特別じゃない 一流の頭脳のつくりかた

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今回は精神科医のアンダースハンセンさんの書かれた一流の頭脳について解説していこうと思います。この本の著者であるアンダースハンセンさんはノーベル医学賞を選定する機関であるカロリンスカ研究所で活動し研究の最前線に身を置いていた人です。

精神科医アンダースハンセン著書 一流の頭脳

いきなり質問ですが自分の頭脳に自身はありますか?そう質問されたら、そんな自信なんてないですよ。頭も良くないですし何かやろうとしても集中力がなくて全然続かないし、自分の頭がポンコツすぎて嫌になっちゃいます。生まれつき頭がいい人っていいですよね。羨ましい。僕も優秀な頭脳を持って生まれてきたかったですよ。なんて思い違いしてませんか?それは何か大きな勘違いをしているようです。脳が生まれつきの素質で決まると思っているようですがそれは大きな間違いで生まれつき覚えが早かったり頭の回転が早かったりものすごく集中力の高人っています。確かにそういう人もいますが、しかし実は生まれ持ったものだけで決まるのではなく、後天的に変えていくことができ、そしてそういった脳の機能はある行動することで改善させることができる。この行動することで一流の頭脳に近づける事ができる。それをすれば誰でも一流の頭脳の持ち主になれるっていうことです。

その通りでこの本を読んでそんな一流の頭脳を手に入れるための方法を知り自分でも見違えるほどに脳機能を成長させることができる。そう、そんな方法があるんです。

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脳はアップグレードできる

はじめに大事なことを伝えておきます。脳はアップグレードできるということです。誰でも生まれつき頭の回転が悪かったりしてもこれからどんどん成長させられるって事です。その通りそんな魔法みたいな方法があるならこれで人生挽回出来るかもしれませんよ。

脳機能を向上させるための最も有効な方法は運動するということです。運動?運動するだけだで頭までよくなっちゃうんですか?信じられないかもしれませんが運動は体だけでなく脳機能にも大きな影響を及ぼしています。それがよく分かる実験を紹介してみます。60歳位の被験者たちを二つのグループに分け片方には週に数回のウォーキングを1年続けてもらい、もう片方の心拍数を増やさない程度の軽い運動を続けてもらいました。そしてMRIを使って実験を始める前と運動を1年続けた後の脳の働き方の変化を調べました。結果は、ウォーキングを1年間続けた被験者たちは健康になっただけでなく脳の働きも改善していてMRIの画像を解析すると脳の各領域の連携が強化され脳の働きが若返っていたことが分かったんです。そしてこれは後に行われた若い被験者の実験データでも同じような結果が得られ大きな効果が期待できるんです。しかもそれだけではなく心理テストの結果ウォーキングをしたグループでは自発的に行動したり計画を立てたり注意力を制御するといった機能が向上していたことも分かったんです。

つまり体を活発に動かすと脳が若返りさらには脳機能も向上したということで60歳を対象にした実験でもこれだけ効果があるわけですから今からでも運動すれば間に合うっていうことです。私たちの脳は生まれつきで限界が来ているわけではなく脳の機能は運動によって今からでもどんどんアップグレードでどういうことなんです。運動始めてみようと思ったならは早めに習慣化させてしまいましょう。

ストレスは脳機能を低下させる

脳機能低下させる天敵の存在はストレスです。普段の生活でストレスを感じることがしょっちゅうで仕事のことを考えたり、人間関係の悩みについて考えるだけでものすごく胃が痛くなってませんか。そんなふうにストレスの被害は体に悪影響をあたえ、しかも脳にも悪影響を与えているんです。ストレスを感じると人間の脳内ではコルチゾールというストレスホルモンが分泌されます。このコルチゾールにさらされ続けると脳の海馬、前頭葉といった器官が萎縮してしまいます。もともと海馬、前頭葉は記憶力や空間認識を司る場所でありストレス反応を和らげてパニックを防ぐブレーキのような役割も果たしてくれる器官です。そして前頭葉は抽象的思考や分析的思考を行う場所で簡単に言うと人の理性を司る器官で、海馬と同じくストレスにたいするブレーキの役割を果たしていて、ここが発達していれば気持ちが穏やかになったりストレスを感じにくくなります。しかしさっきも言ったように慢性的にストレスを抱え続けている人の脳はこの二つの機関が萎縮してしまっています。するとストレスに対するブレーキが二つとも効かない状態になってしまいます。こうなるとストレス状態は延々と続きそれがさらに海馬と前頭葉を蝕む負のループが始まり止めようとしてもブレーキが壊れているので暴走列車みたいなってしまいます。

運動で脳が活性化される

でも気合でストレスを感じないようにしろっていうのも無理な話で、そこで運動の出番になるわけです。運動すると海馬の働きが活性化しさらに前頭葉の機能も向上する。そこで運動が出てくるんです。脳の前頭葉、海馬を活性化させてくれるということはストレスに対するブレーキを復活させてくれることになります。つまり運動することによってストレスがストレスを呼ぶという悪循環を断ち切ることが出来るようになるんです。

日常の中で慢性的にストレスを感じているという人は是非ウォーキングなどの運動を日常的に取り入れてみてほしいと筆者は言っています。運動にはコルチゾールの分泌量を減らすということも分かっていて、ストレスに対して過剰反応しにくい体になるということです。つまり人間が運動している時はコルチゾールの分泌量が増える。運動は体に負担をかける活動であり一種のストレスにはなりますがこのストレスは体を動かすために必要な反応でこの場合のコルチゾールの働きは正常で、運動中は筋肉を適切に動かすために血流を増やそうとして心臓の鼓動が激しくなる。すると心拍数と血圧が上昇する運動が終われば体はストレス反応を必要としなくなるとコルチゾールの分泌量は減る。

そして何度も運動を続けていると運動している時のコルチゾールの分泌量はだんだんと増えにくくなっていき、そして定期的な運動の習慣があると運動以外のことが原因のストレスを受けたときでもコルチゾールの分泌量は少ししか上がらなくなるんだそうです。つまり仕事で悩んでいても人間関係のストレスでもストレス反応がだんだんと抑えられるようになってくると言うことです。運動するだけでどんなストレスにも強くなれるなんて最高だと思いませんか?運動習慣をつけることでストレスに対して強い体になっていく、こうなれば日常的にストレスに悩まされたりストレスを過剰に恐れる必要もなくなっていきます。悩むよりまず始めてみませんか?

運動が脳機能に与える具体例

ここからは具体的にどういった脳機能に対して効果があるのか解説していきます。

運動すると集中力が高まる

まずは運動することで集中力が高まるということについて解説します。これは簡単に言うと運動するとドーパミンの分泌量が増え、これによって集中力が上がるというわけです。そもそもドーパミンって気持ち良さを感じるための物質です。確かにドーパミンは解約物質と呼ばれ気持ちよさや心地よさを感じる時に分泌される脳内物質ですがドーパミンの役割はそれだけではなく、実は集中力を保つためには欠かせない物質でもあるんです。例えばカフェで勉強していたとする。カフェの中では人の会話する声や現代BGMなどで少し騒がしい中でも勉強に集中していると目の前の勉強にだけ意識が集中し周りのざわめきが全く聞こえなくなる。それに似たような経験みなさんにもあると思います。勉強じゃなくてもゲームでも好きなスポーツ観戦中でも同じことです。集中力が高まると周りの音が聞こえなくなること、これはドーパミンの分泌量が増えると感覚中枢から伝えられた雑音のボリュームを下げ目の前のことに集中できるようになるからなんです。もちろん集中している間も雑音は脳内には入ってきてはいるんです。しかし集中している間は脳が勝手にこの情報をそぎ落としてしまうんです。ドーパミンって、ただ気持ちよくなれるだけじゃなくてそんな効果もあるんです。

そして運動にはこのドーパミンを分泌させる効果があると運動後の数分後にはドーパミンの分泌量は上がり数時間はその状態が続き運動の後には集中力が高まるんだそうです。ランニングから帰ってきた後は頭の中がすっきりして作業に集中できる気がしませんか?それがまさに運動によって分泌されたドーパミンの効果なんです。

運動はうつ病や気分のムラを取り除いてくれる

運動のメリット二つ目は、うつ病や気分のムラを取り除いてくれるというものです。もともとうつ病の原因はセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンというような人の感情に影響を及ぼす神経伝達物質が不足することだと考えられてきました。だからこれまでは抗うつ剤によってこれらの物質を補うという方法がとられてきました。しかし抗うつ剤によってセロトニンやドーパミンの濃度がすぐに上がるにもかかわらず患者自身の気分が良くなるまでには数週間かかることが多かったようです。 つまりうつ病回復させるために必要だったのはセロトニンやドーパミンじゃなかったってことでは?と考えられ、うつ病の症状を最終的に取り除いてくれるのはセロトニンやドーパミンそのものではなくそこから生成される別の何かでそれはBDNFと呼ばれるタンパク質だということが分かったんです。

BDNF初めて聞く方も多いと思います。これは脳内で構成されるタンパク質とBDNFの役割は、ひとつだけではなくいろんな仕事をしています。脳細胞を守ったりその成長を促したり脳細胞間のつながりを強化し学習力や記憶力を高めることなどがその仕事の一部です。そしてうつ病患者はこのBDNFの分泌量が低いことがわかってきました。さらに運動から回復して精神状態が安定するにつれてBDNFが作られる量も増えていくということが明らかになったんです。ならこのBDNFを含んだ薬を作ってそれを飲めばいいんじゃないですか?と感じますが、残念なことにBDNFは口から取り入れたり血管に注射をしても血液脳関門というバリアを通過することができないんです。ですから脳まで到達しないBDNFは脳内で作り出す必要があるんです。

そしてBDNFを自然に増やせる最も効果の高い方法が有酸素運動なんです。そして運動を続ければ続けるほどBDNFの生産量も増えていきます。しかも嬉しいことにいったん増えたBDNFの量は2日程度では下がらないんです。つまりBDNFを増やすという目的なら毎日欠かさず運動する必要はないんです。 BDNFの効果はうつ病でなくてもやる気にムラがあるというような状態でも改善が期待できると言われています。毎日なんとなくやる気が出にくいことが多いという人にはぜひ運動を試してみて欲しいです。

運動によって創造性が高まる

次に運動することによって創造性が高まるということについて説明します。アイディアは座って考えている時よりも歩きながら考えている時の方が浮かびやすいって御存知ですか?運動することによって創造性が増すという事実は数々の実験でも立証されているんです。その中で非常に大きな結果を報告したのがスタンフォード大学の研究チームが行った実験です。 実験では176名の被験者が創造性を測る数種類のテストを受けた彼らに屋内や屋外で歩き回ったり座ったりといった様々な条件下でテストを受けてもらいました。そしてその結果、歩きながらテストを受けた場合は5人中4人の割合で合格者が出でて、特にブレインストーミングと新しいアイデアを出す能力においては、歩きながらテストを受けた被験者とそうでない人の成績は60%も差があったそうです。すごい効果です。これだけの効果があるなら偶然とは言えなさそうです。クリエイティブな仕事をしている人は運動しながら考えるということを日常に取り入れていることもいいかもしれませんよ。有名な話ではAppleの創業者であるスティーブジョブスも歩きながら会議を行うことが多かったそうです。これにならってシリコンバレーの多くのビジネスエリートもこのウォーキングミーティングを取り入れているそうです。有名な哲学書とかでも歩きながら講義をしたり、散歩しながら考えるって言う人もいました。何かクリエイティブなことを考える時には是非歩いてみてはいかがでしょうか。何か良いアイデアが思い浮かぶかもしれませんよ。

運動は脳の老化を食い止める

運動が脳に与えるメリットでもう一つ注目してもらいたいのが脳の老化を食い止めるということです。脳の司令塔である前頭葉は加齢とともに萎縮し知的な能力が少しずつ失われていきます。しかしこれも運動によって食い止めることができるそうです。前頭葉は、先に説明したもので理性を司っています。加齢による前頭葉の萎縮の進み具合はカロリーの消費量と関わってくるだそうで、つまりよく動いてカロリーを消費する人は加齢による前頭葉の萎縮の進行が遅くなる傾向が高いらしいです。そしてこれはある日、急に思い立って少し走るくらいでは抑えられるもではなくて、何年もかけてカロリーを消費し続けることによって効果が見られてくるものなんだそうで、脳の若返りを目的とするのであれば若いうちから日常的な運動の習慣を持っておく必要があると言う事です。年を重ねてから物覚えが悪くなって困るのも嫌なら今のうちからしっかりと運動習慣をつけておいた方が良さそうですね。

この若返りの効果がよくわかる研究を一つ紹介します。ある研究で2万人もの70~80歳の女性を対象に20年以上にわたって調査が行われた。それによると定期的に運動している女性は座っている時間が長い女性よりも過去の適合音をよく覚えていたという結果が出ているそうです。また集中力や注意力も運動している人の方が高い傾向にあったそうで、しかもこれを年齢で換算すると運動している女性は脳が機能的に3年も若いということが報告されています。要するに運動すれば脳がおよそ3年若返る効果があるということが言えます。70.80歳の方からすれば、たった3年?って思うかも知れませんが高校生活丸々の期間ですから大きいですよ。また毎日意識的に歩くだけで認知症の発生率が40%も減らせることが分かっています。年をとってからボケ老人の真似事えを繰り返すようになる前にウォーキングなどの軽い運動の習慣をつけておくといいかもしれませんよ。

効果的な運動量ってどのくらい?

今までの話を総合して脳に最も効果的な運動量ってどのくらいなんでしょうか?残念ですが現代の研究ではそれに対する明確な答えは出ていないそうです。しかし実験データに基づくいくつかの目安を最後に伝えておきます。まず大切なことはたとえわずかな一歩でも脳のためになるというこです。5分だけでも何かしらの効果はある結果があります。中途半端にやるくらいだったらやらないほうがいいかなとあきらめないで欲しいものです。

しかし少しでも高い効果を得たいのなら最低30分程度のウォーキングをするとのがお勧めです。また脳のための最高のコンディションを保つためには軽いランニングを週に3回位、45分以上行うと良いのだそうです。労働月水金の週に3回だけ仕事が終わって帰ってきたらランニングをするようにすれば最高の効果が得られるって言うことです。またこれらの効果はすぐに実感できるものではないので続けるのは辛いかもしれませんが効果を実感するには、どうしてもある程度の期間は必要だそうです。では具体的にはどれくらいの期間続ければ効果は出てくるんでしではか?これについては週に数回の運動を半年程度続ければ十分に効果を実感できるはずだと言われています。だからこれから運動を始めるたなら最低でも半年は続けることを目標にしてみて下さい。きっと効果を感じてもらえるはずだと筆者は言っています。

最後に

まずは仕事終わりのウォーキングを半年頑張ってみてはいかがでしょうか。脳は運動することによってアップグレードできる。運動によって慢性的なストレスを感じにくくなる。運動はコルチゾールの分泌量を減らす。運動は集中力を高める。運動は気分のムラやうつ状態を改善する。運動は創造性を高める。運動は脳の老化を食い止める。脳のためには最低30分のウォーキングをすると良いと。運動するだけでこれだけの効果を得られるってもう一石二鳥どころの騒ぎじゃないですよね。激しい運動じゃなくていい少しでいいから運動することを日常に取り入れてみてはどうでしょう。昔から言われていますがまずは会社の隣駅で降りて一駅歩いたり休日にちょっと近所を散歩するくらいのことでも効果はありそうです。運動習慣をつけるには無理をせず長く続けることが大事だということですね。

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