日本には数多くの迷信があり、その多くは科学的根拠がないにもかかわらず、長い歴史の中で現在の日本文化の一部となり日常生活に溶け込んでいます。それは、迷信や言い伝えが適当な作り話ではなく、いつもと違った現象から先を読むことを生活の中で作り上げていった先人の知恵であり、現代にも通じることが多いからだと思います。
そんな昔から言い伝えられている日本の迷信を調べてみました。迷信を信じない人も、言い伝えが生まれた由来を知ることは、日本文化や歴史を垣間見ることができ、いかに迷信が人々の暮らしに寄り添っていたかを感じるきっかけになるでしょう。そして、意外にも迷信はあなたの中に浸透し心に抱いていることを感じるかもしれませんよ。
化学的根拠はないのに何故か信じてしまう 日本の迷信
雛人形をしまい忘れると婚期が遅れる
娘さんを持つご家庭では今でも必ず耳にした迷信だと思いますが、ひな人形の歴史は平安時代にまで遡り天皇の結婚式を現わしています。雛人形を早く出すことは、嫁に早く出すことであり、早く片付けることは早く片付く(早く嫁に行く)と言い伝えられてきました。さらに雛人形は女の子の厄除けをしてくれるという迷信があり、いつまでも出しておくのは縁起が悪いという意味も込められています。
また一説には花嫁修業の意味合いが込められており、片付けが上手にできない女の子は嫁にはいけないと戒めるために言われていたようです。
妻が妊娠しているときに漁に出ると不漁になる(不幸が起きる)
妊娠にまつわる迷信は数ある中で、妻が妊娠している漁師が漁に出ると不幸が起こるので連れていかないとう風習がありました。昔は今のような医療施設もなく妊娠、出産は命を落とすことも多かったため、身重の妻を気遣い夫の仕事を休ませて妻の側で助けてあげなさいという暗黙の了解だったと言われています。
また一説では、神道では血は穢れとされ、大量の出血を伴う出産を控えた妻がいる漁師は縁起が悪いと考えられていたと言います。
表札を釘打ちすると出世しない
家の顔である表札には様々言い伝えがあり、風水でも表札と運気には深い関係があると言われています。表札は家運、健康運、出世運の代表であり、その家の運気を左右する重要なアイテムと言えるでしょう。また、表札は日本独特の風習であり、安全で暮らしやすい国の象徴とも言えます。
ここで言われている迷信は、表札板の表から釘打ちすることを指し、これは病気のある様子を現わすことからとても縁起が悪く、出世もできないと言われるようになったと考えらえています。
三人並んで写真を撮ると真ん中の人が早死にする
昔の人は写真を撮ると魂を抜かれるという迷信を信じていましたが、昔の写真機は性能が低かったため三人で並んで写真を撮ると真ん中の人にしかピントを合わせることができませんでした。そのため、真ん中の人がはっきり写り、その分魂も多く抜かれると信じられていました。
また、三人で並んで写真を撮る場合、年上の人や目上の人が中央に来ることが多いため、必然と三人の中では真ん中の人が一番早く亡くなる可能性が高くなります。その結果、やはり真ん中は…と言われるようになったと言われています。
黒猫が横切ると悪いことがある
日本では古くから黒猫は福猫として幸運の象徴であり、魔除け厄除けの意味を持った大切な存在でした。江戸時代には、死の病であった肺結核を治す力が黒猫にはあると信じられていたほどです。
黒猫が横切ると悪いことがあるという迷信は、幸運そのものの黒猫が自分の前を横切り、幸運に素通りされてしまったと考えられるようになった説があります。さらに、黒猫は魔女を連想させる縁起が悪いものとして欧州の思想が流入した影響と言われています。
夜に洗濯物を干すのは縁起が悪い
昔日本では、着物には故人の霊が宿っているという迷信があり、死者の着物は夜に干すという風習がありました。そのため、夜の洗濯物は死者の着物を連想させ縁起が悪いものとされています。また、風水の視点で夜間は陰のエネルギーが強いことから、夜に干した洗濯物に陰のエネルギーが吸収され、その洋服を着ることで悪い方向へ向かうと言われています。
「夜干しは赤子なく」ということわざがあるように、夜露で湿った衣類が原因で赤ちゃんが夜泣きすると考えられていました。
遠くの音がよく聞こえると雨
音は通常放射線状に伝わり上空に散っていくため遠くの方は聞こえにくくなるのに対し、上空の気温が地上付近より高くなっていると、気温の低い方(地上)へ屈折してはねかえる性質を持っているため遠くの方まで音が聞こえやすくなります。このような現象は、上空に暖かい空気が流れ曇り気味で湿度が高い時、つまり低気圧や前線が近づいていることであり、近いうちに雨が降りやすいと考えられます。たかが迷信とは言いきれない根拠があり、昔の人の知恵と言えるでしょう。
双子の妊婦のお腹は畜生腹
今ではさほど珍しくない双子ですが、昔双子は不吉で縁起が悪いものという迷信がありました。それは、珍しい現象は災害の前兆と信じられていたことから、双子の誕生日も悪いことの前兆と捉えられていたからです。双子を産んだ母親は、動物が一度にたくさんの子どもを生むことに例えられ畜生腹と忌まれました。
昔は栄養状態も悪かったので生まれてきた双子は未熟児が多く、片方が栄養を吸い取っていると言われて、双子の片割れは殺されたり里子に出されたりしました。
鏡が割れると縁起が悪い
鏡が割れることは、身近な人の死や、不吉な前兆を意味し縁起が悪い迷信として言い伝えられてきました。昔の人にとって鏡は魔を跳ね返す道具でもあり、不思議な力によって自分を映し出す神聖なものとして大切に扱われました。
一方風水では、鏡は悪いものを遠ざけるという意味があり、割れた鏡は「持ち主の身代わりになって割れた」と解釈され逆に幸運の象徴とされています。鏡が割れると7年間不幸が続くというジンクスは、鏡が身代わりに邪気を吸い取って役目を終えたが、しばらくは不幸が及ばぬよう慎重に過ごすようにという意味合いで伝えられています。
最後に
日本には、まだまだたくさんの言い伝えや迷信があると思います。全国的に広まっているものや各地方に根強く生き抜いているもの各ご家庭内だけのものなど様々です。そんな言い伝えや迷信をもっと共有出来たら面白いかもしれませんね。私ももう少し調べていきたいと思います。
コメント