人は食べた物で創られる 体の仕組み⑧肺

体の仕組み
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肺は横隔膜(おうかくまく)と協力して呼吸をするための大切なはたらきをしています。そして気管と左右の肺はつながっています。

肺は、空気中の酸素をからだに取り入れ、いらなくなった二酸化炭素を外に出すはたらきをしています。鼻や口から吸い込んだ空気は喉頭(こうとう)を通り、気管(きかん)に入ります。気管は左右の肺のなかに入ると、2つに分かれて気管支(きかんし)となります。気管支はさらに細かく分かれて、その先には肺胞(はいほう)という空気が入った小さな袋(ふくろ)が、ブドウの房(ふさ)のように付いています。

肺のしくみ

空気が入っている細胞(さいぼう)は実に3億〜6億個もあります。

気管支と肺胞(はいほう)

気管支は、肺葉気管支(はいようきかんし)、分節支(ぶんせつし)、小葉気管支梢(しょうようきかんししょう)の3つに分かれており、だんだんと小さくなって行きます。いちばん小さい小葉(しょうよう)のなかのさらに細かい部分を肺細葉(はいさいよう)と呼びます。肺細葉は、卵型をしているものが集まった呼吸気管支梢(こきゅうきかんししょう)と、袋状(ふくろじょう)の肺胞(はいほう)からできています。肺胞ひとつの大きさはわずか10分の1mmほどです。

肺胞は毛細血管が網目(あみめ)のようになっています。 全身をめぐった血液は、肺胞の袋に二酸化炭素をはき出します。 同時に、肺胞の中の酸素が血液のなかに取りこまれます。 肺胞は肺に約3億から6億個あるといわれています。

呼吸が必要な理由

生きるためのエネルギー作りに酸素が絶対に必要だからなんです。

エネルギー

酸素は食べ物と同じにすごく大切で、からだにとって無くてはならないのです。

からだと酸素

人間や動物は生きるために必要なエネルギーを、毎日の食事から吸収し、作り出しています。 食べ物は、口、胃、腸〈十二指腸、小腸、大腸〉を通っている間に、消化液などによって分解され、 体に吸収しやすい養分に変わります。この養分のうちブドウ糖という栄養が、エネルギーの主なもとになります。体の中で、このブドウ糖などの栄養と、呼吸で取り入れた酸素が結びつくと、エネルギーが生まれます。

そして、酸素が使われエネルギーが生まれたあとには二酸化炭素ができます。二酸化炭素は、体内にあると有害なため、肺から呼吸により体の外に吐(は)き出されます。

これは車のしくみににています。車は、ガソリン(たべもの)をとりいれて酸素とけつごうしてエネルギーをつくり車を走らせて二酸化炭素をだします。

呼吸のしくみ

肺は自分の力で空気を吸い込んだり、吐(は)いたりすることができません。肋骨の間の筋肉と、横隔膜(おうかくまく)の動きにより空気を吸ったり吐(は)いたりしています。

【息を吸うとき】
肋骨(ろっこつ)の間の筋肉が伸(の)びると胸壁(きょうへき)が広がり、肺も横に引っ張られてふくらみます。同時に横隔膜が縮んで下にさがるので、肺は下に引っ張られてふくらみます。ふくらんだ肺の中へ空気が入って行きます。

【息を吐(は)くとき】
肋骨の間の筋肉が縮み、胸壁を縮ませるため肺も押(お)されて縮みます。 同時に横隔膜も伸(の)びて上にあがるので肺も下から押しあげられて小さくなります。肺が縮むことで、肺の中の空気が外へ押し出されます。

肺に入る空気の量

肺の大きさは大人と子どもで異なるので、肺に入る空気量も違います。大人は子どもの約2倍くらいの空気量が入ります。

一分間に肺が吸い込む空気の量(大人の場合)

寝ているとき、運動しているときでは、吸う空気の量はちがいます。

通常、安静時に呼吸を1回すると、肺に吸い込まれる空気の量は大人の男性で400〜500ml程度です(小さいペッドボトル1本程)。小学生なら200〜300ml程度です。 人は安静時、1分間に約16回ほど呼吸をするので、大人の男性なら6400〜8000mlの空気を1分間に吸い、小学生なら3200〜4800mlを吸うことになります。

肺の病気

どうして咳(せき)が出る

細菌(さいきん)やウィルスといった異物の侵入(しんにゅう)を防ぐために咳(せき)が出るます。風邪(かぜ)をひいたときなどにもよく出ます。

肺疾患の代表的な例

咳(せき)が出ると、とても苦しいけど、からだを守るためにも咳が出ることをも大切なのなんです。

「肺炎(はいえん)」

【どんな病気】主に肺胞(はいほう)に炎症(えんしょう)が起きた状態をいいます。【主な症状(しょうじょう)は?】咳(せき)、たん、胸の痛み、呼吸困難、発熱、からだのだるさ、食欲がなくなるなど。【原因】細菌(さいきん)やウイルスがふくまれた空気を吸い込んだことにより起こります。 主に肺炎球菌(はいえんきゅうきん)、インフルエンザウイルス、マイコプラズマなどの病原体が原因ですが、ほかにもさまざまな病原があります。健康な状態では、細菌やウイルスが体内に入ってきてもからだの外に出すことができますが、かぜをひいていたり、体力が落ちている時には炎症(えんしょう)を起こしてしまいます。【検査方法】X線検査などがあります。【治療(ちりょう)】抗生物質(こうせいぶっしつ)や抗菌薬(こうきんやく)など、病気の原因によって、合わせた薬を使います。【注意】肺炎はきちんと治療をすれば治る病気ですが、治療が遅れると命に関わることもあります。特にお年寄りや糖尿病(とうにょうびょう)などの慢性(まんせい)の病気がある人は、かかりやすく治りにくいので注意が必要です。

「かぜ症候群(しょうこうぐん)」

上気道(じょうきどう)がウイルスや細菌(さいきん)に感染し、炎症(えんしょう)が起きた状態を「かぜ症候群(しょうこうぐん)」といいます。上気道とは鼻や口、声帯までの範囲(はんい)をいいます。かぜ症候群は、大きく分けると「普通感冒(ふつうかんぼう)と「インフルエンザ」のふたつがあります。

■普通感冒(ふつうかんぼう)【主な症状(しょうじょう)は?】ウイルスや細菌(さいきん)の種類によって症状のあらわれ方がちがいます。 初期・・のどや鼻が渇(かわ)いてむずむずする。からだがだるいなど。 その後・・のどの痛み、せき、くしゃみ、鼻水、発熱、頭痛、食欲の低下など。 腹痛、嘔吐(おうと)、下痢(げり)などが起こることもあります。

疲れていたり、睡眠(すいみん)不足だったりするとかかりやすくなります。 高齢者や子どもはウイルスや細菌(さいきん)と戦う力が弱いため、かぜにかかりやすく、治りにくくなります。【治療(ちりょう)】かぜの症状は、もともとからだに備わっている正常な反応です。
熱・・体内の細菌やウイルスを退治する。
たん・・細菌やウイルスを粘液(ねんえき)に溶(と)かし、弱らせながらからだの外に出す。

  • 症状が軽い場合は、特別な治療をしなくても治ります。
  • ・十分な睡眠(すいみん)をとって安静にする。
  • ・からだを冷やさないようにする。(汗をかいたままにしない)
  • ・消化の良い食事で栄養をとる。
  • ・水分が不足しないようにする。

解熱(げねつ)やせきどめのくすりを使いすぎてはいけませんが、 高熱やひどいせき、頭痛などが続くと体力が弱ってしまうので、それぞれの症状(しょうじょう)を和らげるくすりを使用します。

■インフルエンザ【どんな病気】インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染する流行性の病気です。 普通感冒(ふつうかんぼう)と似ていますが、急激に発症(はっしょう)し、38〜40度の高熱が出るのが特徴(とくちょう)です。だるさ、筋肉痛、関節痛なども強く、これらの激しい症状は通常5日間ほど続きます。脳症(のうしょう)や心不全(しんふぜん)を起こし、命に関わることもあります。高齢者(こうれいしゃ)、乳幼児、妊婦(にんぷ)、持病のある人は重い症状(しょうじょう)になりやすいので気をつけなければなりません。

注:最近ではインフルエンザの薬が普及し、解熱までの時間が短くなりました。しかし、熱は下がっても患者さんから感染力のあるウイルスが出ていることも多く、インフルエンザを発症した際の学校の出席停止期間について見直しが行われています。感染を広げないためにも、周囲の人にインフルエンザをうつさないことが大切です。【原因は?】インフルエンザウイルスはA・B・C型がありますが、流行するのは主にA型のソ連型・香港型とB型です。 ウイルスがくしゃみで飛び散って、大勢の人の鼻や喉(のど)の粘膜(ねんまく)について、感染します。【検査方法】医療機関(いりょうきかん)で行う検査キットにより、およそ10〜15分で判定できます。 ただし、ウイルスは症状(しょうじょう)が出た初日と4日目以後の検出率は低い傾向がありますから、通常2日目あたりまでに検査をしないと正しい結果が得られない場合もあります。また、肺炎の疑いがあればX線検査をします。

【予防】

  • ・インフルエンザが流行する前にワクチン接種を受けることが効果的です。特に高齢者や子ども、持病のある人は、インフルエンザにかかった場合にも症状(しょうじょう)が重くなることを防ぐことができます。
  • ・A型ソ連型・香港型、B型の3種類の混合ワクチンなので、新型ウイルスが出現しなければこのうちどの型が流行しても効果があるといわれています。
  • ・接種してから実際に効果があらわれるまでに約2週間かかります。インフルエンザの流行期間がほぼ12〜3月なので、11月中旬頃までには接種を終えておくとより効果的です。
  • ・インフルエンザの流行期間には人ごみを避(さ)け、うがいや手洗いをしっかり行いましょう。インフルエンザウイルスは湿度に弱いので、加湿器などを使って部屋の湿度を保ちましょう。

【治療(ちりょう)】抗(こう)インフルエンザ薬
インフルエンザウイルスの症状(しょうじょう)を軽くします。症状が出てからなるべく早く服用する事が大切です。細菌(さいきん)の二次感染がある場合には、抗菌薬(こうきんやく)を使います。

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