うどんは、水澤寺(水澤観音)付近で参拝客向けに提供されたことが始まりとされる手打ちうどんである。
麺は若干細めでコシと弾力があり、ところどころ透き通るつるつるした白い麺である。冷たいざるうどんで提供される場合が多い。つけ汁は、しょうゆだれやゴマだれなど、店によって異なる。

香川県:讃岐うどん

古くから良質の小麦、塩、醤油、そして地元ではイリコと呼ばれている煮干しなどが、讃岐国(現香川県域の旧国名)の特産品であり、それらうどんの材料の入手が容易であった。
小麦粉の切り麺であるうどんは香川にしかないものではなく、古来全国にあるが、讃岐は特にうどんのトップブランドとして広く認知されている。

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