人は食べた物で創られる 水分 | 人は食べた物で創られる

人は食べた物で創られる 水分

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水分とは

 何も食べなくても1ヶ月近く生きられる可能性がありますが、水を摂らないと数日しか生きられないといわれるほど、水は生きていくために欠かせないものです。

ほとんどの食べ物には成分として水が含まれますが、この水のことを水分といいます。

水分の働き

 水分は体内で多くの物質を溶かし、様々な化学反応をスムーズにさせ、血液の成分にもなって栄養素や老廃物などを運びます。

また、体液を正常に保つことで細胞の形態を正常に保ちます。さらに、汗になることで体温も調節します。
 私たちの体は、健康な成人男性で約60%、女性で約50%が水分です。

つまり半分以上が水でできているといえます。しかし、こんなに多く含まれるにもかかわらず、健康な人の体内の水分量は驚くほど適切に調節されていて、水分の摂取が変動しても1日のうちの変動は体重の1%以下と一定に保たれています。

摂取する水と排せつする水

健康な人では摂取する水と排せつする水は、ほぼ同じ量になります。個人によって、また同じ人でも環境や状態が異なれば日によって大きな変動があります。

およそ1日2,500mlとした場合は次のようになります。

摂取飲料水1,300ml、食べ物1,000ml、代謝水*200ml
排せつ尿1,500ml、糞便100ml、皮ふおよび呼吸から900ml

※体の中で栄養素が使われてできる水のこと

 私たちは体内の水分が体重のおよそ1%失われた時、のどの乾きを感じます。

この時、水分を摂取しなければ脱水症状がおこりはじめます。

体重のおよそ2%を失うと不快感や食欲不振が生じたり、筋運動をする能力が損なわれます。

高温や多湿の環境の時、スポーツをする時、また下痢、嘔吐、発熱など病気の時は失われる水分が大きく増えることから、適切に水分補給することをこころがけてください。


 また、私たちがかなりの水分を食べ物からとっていることは見落とされがちです。

このため、何らかの理由で食事ができていない場合、まずは脱水に注意して、きちんと水分を摂取することを忘れないでください。

特に夏場は意識してとれますが冬場も不足することがあります。理想は喉の渇きを感じられずに一日を過ごすことです。

水分補給というと、つい水を飲むことを想像しがちですが、飲料の種類による水分補給の効率は変わらないため、ジュースやコーヒーなども有用といえます。

また、飲料だけでなく、普段の食事からも水分を摂取することは十分に可能です。

野菜や果物はもちろん、ご飯やパスタ、シリアルといった食品にも水分は含まれています。

脱水による精神活動や身体活動のパフォーマンス低下を防ぐためには、適切な水分補給について正しく理解し、実践することが大切です。

水分補給の重要性

水は人間にとって最も重要な栄養素です。多くの人は、一部のビタミンやミネラルを摂取しなくても、数週間または数ヵ月間、悪影響を受けることなく生きていくことができます。

しかし、水なしでは、長く生きることができません。私たちの身体は毎日大量の水分を失っており、それを補う必要があるからです。

さらに水分の摂取量が少ない場合、精神的、身体的パフォーマンスへの有害な影響が、かなり早くから現れる可能性があります。

水は、消化、吸収、循環、排泄機能を含む身体機能を維持することに加え、水溶性ビタミンを活用するためにも重要です。

細胞内外の栄養素や老廃物の輸送にも必要であり、虫歯を防ぐ助けとなる唾液を作り出します。

また水は、関節の衝撃保護を助け、何よりも体温を維持する上で主要な役割を果たしています。

水分補給は水が一番は誤解

水が水分補給のために一番良いという考えは、よくある誤解です。

例えば、旅行中に簡単に水が手に入らないときに、どうすれば水分不足にならないか、この疑問は摂取する飲料の種類によって水分補給の効率に差があるかを調べる研究が行こなわれました。

健康なボランティアを対象に、2つの臨床試験を実施。2つの試験の違いは、摂取飲料の種類が異なることです。

最初の臨床試験は、摂取した総水分量の1/3が普通の水、2/3はジュース、コーヒー、清涼飲料水の組み合わせで行いました。

これは、米国人が摂取する代表的な飲料の組み合わせです。もう1つの試験では、同じ量の飲料から水分を摂取しましたが、その組み合わせはジュース、コーヒー、清涼飲料水だけにして、普通の水は摂取しませんでした。

結果を分析すると、水分をとった飲料の種類の違いで、効果の指標に差はありませんでした。どの飲料であろうと適切な量を摂取する限り、普通の水を摂取する必要はないことを示しています。

このことを理解するには、「水」を、身体が必要とする栄養素として捉えるとよいでしょう。

栄養素としての「水」は、当然ながら普通の飲料水にも含まれます。

ジュース、コーヒーや他の飲料などの水分だけでなく、食品にもさまざまな量の水分が含まれます。この栄養素としての「水」は、いろいろな飲食物から身体に吸収され、その摂取源に関係なく、同じように身体に作用します。

食品・飲料など水以外の水分摂取

食品が身体にとって水分として貢献していることを忘れがちな人が多くいます。

しかし、牛乳、チーズ、青菜、アーモンドといった、カルシウム源の飲料や食品があるように、我々が食べて、飲むあらゆるものには、かなりの水分が含まれています。

普通の水、紅茶、コーヒー、スポーツ飲料、牛乳、清涼飲料水、果物・野菜ジュースでは85~100%が水分ということは驚くべきことではありません(牛乳やジュースの果肉中のカルシウムやタンパク質のような固形物が残りを占めます)。

しかし、ご飯、パスタ、シリアルも65~90%が水分であり、ナッツでさえも重量に対して5%が水分であることを理解している人は少ないです。

実際、米国医学研究所(Institute of Medicine:IOM)によると、平均的な米国人が摂取する水分の総量のうち、約20%が食品由来で、80%が飲料由来ということです。

もちろん、これは人によって大きく変わります。スープ、シチュー、ソース、サラダ、果物をたくさん食べる人は、食品から1日の総水分量の20%以上を摂取する傾向があるのに対して、パンやクラッカー、よく焼いた肉などが中心の食事をしている人は、食品から摂取する1日の水分量が20%以下の可能性があります。

代表的な食品・飲料の水分量

食品・飲料水分量 (%)
水、紅茶、コーヒー、ダイエット清涼飲料水、缶やボトル入り紅茶、
スポーツ飲料、レモネード、野菜ジュース
90~100%
牛乳、清涼飲料水(レギュラー)、フルーツジュース、フルーツ飲料85~90%
ほとんどの果物や野菜70~85%
チーズ    40~50%
調理済み穀物、米、パスタ65~90%
パン、ベーグル、ビスケット30~45%
すぐに食べられる朝食用シリアル2~5%
魚介類70~80%
牛肉、鶏肉、羊肉、豚肉、七面鳥、仔牛肉45~65%
ポテトチップス、プレッツェル、キャンディー、クラッカー、パフ、
ドライフルーツ、ポップコーン
1~10%
種子やナッツ1~5%

脱水状態を感知

水分摂取のための生理学的サインは喉の渇きです。

これは、さらに3つの主要な生理学的な働きに分けられます。

脳浸透圧受容体と脳外浸透圧受容体は、細胞内での脱水状態を感知するのに対して、容量受容体は血液量と関係しており、細胞外の脱水状態を感知します。

体内の水分は、細胞内液と細胞外液の2つの形で存在しています。

細胞内液は、細胞の代謝のための媒体として主に機能します。

細胞外液は、主に栄養素と酸素を細胞まで運び、老廃物を細胞から運ぶ役割があります。

代表的な細胞外液は血液です。これらの水分量が少なくなったとき、喉の渇きを感じるようになります。

ほとんどの健康な人の場合、体重の約1%に相当する体液の損失によって、喉の渇きを感じるようになります。

しかし、飲料の選択は、喉の渇きだけでなく、食品および飲料の嗜好にも影響を受けます。

英国人は紅茶を飲むことで知られています。

イタリア人ならワインです。

色、香り、匂い、飲み心地、外観、温度、入手しやすさなどが、飲料の選択に影響を与えます。

カフェイン入り飲料は脱水作用を有していない

古い研究から、カフェインの錠剤またはカフェイン入り飲料のいずれにおいても、カフェインを摂取することによる利尿効果を示すことが知られていました。

その研究ではカフェインとカフェイン入り飲料が、カフェインをまったくとっていない人に対して、どのように影響するかという特殊な条件下で実験しています。

その結果、これらの研究では、「実生活」においてカフェインを摂取している人の日常的な量と飲み方が、脱水症状の原因となるかについては、実際にはわかりませんでした。

しかし、多くの人は特定条件下での結果が、日常生活にも適応できると考えていたのです。

ただし、水の必要性に関するIOMの2004年食事摂取基準(Dietary Reference Intakes:DRI)報告を作成するにあたり、専門家は、日常的にカフェイン入り飲料を摂取した場合のカフェインの影響を調べるため、過去10年におけるさまざまな科学的文献をレビューしました。

この結果から、他の飲料と比較して、コーヒー、紅茶、その他のカフェイン含有飲料が、カフェインを常用する人における脱水症状の指標に悪影響を与えないと判断されました。

適切な水分摂取量

水分補給の目的は、水分平衡、すなわち体の水分を正常状態にすることです。

水分の必要量は、個人の代謝、環境条件、および活動レベルによって決定されるため、大きく変動します。

必要量は人によって変わるだけでなく、日によっても大きく変動します。

IOMは食品や飲料を含む日々の総水分摂取量の一般的指針を2004年に示していますが、必要量は「状況次第」と記載されることになりました。

つまり、この指針は、あくまで穏やかな気候に住む、健康で非活動的な人たちに対するものです。

活動的な人や、高温で標高の高い、または非常に低い湿度にさらされる人は、より多くの水分を必要とする可能性があるのです。

脱水状態

特定の時点における水分補給状態を判定するための「ゴールドスタンダード」は、血液の浸透圧を測ることです。

ただし、多くの場合、血液検査は不便でおっくうなものであるため、通常は臨床的条件下や調査研究のためにのみ行われます。

ほとんどの運動選手や健康成人の場合、十分な水分を摂取しているかどうかを判定する合理的な方法として尿の色を見ることが行われています。

「明るい麦わら」色や淡い黄色の尿は十分な水分補給が行われていることを示します。

濃い色の尿は、水分を十分とっていないことを表します。ただし、一部の薬やビタミン剤が尿の色に影響を与える可能性があります。

また、1日の排尿回数も、指標となります。

健康な人は、少なくとも1日に4回排尿するはずです。

運動選手の場合、十分に水分の保たれた状態で運動が行われたと仮定して、運動前後の体重変化を明確にするために、運動開始時点での水分量がベースライン値として得られています。

それ以外の複数要因がからみ合う場合では、日々の体重変化量から水分補給量が推定されます。

もちろん、喉の渇きという訴えも無視すべきではありません。ただし、喉の渇きは身体の水分バランスがマイナスであり、さらに水分を必要としているという生物学的シグナルではあるのですが、それを感じないからといって、水分補給が必要ないということではありません。

喉の渇きは水分摂取の状態を示す正確な指標にならないことがあります。

脱水のリスクが高い人

脱水のリスクが高い人としては、乳児、高齢者、および高温環境で生活や仕事をしている人、活動的な人が挙げられます。

乳児は、大人とは身体的にも生理的にも異なっています。例えば、乳児の体重の割合で最も多いのは水分です。

乳児の流体交換率は成人の7倍もあり、その代謝速度は、体重に対して2倍の速さです。

その結果、乳児は大人に比べて急速に脱水症状になる可能性があります。

高齢者では、腎臓を通して体内の水分量を調整する機能、さらに体内の水分を維持する機能が弱くなりがちです。

しかし、高齢者の脱水症状の問題は、水分の体外への流出よりも水分の補給の問題が大きいと考えられます。

喉の渇きの障害、尿失禁、身体の動きの低下や混乱といった、加齢に伴う生理学的変化により、特に高齢者施設に入っている高齢者や地域社会の中の虚弱高齢者では、自発的な水分摂取が制限される可能性があります。

これらの高齢者には、水分補給が不十分なために重大な結果をもたらす可能性があります。高齢者の脱水は、転倒、尿路感染症、歯の疾病、気管支肺疾患、腎臓結石、がん、便秘、認知機能障害のリスクの上昇につながります。しかし、健康な高齢者は、一般に、そのような喉の渇きに対応することで、体液バランスを維持することができます。

身体活動と高温環境も、脱水リスクに関与します。水分についての食事摂取基準は、穏やかな環境で生活している、身体活動の低い人から中等度の人を対象としています。

身体活動が高い人、または高温環境にさらされている人では、より多く、場合によっては大量の水分が必要です。

温度条件による日々の水分の必要量は、非常に高温の気候では2倍、あるいは3倍になる可能性すらあり、座っている人に比べて非常に活動的な人では4倍になる可能性もあります。

「活動的」という言葉は、多くの場合、運動選手を思い浮かべますが、農業従事者、鉱業従事者、軍人、建設労働者、消防署員、森林作業員、公園やレクリエーション施設の従業員、工場作業員として働いている人は、非常に活動的であることが多く、多くの場合、高温環境で作業を行っています。

水分補給の過不足の影響

水分の取り過ぎ

水分の過剰摂取はあまり起こりません。

必要以上に水分をとると、私たちの身体は、過剰な水分摂取量に比例して尿量を増加させます。

ただし、摂取した水分が、腎臓の水分排泄能力を超えた場合は、体内のナトリウム濃度が希釈され、深刻な電解質不均衡につながる可能性があります。

この状態は、低ナトリウム血症や水中毒と呼ばれます。低ナトリウム血症は、生後6ヵ月未満の乳児でよく見られます。

水中毒はまた、一日にボトル数本分の水や、薄すぎる乳児用調製粉乳を飲む乳児に発生する可能性があります。

さらに最近では、この条件は運動選手で発生するものとして文書化されており、「運動性低ナトリウム血症(EAH)」と呼ばれるようになりました。一部の疾患でも低ナトリウム血症を引き起こす可能性があります。

水分の不足

脱水は、認知機能および運動制御に影響を与える可能性があります。

しかし、この研究の大部分では、激しい身体的活動、暑い気候、またはそれら2つの組み合わせにより脱水状態になった人が対象とされました。

水分摂取が十分でない場合の脱水症状の影響について調べた研究はほとんどありません。

私たちは、19~35歳の健康な男性に対して、水分補給状態の違いのみで認知機能に差が出るか否かを判断する調査を2件実施しました。

その結果、被験者の摂取水分量が少ない場合、脳の情報処理能力が低下しました。

また、利き手による精神運動速度の低下がありました。これらの知見は、周辺視野、知覚識別、追跡、想起、注意力、精神運動スキル、短期の記憶および記憶に対する障害を示す他の研究と合わせてみると、水分摂取が不十分であれば、それ自体で、または他のストレスとの組み合わせで、認知に悪影響を及ぼします。

しかし、この領域についてはさらに研究を進める必要があります。

水分補給の研究

脱水症状が高齢者にとって問題であり、運動選手のパフォーマンスを損なうことはわかっています。

現在、我々は、水分補給状態が健康な人のタスク遂行と集中力に及ぼす影響についての研究を考えています。

また、事故リスクや、熱中症や激しい身体活動に関連した心停止に対する、身体水分不足の影響についても深く理解する必要があります。

また、水分補給状態をより簡単に判別する方法や、水分の必要量をより正確に判定する手法を開発する必要があります。

本研究分野にはさまざまなことが起こり、学ぶことが多くあります。水分補給の背後にある科学の進展を楽しみにしていてください。

主な用語の定義
飲料:水、コーヒー、紅茶、清涼飲料水、牛乳、フルーツジュースや野菜ジュースなどの飲料状の液体。
脱水症状:身体から水分を失う過程。
体水分正常状態:水分が平衡状態にあること。水摂取量と水の損失とのバランスの収支の結果。
水分:イオンおよび細胞を含有する、水をベースとした液体。食物液体には、食事中の食品や飲料から摂取する水分が含まれる。
水分補給不足:水分バランスが負の状態。
水分過剰:水分バランスが正の状態。
水分補給:身体の水分を取得する過程。
体内全水分量(Total body water:TBW):人体中の水分量。
総水分摂取量:飲料水を含む、食品や飲料から摂取した水分量。
水:すべての生物の主要な構成成分である必須栄養素。

免責事項
本稿で引用されている専門家や組織の見解と意見は、あくまでも各自のものであり、必ずしも属する機関や協会、またThe Coca-Cola Companyの意見を代表するものではありません。


本記事に記載されている情報は、医療と栄養の専門家によるアドバイスとは異なります。

特定の健康上の懸念がある場合は、医療と栄養の専門家にご相談ください。

水分量を手がかりにして食品の選択ミスをなくす

水分はその食品の性質や状態をよく表します。

大まかに見た時、水分が100%に近い食品は液体のことが多く、数%という食品は乾燥した粉状のことが多いようです。

例えば、みそ汁1/2杯(100g)用のだしを「栄養成分ナビゲーター」で計算する場合を見てみましょう。

水分は「かつおだし」99.3%、「顆粒風味調味料」1.6%です。

前者はそのままの濃さで使うだし汁、後者は顆粒だしであることが、食品名からだけでなく確認できます。

両者をまちがって選択してしまうと食塩量が実際と大きくずれてしまいます。

このように、計算の際、使用する(した)食品を適切に選ぶための手がかりに水分量を利用することをおすすめします。

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