人は食べた物で創られる 「カロリー」と「エネルギー」

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その他

健康や栄養面を考えて食品を選ぶ際は、その食品に含まれる栄養成分の種類や含有量、各栄養成分の機能についての表示を確認することが大切です。今回は、栄養成分表示のひとつである「エネルギー」の表示の見方と、その意味について解説します。

ダイエットまたは健康維持のために、カロリー摂取量を気にしている人は多いのではないでしょうか。栄養成分表示のカロリーの数値は、どの食品や飲料を購入するかを決める際の判断材料として有用です。しかしカロリーの数値だけでなく、栄養成分表示の「エネルギー」の意味を併せて読み解くことが、更なる健康的な食品・飲料の選択に役立ちます。

カロリー (cal)

「カロリー(cal)」とは、エネルギーの単位の一つです。エネルギーの単位には、ほかにも「ジュール(J)」がありますが、ジュールは主に科学の分野で使われており、食品に含まれるエネルギーの単位を表すときにはカロリーを用いるのが一般的です。1calは、水1gを1気圧のもとで1℃上昇させるのに必要な熱量と定義されています。しかし、calは、日常生活に用いるには小さすぎ、炭水化物ではわずか1gが約4,000calという表示になるため、通常はキロ(k)をつけて4kcalと表記しています。

カロリーと体脂肪の関係

100kcalのエネルギーを持つ食べ物を食べても、100kcalのエネルギーを消費する運動をすれば、食べた分のエネルギーは消費され、からだの中には残りません。しかし食べたエネルギーを全て消費しきれずエネルギーが余って残った場合、そのエネルギーは、「脂肪」に変えられてからだに貯蔵されます。

脂肪1kgを消費するには

体内に貯蔵されている脂肪1kg(1,000g)を消費するにはどれだけのカロリーが必要になるのでしょうか?
脂肪1gは9kcalなので、1kgの脂肪を消費するには9000kcalのカロリーが必要かといえばそうではありません。人間の脂肪は「脂肪細胞」として蓄えられているので、全てが純粋な脂肪というわけではありません。脂肪細胞の約8割は脂質(あぶらの塊)ですが、残り2割ほどは水分や細胞を形成するさまざまな物質で構成されています。
これを踏まえて計算すると脂肪1kgを消費するのに必要なエネルギー(カロリー)は、9kcal×1000g×80%=約7200kcal 程になります。 つまり、1カ月で1kgの脂肪を減らすために消費すべきエネルギーは、7200÷30=240kcalとなり1日あたり240kcalになります。毎日240kcal分のエネルギーを多く消費する、もしくは摂取を抑えられれば1カ月で1kgの脂肪を減らすことが出来るのです。
ちなみに240kcalは、食べ物では「どら焼き1個」や、「発泡酒ロング缶(500ml)1本」程度。生ビールなら「中ジョッキ1.2杯」くらいです。※2 運動では一般男性で「ウオーキング約50分」、「ジョギング約27分」程度を目安と考えてください(身長、体重、年齢、性別、身体活動レベルによって異なります)。

脂肪1kgでも見た目が変わる

エネルギーを7,200kcal消費しても、減らせる脂肪が1kgというと、数字的に見るとあまり変化が無いように感じますが、見た目は大きく変化します。
統計的には、標準的な体格の男性でウエストが1cm減る程度の変化が起きます。脂肪は密度が低く、重さのわりに体積が大きいため、身近なものでは500mlのペットボトル2本分と乳酸菌飲料3.5本分の体積になります。脂肪を1kg減らした場合、それだけの体積がからだから削ぎ落とされますので重さの感覚以上に見た目にはスリムに引き締まって見えるのです。

カロリーを意識して、こうして具体的に数値化する事により、計画的かつ確実に体重をコントロールする事が出来ます。こういった「エネルギー収支」の意識を持つだけで、毎日の生活にちょっとした違いが生まれてきます。摂取と消費のバランスをとる事が健康的な生活習慣に繋がると言えるでしょう。

エネルギー

エネルギーとは、人間が身体を動かすために必要な活動の源です。人間は、生命を維持し日常生活を送るために、体温保持のための熱エネルギーや筋肉運動のための機械エネルギー、神経伝達のための電気エネルギーなどを必要としており、これらのエネルギーを食品から摂取しています。食品のなかでエネルギーの元となるのは、三大栄養素と呼ばれるたんぱく質、脂質、炭水化物で、これらは体内でCO2とH2Oに分解されてエネルギーになります。また、ダイエットなどで食事から十分なカロリーが摂取できない場合には、肝臓や筋肉に蓄積されたグリコーゲンや、体脂肪、身体を構成するたんぱく質などが分解されることによって、体内でエネルギーが作り出されます。

食品中に含まれるエネルギー

栄養成分表示に記載されているエネルギー

三大栄養素のそれぞれ1gあたりには、たんぱく質では4kcal、脂質では9kcal、炭水化物では4kcalのエネルギーが含まれています3)。食品パッケージのエネルギー欄には、それぞれの栄養成分の含有量(g)にこれらのエネルギー量(kcal)を掛けて合計した数値が表示されます(図)。

厚生労働省から発表された「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、「エネルギー産生栄養素バランス」として各栄養素から摂取するエネルギー量の比率の目標値が定められており、総エネルギー摂取量のうち、13~20%をたんぱく質から、20~30%を脂質から、50~65%を炭水化物から摂取することが推奨されています。カロリー摂取量を制限している場合でも、特定の栄養素ばかり摂取することなく、バランスよく摂取することが望ましいとされています。

図 栄養成分表示とエネルギー換算例

エネルギー必要量とエネルギー消費量

適正な体重を維持するためには、食品から摂取するエネルギー量だけでなく、身体が消費するエネルギー量を知ることも大切です。

前述の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、1日に必要なエネルギー量として、基礎代謝量に身体活動レベルを考慮して算出された推定エネルギー必要量が、年齢ごとに示されています(表)。基礎代謝量とは、人間が活動するために最低限必要なエネルギー量のことで、基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日)と基準体重(kg)から計算されます。また、身体活動レベルは日常生活や運動などの活動量を3段階(低い、ふつう、高い)に分けたもので、1日あたりの総エネルギー消費量と1日あたりの基礎代謝量から計算されます。通常の生活を送っている場合には、3段階の身体活動レベルのうち「低い」あるいは「ふつう」に該当する人がほとんどです。
体重は、エネルギー摂取量が消費量を上回る状態が続くと増加します。このことから分かるように、体重はエネルギーの過不足の状態を表す指標といえます。健康管理のためにも、まずは体重を目安にしてエネルギー摂取量と消費量のバランスが適切かどうかを考えてみることが大切です。

表 推定エネルギー必要量(kcal/日)

使うエネルギー

使うエネルギーの内訳は、生きていくうえで最低限必要なエネルギーと、活動するためのエネルギーです。
息をしたり心臓が動いたりといった、生きていくうえで最低限必要なエネルギー量を基礎代謝量といいます。1日に成人男性でおよそ1,400~1,500kcal、成人女性でおよそ1,100~1,150kcalほどです。減量する場合でも、基礎代謝量より“食べるエネルギー”を減らすのは体への負担が大きいため注意が必要です。
一方、活動するためのエネルギーは、仕事をしたり、スポーツを楽しんだりといった活動に使われます。1日に約2,000kcalを使う成人女性なら、850~900kcalにあたります。
よく体を動かすと、活動するためのエネルギーを増やすだけでなく、筋肉を大きくして基礎代謝量を増やし、“使うエネルギー”の全体量を増やすことができます。(数値は目安です。身長、体重、年齢、性別、身体活動レベルによって異なります。)

エネルギーと体重

エネルギーの過不足の状態を最もよく表すのは体重です。“食べるエネルギー”と“使うエネルギー”がつりあっている時、体重は安定します。一方、アンバランスの時は、ふとったりやせたりといった体重の変化となって表れます。まずは体重を目安にして、“食べるエネルギー”と“使うエネルギー”が適切かチェックすることが健康管理の基本です。

 成人期以降には大きな身長の変化がないことから、身長の違いを考慮して体重管理が出来るように、体格指数、主にBody Mass Index(BMI)を用います。

BMIの計算式は世界共通で、「体重(kg)/身長(m)の2乗」です。

年齢(歳)目標とするBMI(kg/m2
18~4918.5~24.9
50~6920.0~24.9
70以上21.5~24.9

健康のためには、エネルギー摂取量とエネルギー消費量のバランスを保つことが重要です。その前提として、栄養表示のカロリーの数値と併せて、「エネルギー」の意味にも注目することが、より健康的な食生活に近づく第一歩となります。

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