玉露と言えば値段が高く、高級なお茶のイメージがありますよね。確かに美味しいお茶ですがなぜそんなに値段が高いのか、今回は玉露の特徴や煎茶との違いを比べ、玉露の値段の高さと美味しい玉露の水出しの作り方も調べてみました。
玉露とは
玉露とは日本茶の中でもとても高級な緑茶です。玉露は茶の葉の栽培方法に手間がかかるため一般に飲まれている煎茶に比べると値段が高くなってしまいます。煎茶とは異なる栽培方法で育たられた茶葉からできる玉露は、高級と言われるだけあり味は申し分なくたいへん美味しい味わいです。
玉露の意味とは
とろりとした甘みをもつ贅沢な極みの緑茶・玉露。
現在は海苔の販売で有名となっている老舗メーカーの山本山は昔、製茶業を行っていました。「玉露」の名前はその製茶業者山本山の商品名に由来しています。
1835年江戸日本橋の茶商・山本山の6代目山本嘉兵衛(徳爺)が宇治郷小倉(京都府の群の一つ)の木下家で製茶中に茶葉を露のようにまるくあぶったことがきっかけで玉露の原型ができあがったと言われています。
またある説では玉露独特の旨みが玉の露のようだから「玉露」というなどと何となくうなずける説も実際にある話です。
煎茶との違いは
煎茶も玉露も同じチャノキの葉で作られています。煎茶と玉露の違いは茶の葉の育て方にあります。煎茶はチャノキに新芽が出てから摘み採るまで葉にずっと日光を浴びせ育てます。しかし玉露は茶摘みの約3週間前から日光を遮って茶の葉を育てます。
茶の葉は日光を浴びると葉の中で光合成を繰り返します。光合成が行われると渋み成分のカテキンが増加し、逆に日光を遮り光合成を抑制して育てるとカテキンが茶葉に含まれません。そしてカテキンの代わりにうま味成分のテアニンをたくさん含んだ茶葉になるのです。
煎茶と玉露は茶葉の栽培方法に違いがあり、それぞれの茶葉の成分に違いがでて、味わいも違ってくるのです。日光をたくさん浴びて育った茶葉を摘んで作った煎茶は、たくさんカテキンを含有し、程よい渋さと爽やかな香りが特徴で、日光を遮って育てた茶葉を摘んで作った玉露はうま味成分をたくさん含んだお茶になるのです。
玉露の特徴
茶の葉を摘み採る約3週間前ごろから直射日光を遮って太陽の光を浴びずに育った葉で作る玉露はうま味成分であるテアニンをたくさん含んでいます。こうして育てられた茶葉を使った玉露のとろんとまったりとした甘味とコクは、究極の味わいです。また玉露の中でも上級の玉露になると遮光栽培独特の「覆い香」といわれる海苔のような香りがします。玉露の「覆い香」は贅沢の極みだとも言われています。玉露の茶葉は端正に整えられ細長く、よれており、つやがあります。濃い緑色をしているのが特徴です。
基本的な玉露の入れ方
本来玉露の美味しい飲み方は玉露用の小さい茶碗で、玉露のとろりとした独特の甘みを少しずつ味わいながら飲むのが美味しい飲み方です。
そのように玉露を味わうためにはほかの緑茶よりも低温で丁寧に入れることで、玉露の特徴的である味わいをお茶に出すことができます。
玉露を入れるときの最適なお湯の温度は50℃くらいの低温が最適と言われます。時間をかけてゆっくりと2分ほど蒸らすのが基本的な美味しい入れ方です。沸騰したお湯を湯冷ましに入れると湯の温度は10℃冷めます。
これを目安に湯呑や茶わんを温めて湯の温度を50℃に冷まし急須に注ぎ2分ほど蒸らします。時間が経ったら少量ずつ丁寧に茶わんに回し注ぎます。1杯分の茶葉の分量の目安は5g、お湯の目安は35mlくらいが目安です。
値段が高い理由
煎茶よりも玉露の価格が高いわけは、玉露の茶葉の栽培方法には手間がかかるので価格がそれだけ高くなるのです。玉露はうま味成分を増やすため、茶葉を摘む三週間ほど前からチャノキに覆いをかぶせて日光を遮断します。この遮光栽培は茶畑を被覆するため手間がかかるのです。被覆の方法はチャノキに直接藁や銀色の遮光資材、または寒冷紗とよばれる化学繊維の資材を覆ったり、茶園に棚を立ててその棚に遮光資材をかけて日光を遮ります。
これにより茶葉はより葉の表面積を拡大して日光をどうにか受けようと葉を広げようとします。その結果葉が薄く大きくなります。またより効率的な光合成を行おうと葉が葉緑素を増加させるようとするので、緑色が濃くなるのです。このようなことで玉露は茶の葉の栽培に手間がかかることから価格が高くなるのです。
玉露の栽培方法以外の手間
新芽を摘んで作るお茶を一番茶といいますが、玉露は年に1回だけこの一番茶と呼ばれる茶葉だけを摘んで作られます。この新芽は柔らかいので機械で摘むことができず、収穫は全て手摘みで行われます。そのほか玉露は茶摘みした茶葉にまじる茎や余計な部分を徹底して取り除き、丁寧に手もみされるのです。遮光栽培から始まりこのような手間をかけて作られているので玉露は価格が高いのです。
玉露は他にない高級な味わい
栽培段階から手間暇かけて作られている分、玉露の味わいは他のお茶と大きな差があります。 特有の甘味とコクがあり、高級なものになると玉露独特の覆い香が楽しめます。 一煎目だけでなく二煎目や三煎目も美味しく楽しむことができます。 また新芽だけを摘んで作られた玉露の茶殻はとても柔らかく苦味成分も茶に溶け出してしまっているので、最後はお浸しのように茶殻に醤油等をかけて食べる方法も玉露を味わうレシピに載せられています。値段は高いけれど味わいは格別です。
水出し玉露の美味しい作り方
玉露は60度ほどのお湯で飲むのだけが美味しい飲み方ではありません。水出しの玉露も大変おいしくいただけます。そもそも玉露は苦み成分のカフェインがたくさん含まれています。カフェインは成長した葉より若い葉に多く含まれているので、新芽だけを摘んで作った玉露にはカフェインがほかの緑茶より多く含まれているのです。
カフェインはお湯の温度が下がる程溶け出しにくい性質があります。そのため水出しにした場合カフェインは水出しの茶の中にはほとんど含まれません。ですから水出しの玉露は子供もまたカフェインを控えた方がよいと言われる妊娠中の方も安心して飲むことができます。
玉露の水出しの美味しい作り方
美味しい水出し玉露の分量は玉露10~15g(大さじ2杯程度)に水500~750mlがおいしく作る目安です。ボトルに玉露の茶葉を入れて水を注ぎます。冷蔵庫で1時間ほど冷やすと水出しで美味しい玉露が作れます。急ぐ場合は氷を入れてかき回すと抽出する時間を短縮することができます。
使う水は国産の軟水が好ましいです。嬉しいことに日本の水道水は軟水ですので水道水の水を使うと便利です。せっかく高級な玉露を水出しにするのだから高級なペットボトルの水をと思われるでしょうが、日本の水道水は世界でも高品質だとわれています。しかも軟水です。水道水の水で心配なく美味しく入れることができます。
高級な玉露美味しく入れてる
玉露の値段が高いのは、茶の葉の栽培方法に手間がかかり、1年に1度の新芽を手で摘みとり手もみする作業などにも手間がかかっているからなのですね。でもその分煎茶では味わえないとろりとした甘みやコクや香りが魅力的な玉露。温かい玉露も美味しいですが、水出しの玉露も簡単に作ることができカフェインの含有量も少なくなります。高級な緑茶、玉露!美味しく入れて楽しんではいかがでしょうか。
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