食品添加物⑦ 食物廃棄削減に貢献? 保存料

食品添加物

保存料とは、食品中にいる細菌の増殖を抑制し、変質、腐敗を防ぐ食品添加物の一種で、殺菌作用はない。なので菌が増殖した後で使用しても効果がなく 主にサラミやウィンナーなどの食肉製品、菓子類および漬物など様々な加工食品に使われています。ただし豆腐や精肉などの生鮮食品に使われることはそうです。

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  1. ポリリジン
    1. ポリリジンとは
    2. ポリリジンの食品添加物としての用途
    3. ポリリジンの危険性
  2. 酸化防止剤
    1. ワインの酸化防止剤の害や危険性
    2. 酸化防止剤とは
      1. 酸化防止剤の原理とは
    3. 酸化防止剤の種類や原料
      1. 水溶性酸化防止剤
      2. 脂溶性酸化防止剤
    4. 化粧品に使われている酸化防止剤
    5. ワインの酸化防止剤
      1. ワインに使用される酸化防止剤の害と危険性
      2. ワインは適量を心がけて
  3. トレハロース
    1. トレハロースとは
    2. トレハロースの特徴
    3. トレハロースの効果と用途
    4. 家庭での使い方
    5. トレハロースの危険性
  4. 二酸化硫黄
    1. 二酸化硫黄とは
    2. 二酸化硫黄の臭い(におい)
    3. 二酸化硫黄の性質
    4. 食品添加物としての用途
    5. 使用されている食品。使用が禁止されている食品も。その理由とは
      1. 保存料として
      2. 漂白剤として
      3. 酸化防止剤として
  5. ナイシン
    1. ナイシンとは
    2. ナイシンの食品添加物としての用途
    3. ナイシンの危険性
  6. 安息香酸ナトリウム(安息香酸Na)
    1. 安息香酸ナトリウムとは
    2. 食品添加物としての用途
    3. 毒性や危険性の問題
    4. 使用されている食品や使用基準
      1. 【使用基準】
      2. 安息香酸
      3. 安息香酸ナトリウム
    5. 使用されている化粧品とその毒性
      1. 安息香酸ナトリウムが使われている化粧品について
      2. 安息香酸ナトリウムを化粧品に使用した場合の毒性
  7. グリシン
    1. グリシンとは
    2. 食品添加物としての用途や効果
    3. 基準となる摂取量や副作用
  8. グリセリン
    1. グリセリンとは
    2. グリセリン脂肪酸エステルの種類
    3. グリセリンの用途や使用されている食品
  9. ナタマイシン
    1. ナタマイシンとは
    2. チーズに使用する目的
    3. ナタマイシンの危険性
    4. 関連

ポリリジン

ポリリジンは、コンビニのおにぎりや駅弁などに保存料として使用されている食品添加物の一つで、安全な物質であるとされている一方、人体への影響は不明とする指摘もあります。身近な食品に多く使用されているだけに、その安全性を調べてみました。

ポリリジンとは

ポリリジンとは、放線菌という微生物を発酵させることで製造される物質です。これは、1970年代に大阪府立大学の酒井教授が確立したとされています。

ポリリジンは吸湿性が強く、淡黄色の粉末で、わずかに苦味があると言われています。
ポリリジンには種類があり、中でも食品添加物として使用されているものはε−ポリリジンです。

日本では1985年に食品添加物としての認可を受け、今日まで使用されています。2004年にはアメリカでも、「一般に安全と認められる物質」とされて認可され、他に韓国などでも使用されています。ちなみに、ポリリジンを利用していることを表示する際は、「保存料(ポリリジン)」などと用途と物質名を明記することになっています。

また、ポリリジンには使用基準が設定されておらず、制限がないため非常に多くの食品に使用され、その他にも、α−ポリリジンとして、細胞培養を行う際の表面コート剤として利用されています。細胞培養を行う上で、ガラスやプラスチックをコーティングするために使用されているようです。

ポリリジンの食品添加物としての用途

ポリリジンは、主に食品添加物に使用されます。特に保存料として、細菌や酵母などの発育や増殖を抑えたり、食中毒を予防したりするために使用されることが多いようです。ポリリジンはご飯を腐らす枯草菌など多くの細菌に有効である一方、カビには効果がないとも言われています。また、食品に添加される際は、ポリリジン単体ではなく、他の食品添加物と併用することで、食品それぞれにより適合した効能を持たすことができるとされています。

ポリリジンには耐熱性があるので、加工食品に広く使用されています。具体的には、米飯、菓子類、惣菜、麺類、寿司、刺身用の魚の切り身などが挙げられます。中でも特に使用が多いのが、巻き寿司や弁当類とされています。

ポリリジンの危険性

ポリリジンは慢性毒性と言われていますが、一般的には安全とされています。そして、食品添加物としての使用基準の設定及び使用量の制限がないことからも、安全性は高い方であるとみてよいと思われます。

ただ、微生物が原料であるために、その他の物質が混入している危険性があります。また、危険性に関しては十分なデータがないという指摘もあります。これらのことから、すべての添加物に言える事ですが、ポリリジンが含まれている食品を過剰に摂取するのは控えておいたほうが良いかもしれません。

酸化防止剤

ワインの酸化防止剤の害や危険性

ワインって、お酒の中でもちょっとお洒落に感じますし高級なディナーで楽しんだり、特別な日のプレゼントに贈ったり、ワインを職業にしている人も多くいます。ワインに詳しいと、お酒を飲まない人からも一目置かれることも珍しくありません。
そんなワインですが、あけたら飲みきらないといけないという印象がとても強いのではないでしょうか。それほど、ワインというのは酸化しやすい飲み物と言われています。
ワインに使われる酸化防止剤がないと、ワインは作れないのでしょうか。
そもそも、酸化防止剤って何を使い、どういう原理で作られているのか私たちの身体に害や危険性はないのか、調べてみました。

酸化防止剤とは

酸化防止剤の原理とは

長期保存食品のほとんどが真空パックや冷凍にされていることからもわかるように、食品は、酸素に触れると傷んでしまいます。
それを酸化というのですが、酸化防止剤とは、その名のとおりこの酸化を防止する、つまり、食品が空気に触れて傷んでしまわないようにするものです。
酸化防止剤を添加すると、その添加物が酸化することにより、食品の酸化を防いでくれます。酸化防止剤は食品添加物の一種で、使用した場合は酸化防止剤と明記することが義務付けられています。

酸化防止剤の種類や原料

酸化防止剤には、水溶性と脂溶性の二種類があり、水に溶ける物質か、油脂に溶ける物質かに分けられ添加する食品に応じて使用されます。

水溶性酸化防止剤

果物の加工品やお茶、清涼飲料水など油を使わない食品にもちいられます。代表的な原料は、アスコルビン酸・亜硫酸塩・エリソルビン酸・ビタミンE(VE)などです。

脂溶性酸化防止剤

インスタントラーメンや惣菜、お菓子などの油を使った加工品に使用されます。代表的な原料は、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)・BHT(ジブチルヒドキシトルエン)・没食子酸プロピル・トコフェロールやトコトリエノールなどのビタミンE(VE)などです。

化粧品に使われている酸化防止剤

酸化防止剤は、食品だけではなく化粧品にももちいられています。
目的は、悪臭(酸化臭)と酸化による成分の変質を防止すること。それから、肌が酸化するのを防ぐ効果を付け加えるためです。

ワインの酸化防止剤

ワインには水溶性の酸化防止剤が添加されているのでしょうか。
実は、ワインの場合、酸化防止剤を添加しているというよりも、成分の中に酸化防止剤の役割を果たすものが含まれているのです。
その物質とは、亜硫酸と二酸化硫黄。これらが酸化防止剤として防腐や保存に役だっており、ワインの酸化を防いだり、微生物の増殖や活動を抑制したりしています。

ワインに使用される酸化防止剤の害と危険性

ワインは日本国内で生産されるものと日本国外から輸入されるものの2種類があります。日本国内で生産される場合、添加される保存料や酸化防止剤などの食品添加物は日本の法律(食品衛生法)に則り、使用基準を守って流通します。
しかし日本国内以外から輸入されるワインは基本的に製造された国の法律に則って製造されています。ワインの輸入国はフランス、イタリア、スペイン、アメリカ、チリが大半を占めていますが、それぞれ食品に関する法律が違います。
日本国内で流通させるためには日本の法律に準拠したものでなければなりません。

輸入食品には日本では使用が禁止されている発色剤、着色料、保存料等の食品添加物が使用されている場合があります。例えば過去、以下のような違反例があったそうです。

ワイン:ソルビン酸の過量使用、二酸化硫黄(酸化防止剤)の過量残存
ワインクーラー:安息香酸(保存料)の対象外使用

ソルビン酸は合成保存料です。ソルビン酸は非常に不安定な物質で空気中の酸素と結合し別の物質に変化します。
二酸化硫黄は前述した通り酸化防止剤です。二酸化硫黄は別名亜硫酸ガスといって車の排気ガスや工業活動、また火山活動のような自然界でも発生することがある物質です。

過去に違反があったことでジェトロは注意を呼びかけていますが、発覚しなかったものや非常に古いワインなどに日本の基準値を超えているものが含まれている可能性はあります。ちなみにここ10年で7倍に輸入量が増えたワインにチリ産があります。チリ産ワインは為替の影響などもあり非常に安いため2015年にはわずかですがフランス産を上回り輸入量1位になっています。そんなチリの食品に関する規制は、食の国際規格であるコーデックスに則っているようです。

ワインは適量を心がけて

酸化防止剤には、安全なものと、危険性が高いもの、ある一定量をこえると体内から排出されるものなどいろいろあります。
しかし、含まれている酸化防止剤が一体何なのか、確実に知るのは難しいでしょう。
もともと、ワインなどの飲料はついつい飲みすぎてしまう傾向にあるので、できれば量をとり過ぎないように気をつけるといいです。大抵の場合、過剰摂取にならなければあまり心配することはありません。

トレハロース

トレハロースは、植物や動物、微生物の体内にも存在する天然の糖質です。1800年代に海外でライ麦から発見され、食品に添加することに関して優れた特性を多く持っていることから、たくさんの食品や飲料に利用されています。

トレハロースとは


トレハロースとは、ブドウ糖の2つの分子がα、α–1、1でグリコシド結合した構造の糖類のことをいいます。

トレハロースは自然界にも多く存在しており、海藻類やキノコなどに多く含まれていることが分かっています。また、エビやハチ、チョウ、バッタなどの昆虫類にもトレハロースがあることが確認されています。ちなみに、ヒトは体内で生成することはできませんが、腎臓や小腸で消化吸収できるとされています。

トレハロースは、1832年にウィガーズによって発見されて以来、実用化に向けて様々な研究が進められていましたが、その抽出は難しく、当初は大変高価な物であったようです。しかし、1990年代になると、岡山県の株式会社林原がトレハロースをデンプンから大量生産できる手法を確立したことにより、様々な食品や飲料、その他の分野にも応用できるようになったと言われています。現在は日本をはじめ、アメリカやEUなど世界でも多くの国で使用が認められています。

トレハロースの特徴

トレハロースは、常温で白色の粉末の形状をしており、水によく溶ける性質があります。糖類ですが、その甘味度は砂糖の45%程度と言われています。口にしたとき、甘さがさほど残らず、上品ですっきりとした後味とされています。ただし、カロリーは砂糖とほぼ同様であるとされているので、同じような甘さにするためには多く摂らないと満足感が得にくいかもしれません。

また、トレハロースは甘いだけでなくデンプンの劣化防止、高い保湿性、タンパク質変性の抑制、脂質変敗抑制、加熱・加工臭の防止、冷凍食品の劣化防止などさまざまな機能を持っているのも特徴です。

トレハロースの効果と用途

トレハロースは、甘味料というよりは食品の保存料や品質保持剤としての用途が多いようです。デンプンを使用した食品の劣化を防ぐため、食感がパサパサせずに、硬くなるのを遅らせるという効果があり、パンや菓子、コンビニのおにぎり類に使用されています。

その他にもタンパク質や脂質に対しても品質を保持することができるため、水産加工品や畜産加工品、レトルト、冷凍食品にまで使用することができます。さらに、熱や酸に対しても耐性があり、安定している物質であることから、キャンディーやクッキーなどの乾燥した菓子類に使用されています。

食感や味も損ないにくく、しかも甘味が控えめであることから食材の味をうまく活かすことができるため、食品メーカー側からすると、トレハロースは非常にありがたい物質であると言えます。トレハロースには保湿性があるため、食品に使用すると乾燥を防いでくれ新鮮さを保ってくれます。この高い保湿性は、食品以外に基礎化粧品や入浴剤に利用されており、幅広い用途で使われており、さらには、タンパク質を保護する作用があることから医療の現場で用いられたりもしています。

また、2013年にトレハロースのメーカーである株式会社林原の研究では、トレハロースには脂肪細胞の肥大を防ぐなどのメタボ予防効果があることを発表するなど、さまざまな研究が進められています。

家庭での使い方

トレハロースは、専門店やインターネットで誰でも簡単に手に入れることができ、さまざまな家庭料理を手軽においしくしてくれます。

ごはんを炊く時に一緒に入れると、ふっくらと炊き上がり、保湿性が高いためお弁当やおにぎりなど時間がたってもおいしくいただけます。野菜に使用する場合には、トレハロースの水溶液に30分程度浸しておくだけでとシャキッとした新鮮な触感を簡単に保てます。他にも、卵料理や煮物、揚げ物など幅広い料理に活用できるのでぜひお試しください。

トレハロースの危険性

トレハロースには、急性毒性や変異原性などの安全性試験でも異常は見られず、危険性は低い物質とされています。そのため、現在、世界機関による一日摂取許容量や国による使用基準などは設定されていません。

とはいえ、すべての添加物に言えることですが、大量摂取には注意が必要です。まずカロリーについてですが、トレハロースのカロリーは4キロカロリーで砂糖と同じカロリーですが、甘味度は砂糖の45%程度なので砂糖のような甘味が欲しい時にはカロリーを取り過ぎてしまいます。

また、一度に大量摂取すると、お腹がゆるくなることがあり、腹痛や下痢を起こしてしまう可能性があると言われています。トレハロースは、食品に加えられている程度の摂取ならば、とりあえず健康に影響することはあまりないと考えてよいでしょう。

ただし、糖尿病の方は注意が必要です。トレハロースは緩やかながらも血糖値を上げてしまうため、血糖値を上げない人工甘味料の替わりに使用することはできませんのでご注意ください。

二酸化硫黄

二酸化硫黄は、自動車の排気ガスに含まれる物質であり、公害や環境汚染をもたらす可能性のあるものとして知られています。一方、食品添加物として、食品や飲料の酸化防止や保存、漂白などに使用されていることもあり、私たちも普通にそれを摂取していますが、これには健康への影響が懸念されます。

二酸化硫黄とは

二酸化硫黄は、刺激臭のある無色の気体で、別名で亜硫酸ガスとも呼ばれています。車の排気ガスや工業活動、また火山活動のような自然界でも発生することがあります。

二酸化硫黄は酸性雨や公害の原因にもなる毒性の強い物質です。かつて、日本における有名な公害で足尾銅山鉱毒事件、四日市ぜんそくなどがありましたが、これらの発生原因は工業活動などの影響で、二酸化硫黄が発生したことによるものとされています。

二酸化硫黄は、私たちの体内に入ると、せきや気管支炎、気管支喘息などを引き起こします。また、動物実験により胃から出血したり、体重が減少したりする可能性があることも分かっています。一定量の二酸化硫黄が含まれているワインを毎日ラットに飲ませるという動物実験を行ったところ、肝臓に障害がみられたという結果もあります。また、発がん性や催奇形性、腎臓への障害なども心配があるとされています。さらに、水に溶けると亜硫酸になるので、それを摂取した場合に胃腸を刺激され、腹痛や下痢を引き起こす可能せもあります。

人体にとって有害であることが明らかになっている二酸化硫黄ですが、衣類や紙の漂白剤や殺虫剤、また食品添加物としての用途があります。

二酸化硫黄の臭い(におい)

二酸化硫黄は刺激臭が強いと言われます。では実際にどんな臭いかというと、二酸化硫黄の臭いは火山の噴煙や温泉を思わせる臭いです。また温泉街に行くと腐った卵のような臭いがしますよね。あの臭いを思わせる臭いです。

日本には活火山がいくつかありますが、例えば長野県の浅間山が噴火したときはたくさんの二酸化硫黄が放出されたそうです。浅間山とは限らず三宅島や伊豆大島の噴火の際にも火山ガスと共に二酸化硫黄が観測されています。火山が噴火のする時のあの温泉の硫黄のような臭いを思わせる臭いが二酸化硫黄の臭いです。

二酸化硫黄の性質

硫黄の粉末に火をつけて乾いた臭気ビンの中で二酸化硫黄を発生させて、その性質を調べた実験から得られた二酸化硫黄の性質は、

  • 気体となっては発生した二酸化硫黄は腐った卵のような刺激的な臭いがあり無色である。
  • 蒸留水を加えてみた結果、水には溶けやすい性質であり、その水溶液は酸性を示すがしばらくすると白くなることから漂白性がある。
  • ほかの物質と反応させてみた結果、二酸化硫黄は還元剤として働き、また酸化剤として働く性質がわかる。
  • 有毒を発する。

このような性質のほかに、紫外線を吸収すると蛍光を発する性質があります。その性質を利用して環境省では、その蛍光の発色の強さをもとに、大気に含まれている二酸化硫黄の量を測り大気汚染の尺度にすることがあります。

また生態系に悪影響を及ぼすと言われる酸性雨の原因のもとを作り出す性質があります。火山活動や人為的に燃焼させた燃料よって放出される二酸化硫黄(そのほか窒素酸化物など)は大気中で光化学反応などの化学反応をおこして硫酸や硝酸に変化する性質があり、変化した物質が雨や雪などに溶け込み酸性雨となって降り生態系に悪影響を及ぼすことがあります。そのため世界の気象を観測する拠点では大気観測の測定の物質として観測しています。

ちなみに二酸化硫黄の特徴となる性質ではありませんが、火山噴火の際には火山ガスと一緒にたくさんの二酸化硫黄も放出されることから、気象庁は火山口から放出される二酸化硫黄の放出量を調べて火山活動の参考にされている物質でもあります。

食品添加物としての用途

二酸化硫黄は昔から防腐剤やワインなどの保存に使用されてきました。古代ローマ時代に遡ると、ワインを作るため樽に亜硫酸ガスを発生させていたとも言われています。

ただ、二酸化硫黄が食品に加えられるのは、防腐の目的ではなく、見た目を良くしたり、殺菌をしたりする意味合いが大きいようです。具体的には、食品添加物として保存料、漂白剤、酸化防止剤などに使用されています。また、干し柿が作られる際に保存性を高めるために、粉末を吹きかけることがあるようです。

使用されている食品。使用が禁止されている食品も。その理由とは

二酸化硫黄が使用されている食品例を紹介します。

保存料として

まず、保存料として使用されているのが果汁、ジュース類、ワインなどです。特にワインは製造過程において大切な役割を果たしているとされています。

漂白剤として

漂白剤として使用されているのが、かんぴょうや煮豆、甘納豆などです。

酸化防止剤として

酸化防止剤として使用されていることがあるのが、エビやカニ、ドライフルーツなどです。

ただし、二酸化硫黄は人体にとって有毒であるとされているため、これらは使用基準が決められており、使用量も食品ごとに制限があり、私たちの食卓に届くまでには厳しい検査を経ているものとされています。
そして、二酸化硫黄はゴマや豆類、野菜には使用が禁止されています。二酸化硫黄でこれらを漂白する目的で使用することは、それらの品質や鮮度に関して、消費者の誤解を招く可能性があるからとされています。

ナイシン

ナイシンとは、乳酸菌からつくられる抗生物質のことを言います。ナイシンは食品の保存料として添加されることがありますが、その使用は限定的です。ナイシンとは一体どのような物質で、食品添加物としてどんな食品に使用されているのでしょうか。

ナイシンとは

ナイシンとは、乳酸菌の発酵によって生成される、ペプチド性の抗生物質のことを言います。ちなみにペプチドとは、アミノ酸が結合した物質のことを言います。

ナイシンは構造が複雑で、化学合成を行って生成するのが困難とも言われていますので、通常、商業的に生成されるときには牛乳などを培養したり、発酵大麦エキスなどを発酵させたりして生成しています。

食品添加物としては、保存料の用途で使用されており、日本では2009年に認可されています。その他の用途としては、化粧品や健康食品などに使用されることがあります。

ナイシンは、海外においてはがんへの効能があるのではないかという見方がなされています。まだ動物実験の段階ではあるようですが、ナイシンは既に食品添加物としての利用があるため、ヒトへの適用も時間の問題であるとされているようです。

食品添加物といえば、毒性や危険性を懸念する向きがありますが、この物質にはむしろその逆とも言える、思わぬ効能が見出されつつあるのです。

ナイシンの食品添加物としての用途

ナイシンは、グラム陽性菌の成長を抑えて、食品を長持ちさせる目的でプロセスチーズや肉類、飲料などに食品添加物として使用されています。国による使用基準が設定されているため、食品への使用は限定的になっています。また、毒性など安全性に関する実証は未だ十分ではないようです。

ナイシンの危険性

ナイシンには毒性はないとされていますが、国による使用基準やADIが設定されています。抗生物質であるため、体に有害な細菌を殺す働きをしてくれますが、一方では腸内細菌などの常在菌までも減少させてしまう恐れがあります。また、ナイシンを摂取することで耐性菌を発生させてしまう可能性も考えられます。

海外では、以前からナイシンの食品添加物としての使用用途はチーズ、乳製品、缶詰など限定的でしたが、日本は従来、大豆製品や魚卵、魚介乾製品など、より多くの食品に使用されていました。

しかし、国内で様々な論議があったため、使用基準が設けられ用途も見直されることになりました。現在の使用基準でナイシンの使用が認められている食品類は、食肉製品、チーズ、ホイップクリーム、ソース類、ドレッシング、マヨネーズ、洋(生)菓子、卵加工品、味噌とされており、使用量にもそれぞれ制限があります。

ナイシンは食品添加物である一方で、薬としての機能も併せ持つ物質であるがゆえに、どのような反応が起きるかわからない面もあるため、摂取のしすぎは好ましくないと思われます。

安息香酸ナトリウム(安息香酸Na)

安息香酸ナトリウムは菌やカビ、微生物の繁殖を抑える効果があるため、シャンプーや化粧品などに防腐剤として配合されるだけでなく、清涼飲料水や一部の食品に保存料として使用されています。

安息香酸ナトリウムとは

安息香酸ナトリウム(略して安息香酸Na、英語ではSodium benzoate)は、安息香酸(英語ではBenzoic asid)にナトリウムを結合させたもので、エゴノキ科アンソクコウウキの樹脂に成分が含まれていますが、現在は化学物質で合成されています。

カビや酵母に効果があるため、保存料として使用されます。安息香酸は水に溶けにくいため水溶性の安息香酸ナトリウムがよく用いられます。水に溶けやすい安息香酸ナトリウムはシャンプーや化粧品などに配合されており、微生物の繁殖を抑え、品質を保持するための防腐剤として使用されています。

食品添加物としての用途

食品や飲料には1948年に厚生労働省より食品添加物に指定されました。安息香酸ナトリウムには、細菌やカビの繁殖を抑制し阻止する抗菌作用や静菌作用があるため、保存料として清涼飲料水などが腐るのを防ぐために使用されています。

毒性や危険性の問題

安息香酸ナトリウムは食品添加物の中でも危険な物質と言えます。
安息香酸ナトリウムとビタミンCが結合すると危険物質であるベンゼンが生成されます。

ベンゼンの急性中毒症状として嘔吐や頭痛、運動失調など重症になると意識障害や死亡に至る場合もあり、発ガン性や白血病のリスクを高め、体内に入ると外になかなか排泄されないという特徴があります。2006年にイギリスの清涼飲料水に安息香酸ナトリウムと酸化防止剤としてビタミンCが使用されており、この2つが化学反応を起こしベンゼンが生成されていました。

現在日本では、ベンゼン含有の安全ラインが定められているため流通はしていませんが、安息香酸ナトリウムが保存料で使用されている清涼飲料水とビタミンCを一緒に摂取した際、体内でベンゼンが発生しないとは言えません。

使用されている食品や使用基準

アメリカやヨーロッパでは幅広く食品に使用が認められていますが、日本国内では安息香酸はマーガリンやキャビア、シロップ、醤油、清涼飲料水のみに使用が認められており、安息香酸ナトリウムは、清涼飲料や菓子の製造に用いる果実ペーストや濃縮果汁にのみ使用が許可されています。また、安息香酸及び安息香酸ナトリウムは対象ごとに使用量が設定されています。

【使用基準】

安息香酸

  • マーガリン:食品1kgあたり1.0g以下
  • キャビア:食品1kgあたり2.5g以下
  • 清涼飲料水:食品1kgあたり0.60以下
  • シロップ:食品1kgあたり0.60以下
  • 醤油:食品1kgあたり0.60以下

安息香酸ナトリウム

  • 果実ペーストや濃縮果汁:食品1kgあたり1.0以下

使用されている化粧品とその毒性

安息香酸ナトリウムはシャンプー、ボディーシャンプー、石鹸、化粧品、香水、練り歯磨き粉、入浴剤などの中に防腐剤の有効成分として使われています。このような商品の成分はカビや細菌が繁殖しやすい成分が多いので品質劣化を防止するために防腐剤を添加しているものが多いのです。

安息香酸ナトリウムが使われている化粧品について

安息香酸ナトリウムが防腐剤として化粧品の有効成分として利用されているものは、その商品に成分表示に「安息香酸Na」という名称で記載されています。

現在化粧品(化粧水、保湿クリーム、ファンデーション、マスカラなど)やシャンプー、香水などの商品についてはほとんどのメーカーでその商品に使用する全成分を表示する場合が多く、商品を購入する際は、成分表示に何が防腐剤に使われているか消費者も確認することができます。

たとえば化粧品の大手メーカー資生堂は、化粧水、乳液、保湿クリーム、ファンデーション、口紅、マスカラなどすべての商品において全成分表示しています。その中には安息香酸ナトリウムを防腐剤に利用している商品もあり、その商品には成分表示に「安息香酸Na」と記載されています。

ただしほかにも防腐剤はあるので、この名が記載されていないから防腐剤が入っていないというわけではありません。資生堂の商品の中でも安息香酸Naを防腐剤として安定性をはかっている商品もあれば、違う成分を利用している商品もあります。

ちなみに安息香酸ナトリウムが有効成分として使われている資生堂の商品では、コマーシャルでよく目にするシャンプーの「椿」の中に安息香酸ナトリウムが防腐剤として利用されています。

安息香酸ナトリウムを化粧品に使用した場合の毒性

安息香酸ナトリウムを化粧品の防腐剤の有効成分として使用した場合、化粧品を製造もしくは販売している会社に提供されている多くの資料には、健常な皮膚に対して毒性はほとんどなく、刺激性もないという安全性のデータ報告の資料が届けられています。

その内容の中には健常な皮膚に対してはアレルギーが起こったという報告もされていません。そのため商品を開発するメーカーでは化粧品配合範囲以内で有効成分として使用する限りでは安全性の高い成分だとしています。

このように安息香酸ナトリウムに関する毒性については心配ないという報告が上がっていますが、しかしながら化粧品の使用に関しては、敏感肌であるなど個人によって様々な症状が起こりうる可能性があり、防腐剤に反応を起こしてしまう人もいるため、その選択には個人で注意し自分の肌に合った商品を使用するようにすすめるところです。

グリシン

グリシンという言葉は聞いたことがあるでしょうか。恐らく多くの人にはあまり馴染みのないものかもしれません。しかし、このグリシンは意外にも私たちの暮らしに関わる様々な用途に使われているのです。

グリシンとは

グリシンとは、アミノ酸の一つであり、私たちの体内で合成できる物質です。グリシンは、従来から睡眠改善に役立つとされており、サプリも販売されています。また、食べ物から摂取することもでき、エビやホタテ、牛スジや鶏の軟骨などに多く含まれているとされています。

グリシンは、1800年代に欧州で発見されましたが、その効能とされている睡眠改善効果については21世紀に入ってから、偶然発見されたために研究がなされるようになったと言われています。

グリシンは、美肌をつくるのに欠かせないコラーゲンを構成する約3分の1のアミノ酸であり、保湿効果や身体に有毒な活性酸素の生成を防止する役割もあるとされています。女性にとっては摂取することで嬉しい効果の多い物質と言えるかもしれません。

食品添加物としての用途や効果

グリシンは、元々私たちの体内でも生成されていることから、比較的安全性の高い物質と言えます。

食品添加物としてグリシンは調味料としての役割、栄養強化としての役割があります。国が定めた使用目的とは異なりますが、保存料、着色料や香料としての効果も併せ持ちます。またミネラルなどの吸収を促進するキレート作用の利用など、様々な用途に利用されています。グリシンそのものに自然な甘味や旨味があることから、食品添加物には使用されやすいようです。

その他にもグリシンは、実に様々な用途に利用されている物質です。例えば、栄養補助として点滴をする場合に利用されたり、胃酸の濃度を抑制する際に使用されたりする医薬品としての役割が挙げられます。また、工業製品の研磨剤や洗浄剤、さらに農業用肥料やペットフードなどにも用いられていることもあります。

グリシンを使用することで得られる効果としては、睡眠改善効果や美肌効果に加え、抗うつ効果があると言われています。グリシンは、脳内伝達物質であるセロトニンの増加を促すため、それが不足することによって起きると言われているうつの症状に効果があるとされているのです。

基準となる摂取量や副作用

グリシンは適切な量を摂取するのであれば、私たちの健康に影響を与えるものではないとされています。一日摂取量の目安としては3000ミリグラムと言われています。

グリシンは私たちの体内でも生成されるため、あまり大量に摂る必要はないのですが、睡眠不足に悩まされている人などにはこの位が適量とされているようです。

比較的安全性が高いと言われているグリシンですが、過剰摂取すると胃腸の不調や呼吸筋の麻痺などの症状が起きる可能性があるとされているので注意が必要です。特に、妊娠中や授乳育児中の女性については、安全性の確認は未だされていないことから、控えた方が良いとされています。また、統合失調症の人で薬を内服している人は、その薬との相性が良くない可能性があることが指摘されているので、摂取しない方が良いでしょう。

グリセリン

グリセリンとは代表的な三価のアルコールのことで、甘味があり粘稠な無色透明な液体です。石鹸製造の副産物として得られました。現在は、食品添加物として乳化剤、保存料、甘味料、医薬品や化粧品の原料といった様々な用途があります。

グリセリンとは

グリセリンとは三価のアルコールのことで、グリセリンが脂肪酸とエステルを形成したものがグリセリン脂肪酸エステルで、別名油脂と呼ばれています。

一口にグリセリン脂肪酸エステルといっても、様々なものがあり、例えば高級脂肪酸と呼ばれている、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸があります。これらは天然の油脂を構成しています。

他にも、ギ酸、酢酸といった飽和脂肪酸、アクリル酸、メタクリル酸といった不飽和脂肪酸があります。

また、グリセリン脂肪酸エステルは代表的な食用品乳化剤の1つです。乳化剤とは水と油のようにお互い混ざり合うことのない2種類の液体を、安定した乳濁液にさせる事ができる第三の物質のことを指します。

グリセリン脂肪酸エステルの種類

グリセリン脂肪酸エステルは全9種類あります。

飽和脂肪酸に含まれるのが、ギ酸、酢酸、パルミチン酸、ステアリン酸で、不飽和脂肪酸に含まれるのがアクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸です。

不飽和脂肪酸を構成脂肪酸にもつ油脂の中には、常温で固体の油脂に変化するものがあります。このようになったものを硬化油といい、マーガリンなどの原料に使われています。

マーガリンは精製した動植物油とその硬化油を混ぜ合わせ、これに食塩・乳化剤・香料・ビタミンA、Dなどを加えて練り固めた、バターに似た食品で、パンなどによく塗るため世間ではお馴染みの食品だと思われます。19世紀末頃からマーガリンはつくられ、当初はバターの代用品と認知されていましたが、今日のものは風味、栄養ともにバターに匹敵しています。

グリセリンの用途や使用されている食品

グリセリンは様々な用途で使われており、薬品・化粧品などの原料の他、食品添加物としても用いられています。グリセリンを含むものとしては、マーガリンやシリアル、お菓子などといった様々なものがあります。

昨今、食品添加物が含まれるものは身体に良くないから摂取すべきではないという風潮がありますが、この考え方は少し間違っています。グリセリンは比較的毒性が低く、食べ物に含まれる量であれば全く問題がなく安全であると言えます。だからと言って過剰に身体に取り入れれば、いくらか悪影響が出るので、バランス良く摂取するのが良いでしょう。

食品添加物が含まれているから、これは健康に悪いと決めてかかるのではなくて、適当な用量であれば身体に悪いわけではないと理解して、日々の食生活の中に取り入れていければ良いのではないでしょうか。

ナタマイシン

ナタマイシンとは、日本ではチーズの表面処理剤としてのみ使用が認められている食品添加物です。ただ、ナタマイシンは抗生物質であるという側面や過剰摂取によって体調不良を起こす可能性のある物質でもあります。

ナタマイシンとは

ナタマイシンとは抗真菌性物質であり、別名でピマリシンとも呼ばれています。

放線菌という微生物が元になっており、医薬品としての用途もある抗生物質でありながら、耐性菌などの恐れの少ないものとされているため、食品添加物としての用途があります。

ただ、EUでは食品への使用が認められているものの、ナタマイシンが抗生物質であるという側面から、表面保存剤として特定のチーズやドライソーセージのみに限定的に使用を認めている状況です。また、アメリカでは肉への使用が禁止されていますが、諸外国では使用しているケースも多くあるようです。

国の食品安全委員会によると、ナタマイシンの抗生物質であるという側面は気にしなくて良いという見解が出ているようですが、今後TPPにより諸外国からナタマイシンが使用されている輸入品が入ってくるとなると、あまり安心はできない気がします。

チーズに使用する目的

ナタマイシンは、日本では2005年に食品添加物としての使用が認可されています。ただし、食品衛生法による使用基準が設定されており、使用が認められているのはナチュラルチーズのハード及びセミハードの表面部分のみであり、使用量も0.020g/kg未満とされています。

ナタマイシンは、チーズ表面に発生するカビを抑制するための表面処理剤としての用途しか認められていない物質ということになります。ナタマイシンは、保存料として使用されるソルビン酸やと異なり、浸透性が小さく表面に残存することができるので、表面にカビが生えやすいチーズには有用ということになります。

ナタマイシンの危険性

ナタマイシンには、急性毒性、催奇形性や変異原性、アレルギー反応、また抗生物質であるという点で気になる、長期にわたる摂取での耐性も蓄積されないという研究報告があるようです。
ただし、繰り返して摂取することで吐き気や嘔吐、食欲不振や下痢などを引き起こす恐れのある危険性のある物質とも言われています。そして、微生物の増殖を抑える力がソルビン酸や安息香酸の数百倍と言われているのです。ナタマイシンには毒性はないとされていますが、強力な活性があるという点が、人体に影響はないのか懸念されるところではあります。

ナタマイシンは、通常食品添加物や医薬品に使用される程度の摂取量であれば、健康に害をもたらさないという見方がされていますが、それを実証する決定的な研究結果は今のところないようです。

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