基礎代謝量(きそたいしゃりょう)
基礎代謝量
基礎代謝量とは心身ともに安静な状態の時に生命維持のために消費される必要最小限のエネルギー代謝量。
何もせずじっとしている時でも、体は生命活動を維持するために、心拍や呼吸・体温の維持などを行っていますが、基礎代謝量(単に基礎代謝ともいいます)はこれらの活動で消費される必要最小限のエネルギー量のことです。基礎代謝量は年齢・性別が同じであれば体の表面積にほぼ比例しますが、体表面積を測定することは難しいため近似値として、体重当たりの基準値が広く用いられています。
基礎代謝量は通常10代をピークに加齢とともに低下します。また体の組成すなわち筋肉と脂肪の比率も基礎代謝量に大きく影響します。基礎代謝量を臓器別に見ると、筋肉・肝臓・脳がほぼ2割ずつを消費しており、筋肉の少ない人は基礎代謝量が低くなります。一般に男性に比べ女性の基礎代謝量が低いのはこのためです。運動不足の肥満者では、筋肉量が少なく基礎代謝が低下しているため、減量がうまく進まない人がいます。筋肉が増えれば基礎代謝量が増えますので、肥満の改善にはよく筋トレがすすめられます。またウォーキング・水泳などの有酸素運動を続けることも基礎代謝を高める効果があります。
一方で急激な減量を行うと、脂肪量が減るとともに筋肉量も減り、リバウンドするとますます基礎代謝量が低下して減量しにくくなりますので、無理な減量はひかえたほうが賢明です。
下がると太りやすくなる基礎代謝
同じように食べても太りやすい人と太りにくい人がいます。それは『基礎代謝』に大きく依存します。
この基礎代謝が大きいと消費カロリーが高いので、太りにくくなります。基礎代謝とは、生命を維持するために消費するカロリーのことで、普通の人は1日あたり1200kcal 前後です。
また、年をとると若い時の1~2割小さくなります。 基礎代謝は、その多くを筋肉が消費するため、筋肉質の人は一般的に基礎代謝が高くなります。 そのため多く食べても太りにくいタイプなのです。 運動によって筋肉を作れば基礎代謝が高まるため、減量に繋がります。
逆に、減量のために過激な食事制限をすると、脂肪よりも筋肉が落ちてしまいます。そうなると基礎代謝が小さくなるので、次第に食事を減らしても体重が落ちなくなります。
その状態から食事量を元に戻せば、当然太るということになります。この状態を『リバウンド』と言い、気をつけなくては行けません。このリバウンドを繰り返すと、リバウンドしやすい体質になり、体には大きな負担となります。
人間の体は、10代まで成長ホルモンや男性ホルモンの働きが活発で、筋肉を増やそうと働きます。ところが20歳を過ぎると、役目を終えたこれらのホルモンの分泌がどんどん減っていきます。
20歳を過ぎても運動を続ければ筋肉は減りませんが、普段の生活では重いものを持ったり、歩き回ることが少ないため、筋肉量が減っていく(減らないまでも筋肉の活性が落ちてしまいます)。
その結果、基礎代謝が40歳を境に急激に落ちていってしまいます。基礎代謝が落ちると太りやすくなる。50歳の人の基礎代謝は40歳より約4%少ないです。40歳の時に1日2000kcalの食事で太らなくても、50歳だと同じカロリー量でも1年で体脂肪が約3kg増えることになります。しかし、無理な減食や、単品ダイエットは、この基礎代謝量を大きく下げてしまいます。 基礎代謝の低下を知る手がかりは、以下のようなものです。
年齢と基礎代謝の基準値
年齢と性別による基礎代謝量の基準値について。
■日本人の基礎代謝基準値(※)
30~49歳:
女性(参照体重53.1kg)
1150kcal/日
男性(参照体重68.5kg)
1530kcal/日
50~69歳:
女性(参照体重53.0kg)
1100kcal/日
男性(参照体重65.3kg)
1400kcal/日
※厚生労働省「e-ヘルスネット」より
筋肉量が多い男性と女性では、一般的にこれだけ基礎代謝量に差があるんです。
中高年期に身体がダブつきやすくなるのは、活動量の低下と加齢に伴う基礎代謝量の低下が関係しています。
以下の10項目のうち、『7項目以上当てはまる人は、基礎代謝が低い!!』といえます。
1)…体温が35.9度C以下である。
2)…少し食べてもすぐ太ってしまう。
3)…身体がむくみやすい体質だと思う。
4)…生理不順、生理痛がひどい。
5)…手足が冷える、または、ほてる。
6)…疲れやすく、朝まで疲労が残っている。
7)…あまり汗をかかない。
8)…頭痛、肩こり、腰痛がある。
9)…普段、体を動かすことが少ない。
10)…顔色が悪い、肌も荒れやす。
基礎代謝を上げる方法
- 体温を上げる
- 筋肉をつける
- 肺活量を増やす(心肺機能を高める)
- 血行を良くする
- 適度に体を動かす
- 塩分を控えたりカリウムを取る
- マグネシウムを取る
- カフェインを取る(コーヒー、紅茶、緑茶など)
- カプサイシンを取る(唐辛子、キムチなど)
- 青魚(EPA、DHA)を取る
- 運動後に高たんぱく質食品を取る(肉、魚、大豆製品、乳製品など)
- 冬場の室温は20~22度くらいに設定する(室温を高くしすぎると体が熱を作らす基礎代謝が低下する)
- 気温の変化に対応できる体になる(夏場なら冷房の効いた部屋にずっといる、冬場なら暖房の効いた部屋にずっといるということは避け、窓を開け放して掃除をするなど、時には冷暖房を止めて外気温を感じる機会を多く作ること
- ストレッチなどを日課にして体を柔軟にする(筋肉が柔らかくなると血流が良くなり代謝が向上する)
- 柑橘系の香りを嗅ぐ(特にグレープフルーツのエッセンシャルオイルなどがお薦め)→自律神経の働きを良くすることにより代謝が向上
- ローズマリー、フェンネルなどのハーブティーを飲む
普段の生活にも取り入れ
有酸素運動などで直接脂肪を燃やさなくても、普段の姿勢や歩き方を少し変えるだけで地道にコツコツ筋力をアップさせることが出来ますし、辛い運動をしなくてもストレッチ(筋肉を活性化させてやること)やアイソメトリックス(筋肉緊張ダイエットや7秒体操といわれるもの)を続ければ今まで眠っていた筋肉を呼び覚まし、今までよりも安静時の基礎代謝量をアップさせることに充分可能になるはずです。
筋肉を鍛える、筋肉を呼び覚ましておく、という方法が一番ベストな方法でこれをするだけで体温が上がり、血流も良くなります。心肺機能を高めるにはウォーキングなどの有酸素運動は効果的ですし、1日何回か意識して深呼吸をするだけでも効果があります。
また普段の姿勢が猫背で下腹部を付きだしていると肺活量も少なくなり腹筋も使わずドンドンお腹に脂肪を蓄えやすくなると思うのですが、正しい姿勢で下腹部を引いた姿勢でいるだけでも、肺活量を増やし、自然に腹筋を鍛える事にもつながりますし、歌を歌うときに腹式呼吸をしたり、両腕を上に上げながら深呼吸することも効果的です。口を塞いでほっぺを膨らませながら息を思い切り吐くという動作も心肺機能を高められます。
温めることも重要
どんなに寒い場所でも、暑い場所でも、健康な人の体温は一定に保たれます。
特に身体の内部温度は、身体機能を維持するのにベストな37℃付近に保たれるよう、精密に自動的に調節されています。
身体が暑い場合は発汗により熱を放出し体温を下げようとします。
そして寒い場合には小刻みに動いたり無意識にふるえたりします。
これは誰でも同じです。実はこの「熱を生む」ことこそ、筋肉が担う重要な働きなのです。
エネルギーを使って筋肉が動くとき、熱が生まれ、私たちの身体はポカポカと温まります。
体温を高く保つことは、筋肉との関係でも、エネルギー消費に有益なのです。
ちなみに、「体温が1℃上がると基礎代謝量は13%~15%上がる」ともいわれています。
お風呂につかる、運動をする、暖かい服装を心がける。
また食事や飲み物としては、冷たいものを控え、ショウガや根菜類を多く摂る。
これら身体を温めるケアをすることも、基礎代謝を向上させるためにはとても大切なのです。
基礎代謝量と筋肉量の関係
ダイエットしなきゃ という時に、よく「基礎代謝」という言葉を聞きますよね。
知っているようで良く知らない基礎代謝。基礎代謝とは、体温維持、心臓や呼吸など、人が生きていくために最低限必要なエネルギーのことを言います。生きているだけで消費されるエネルギーで、私たちが1日に消費するエネルギーのうち、約70%を占めています。脂肪を減らすにはエネルギー消費量が大事なので、基礎代謝が注目されているのです。一般的に、基礎代謝が高い人は筋肉量が多いといわれます。その理由はどうしてなのでしょうか。今回は、基礎代謝と筋肉量との関係を紐解いていきます。
基礎代謝の計算
肥満のきっかけとして多く見られるのが、筋肉量の減少です。
筋肉は、私たちのからだを支えると同時に、体温をつくり出す働きを担っており、基礎代謝の中でも一番多くエネルギーを必要とします。筋肉量が減ると代謝が落ちるだけでなく、体温が維持できなくなるため、からだの熱を逃がさないように筋肉が減った分を脂肪で埋めようとします。これが過剰に進むと「肥満」になります。
ちなみに組織ごとの安静時代謝量の内訳は、次の通りです。
また、基礎代謝量は、身長と体重、年齢で、凡その値を計算することができます。その基礎代謝量から一日の目安となる摂取カロリーも算出できるのです。
以下は、「ハリス-ベネディクトの式」(日本人式)というポピュラーな基礎代謝計算式です。
男性
66+13.7×体重(kg)+5.0×身長[cm]-6.8×年齢=1日の摂取カロリー目安
女性
665+9.6×体重(kg)+1.7×身長[cm]-7.0×年齢=1日の摂取カロリー目安
例えば、35歳の女性で身長が155cm、体重が50キロだったとします。
計算式は、665+(9.6×50)+(1.7×155)-(7.0×35)=1163.5
つまり、身長155㎝、体重50キロ、年齢35歳の女性の、一日の基礎代謝量は1163.5kcalということになります。
筋肉量が増えると基礎代謝量が上がる
筋肉をつければ基礎代謝は上がります。
しかし、基礎代謝のうち、筋肉が占める割合は、全体の2割程度です。
骨格筋によるエネルギー代謝量は、肝臓などの他の内臓等に比べ、少ないためそれだけで劇的に脂肪が減るというのはむずかしいかもしれません。それでも、筋肉はからだを支えたり、体温をつくり出す働きを担っており、筋肉を増やして運動を行うことで、活動時のエネルギー消費量を増やすこともできる大事な器官です。
基礎代謝の効率が良い上げ方
「大きな筋肉」を鍛えることが重要であり、基礎代謝量を上げるのに効率的と言われています。「大きな筋肉」とは「大胸筋」「広背筋」「大臀筋」「太もも(大腿四頭筋&ハムストリング)」「ふくらはぎ(腓腹筋+ヒラメ筋)」のことです。これらの中でも特に下半身の「大臀筋」「太もも(大腿四頭筋&ハムストリング)」で全身の筋肉の50%を占めており、優先的に鍛えていきたい筋肉です。
ここでは、「太もも」の代表的なトレーニングの1つ「スクワット」を紹介しましょう。
1足を肩幅程度広げる
2足先を少しだけ外側に向ける
3背中を曲げずに、ゆっくりと腰を落としていく
(3)の時、体重はかかとにかけておく
4太ももと床が平行になるまで下げ、元に戻す
5この動作を20回繰り返す
6インターバル(30秒)
7残り2セット行う
8終了
筋肉をつけるだけではだめ
筋肉をつければ基礎代謝が上がり、体温をつくり出し、体の支えにもなるので健康にはとても有用ですが
確実に余分な脂肪を減らすためには、意識的にカロリー摂取量と消費のコントロールをする必要があります。運動量を増やすか、摂取量を減らすかどちらかになりますが、最近では、運動量を闇雲に増やすとかえって食べ過ぎてしまうという考え方もあります。
カロリーバランスを整える
一日に必要な摂取カロリーは、先ほどの自分の基礎代謝量に、日常生活における身体活動によるエネルギー消費量をプラスしたものになります。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」で使用されているデータによれば、日本人の一日における推定エネルギー必要量(kcal/日)は、年齢別に下記となっています。
推定エネルギー必要量(kcal/日)(身体活動レベル:ふつうの場合)
女性
12歳~14歳 2,400kcal
15歳~17歳 2,300kcal
18歳~29歳 1,950kcal
30歳~49歳 2,000kcal
50歳~69歳 1,900kcal
男性
12歳~14歳 2,600kcal
15歳~17歳 2,850kcal
18歳~29歳 2,650kcal
30歳~49歳 2,650kcal
50歳~69歳 2,450kcal
これはあくまでデスクワーク程度の仕事で適度に動き、買い物や家事、軽いスポーツなどを行う一般的な活動レベルによる必要カロリーの目安です。もっと運動が少ない場合、常に動き回っている場合などは、上下しますのでよく自分の日々の活動量を振り返ってみてください。
一日に必要な摂取カロリー量を上回って食べてしまうと、脂肪が蓄積されて、太る結果になります。反対に、これらのカロリー量より下回って食べる習慣を続けることで、やがて脂肪が減っていくということになります。脂肪はそのままではエネルギーにならず、エネルギーとして使われる形に分解されたとしても、すぐに使われなければ再び脂肪に戻ってしまうからです。運動によるカロリー消費は、続けるのが大変な割にはカロリー消費量は少ないかもしれません。
ダイエット中の場合、一日に必要な摂取カロリーよりも下回って食べることが、ダイエットの近道だといわれています。しかし、摂取カロリーが推定エネルギー必要量よりも、大きく下回ることはよくありません。
指定エネルギー必要量以下のカロリー量で過ごすということは、常に生命活動レベルのエネルギーが不足するという危険な状態ということ。無理な食事制限が、身体に支障をきたすのはこのことも原因と考えられます。
ダイエットのために減らす摂取カロリー量の目安は、およそ200~300kcal程度といわれています。一日に2,000kcal必要な人は、1,700~1,800kcalからはじめてみましょう。
まとめ
基礎代謝や筋肉量は年を重ねるにつれてどうしても落ちていきますので、太りやすくなった と感じる方は多いかもしれません。
ダイエットの基本は食事と運動です。日々の生活の中で効果的に運動を取り入れることはとても有効ですが、無理が続くと身体に支障をきたす場合も出てきます。食事、運動など、ご自身に合った代謝を上げる方法を試してみてください。
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