人は食べた物で創られる 体の仕組み④鼻

体の仕組み
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五感のうちのひとつ「嗅ぐ」しごとをする、嗅覚(きゅうかく)の器官です。

またゴミやウィルスからからだを守ってくれるフィルターの役目もあります。

鼻は、においを感じたり、呼吸をするはたらきをしています。 また、空気の中のチリやゴミ、ウイルスなどがからだのなかに入るのを防いだり、からだに入ってくる空気の湿度や温度を調節するはたらきもしています。加湿器(かしつき)やエアコンのような役割をしていて、肺にムリな負担がかからないようにしています。

においを感じるしくみ

鼻のなかへ空気といっしょに入ってきたにおいのもとになる成分を嗅細胞(きゅうさいぼう)でとらえ、脳に伝えています。

におい

においの種類は脳で判断しています。鼻は脳ににおいの情報を伝える器官なんです。

においのあるガスや煙(けむり)が鼻腔(びくう)に入り、嗅上皮(きゅうじょうひ)に届きます。ガスや煙は、ボウマン腺(せん)の分泌液に溶(と)かされ、においを感じる嗅細胞(きゅうさいぼう)を刺激(しげき)し、神経を通って脳に伝えられます。

くしゃみ

空気の中のゴミやウィルスが肺には入らないようにするための防御反応(ぼうぎょはんのう)です。

コショウを吸い込んだりした時、鼻がムズムズしてくしゃみがいっぱい出るのはそうしたしくみからなんです。

くしゃみが出るしくみ

鼻の粘膜(ねんまく)にゴミやウイルスなどが付くと、その刺激(しげき)が神経を通じて呼吸に使われる筋肉に伝わり、緊張(きんちょう)させます。筋肉の緊張がピークになると空気が吸い込まれ、緊張が一気にゆるむと空気が勢い良く押(お)し出され、くしゃみが出ます。

鼻の病気

鼻血

鼻のなかの細かい血管が切れて、血が流れてしまいます。さまざまな病気が原因の場合もあるので、注意が必要です。

鼻血

鼻血って出るとなかなか止まらない時がありますので注意がひつようです。

鼻血の原因

鼻腔(びくう)を左右に分けている部分を鼻中隔(びちゅうかく)といいます。鼻中隔には血管が網の目のように通っています。特に外鼻孔(がいびこう)のまわりに動脈枝(どうみゃくし)が集中しているうえ、血管の壁(かべ)も薄(うす)いので、すこしの刺激(しげき)でも血管が切れやすいのです。 40才以上の方は、動脈硬化(どうみゃくこうか)、高血圧(こうけつあつ)、肝機能障害(かんきのうしょうがい)など、ほかの病気が原因の場合もあるので、注意が必要です。

【鼻血が出たら】・首のうしろをたたいたり、あおむけに寝かせるのはやめましょう。・すこし前かがみにして鼻をつまみ、血が止まるまで待ちます(20分程度)。

・鼻血が止まらないときや不安を感じたときは、きちんと医師に相談しましょう。

鼻水

鼻水は鼻やノドに付着した病原菌(病原菌)などを殺菌(さっきん)し洗い流すために出ています。鼻水はからだを守るために出ているんです。

鼻炎(びえん)

【どんな病気】鼻炎とは、鼻腔(びくう)の粘膜(ねんまく)に炎症(えんしょう)が起こった状態です。 「急性鼻炎」「慢性(まんせい)鼻炎」「アレルギー性鼻炎」に分けられます。

【急性鼻炎】かぜのこと。鼻水、鼻づまり、くしゃみなど。かぜのウイルスに感染して起こることがほとんどです。せき、のどの痛み、熱が出ることもあります。鼻水を抑(おさ)える抗(こう)ヒスタミン薬などのくすりが使われます。

【慢性(まんせい)鼻炎】鼻の粘膜が慢性的に赤く腫(は)れている状態です。主な症状は鼻づまりです。急性鼻炎をくりかえしたり、長引いた場合に起こります。 粘膜の充血(じゅうけつ)や腫(は)れを取り除くため、血管を収縮させる点鼻薬(てんびやく)を使います。しかし、いたずらに長い間使いつづけるのはよくありません。 鼻づまりが長引く場合は、いちど耳鼻咽喉科(じびいんこうか)の医師に相談しましょう。

【アレルギー性鼻炎】ある特定の物質〈アレルゲン〉を吸い込むことで、鼻がむずむずする、くしゃみ、鼻水が出る、鼻水が止まらないなどさまざまな症状(しょうじょう)があらわれます。 花粉が原因となる花粉症もアレルギー性鼻炎のひとつです。 アレルゲンは、家のなかのほこり(ハウスダスト)、ダニ、ペットの毛、カビ、羊毛、スギ、ヒノキ、イネ科の植物、ブタクサ、ヨモギなどさまざまです。

【副鼻腔炎(ふくびくうえん)〈蓄膿症(ちくのうしょう)〉】副鼻腔の粘膜に細菌(さいきん)などが感染して起こる病気です。アレルギーでも起こるとされています。鼻づまりと鼻汁〈はじめは透明、次第に黄色の膿性鼻汁(のうせいはなじる)となります〉があり、また鼻汁がのどにまわったり、咳(せき)が出たり、頭痛、頬部痛(きょうぶつう)〈顔面痛〉、嗅覚障害(きゅうかくしょうがい)なども起こります。

抗生物質や鼻汁を溶(と)かす薬、消炎剤(しょうえんざい)などを使います。鼻腔の通りをよくする局所治療(きょくしょちりょう)も大切です。 2、3カ月以上経(た)つと慢性(まんせい)になります。場合によっては長い間薬を使ったり治療することも必要になります。最終的には手術をしなければならないこともありますので医師との相談が必要です。

副鼻腔

花粉症

【どんな病気】スギやヒノキ、ブタクサなどの花粉が、鼻の粘膜や目の結膜を刺激することによってアレルギー反応が起こり、鼻水や涙が止まらなくなる疾患。基本的には、原因となる花粉が飛ぶ時期にだけ症状が現れるが、中には複数の抗原(アレルギーの原因となる物質)に対するアレルギーを持っており、1年中症状に悩む人もいる。現在、日本には抗原となる花粉が約50種類あるといわれている。花粉症には鼻水とくしゃみがひどいタイプ、鼻詰まりがひどいタイプ、それら両方の症状がひどいタイプがあり、症状によって治療法が異なる。近年、花粉症患者が増加しているのは、スギ花粉の飛散量増加によるものだと考えられている。

【原因】花粉症は、スギなどの花粉が鼻や目の結膜を刺激することによって起こるアレルギー疾患の一つであり、特にスギ花粉症は冬の終わりから春にかけて、毎年、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、涙が止まらないなどの症状で多くの人を悩ませている。日本では花粉症の患者が近年増加傾向であるが、その原因はスギ花粉の飛散量増加であるといわれている。スギは植林後40年ほどたつと成木になり、花粉を飛散し始めるが、植林されたスギの大半が樹齢40~60年となっており、活発に花粉を飛散させる時期を迎えているからである。また、日本ではスギのほかにもヒノキ、イネ、ブタクサ、ヨモギなど約50種類の植物の花粉が花粉症を引き起こすといわれており、複数の抗原にアレルギーを持っている人の中には1年中症状に悩む人も少なくない。

【症状】くしゃみや鼻水が止まらない、鼻が詰まるといった症状が特徴的である。また、目がかゆい、充血する、涙が止まらないといった目の症状も多くみられる。くしゃみは異物を外に出そうとする働きで、花粉症によるくしゃみは何回も立て続けに起こりやすい。また、鼻水は異物を洗い流そうとする働きで、風邪などの際の鼻水と違い、透明でさらさらしている。鼻詰まりは鼻の粘膜が腫れ、鼻の通り道が狭くなった状態で、ほかの症状よりも後から起こりやすい。鼻詰まりは自覚症状として認識されにくいが、鼻が詰まることにより口呼吸となり、口や喉が渇いて咳が出たり、においや味がわかりにくくなったりする。さらに、息苦しくなるため、眠りが浅くなるなどの影響もある。まれに全身の倦怠感や熱っぽさを感じたり、皮膚にかゆみが出たりすることもある。

【検査・診断】問診でアレルギー症状の既往歴などを確認する。また、血液検査や皮膚アレルギーテストなどを行い、アレルギー反応を引き起こしている抗原を特定する。

【治療】症状の傾向によって使う治療薬が異なる。くしゃみと鼻水がひどい症状の場合には抗ヒスタミン薬、鼻詰まりがひどい症状の場合にはロイコトリエン拮抗薬、いずれもひどい場合にはステロイド剤などを主に使用する。ただし、これらはすべて対症療法である。根本的な治療としては、抗原から抽出したエキスを体内に取り入れて、体を徐々に抗原に慣れさせていく「減感作(げんかんさ)療法」があり、皮下注射、および舌の下に薬剤を置いて吸収させる舌下免疫療法がある。また、花粉が飛び始める2週間程度前から薬による治療を始める「初期療法」によって、症状が出るのを遅らせたり、症状を軽くしたりできる可能性がある。

【予防】花粉の飛散の多い時期には窓を開けない、洗濯物や布団を外に干さない、外出を控えるといったことが必要である。外出しなければならないときには、眼鏡やマスクなどを着用して目や鼻を花粉から守ることで、症状を緩和できる。そのほか、部屋の掃除、特に窓際の掃除を徹底する、花粉が付着しやすい表面がけばだった衣類の着用は避ける、外から帰宅したら衣服や髪についた花粉をよく払ってから入室する、などの対策が考えられる。ハウスダストやダニによるアレルギーには、寝具の洗濯によるアレルゲンの除去も効果的である。

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