夏に食べるかき氷。イチゴ味は赤い色、メロンは緑などと、その食品をイメージさせる色調を表現する着色料。ハムなどの食品の原材料の表示を見てみると、発色剤という表示を見かけるけれど、これって着色料とどこが違うのでしょうか。今回は発色剤と着色料の違いについて調べました。食品に添加された時の人体への危険性など調べてみました。
合成着色料
合成着色料 青色1号(青1)、青色2号(青2)
気温が30℃を超えるとアイスクリームよりもかき氷が売れるそうです。わたしはかき氷のメロンが好きなので今回は合成着色料である青色1号、青色2号について調べてみました。ちなみにメロンシロップは青色1号と黄色4号の混合で着色されています。
青色1号について
青色1号は食品を青く着色します。青色系の食用合成着色料としては青色2号とともに2種のみ認められています。
青色1号の正式名称は食用青色1号です。
食品添加物には甘味料や乳化剤、酸味料などさまざまな種類がありますが、名前に食用と付くものは着色料のみで、着色料の中でもいわゆるタール系と呼ばれるものに限り食用が付けられています。
タール系とは
タール系とは、過去に石炭を熱分解したときに生成されるコールタールの成分から作られていたためこう呼ばれています。ちなみに現在では石油(原油)由来のナフサを原料とし化学合成して作られています。
青色1号の特徴
青色1号は水とアルコールには溶けますが油には溶けません。また、光や熱、酸には強いのですが着色力があまり強くないといった特徴があります。
青色1号の危険性
青色1号に限ったことではなく食用〇色〇号という合成着色料は、法令で厳格な規格が設けられていません。どういうことかというと不純物は15%以内であれば混在しても問題ないとされているのです。
これがしばしば問題視されている合成着色料の不純物による発がん性になります。
青色1号アルミニウムレーキ
アルミニウムレーキとは青色1号を水に溶けにくくするために水酸化アルミニウム化合物に吸着させたものです。アルミニウム化合物は安全面の問題により菓子業界に対し使用自粛要請が出されていますが使用禁止にはなっていません。
アルミニウムレーキとして顔料化すると耐熱性、耐光性はさらに向上しますが溶けにくくなるといった欠点があります。ただし、溶剤が酸やアルカリであれば溶けるようになります。
顔料とは着色に用いる粉末で水や油に溶けないものをいいます。水や油に溶けるものは染料と呼ばれます。アルミニウムレーキは通常水に溶けないため分散によって着色します。分散とは水や油に溶けない固体の粒子が沈殿したりせず混ざり合った状態をいいます。
青色2号
青色2号は発がん性の問題で国によっては使用禁止にされている合成着色料ですが、日本では問題なしとされ使用量の規制もなく認められています。
青色2号の特徴としては水やアルコールに比較的よく溶けます。溶液にすると紫色っぽい青色になります。
青色1号、青色2号の用途
単純に着色ということだけで見ると数十万色(種類)の着色料(色素)が流通していてほぼ混ぜて使うことはありませんが、食品に添加できる青系の着色料は青色1号、青色2号の2種のみしか認められていないため他の色と混ぜて使用されることがほとんどです。
絵具で色を混ぜて他の色を作るのと同様に青と黄色を混ぜれば緑になり、青・赤・黄色を混ぜれば黒っぽくなります。一般的な用途としてはアイスやゼリー、清涼飲料水、菓子類、野菜を使った漬物(ナスなど)などに使用されています。黒っぽい色もつくれるためチョコレート色としても使用されています。青色単色での使用は少ないですがかき氷のブルーハワイは青色1号の単色使いです。
食品への表示
着色料は一般的には用途名と物質名を両方表記するのが良いとされていますが、必ずしも用途名を表記する必要はないとされています。
例えば、
通常は、着色料(青色1号)ですが用途名を記載せずに「青色1号」だけでも良いとされています。これは「色」という字が入っていれば着色料だと分かるといった理由だそうです。また「色」という字を入れない表記の仕方もあります。この場合は用途名が必要です。
例えば、
着色料(青1)といったものです。
着色料は不可欠な添加物
着色料は食品に色を付ける添加物です。
食品の色は食欲をそそる重要な要素です。我々消費者もきれいな色をした食品を好む傾向にあるのも事実ですが、原料のバラつきによって色が微妙に変化することがあります。もしも色がバラバラのまま店頭に並んでいたら恐らくクレームにつながってしまうでしょう。同じ商品であれば常に同じ味で同じ色であるのが当たり前になっているからです。微妙な色の違いに違和感を覚え「買わない」といった選択をするでしょう。
着色料を使用すれば常に同じ色に仕上げられます。
我々消費者が商品の色味にこだわることがなくなれば、特に合成着色料なんてものはなくなるでしょう。
酸化チタン(二酸化チタン)
酸化チタンというと、学校の理科で習ったような……そんな印象を抱く人が多いかもしれませんね。また、化粧品に詳しい人なら、日焼け止めなどの成分表に酸化チタンと書かれているのを見たことがあるのではないでしょうか。
そんな科学の実験に使いそうな物質を、肌につける化粧品に使って大丈夫なの? そう不安に感じる人もいると思いますが、実は、この酸化チタン、食品にも使われてるのです。つまり私たちは肌だけでなく、体内にも酸化チタンを取り入れているわけですが、果たして毒性はないのでしょうか。酸化チタンの危険性や発がん性について調べてみました。
酸化チタンとは
酸化チタン
酸化チタンとは、チタンの化合物で、二酸化チタンと呼ばれることもあります。
二酸化チタンにはルチル型、アナターゼ型ブルッカイト型の三種類があるのですが、食品や化粧品に使われるのは、そのうちルチル型とアナターゼ型の二つ。ナノ粒子という、非常に細かい状態で使用されることがほとんどです。
酸化チタンの特性とは
酸化チタンには、私たちの暮らしに役立ついろいろな特性があります。
たとえば、排気ガスに含まれている硫黄酸化物や窒素酸化物を硫酸や硝酸に分解して大気中から取り除いてくれますし、シックハウス症候群の原因だと言われているアセトアルデヒドなどの有毒ガスも分解してくれます。
また、水となじんで膜を作る性質もあり、これを利用すれば鏡などの汚れやくもりを防止することもできます。
さらには、酸化チタンをナノ粒子にした場合、紫外線を遮断する効果も得られるのです。
食品の特性
食品では、酸化チタンは白色の着色料として利用されます。
硫酸チタンから生成したメタチタン酸を燃焼させるか、四塩化チタンを加水分解または直接燃焼して得られる粉末が白色なのですが、この白色が着色力、隠ぺい力(元の色を隠す)ともにとても優れているのです。
日本では、酸化チタンは食品添加物としての使用が認められていますが、制限がきつく、着色料以外には使用出来ません。
酸化チタンが使用されている物
多くの食品の着色料
酸化チタンは、白色の着色料です。
そのため、乳製品やホワイトチョコレートなどの白い加工食品によく使われています。
また、元の色を隠す隠ぺい力にも優れているので、ほかの色を塗る前の下地としてもちいられることもあります。つまり、それが白色ではないからといって、酸化チタンが使われていないとはかぎらないところが注意点です。
酸化チタンが使われていない食品としては、黄な粉、魚肉漬物、クジラ肉漬物、カステラ、こんぶ、醤油、食肉、食肉漬物、茶、スポンジケーキ、海苔類、マーマレード、豆類、味噌、麺類、野菜類、ワカメ類などがあげられます。
日焼け止めなどの化粧品にも
酸化チタンは、ナノ粒子になると紫外線を遮断する効果があります。
それを利用して日焼け止めはもちろん、ファンデーションやリップなどさまざまな化粧品に使用されているようです。
ただし、酸化チタンは紫外線は遮断するものの、それ自体が活性酸素を出す物質です。しかも、太陽の光を浴びれば、ますます活性化します。
そのため、肌の酸化を防ぐため、酸化チタンを使った化粧品にはコーティング剤がもちいられている場合がほとんど。
このコーティング剤も素材によっては肌によくありませんから、コーティング剤不使用のものを探してできるだけ紫外線を浴びないようにするか、それともきちんとコーティングされているものを使うのかは、それぞれの生活スタイルに合わせて選びたいものです。
酸化チタンはこんなものにも
酸化チタンは、食品や化粧品以外にもさまざまなものに使われています。
塗料や印刷用のインクはもちろん、製紙、プラスチック、化学繊維、ゴム、ホウロウ、ガラスなど、あげればきりがありません。
酸化チタンの危険性や毒性
多くの動物実験により、酸化チタンには毒性があることがわかっています。
しかし、世界保健機関(WHO)が酸化チタンを「発がん性がある物質」に分類しているのに対して、日本では「人に対する発がん性が疑われる」という発表にとどまっています。
また、厚生労働省の有害性総合評価表でも発がん性をはじめとするさまざまな危険性について、根拠が乏しいとしています。それに加えて、生殖・発生毒性試験や遺伝毒性試験、反復投与毒性試験のいずれにおいても毒性の報告はありません。
高い発がん性
国際がん研究機関(IRAC)や世界保健機関など、多くの機関や専門家が酸化チタンの発がん性を指摘しています。
とくに、アメリカの癌学会では、もっとも発がん性の高い5つの物質の一つとして酸化チタンをあげているほどです。
不妊・妊娠合併症
マウスによる動物実験で、ナノ粒子の酸化チタンが母体内の胎児に神経毒性を引き起こしたという報告があります。
これにより、酸化チタンには不妊や妊娠合併症のおそれがあると言われています。
アルツハイマー
動物実験において、吸入した酸化チタンは短期間のうちに脳に達し、炎症を起こしたり、細胞ストレスの数値を上昇させたりすることが確認されています。
そのほか、記憶をつかさどる海馬の神経に損傷もみられたことから、酸化チタンがアルツハイマー病の発症につながるとの指摘もあるようです。
酸化チタンの安全性
発がん性、妊娠合併症など、さまざまな危険性が指摘されている酸化チタンですが、実は、経口摂取による毒性はそれほど高くないとされています。
経済産業省による実験でも、10%濃度の酸化チタン顔料を13週間ラットのエサに混ぜたところ、死亡はもちろん、何らかの病気の発症や体内の組織の変調は一切見られなかったようです。
また、体重1kgにつき5gという多量のナノ酸化チタンをマウスに投与するという実験でも、いったん肝臓への蓄積は見られたものの、毒性は確認されませんでした。
酸化チタンの致死量
酸化チタンは、動物実験により半数致死量が発表されています。
半数致死量とは、この量を与えると半数が死に至るという目安で、酸化チタンの場合、だいたい体重1kgにつき10g。
人間でいうと、体重50kgなら500g摂取で半数致死量となります。
この量は、摂取しようとしてもできるものではなく、まず安心しても大丈夫でしょう。
経口摂取よりも吸入に注意
食品に使われている酸化チタンは着色料ですから、そう多量に摂取することはありません。
また、酸化チタンは皮膚から体内に吸収されることもありませんから、酸化チタンが使われた化粧品を使用していても大丈夫でしょう。
ただし、気管内に取り入れられた酸化チタンは約1.25 mg/kgで呼吸器系の異常や炎症、代謝への影響が見られるなど毒性が確認されています。
日常生活ではあまり関係ありませんが、もし、酸化チタンの粒子を扱う仕事に携わることがあれば、防塵マスクなどで予防をしたほうがいいでしょう。
酸化チタンを避ける
酸化チタンは着色料ですから、食品添加物を避けたい人にとってはあまり取り入れたくない物質かもしれませんね。
たしかに、避けられるのならそれに越したことはないでしょうが食品添加物は、そうそう多量に摂取するとうことはないと考えられています。
あまり気にしすぎず、回避できるときだけ回避するようにすれば大丈夫です。
タマリンドガム
タマリンドガムをと言うものをご存知でしょうか。
ガムというと、エチケットのために持ち歩いている人も多いと思いますが、実はお菓子のガムのことではありません。
それでいて、私たちの身近なものに幅広く使われているのです。
そんなタマリンドガムとは一体どんなもので、何に使われているのでしょう。そしてそれらはどんな効果があり、私たちの身体に何らかの影響を与えはしないのか、気になるところを調べてみました。
タマリンドガムとは
タマリンドとは、マメ科ジャケツイバラ亜科タマリンド属の常緑高木です。
別名をチョウセンモダマといい、主に熱帯地域では果実が食用として利用されています。日本でも、ウスターソースなどの調味料にもちいられています。
増粘剤や着色料として使用
タマリンドの種からは、多糖類やフラボノイドが抽出できます。これはそれぞれ増粘剤、着色料として使用されます。
フラボノイドの方はタマリンド色素といい、赤褐色に染める着色料として食品添加物に指定されています。
タマリンドシードガム
タマリンドシードガムとは、上で述べた増粘剤のこと。
タマリンドの種、つまりシードから抽出されたガム(増粘剤)なので、タマリンドシードガムと呼ばれているのです。
タマリンドの栄養成分
具体的には、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、葉酸、リボフラビン、ナイアシン、銅、カリウム、カルシウム、鉄、セレン、亜鉛、マグネシウムなど。
タマリンドに含まれる薬効成分
リモネン、ゲラニオール、サフロール、ケイ皮酸、サリチル酸メチル、ピラジン、アルキルチアゾールなど。
タマリンドの効果や効能
胃腸の調子を整える
タマリンドには整腸作用があります。これにより、胃腸の不調を改善してくれるほか、便秘の解消にもつながるでしょう。
これによりデトックス効果が得られ、肌の調子が良くなるなどの効果も見込めます。
血液関係の健康を保つ
タマリンドには、血液をサラサラにしたり、血行を良くしたりする効能があります。
これにより冷え性や貧血、血栓などの症状が改善されるほか、動脈硬化や高血圧、糖尿病などの生活習慣病の予防にも役立つのです。
心身の疲労回復、滋養強壮
タマリンドには、体力増強や心身の疲れを癒す効果があります。
健康が保たれるので、新陳代謝のアップにもつながるでしょう。
タマリンドの使い方
検疫の問題から、日本ではタマリンドの生の果実は売られていません。
そのかわり、タマリンドブロックというものが販売されているのですが、これは、タマリンドの果実だけをとりだし、ブロック状に固めたものです。
使うときは、タマリンドブロックを5倍ほどの量の水につけて戻しましょう。
戻った果実はもちろん、戻すのに使った水にも栄養豊富なエキスが含まれていますよ。
もし、お土産などでタマリンドの果実を入手することがあれば、まずは味見をすることが大切。
なぜなら、タマリンドは種類によって酸の含有量がかなり違い、甘いものもあれば酸っぱいものもあるからです。
甘い果実はそのまま食べたり、ジュースにしたりできますが、すっぱいものは料理の酸味付けに使うといいでしょう。
タマリンドガムを使う
タマリンドガムは増粘剤ですから、個人で使う機会はあまりないかもしれません。
ジェル石けんやジェルアロマなど、手作りする人は重宝するのではないでしょうか。
タマリンドの注意点やアレルギーの危険性
タマリンドには、血圧を下げたり、血液をサラサラにしたりする効能がありますので大抵の場合問題はないでしょうが、アスピリンなど血液の薬を使用されていて、これらの効果が心配な方は、あらかじめお医者さんに相談するといいでしょう。
ピーナッツ(落花生)アレルギーの人は注意が必要
タマリンドはピーナッツの仲間です。
そのため、ピーナッツ(落花生)にアレルギーのある人は避けたほうがいいでしょう。
ピーナッツ(落花生)は特定原材料に指定されており、微量の摂取でもアナフィラキシーショックなどを起こしやすい食品です。
美容と健康にタマリンドの果実
タマリンドは美容と健康にとてもいいことがわかりました。
しかし、日本ではそれほどなじみがなく、すすんで摂取しようとしなければ、なかなか取り入れる機会がないかもしれません。
タマリンドは、ピーナツアレルギーや血液関係の薬を飲んでいる人以外には、特にこれといった問題や危険性のない食品です。
それに、その種から作られるタマリンドシードガムや、タマリンドシード色素(着色料)も安全性が非常に高いことがわかっています。
もし、これらを摂取する機会があったとしても、安心して大丈夫でしょう。
カロチノイド(カロテノイド)色素
料理はまず目で楽しむものだと言われています。盛りつけの形はもちろん、彩りが鮮やかだとさらに食欲をそそられます。とくに、赤、黄、緑の三つが揃っているのは基本で、家庭でもそれらをバランス良くそろえるととても美味しそうに見えます。
しかし、それと同時に、あまりにも鮮やかな色は着色料が心配だという人もおられると思います。
着色料と一口にいっても、その原料や用途はさまざま。もちろん、安心できるものも、そうでないものもあると思います。
ここでは、着色料の一つ、カロチノイド(カロテノイド)色素について、その効果や危険性などを調べてみました。
カロチノイド(カロテノイド)色素とは
カロチノイド色素とは、食品添加物に指定されている色素、つまり着色料です。
具体的な色は、赤、黄色、オレンジと、それに準ずるもの。明るくて、鮮やかなものがほとんどです。
ちなみに、カロチノイド色素の”カロチノイド”とは、微生物を含む動植物から作られる色素のことです。
カロチノイド色素の原料は
カロチノイド色素は700種類以上あり、当然その原料もそれ以上あります。
たとえば、アスタキサンチンというカロチノイド色素の原料はエビやカニですし、リコピンというカロチノイド色素の原料はトマト。栄養素でよく聞くベータカロテンもカロチノイド色素の一つで、主に緑黄色野菜やミカンなどが原料です。
逆に言えば、動植物から作った着色料はカロチノイド色素と呼ばれるのです。
色素の種類
- ベータカロテン(βカロテン、βカロチン)
- イモカロテン
- パーム油カロテン
- アナトー色素
- エビ色素
- カニ色素
- オキアミ色素
- オレンジ色素
- トマト色素
- トウガラシ色素
- トウモロコシ色素
- ファフィア色素
- ヘマトコッカス色素
- ベニノキ末色素
- マリーゴールド色素
カロチノイド色素の表示義務
カロチノイド色素が使われている食品には、きちんとその旨が記載されています。
ただし、表示名に統一性はなく、カロチノイド色素(カロテノイド色素)と書かれている場合もあれば、カロチン色素(カロテン色素)、カロチン(カロテン)と書かれている場合もあります。
表示名は変われどすべて同じカロチノイド(カロテノイド)色素です。
何から抽出した色素で作られた着色料なのかは書かれていないことのほうが多いでしょう。
ただ、えびやカニは表示が義務化されている特定原材料(7品目)に該当するため何らかの表示はあります。
例えば、原材料の一部にえびまたはカニを含む。
カロチノイド(カロテノイド)色素の用途と効果
カロチノイド色素は、主に食品や化粧品の着色にもちいられています。
使用されている物
ハムやベーコンといった加工食品によく使われています。
これらは肉から作られているものですから、本来はもっと茶色。鮮やかな色をしている場合、それは着色料によるものでしょう。
ほかにも、チーズやマーガリンなどの乳製品には黄色を、エビやカニなどの水産加工物には赤色をもちいてることが多いです。
そのほか、カロチノイド色素は菓子類にもよく使われています。
カロチノイド色素の効果
カロチノイド色素を使うと色鮮やかになり、食欲をそそります。
そのため、カロチノイド色素で着色された食材で料理を作ると、とても色鮮やかで素敵な仕上がりになります。
また、カロチノイド色素の種類によっては、次のような嬉しい効果や効能が得られる場合があります。
ベータカロテン…夜盲症の予防
リコピン…血流の改善
フコキサンチン…メタボリックシンドロームの予防
カプサンチン…生活習慣病の予防
ベータクリプトキサンチン…抗ガン作用
ルテイン、ゼアキサンチン…白内障の予防
アスタキサンチン…眼精疲労の回復
カロチノイド(カロテノイド)色素の危険性
カロチノイド色素は数百種類の着色料の総称です。そのため一概に危険性がないとはいえません。
たとえば、アナトー色素という赤色の色素はベニノキの種子から作られるのですが、このベニノキの栽培地が水銀に汚染されており、それにともなってアナトー色素から水銀が検出されたことがあります。
また、すべてのカロチノイド色素にいえることですが、天然抽出物だけでは量が足りないときに合成化合物が混ぜられる場合もあり、そういった色素は発がん性のリスクも高まるでしょう。
さらに、コストを削減するために遺伝子組み換えの原料をもちいた場合は、染色体異常などの危険性が高まり、妊娠中にはさけたい物質となります。
一番の危険は、その食品にカロチノイド色素が使われていることはわかっても、いったい何から作られた色素なのかはわからないということ。
どうしても避けたい場合は、着色料そのものを避けなければなりません。
色鮮やかなものを避ける
カロテノイド色素は、各色素ごとに摂取量が定められています。
そして現在のところ、カロテノイド色素の過剰摂取の例は報告されていませんので、とくに神経質にならなくても大丈夫でしょう。
言うまでもありませんが、着色料をもちいる最大の理由は、食品を色鮮やかにするためです。
摂取を最大限に控えるのであれば、明るすぎる色、鮮やかすぎる色の食材は避けるようにしましょう。それだけでもずいぶん変わってくるはずですよ。
コチニール色素(カルミン酸)
私たちの口に入る食品で、虫を原料とする添加物で着色されているものがあるということをご存知でしょうか。虫が苦手という方にとっては、聞き捨てならないお話かもしれません。一体どのような食品に使用されているのでしょうか。
コチニール色素は虫が原料
コチニール色素とは、乾燥させたラックカイガラムシやコチニールカイガラムシを原料とし、それらを熱水などで抽出してできたものです。欧州では中世の時代から染料として使用されており、応用して絵の具としても使われていたようです。
主成分はカルミン酸といい、赤色をしています。溶媒のpHによって色調が変わる性質があり、橙〜赤紫色を呈することもあります。
アレルギー症状を引き起こす
コチニール色素は、食品添加物の他に口紅、アイシャドウ、マニキュアなどの化粧品、錠剤や粉末剤などの医薬品や病理検査における染色、インクや絵の具などの文房具、染料など様々な分野で使用されています。
動物由来の色素で、化学的に合成された成分よりも安全性は高いと言われているコチニール色素ですが、弱い毒性があるとされています。平成24年5月には、消費者庁からコチニール色素によって、アナフィラキシーショックや喘息などのアレルギーを発症する危険性があることを示唆する文書が発表されています。
ただ、アレルギー反応を引き起こすのはコチニール色素そのものではなく、原料となっているカイガラムシの除去しきれなかったタンパク質が原因ではないかという見方があります。アレルギー反応は、症状に個人差があるため、すべての人に起こるものではありませんが、コチニール色素を使用した商品で、皮膚の発赤やかゆみなど何らかの異変を感じたら、速やかに使用をやめましょう。
コチニール色素を使用した食品の成分表示欄には、「カルミン酸」「カルミン酸色素」などと表記されていることがあり、コチニールの名前が使われていないため見落とさないように注意が必要です。また、アナフィラキシーショックが起こると、呼吸困難や血圧の急低下による意識障害などを引き起こす危険性があります。状況に応じて病院で医師による診察を受けるようにしましょう。
使用されている食品。使用不可な食品
コチニール色素は、お菓子やかき氷のシロップ、かまぼこ、ハムやソーセージなどの加工肉など、赤く染めるのに適している商品に使用されていることが多いようです。
かつて、イタリアのリキュールとして有名な「カンパリ」にも、このコチニール色素が使用されていましたが、2007年にメーカーが合成着色料に切り替えたため、現在は使用されていないようです。
ちなみに、タンパク質が豊富に含まれる食品に使用すると、紫色を呈することがあるため、これを避けるために他の添加物を加えて色を調節する必要があるとされています。
また、コチニール色素は昆布類、食肉、鮮魚及び貝類、お茶、海苔類、豆類、野菜、わかめには使用不可で、これはカラメル色素と同様とされています。
カラメル色素
カラメル色素は、あらゆる着色料の中で最も使用される食品の多い食品添加物と言われています。カラメルは料理や製菓の際に作ることもできるものですが、食品添加物としてのカラメルとは一体どのようなものなのでしょうか。
カラメル色素とは
カラメル色素は、ブドウ糖や砂糖などの糖類やでんぷんなどの加水分解物や糖蜜などを加熱処理することによって製造されます。製法の違いにより4つの種類がありますが、全て淡褐色〜黒褐色をしています。
カラメル色素は、水に溶けやすく、油分や有機溶媒には溶けにくいという性質のほか、光や熱、phの変化に強く、色調変化を起こしにくいとされています。
そもそも、カラメルそのものは日本では明治初期にドイツから輸入されたのを機に、それを利用した食品が作られるようになったとされています。大正時代から昭和初期の頃には、醤油や佃煮類に使用され、戦後の経済成長以降は、食の洋風化も進んだことから、より多くの食品や飲料に使用が拡大されてきました。
性質の異なる4タイプ
カラメル色素には、亜硫酸化合物やアンモニウム化合物を製造の際に加えるか否かという製法によって、カラメルⅠ〜Ⅳの種類に分かれます。
カラメルⅠ
カラメルⅠは従来からの製法で、単に糖類のみを加熱してできたものを指します。この製法は他に比べコストはかかるものの、毒性はなく非常に安全性は高いとされています。
カラメルⅡ
カラメルⅡは、糖類に亜硫酸化合物を加えて加熱したものですが、現在、日本ではこの製法は禁止されています。
カラメルⅢ
カラメルⅢは糖類にアンモニウム化合物を加えて加熱したものです。
カラメルⅣ
カラメルⅣは、糖類に亜硫酸化合物もアンモニウム化合物も加えて加熱したものです。
カラメルⅢとカラメルⅣにはアンモニアが使用されていますが、これらが現実的に日本では多く使用されている製造法とされています。
危険性と使用できない食品
カラメル色素の製造法で、カラメルⅢとカラメルⅣにおいてはその危険性が指摘されています。これらには、アンモニウム化合物が使用されており、その製造過程で「4−メチルイミダゾール」という発がん性のあるとされる物質ができることが知られています。
しかし、食品の成分表示には、一般的に「着色料(カラメル)」「カラメル色素」とだけしか記載されていないことが多く、私たちにはその製法まではわからないというのが現状です。
このような危険性のあるカラメル色素ですが、食品や飲料の着色に非常に有用とされているようです。代表的な例としては、清涼飲料水、乳飲料、菓子類、醤油、ソース、カレールウや麻婆豆腐などの料理の素、漬物などが挙げられます。また、ウイスキーなどには品質調整のための製造用剤として使用されることもあります。
非常に多岐にわたる食品や飲料に使用されているカラメル色素ですが、使用基準の関係上、使ってはいけないものもあります。これは、カイガラムシを原料としたコチニール色素などと同様で、昆布類、食肉、鮮魚貝類、お茶、海苔類、豆類、野菜、わかめとされています。なお使用量の制限については規定はないようです。
アナトー色素
私たちが普段口にする食べ物は、素材そのものの状態よりも、着色されている状態の方が美味しそうに見えることが多くあるものです。とはいえ、その着色に使用される色素が実際どのようなものなのかは知らずに食べていることが多いのではないでしょうか。
アナトー色素とは
アナトー色素とは、ベニノキ科ベニノキの種子の被覆物から抽出された色素です。カロチノイド系のノルビキシン及びビキシンを主成分とし、黄〜橙色を呈しています。
そのため、アナトー色素は食品などには、「カロチノイド色素」「カロテノイド」などと記載されることもあります。ちなみに、ベニノキとは、南米やアフリカなどの亜熱帯地方で広く栽培されている常緑低木で、現地では古くからボディペインティングや化粧に使用していたとされています。
アナト-色素は英語でAnnatto extractと書きます。主成分のカロチノイド系のノルビキシン及びビキシンはベニノキの種子の表面に被さった赤色のものの中に含まれる色素です。厚生労働省行政報告情報の食品衛生法に基づく添加物の表示についての既存の添加物の品目のリストによると、簡略名もしくは種類名はアナトー、カロチノイド、カロチノイド色素、カロテノイド、カロテノイド色素という名称で呼ばれ、用途は着色料とされています。
現在も、中南米では種子を煮込み料理などに使用することがあるようです。また、フィリピンなどでは比較的高価なサフランの代用として、ベニノキを香辛料や着色料として用いることもあるようです。
このように天然由来のアナトー色素ですが、食品添加物として遺伝毒性があるのではないかとも言われています。
そもそも、ベニノキの栽培地である南米では環境汚染のため、その資源が悪環境にさらされているのが現状であり、特に水銀による汚染が心配されているのです。日本にはその国際基準や規格となるものがないため、輸入されている可能性も否めません。
アナト-色素の人体に及ぼす影響
アナトー色素の水銀の汚染が心配される問題に関しては、これまでも天然添加物の安全性の見直しが必要だとささやかれている中で、規格基準の見直しなどがなされないままでいたところ、2009年3月に天然着色料のアナトー色素が水銀に汚染されているという報道がでて、さらなる心配が話題となりました。
原因は天然のベニノキが土壌などの環境に汚染されたためでした。そこで東京都の研究所が天然着色料の水銀をはじめ、鉛、カドミウムなど、食品中の残留物を調査分析した結果、6社7製品のうち、1製品からアナトー色素中から水銀が0.04ug/g検出され、結果、今後も引き続き調査を行い安全性を確認していくという現状に至っています。
天然着色料のアナトー色素の毒性については、水銀とは限らずほかにも試験分析が行われています。たとえば京都府立大学の研究チームの天然食品添加物の毒素についての報告では、アナト-色素の肝毒性や腎毒性について分析が行われ、健康に影響ないと結果報告がなされています。
この実験は動物に毒物を投与して病気を発生させ、肝毒性および腎毒性が天然添加物の併用投与により抑制されるかまたは増強されるかどうかを調べたものです。アナトー色素とクロロホルムの併用投与した動物は、結局肝毒性のGPT値および腎毒性の血清尿素窒素値など健康を害する数値を示さなかったと報告されています。
水銀は、脂溶性の毒物であるため、神経細胞に障害をもたらすとされています。そのため、妊婦が長期間摂取し続けると胎児へ何らかの影響が出る危険性があるようです。妊娠中は通常の時よりも、免疫力が落ちやすいと言われているので、不安ならば、食品添加物の多く含まれている食品は摂らない方が無難と言えます。
また、一般的にアナトー色素は無毒とされていますが、食品に使用される際に他の添加物と併用されることによって、毒性が現れる可能性があるともされています。
アナトー色素の特徴
アナトー色素は、主に食品を黄色や橙色に着色するのに使用されています。
その成分は、水に溶けにくいものの、油には溶けるという性質があります。そのため抽出の際には、ヘキサンなどの溶剤を使用したり、プロピレングリコールを使用したり、高温のアルカリ性水溶液で加水分解して中和させたりしなくてはなりません。こうして様々な方法で抽出されますが、すべてこれらはアナトー色素として扱われています。
使用されている食品
アナトー色素が使用されている食品例として、ハムやソーセージ、水産加工品、マーガリン、チーズなどが挙げられます。
また、タンパク質と結合すると赤く染まる性質があるため、煮ダコやエビの着色、せんべいなどの焼菓子、焼肉のタレなどにも使用されています。
さらに、最近はパン粉やキムチなどにも使用されていることもあります。アナトー色素は、性質上多くの色を出すことができるため、使用される食品も非常に多岐にわたります。
アナト-色素の使用基準
厚生労働省の食品添加物の使用基準によると、アナト-色素は着色料(化学的合成品を除く)と同様の使用基準が適用とされます。それによるとこんぶ類、食肉、鮮魚貝類(鯨肉を含む)、茶、のり類、豆類、野菜およびわかめ類には使用してはならないという使用制限が出されています。
使用量についての最大使用限度やそのほか使用できる食品などについての制限はありません。使用制限に掲げられたこと以外は、各企業が必要最低量を食品に使用してよいとされています。
ちなみに使用制限されているこんぶ類や食肉などについて、なぜこのような食品が使用制限されているかというと、こんぶ類や食肉などの食品は新鮮なのかどうかをその食品自体の色によって判断することがあり、着色料によって消費者に鮮度を誤認させることを防ぐため、これらの食品についてはアナト-色素などの着色料を使用してはいけないと制限されているとのことです。
また使用基準の使用制限欄に「ただし、のり類に使用する金は除く」とありますが、金とはたとえば飾りつけに使う金粉などのことで、のり類に使う金は鮮度を誤認させるものではないので、使用基準から外されています。ちなみに「金」も既存添加物の一つです。
アイスに使用されるときの使用基準
食品添加物のアナト-色素の使用基準には使用制限に掲げられている食品以外は、使用してはいけない食品はありません。ですからアイスの着色料にも使われていますが、使用量の最大使用量の基準もなく、使用量はそれぞれの製造会社によって決められています。アナト-色素などの着色料を使用することで味や栄養価を変えずに、色をつけてコストダウンをはかる製造会社もたくさんです。
たとえば抹茶アイスは本来の抹茶のほかにアナト-色素を添加して色を出している商品が多いです。抹茶の量を減らしアナト-色素などの着色料を使用することで、製造者側はコストダウンを図ることができます。
しかしアナト-色素をはじめ、アイスに添加した着色料に突然変異原性(突然体に悪い影響をきたす性質になる)が疑われ、不安の要素があるという報告もあり、健康のリスクを考えるとアナト-色素などがアイスの添加される必要性を問う声も上がっています。ちなみにたとえば抹茶100%で色を出しているアイスはそれだけ価格も高いのは事実です。
β(ベータ)カロテン
βカロテンと聞くと、すぐに緑黄色野菜をイメージして、健康に良いものと捉えていらっしゃる方も多いことでしょう。ただし、あまり多く摂取しすぎるのも健康に害を及ぼすことがあるようです。
β(ベータ)カロテンとは
βカロテンとは、1930年代にロシアの化学者ポール・カーラーによって発見されました。元々、「カロテン」とは人参の英語名「キャロット」が由来とされています。
βカロテンは、植物や野菜に含まれる黄色いものであり、特に人参、ほうれん草、かぼちゃ、ピーマンなどの緑黄色野菜や柑橘類、スイカなどに含まれています。βカロテンは色鮮やかな食野菜や果物類に多く含まれる傾向にあります。
βカロテンは、摂取すると肝臓でビタミンAに変えられるという特性があります。ビタミンAには、肌荒れや乾燥肌の改善、シミやシワ予防、ニキビの改善の他、夜盲症の予防や改善などにも効果があるとされています。さらに、強い抗酸化作用があり、ガン抑制や認知症の予防にも効果があるとも言われています。βカロテンを摂取することで、美容にも健康にも効果があるとは私たちにとっては嬉しいものです。
食品添加物としての用途
βカロテンは、食品添加物として、食品の色を黄色っぽく見せるときに着色料として使用されることがあります。
使用されている食品の例としては、菓子類や麺類、マーガリン、卵焼きなどがあります。
また、ビタミンAに変化する特性があることから、栄養強化剤として、健康向上を謳った食品や飲料に使用されていることもあります。ただ、食品添加物としてのβカロテンには、使用が制限されている食品もあります。例えば、昆布類、食肉、茶、海苔、野菜などが挙げられます。これらの制限は国による基準で定められているので、市販されている食品でβカロテンが添加されているものを私たちが口にすることはないとは思われます。ただ、情報として普段の食事で食べ合わせを考える際の参考程度にはなるでしょう。
過剰摂取による危険性
一般的に私たちの健康に良いとされるβカロテンですが、過剰摂取はあまり良くないようです。βカロテンを多く含む食品を摂取すると、皮膚の色が黄色く変化する柑皮症を発症することがあるためです。しかし、これは一時的な症状であるとされるので、摂取を控えるようにすると改善されるでしょう。
むしろ、それより心配されることは、βカロテンを過剰摂取してビタミンAが体内に多く残ることです。その副作用としては、妊婦の健康への影響や胎児奇形が現れる可能性があるということが挙げられます。また、一般の成人でも過剰摂取によって目まいや吐き気などの体調不良を起こしたり、重篤なものになると肝臓への障害を起こす可能性があるともされています。
ただし、βカロテン自体は多少摂りすぎたとしても、健康への影響はさほどないようです。さらに、体内でビタミンAに変わる際も必要に応じて変わるとされているので、あまり神経質になる必要もないでしょう。
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