日本には数多くの迷信があり、その多くは科学的根拠がないにもかかわらず、長い歴史の中で現在の日本文化の一部となり日常生活に溶け込んでいます。それは、迷信や言い伝えが適当な作り話ではなく、いつもと違った現象から先を読むことを生活の中で作り上げていった先人の知恵であり、現代にも通じることが多いからだと思います。
そんな昔から言い伝えられている日本の迷信を調べてみました。迷信を信じない人も、言い伝えが生まれた由来を知ることは、日本文化や歴史を垣間見ることができ、いかに迷信が人々の暮らしに寄り添っていたかを感じるきっかけになるでしょう。そして、意外にも迷信はあなたの中に浸透し心に抱いていることを感じるかもしれませんよ。
夜に口笛を吹くと蛇が出る
「夜に口笛を吹くと蛇が来る」という迷信がありますが、実際の蛇は耳がなく音を感知しないため口笛を吹いてもやってきません。諸説では、口笛は良いことがあった時に吹くことが多いため、近所から妬まれることを嫌い、妬みの象徴である「蛇」を用いて言い伝えが広まったと言われています。
また一説では、「蛇」を音読みした「じゃ」つまり「邪」が本来の意味であるとされ、夜に口笛を吹くと邪悪なもの、つまり霊を呼び寄せると昔の人は信じていたといいます。
下の歯が抜けたら屋根の上に投げる、上の歯が抜けたら床下に投げる
子どもの健やかな成長を願い古くから言い伝えられている迷信は、日本各地に広く伝わっており地域性があるのが特徴です。日本で一般的な、上の乳歯を縁の下へ、下の乳歯を屋根の上に放り投げるという儀式は、新しく生えてくる永久歯がその方向へ伸びていくことを信じていたからだと言われています。またその際、丈夫な歯にあやかり「ネズミの歯のように強くなーれ」「スズメの歯のように強くなーれ」など願いをかける言葉にも各地で特色が出ています。
雷が鳴ったらへそを隠す(雷様がおへそを取りに来る)
ただの風邪が命取りだった時代、夏場突然の雷雨で急に気温が下がった時、薄着をしている子どもがお腹を冷やさないよう「雷様がおへそを取りに来る」と脅かして体調管理をさせたことがこの迷信の由来の1つだと言われています。
また、へそを隠す姿勢は、頭を下げ背筋を丸めるため、自然と前かがみになり雷から身を守ることができるからと諸説にあります。つまり、雷は電柱や木など高いところに落ちやすいと言われているため、体勢を低くすることで雷が落ちにくくなるのです。
食べてすぐ横になると牛になる
「食べてすぐに横になると牛になる」ということわざは、日本では古くから親から子へ言い伝えられとても身近な迷信の1つです。そもそも牛は食事をした後すぐに横になるという習性があり、そこから、食事の後すぐに横になってしまうと牛のようになり、行儀も悪いので、そのことを戒めた言葉として広がりました。
また、食べてすぐに横になって寝てしまうことは、逆流性食道炎の危険など消化吸収に悪影響がでるという戒めとしても使われています。
丙午生まれの女性は夫を早死させる(気性が激しい)
江戸時代、丙午生まれの八百屋のお七が、恋人と会いたいが一心で放火し、その後火あぶりの刑に処されたことからこの迷信が生まれました。これは昭和後期まで日本に大きな社会的影響を及ぼし、実際の統計でも丙午年には出生率が大幅に減少しています。
もともと「丙午には火事が起こりやすい」と言われ、そのような年に生まれた子どもは気性が激しくなると言い伝えがあったなか、夫を早死にさせるという迷信までが広まったため、丙午生まれが敬遠される風潮が広まったと考えられています。
風邪は人にうつすと治る
風邪を人にうつすと自分が治るとう医学的根拠は全くなく迷信の一つに過ぎませんが、このように言い伝えられてきたのは次の理由が考えられています。風邪はウィルスが鼻やのどから侵入し体内で増殖することにより発症しますが、発症までの潜伏期間が3日から7日あるので、先に風邪を引いた人が治る頃次に感染した人が発症し、それがあたかも自分の風邪を人にうつしたことで治ったように感じることがあげられます。昔の人がこの様子を見て言った言葉が現代まで伝わったということでしょう。
最後に
日本には、まだまだたくさんの言い伝えや迷信があると思います。全国的に広まっているものや各地方に根強く生き抜いているもの各ご家庭内だけのものなど様々です。そんな言い伝えや迷信をもっと共有出来たら面白いかもしれませんね。私も申し越し調べていきたいと思います。
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