熟成肉って肉を腐らせるって事だと思ってた

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熟成肉って肉の旨みが凝縮された非常に価値の高い肉の事で、自分でも作れると思い肉を熟成しようとするとまずい腐った肉となってしまいます。やはり正しい作り方や見た目の違い、匂い(臭い)の違い、期間などを知ることが大切です。間違えやすい熟成肉と腐った肉の具体的な違いを調べてみました。

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「熟成肉」は特別なお肉

なんか食欲を掻き立てるワード「熟成」は、特別感や高級感を漂わせます。熟成という肉の育成法は「エイジングビーフ」という呼び名でも呼ばれています。飲食店などで巨大な肉塊を吊るして販売している所を見たことがある方も多いと思います、パリパリの香ばしい表面を削ってみると中の肉がまるで別物のようにジューシーで美味しさも倍増したような感覚になり思わず食べたくなりませんか。

熟成肉にする理由

肉を寝かせて熟成させる理由は、旨みをアップしておいしくさせることに尽きます。肉に含まれるタンパク質をおいしいと感じさせる旨みに変えることが熟成を行う最大の目的です。

熟成肉を作るためには適切な湿度、温度、空気の流れ、時間などのあらゆる条件が必要になります。そのため、頃合いを見誤ると熟成されず腐敗肉になってしまう可能性が非常に高くなってしまいます。ここの管理が腐さらせた肉との大きな違いだと思います。

熟成肉の定義

熟成肉という言葉を耳にする機会が最近増えたような気がしますが、実は熟成肉の正確な定義は決まっていません。作り手がほんの少し肉を置いて寝かせただけでも、熟成させた肉だと発言すればそれは熟成肉となってしまうそうです。しかし決まった条件はないですが、適切に熟成を施された肉は味わいは食べてみると大きく違うため、区別が出来ます。けれど食べないと分からないんでは少し不安ですので例外はありますが臭いもあきらかに違うのでまずは臭いで確かめてからの方がいいかもしれません。

熟成肉の製法は基本的に2つ

細かく決められた定義がない熟成肉ですが、製法に関しては基本的に2つの種類があります。「ドライエイジングビーフ」と呼ばれるものと「ウェットエイジングビーフ」と呼ばれるものです。エイジングの意味となる熟成をドライ(乾燥)させるのか、ウェット(湿った保湿状態)でさせるのかによってこのどちらかに分かれます。

ちなみにウェットエイジングはもともと、輸送用の肉を劣化から守るために考えられた保存法です。数日寝かせた肉は食べてみるとおいしさや旨みが増していたため、それからウェットエイジングと呼ばれるようになりました。しかし、ウェットエイジングはドライエイジングと比較すると旨みが格段に増すわけではありません。熟成肉独特の香りが発生することもないため、似ているようでドライとウェットには仕上がりに大きな違いがあります。

余談として、この他にも日本で伝統技法とされている「枯らし熟成」や、乳酸菌を付着させて作る「乳酸菌熟成」なども熟成肉を作る際に存在する方法です。

熟成肉と腐った肉の違い

適切に管理された熟成肉は見たことがある方ならご存じのように、肉質が黒っぽく硬い見た目をしています。一見腐っていると感じますが、熟成肉はそういった見た目でも中の肉は旨みを持っている状態です。では熟成肉と腐った肉の違いはどこを見て判断すれば良いのでしょうか。

見た目の違い

熟成の先に待っているのが腐敗です。紙一重な熟成と腐敗ですが、見た目で判断するのは少々難しいと言えます。熟成肉が仕上がっている頃には肉の表面に変色が見られるため、腐っているかどうかを見分けるのは難しいと言えるでしょう。

匂い(臭い)の違い

正しく熟成された熟成肉(特にドライエイジングビーフ)は、ナッツのような香ばしい香りを楽しむことができます。熟成された期間を長く設けるほど質に磨きがかかり、ナッツ臭も強くなります。

それに比べ、腐った肉は誰が嗅いでも酸っぱいような刺激臭を感じます。しかし、例外として脂の多い部位を熟成肉としている場合はチーズに似たような変性を見せるため、香りがブルーチーズのように仕上がる場合もあります。

味の違い

熟成肉と腐った肉の大きな違いはやはり味でしょう。腐った肉はとにかくまずいと感じますが、熟成された肉は旨みとは何かを理解するのに十分な旨みを味わえます。凝縮された旨みは後を引くおいしさです。

熟成肉の作り方と注意点

家庭でも熟成肉をたっぷり食べたい家庭で出来ないものか。結論として、自分で作ることは不可能ではありませんが、非常にたくさんのことについて注意が必要です。一歩間違えれば腐った肉になる可能性があるため、ステップを厳守して進めて行くことが必要です。

熟成肉を作るために必要な条件はかなりシビア

熟成肉はただ肉を放置するだけで熟成してくれるわけではありません。更に脂の部分は熟成がより困難になるため、できるだけ赤身の部分が多い肉がいいようです。

ドライエイジングの場合、これに加えて10kg程度のできるだけ大きい肉塊を用意することも必須です。表面が乾燥した肉は削り落とす必要があるため、小さい肉では食べる部分がなくなってしまいます。

おいしい熟成肉を作るために必要な環境は1~3℃前後の温度と70~80%程度の湿度、そして常に強い風を当て続けることです。これらの条件はドライエイジングビーフを作る上で基本的な項目であり、全てを厳守したからと言って確実に熟成肉が完成する保障はありません。熟成させる期間は肉の状態や質にも異なりますが、目安としては20~60日程度です。これだけの事がキチンと出来るご家庭は少ないのではないでしょうか。

ドライエイジングの作り方

上記でも少々触れましたが、ドライエイジングは整った設備とプロの判断ができる人が扱うのが一番です。湿度70~80%で1~3℃の冷蔵庫で熟成させていきますが、家庭用の冷蔵庫では何度も開け閉めすることになり、温度や湿度などの環境が変わるためドライエイジングに適した環境とは言えいそうです。

1~3℃の温度を保てる熟成庫などの専用の設備に加え、常に風を起こす機械も必要です。20~60日寝かせると肉の表面が乾燥してきたりカビが出てくるため、食べる際はその部分を削り取る必要もあります。

仮にこれまでをクリア出来たとしても、まだまだ問題が残ります。熟成庫で寝ていた肉の表面には微生物が付着しています。この削っている作業で微生物が可食部の肉に付着すると衛生上非常に良くありません。これにも注意点がたくさんあり、目安とされる期間寝かせれば必ず完成するという確証はないため、プロ以外が行うと非効率で現実的ではないかもしれません。

ウェットエイジングの作り方

ウェットエイジングはドライエイジングのように巨大な肉ではなく、小分けにした肉を真空パックに入れて熟成させていきます。手間やコストが抑えられたウェットエイジングは飲食店でも取り入れられている方法です。

ウェットエイジングで熟成肉を作るには、吸水紙を肉に当てながら真空パックにしていき、ドライエイジングと同様に1~3℃の冷蔵庫で寝かせていきます。余分な水分の流出を見つつ、吸水紙を取り替えて30~60日程度寝かせていきます。

熟成肉を作れるとされるウェットエイジングですが、注意したい点は「ドライエイジングと同じようなものはできない」ということです。ウェットエイジングは旨み、香り共にそこまで発生するものではないということだけ覚えておくことが大切です。

最後に

店舗で食べるなら何の心配もありませんが、自分で作った熟成肉を作る際は腐っていないかどうか確実に判断してから口にすることが第一です。しかし、温度や湿度などの環境を常に一定にするのは思いの他大変ですから、できるだけお店で提供されている熟成肉を楽しむようにしましょう。もし家庭で作られたお肉の場合、少しでも不安がある場合は控えた方が賢明かもしれません。

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