体の仕組み⑬ 臓器で一番の泣き虫 胃

体の仕組み
google

胃について

食べたものをどろどろにして吸収しやすくする”消化”というはたらきをしています。

胃での消化

胃のしくみ

よく噛(か)んで食べることが消化をスムーズにします。

胃のしくみ

まず、食後何時間か、胃の中に食べ物を貯めておきます。そこで、分泌(ぶんぴつ)された胃液と食べ物を良く混ぜます。胃液には食べ物を化学的に細かくするために必要な消化酵素(しょうかこうそ)がふくまれています。たんぱく質、糖分、乳脂肪(にゅうしぼう)など、それぞれを分解するさまざまな消化酵素(しょうかこうそ)があります。

また、胃液にふくまれる塩酸は殺菌効果(さっきんこうか)があり、バクテリアの侵入(しんにゅう)などを防いでいます。やがて、どろどろの粥(かゆ)状になった食べ物は十二指腸へと送られます。食べ物がすべて消化され、胃のなかが空(から)になるまでには3〜5時間がかかります。

空腹と胃の関係

食べ物のにおいを嗅(か)いでおなかが空(す)いたりするのは、からだ中の器官が神経でつながっているからなんです。

からだ中の器官が神経でつながっている

【食後に走るとお腹の横が痛くなる】ひ臓※が血液を使って消化の手伝いをしているとき、運動することで、ひ臓の血液が不足して縮まってしまうからなんです。

ひ臓:胃の左側にあるリンパ系の臓器。
リンパ球の生成、老いた赤血球の破壊(はかい)、血液を貯めるなどのはたらきをしている。

胃とほかの器官との関係

【神経との関係】食べ物について考えたり、見たり、においを嗅(か)いだりすると、口の中にツバができて胃液の分泌(ぶんぴつ)を刺激(しげき)します。 反対に運動や疲れ、心配ごとなどのストレスは、消化を止めてしまいます。これは、からだを動かすと血液は筋肉に集まり、心配ごとなどのストレスは逆に血液の循環を悪くするために、いずれも胃から血液がはなれていくことが原因です。胃は血液の助けがないとうまく消化できません。胃がはたらいているときは、運動や心配ごと、不安などのストレスをできるだけあたえないようにしましょう。

胃の病気

胃が痛くなる原因

食べすぎ、飲みすぎ、ストレスなどのつよい刺激には特に注意が必要です。

さまざまな胃炎

※発赤(ほっせき)
皮膚や粘膜(ねんまく)の一部が充血(じゅうけつ)して赤くなること。

「急性胃炎(きゅうせいいえん)」

【どんな病気】胃の粘膜(ねんまく)に急に炎症(えんしょう)が起きた状態です。【主な症状(しょうじょう)】食欲がない、腹痛、腹部の不快感、みぞおちの下あたりの痛み、吐(は)き気や嘔吐(おうと)、下痢(げり)など。まれに血を吐(は)いたり、血便(けつべん)が出たりすることもあります。【原因】<外因性(がいいんせい):外からの刺激(しげき)によるもの>
食べすぎ、飲みすぎ。刺激の強い食べ物の取りすぎ。 ストレス、くすりの副作用、アルコール、タバコの影響(えいきょう)。 食中毒を起こす細菌(さいきん)など。<内因性(ないいんせい):他の病気が原因となっているもの>
かぜ、インフルエンザなどによる感染症(かんせんしょう)。 牛乳や卵、青魚などによるアレルギー反応など。【治療(ちりょう)】症状(しょうじょう)に応じた治療を行います。 原因がはっきりしている場合にはそれを取り除くことが基本です。

外因性の場合は1〜2日間の絶食をするか、消化のよいものを少しずつ食べるようにすると回復する場合もあります。 下痢(げり)や嘔吐(おうと)がひどい場合には脱水症状(だっすいしょうじょう)を起こすことがありますので、医師の指示に従いましょう。

症状に合わせて、痛みを抑(おさ)える薬、胃酸の分泌(ぶんぴつ)を抑える薬、胃の粘膜(ねんまく)を保護する薬などを使います。内因性の場合はこれに加えて原因となる病気の治療を行います。

Q胃酸が出過ぎると

胃の粘膜(ねんまく)まで傷ついてしまい、キリキリと痛くなる胃潰瘍(いかいよう)ができる場合があります。

胃潰瘍

胃液は、胃まで溶(と)かしてしまう胃酸って強力なのものです。

「胃潰瘍(いかいよう)」

【どんな病気】酸によって胃の粘膜(ねんまく)の下の層までがただれ、胃壁(いへき)が傷ついてしまう病気です。【主な症状(しょうじょう)】人によって症状のあらわれ方に差があります。ほとんど症状を感じない人もいますが、食後30分〜1時間以内にお腹の上の部分や背中に痛みを感じる人も多く見られます。【原因】本来、胃の粘膜(ねんまく)は酸に強いのですが、ストレス、食事、喫煙(きつえん)、薬剤(やくざい)などの影響により、粘膜を守るはたらきが弱くなってしまい、少量の胃酸でも粘膜を溶(と)かして傷つけてしまうのです。また、最近ではヘリコバクター・ピロリ菌(きん)が粘膜に障害をおこし、胃潰瘍(いかいよう)の原因となっていることが分ってきました。 胃潰瘍の患者(かんじゃ)さんの70パーセントがヘリコバクター・ピロリ菌に感染しているといわれています。【治療(ちりょう)】症状に合わせて胃酸の分泌(ぶんぴつ)を抑(おさ)える薬や粘膜(ねんまく)を守る薬を使います。ヘリコバクター・ピロリ菌に感染している場合は菌を除去する薬を使います。 潰瘍(かいよう)から出血している場合は内視鏡(ないしきょう)による止血(しけつ)を行います。安静にして、たばこ、アルコール、熱いものや辛(から)いものなどの刺激(しげき)の強い食べ物を避(さ)け、消化のよいものを食べるようにすることが大切です。

コメント