朝食やランチの買い物メニューには、おにぎりやサンドウィッチ、お弁当やお寿司、そしてサラダやゆで卵なんかも人気です。
しかしこれらに付いている食品表示の中に記載されている「ph調整剤」。
これは何?
実はここに表示されているこのph調整剤とは食品添加物の一つなんです。
消費者にはなかなかその内容がわからない食品表示ですが、ph調整剤はさまざまな種類の食品に添加されています。
では一体このph調整剤とはどんな食品添加物なんでしょう。
ここでは食品添加物の一つのph調整剤、心配される人体の危険性を調べてみました。
PHって理科の時間に教わった
記憶があるんだぜ
たしか、リトマス試験紙が
赤や青色に変わるのよね
品質をよくするために必要な食品添加物 ph調整剤
ph調整剤とは
phは一般的にはペーハー調整剤といわれています。
英語でピーエイチ、ドイツ語でペーハーといいます。
phは0~14の数値で表され、0に近づくほど酸性が強くなり、14に近づくほどアルカリ性が強くなります。
昔、学校で習ったリトマス試験紙を思い出す方もいらっしゃるかもしれません。
ph0が酸性、ph14がアルカリ性、ph7は中性ということになります。
食品は味的にも健康面からも弱酸性であることが好ましいとされています。
食品にはそれぞれ好ましいPHの範囲があります。好ましい範囲とは、変色や変質、またカビや微生物のよって腐敗させず品質をよくするために必要な範囲のことです。
この好ましいPHに保つためにph調整剤が使用されるのです。
どんな食品に使用されているのか
ジャム、おにぎり、サンドウィッチ、ゆでうどん、かまぼこ、デニッシュパン、乳製品など腐敗が心配されるさまざまな食品に使用されています。
ph調整剤は一括表示が可能な食品添加物
ph調整剤は同じ目的で複数種使用されている場合はひとまとめに「ph調整剤」とだけ記載すればよいとされる食品添加物です。
たとえば微生物や細菌の増殖を防ぎ食品の品質と保存性を高めるには、複数の物質が添加されて効果をきたしますが、それらの物質は個々に表示しなくてもよく一括して「ph調整剤」と表示されることが認められています。
変色を押さえて色の安定をはかるにも複数の物質が添加されますが、それら物質を一括して「ph調整剤」と食品表示することでよしとされ、個々の物質名は表示されず一括して「ph調整剤」と記載されているのです。
ph調整剤は同じく一括表示が認められている「酸味料」として指定されている化合物と重なる物質がかなりありますが、用途が酸味料(酸味を効かせるため)のみであった場合はph調整剤ではなく酸味料となります。
ph調整剤の種類
ph調整剤には34種類の化合物が指定されています。
- アジピン酸
- クエン酸
- クエン酸三ナトリウム
- グルコノデルタラクトン
- グルコン酸
- グルコン酸カリウム
- グルコン酸ナトリウム
- コハク酸
- コハク酸一ナトリウム
- コハク酸二ナトリウム
- 酢酸ナトリウム
- DL-酒石酸
- L-酒石酸
- DL-酒石酸水素カリウム
- L-酒石酸水素カリウム
- 炭酸水素ナトリウム
- 氷酢酸
- 乳酸
- 乳酸ナトリウム
- ピロリン酸二水素ナトリウム
- リン酸
- リン酸ナトリウム
- DL-リンゴ酸
などあり、その他は省略します。
34種の中にはピロリン酸など安全性が気になる物質も含まれていますが全体的に見れば問題は少ないと思われる有機酸といわれています。
人体への危険性について
ph調整剤は複数の物質が併用されてその効力を出すので、個々に物質をそれぞれ調べると、人体への危険性が心配となる物質もありますが、国連の食糧農業機関(FAO)と世界健康機関(WHO)が設けた食品添加物の安全性を評価する会議「FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)」の審査で、ph調整剤に使用されている添加物への評価は、現時点では安全であると確認されています。
ただph調整剤として使用される物質の中にはポリリン酸などのリン酸塩が含まれているため一概に安全とは言われてません。
リン酸塩は過剰に摂取することによりカルシウムの吸収が悪くなり骨粗鬆症の原因になりますし、またカルシウムの吸収が悪くなると、それと連動してマグネシウム、鉄の吸収も悪くなります。
マグネシウムが不足すると神経が過敏になったり、抑うつ症状、集中力の低下を招きます。どの程度が過剰摂取なのかは物質によって異なってきます。
食品添加物のph調整剤の安全性は評価されている
食品添加物の種類のひとつであるph調整剤は、食品の品質を保つために添加されていますが、ph調整剤は複数の物質が組み合わさりその効力を発揮します、食品添加物の表示ではそれら物質が記載されるのではなく、一括して「ph調整剤」と表示されています。
実際に添加されている個々の物質の情報を聞くと、不安を感じる物質もありますが、国の機関が個々の物質の安全性を調べ、それぞれの物質は人が一生食べても人体に危険がない量を添加しているとのことなので、どうやら人体への危険性はないようです。
ただ消費者としては、個々の物質の体への影響も確かに気になるところです。
危険性はないといられているようですが、ph調整剤には、さまざまな物質が入って表示されていることは理解しておきましょう。
有機酸
有機酸は様々な酸の総称ですが、ヒトには比較的安全であるものが多く、むしろ摂取すると健康に良いとされるものもあります。
有機酸は、それぞれの酸の性質を生かした調味料や様々な加工食品や飲料に添加されています。
有機酸とは
有機酸とは、有機化合物の総称のことで、その多くはカルボン酸とされています。
果実に多く含まれているとされ、腸内細菌を整えたり、悪玉菌の発生を抑制したりする働きがあることでも知られています。
有機酸は一般的には弱酸性であり、水には溶けないものとされていますが、ギ酸や酢酸のように溶けやすいものもあります。これに対して有機溶媒にはよく溶けるとされています。
有機酸はクエン酸や乳酸など、自然界に存在するものも多くあり、一般的には無機酸に比べると安全と言われています。
有機酸の種類
有機酸には様々な種類の酸があります。中には果実に多く含まれているとされているものもあり、腸内細菌を整えたり、悪玉菌の発生を抑制したりする働きがあることでも知られています。そのため、食品添加物としても使用されているものも多いです。
調味料の目的で使用されている有機酸のうち、法令で「調味料(有機酸)」の一括表示がな許されているものは16種類であり、それらはすべて合成添加物であり具体的には以下のとおりです。
- クエン酸カルシウム
- クエン酸三ナトリウム
- グルコン酸カリウム
- グルコン酸ナトリウム
- コハク酸
- コハク酸一ナトリウム
- コハク酸二ナトリウム
- 酢酸ナトリウム
- DL−酒石酸水素カリウム
- DL−酒石酸ナトリウム
- L−酒石酸水素カリウム
- L−酒石酸ナトリウム
- 乳酸カルシウム
- 乳酸ナトリウム
- フマル酸一ナトリウム
- DL−リンゴ酸ナトリウム
中でもコハク酸ナトリウムは代表的な有機酸系化学調味料であり、マレイン酸を還元して得られ、貝類特有のうま味成分があります。
ちなみにコハク酸は、貝類をはじめ多くの動植物にも含まれている物質です。
また、クエン酸はレモンなどの柑橘類、梅干しに多く含有されており、爽やかな酸味があることで知られています。
使用されている食品は
有機酸は、調味料として使用される以外にも酸味料としての用途もあります。
例えば、
- 麺類
- 菓子パン
- マヨネーズ
- 漬物
- 佃煮
- アイスクリーム
- キャンディ
などが挙げられます。
有機酸のうち、独特の酸味やうま味のあるコハク酸を使用している食品例として、醤油や味噌、清酒などの調味料、インスタントラーメン、ハムやソーセージなどが挙げられます。
また、フマル酸は酸味が強いため、ジュースやサイダーなどに使用されています。
酒石酸は清涼飲料水や菓子類、パンなどに使用されています。
その他、牛乳やワインなどの飲料、加工食品のpH調節、味の調整など非常に多くの食品に使用されています。
酒石酸
酒石酸とは、その名のとおりお酒、それもワインから抽出することのできる物質です。
有名なテレビ小説で出てきましたから、名前だけは知っている人も多いかもしれません。
テレビ小説では戦時中に兵器としてもちいられた酒石酸ですが、実は、現在でもさまざまな場面で利用されていることはご存知でしょうか。
この酒石酸の効果や用途について、いろいろと調べてみました。
酒石酸とは
酒石酸とは、レモンやぶどうなどの酸味のある果実に含まれる有機化合物です。
この酒石酸がカリウム、もしくはナトリウムと結びつくとそれぞれ酒石酸水素カリウム、酒石酸ナトリウムという物質になります。
酒石酸とはワインの醸造過程で、ワインの中や樽にたまった沈殿物または樽の周壁に着く小さな結晶体(これらを酒石という)から、カリウム塩(正式には酒石酸水素カリウム)が発見されたのが酒石酸という物質の誕生の始まりです。
無色透明の個体です。光の乱反射により時々白く見える場合があります。
水によく溶け、またアルコールにも溶ける物質です。
ワインの中では大部分が酸性酒石酸カリウムとして存在しています。やや塩辛く清涼感のある物質です。
酸性酒石酸カリウムは溶解度が小さいので結晶として見られることもあります。
ワインの樽や瓶の底に見られる結晶化した酒石酸を「ワインのダイアモンド」などとも呼ぶ人もいるほど結晶化した酒石酸がキラキラと見えることがあるのです。
たとえば気温の低いところにワインのボトルを置いておくと、ワインのボトルにオリと酒石がたまります。
これはワインの自然現象なのですが、この酒石の結晶を作ってボトルの下に沈めて楽しむ人もいると言われるほどです。
厚生労働省認可の食品添加物の使用目的や安全性における成分の規格や基準を定めている食品添加物公定書の中では、酒石酸は無色の結晶もしくは白色の極めて細かい結晶の粉状のもので無臭だが酸味があるものと定めがあります。
またこの公定書に酒石酸の取り扱いの注意として高温多湿はさけ、密閉容器いれて冷暗所に保存するように指示されています。すなわち湿気に弱い物質なのです。
酒石酸は「疲労を回復させる」とか「整腸作用がある」などとも言われますが、これに関しては科学的に信頼できるデーターが少ないのも事実です。
ちなみに酒石酸の意外な利用法では第二次世界大戦中の話で、ワインから抽出した酒石酸にカリウムまたはナトリウムを化合させてできた物質(ロッシェル塩という)の特性を生かして敵の潜水艦や魚雷を対処する兵器に利用されたことなどがあります。
酒石酸からできたこの物質は音波を素早くとらえる特性があり、戦時中その特性を利用して、音波防御レーダーや対潜水艦用の水中聴音機を作ったといわれています。
その頃の日本は酒石酸を得て武器を増やすためにワイン造りの制度を緩和し、ワイン造りを奨励していました。
酒石酸はこんな使い方もされていた時代も日本の歴史の中にあり、近年テレビ小説でも紹介されました。
酒石酸が使われるもの
酒石酸は、その酸味を活かし、酸味料として主に清涼飲料水やゼリーなどにもちいられることが多いです。
そのほか、PH調整剤や膨張剤、調味料として使われることもある、食品添加物です。
酒石酸の抽出方法
酒石酸は、ワイン作りの過程で副産物として得られます。
ワインの中に沈殿したり、樽や瓶にキラキラした結晶体が付着したりします。
この結晶体は酒石といい、ワインに含まれる酒石酸とカリウムが結合した物質です。
酒石酸にはどんな種類
酒石酸には、 L-酒石酸、D-酒石酸、DL-酒石酸とその塩類があります。
塩類とは、酒石酸のもつ水素原子を金属で置換したり、塩基の水酸基を酸基で置換したりしてできる化合物のことです。
L-酒石酸…多くの植物に含まれている酒石酸です。
D-酒石酸…ごく一部の植物に含まれている酒石酸です。
DL-酒石酸…化学合成で得られる化合物で、L体とD体が1:1の物質です。
酒石酸の特徴
酒石酸は、消化、吸収されない物質です。
そのため、摂取してもそのまま排出されたり、腸内細菌によって分解されたりします。
とはいえ、酒石酸はもともと食品の中に存在するものですから、安全性には問題ないといわれています。
酒石酸の用途と効果
食品添加物として
酒石酸と名のつく食品添加物はいくつかあり、それぞれ用途が異なります。
- 酸味料…DL-酒石酸、L-酒石酸
- 膨張剤…DL-酒石酸水素カリウム、L-酒石酸水素カリウム
- 調味料…DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム
酒石酸は医薬品にも
催眠剤や入眠剤としてゾルピデム酒石酸塩、脳梗塞の後遺症や脳出血の後遺症に伴うめまいの改善としてイフェンプロジル酒石酸塩など、さまざまな医薬品がありますが、どれもなんらかの副作用が指摘されているようです。
酒石酸の危険性や毒性
酒石酸は毒性がないとされていますが、現在のところ、酒石酸の安全性を示す研究データは発表されていません。
また使用基準も設定されていません。
酒石酸カリウムナトリウムは食品には使用不可
酒石酸にカリウムとナトリウム両方を結合させた物質で別名:ロッシェル塩とも呼ばれる物質があります。正式名称は酒石酸ナトリウムカリウム四水和物といいます。
膨張剤として使用される酒石酸水素カリウムや調味料として使用される酒石酸ナトリウムと似ているため食品添加物として使用されていそうですが指定(認可)されていません。
テレビ小説で、戦時中にワイン作りを命じられたのを見て、不思議に思った人も多いのではないでしょうか。
酒石酸カリウムナトリウムは音波を捉える特性があるのです。
これを活かすと、潜水艦や魚雷のレーダーとして使えるため、戦時中はは酒石酸が必要とされていたのです。
酒石酸は食品添加物として認められた物質
酒石酸は毒性がないとされていますが、現在のところ、酒石酸の安全性を示す研究データは発表されていません。
ただし、医薬品としての酒石酸には副作用が報告されており、大量に摂取すると、アシドーシスや腎障害を引き起こすと言われています。
塩化カルシウム
融雪剤として使用される塩化カルシウムの食品添加物としての用途
菓子や海苔、靴などを乾燥させる乾燥剤やクローゼットの湿気を取る除湿剤として使用されている塩化カルシウムは、豆腐やチーズなどの凝固剤として食品に添加されています。
塩化 カルシウムとは
塩化カルシウムとは、英語ではcalcium chlorideと表記され、化学式CaCl2で示される塩素とカルシウムが結合した化合物です。
吸湿性があり溶液が低温でも凍結しない特性があるため、主な用途として日本では冬の積雪や凍結に備え、道路の各所に配備されています。
塩化カルシウムは、融雪剤として道路に散布すると路面の氷を溶かしてくれ、クローゼットなどの湿気取りとして除湿剤や乾燥剤にも使われています。
他にも、防じん対策としてグラウンドや砂利道に散布すると砂ぼこりが舞いにくくなります。
私たちの普段の生活で身近に存在する化学製品です。
食品には豆腐用凝固剤などの食品添加物として使用されています。
塩化カルシウムの毒性
塩化カルシウムは自然界にも存在する物質なので比較的安全ですが、濃度により取り扱いに注意が必要です。食品への添加は食品の1%と決められています。
除湿剤に溜まった塩化カルシウム溶液を誤飲してしまったり、誤って食べてしまった際の主な症状として、嘔吐や下痢、腹痛などを引き起こします。
塩化カルシウムは苦みが強いため、大量摂取はしにくいですが、万が一大量に誤飲した場合は、体液が正常よりも酸性に傾くアシドーシスを引き起こすことがあり、直接手に触れると、触れた部分が軽度の火傷を受ける場合があります。
家庭でできる処置として、水や粘膜を保護してくれる牛乳を飲むとよいでしょう。
皮膚や眼に入った場合は、十分な水で洗い流し、様子を見て医療機関で受診することをおすすめします。
食品添加物としての用途
塩化カルシウムの食品への添加はカルシウムを強化する目的として、豆腐凝固剤やチーズの凝固剤として使用されています。
またアルコール飲料や清涼飲料水などの硬度やPH調整剤としても使われています。
市販されているチーズの大半は塩化カルシウムが使われており、日本のチーズは加熱殺菌することが多いため、生乳が加熱することでカルシウムが不足し、凝固しにくくなるため塩化カルシウムを添加します。
豆腐の凝固剤として、にがりを使用する場合がありますが、塩化カルシウムと併用して使用するケースが多いようです。飲料の場合は、使用する水の硬度を調整するために使用されており、PHを下げ酵素の働きを活発にする調整をしています。
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