お願い福を招いて下さい 招き猫 | 人は食べた物で創られる

お願い福を招いて下さい 招き猫

信仰・縁起物

片手を挙げている猫の置物、招き猫(まねきねこ)ですが、見たことがない日本人はいないのではないかと思うほど、とても身近な存在です。 陶器や磁器で出来たもの、ぬいぐるみやキーホルダー、いろいろな招き猫グッズがあります。 サンリオの人気キャラクター「キティちゃん」も、招き猫のポーズをしてグッズとして販売されています。そんな身近な存在の招き猫ですがその由来とはなんなのでしょう。

招き猫の挙げている手は、左手だけ、右手だけ、さらに両手を挙げたものもあるそうが、それぞれの意味も調べてみました。

招き猫の由来

招き猫(まねきねこ)は、前足で人を招く形をした、猫の置物。猫は農作物や蚕を食べるネズミを駆除するため、古くは養蚕の縁起物でもあったが、養蚕が衰退してからは商売繁盛の縁起物とされています。招き猫の由来には諸説あるようです。

まず、豪徳寺(東京都世田谷区)が発祥という説ですが、江戸時代(1603年~1868年)に井伊直孝(いいなおたか・1590年~1659年)が荒れていた豪徳寺の前を通りかかった時、豪徳寺の飼い猫が門前で手招きをするような仕草をしていたので立ち寄って休憩をしました。

お寺の和尚がもてなし、説法(せっぽう・仏教の教えを説き聞かせること)していると雷雨になり、雨に降られずにすんだうえに、ありがたい話が聞けたことを喜んだ直孝は、後日、豪徳寺を立て直すために多額の寄付をし、豪徳寺は盛り返したそうです。 

次に、自性院(東京都新宿区)が発祥という説ですが、江古田沼袋原の戦い(えごたぬまぶくろはらのたたかい・1477年)で劣勢に立たされ道に迷った太田道灌(おおたどうかん・1432年~1486年)の前に現れた猫が手招きをして自性院へ案内し、それをきっかけに盛り返し、その後、自性院に猫地蔵を奉納しました。猫地蔵が後に招き猫になったそうです。

また、江戸時代中期に子供を亡くした豪商が、自性院に猫地蔵を奉納したという説もあります。 

次に、今戸神社(東京都台東区)が発祥という説ですが、江戸時代末期に、老婆が貧しさから愛猫を手放しました。その後夢枕にその猫が現れ「自分の姿を人形にしたら福徳を授かる」と言ったことから老婆は今戸焼の焼き物にして、浅草神社鳥居横で売ったところたちまち評判になったそうです。 

ほかに、伏見稲荷大社(京都市伏見区)、法林寺(京都市左京区)、西方寺(東京都豊島区)、金山寺(岡山県岡山市)、住吉大社(大阪市住吉区)、民間信仰説など、日本各地にさまざまな説があります。

左手・右手・両手の意味

左手を挙げている招き猫は雌猫で、千客万来や縁結びに効果があるといわれ、右手を挙げている招き猫は雄猫で、金運や幸運を招くといわれ、両手を挙げている招き猫はお客さんと金運の両方を招くといわれています。(両方を挙げている猫の性別は不明だそうです)

挙げている手の高さにも意味があるそうで、高ければ高いほど、より遠くから福を招いてくれるといわれています。

また、両手を挙げている招き猫は「欲張りすぎてお手上げになる」という考え方もあり、嫌う人が多いそうです。

招き猫の日

招き猫の日は毎年9月29日です。招き猫が福を招くことから、9月29日の「929」を「来る福」と読んで、日本招猫倶楽部が制定しました。 招き猫にも性別があったのです。

その昔、京都では右手を挙げている招き猫(雄)は昼間の商売繁盛を招き、左手を挙げている招き猫(雌)は夜の商売が繁盛するように置かれていたそうです。

今はそういう意味合いはないそうですよ。招き猫を置いているのは商売をしているご家庭が多いのかな?と思っていましたが、縁結びや金運アップの効果があるということで、いろいろな立場の人に必要とされているのでしょう。

持っているお金で時代が分かる

招き猫と言えば小脇に小判を抱えているイメージですが、実は最もポピュラーな常滑系招き猫が成立したのは昭和20年代後半。それ以前のものは、小判を持っておらず、首に鈴をぶら下げているだけのとてもシンプルなものが中心でした。

鈴が段々と小判に変わり、小判の値段も時代が進むにつれて「千両」「万両」「百万両」・・・挙げ句の果てに、「億万両」と変わっていきます。時代が進むにつれて欲深くなるといいますか、欲望が露骨になっていったようです。
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金額の他にも、小判に「開運」と描かれたものや「福寿」と描かれているものも存在します。最近では、外国人観光客向きなのでしょうか「$」マークが描かれた小判を持った招き猫も出てきていたりします。まさに、時代の流れが小判一つで分かります。知ると面白いですね。

色が違えばご利益も変わる

小判の金額が変わると共に、招き猫本体もカラフルになっています。
昔は、招き猫と言えば白!違う色と言ってもせいぜい黒!と、2色しか存在しなかった招き猫ですが、最近は風水ブームもあいまって、かなりカラフルに、バリエーション豊富になってきています。
勿論色が違うということは、ご利益も違うということ。ここでは色ごとのご利益を紹介したいと思います。
●一番ポピュラーな「白」
白い招き猫のご利益は、オールマイティな「開運招福」。
万事に福をもたらしてくれるということですから、最も目にする機会が多いのも、成る程納得です。
●一見恐く思える「黒」
黒い招き猫のご利益は、「魔除け」「厄除け」「家内安全」。
恐いなんて甚だしい、実は悪いものから守ってくれる守り神です。俗説ですが、夜に目が利く点が買われて守り神になったともいわれており、京都三条・檀王法林寺にまつられている神様「主夜神(しゅやじん)尊」の遣わしめであるともいわれています。
●それしかない「金」

金色の招き猫のご利益は、誰もが納得の「金運」。
飲食店の開店祝いでも贈られることが多いとのことですが、お店に飾るのもおめでたい感じが出て良いかもしれません。
●美的センスを少々問いたい「赤」
赤い招き猫のご利益は、「健康長寿」。
なぜ健康長寿かと言いますと、ワクチンや予防接種等が開発される以前、疱瘡(天然痘)が死に至る病気として恐れられていたため、疱瘡神が嫌う赤色が健康長寿になったとのこと。
●明らかに近代生まれの「ピンク」
ピンクの招き猫のご利益は、「恋愛成就」。
言わずもがな、言わずもがなですよね。中には、小判の変わりにハートを抱えていたり、2匹の招き猫が仲良く寄り添ったりしているものもあるようです。
●風水の考えを色濃く受け継いでいる「黄色」
黄色の招き猫のご利益は、「金運繁栄」。
風水を少しかじったことがある人であれば既に周知の事実ですが、風水の世界では、黄色は金運を呼ぶ色とされています。また、自然哲学の思想である陰陽五行説では、黄色は「土」の色であり、「土」は「金」を生み出すとされています。つまり、挙げた右手の長さが耳を越えている黄色い招き猫を飾れば、金運最強!ということですね。

招き猫と遊女の関係

皆様“薄雲太夫”(うすぐもだゆう)という響きに心当たりある方もおられると思いますが江戸時代を生き抜いてきた方、絶世の美女好きの方でしたら思い当たる方もいるかもしれません。
“薄雲”は、江戸時代中期、新吉原三浦屋で最高位の“太夫職”についていた遊女の名前です。遊女といっても、太夫職というのは非常に格式が高く、今で言う大スター、まさに雲の上の存在でした。
この“薄雲”は大変な猫好きで、1匹の三毛猫を溺愛していてどこに行くにも離さず、猫を抱いて道中し、愛猫のために友禅の布団を作り、さらに緋縮緬(ひちりめん)の首輪には純金の鈴をつけるという溺愛っぷり。この度を越えた愛玩ぶりに、「薄雲は猫に魅入られた」と噂が立ってしまい、挙げ句の果てに愛猫は化け猫と間違われ殺されてしまいます。
吉原あげての葬式を執りおこない、猫塚を作って丁寧に葬ったものの、薄雲の嘆き悲しみようは尋常ではありませんでした。そんな薄雲を慰めようと、ひい客の一人であったお大尽が長崎から伽羅(きゃら)の名木を取り寄せ、愛猫の姿を彫って薄雲に贈ります。すると薄雲は大喜びし、道中の際もどこに行くにも離さず持ち歩きました。
この話がたちまち広まり、猫の模造品を作る者が現れ、浅草の歳の市で売り出すと大人気となったのです。特に全国の水商売を営む人々に愛用されるようになり、これが「招き猫」の起こりであると「近世江都著聞集」には書かれています。

そもそも、遊女の異名を「ねこ」(“遊女”=“寝子”=“ねこ”=“猫”)と呼ぶのに因んで、特に花街や飲食店などで「招き猫」が愛用されるようになったとも言われています。 
周囲から隔離された遊郭で遊女達が招きたかったのは、ただの「お金」だったのか、それともそんな世界から救い出してくれるような「人」だったのか・・・。「猫は傾城の生まれ変わり」ということわざがあるくらい、猫と遊女は切っても切れない存在なのです。
さてさて、招き猫の種類や意味、由来などを色々書き綴ってきましたが、少しでもお役に立てれば幸いです。目的にあった招き猫を飾って、幸せな福をお招き下さい。

招き猫の現在

巨大招き猫「とこにゃん」(常滑市)イオンモール常滑に設置されている、高さ7mの招き猫 「お多福」(おたふく)

日本一の生産地は愛知県常滑市である。他の名産地としては同県瀬戸市があり、ともに主として陶器製である。ほかに群馬県の高崎市近郊などで、達磨とともに、同じ製法で生産されています(木型に和紙を張る「張り子」によるもの)。さらに近年はプラスチック製品なども登場し、今でも毎年数多くの招き猫が流通してソーラーパネルからの電力で実際に招く動作を繰り返す玩具なども製品化されています。

9月29日は、日本招猫倶楽部が制定し日本記念日協会が認定した「招き猫の日」。この日の前後の土日を中心に、三重県伊勢市のおかげ横丁、愛知県瀬戸市、長崎県島原市などで来る福招き猫まつりが開催されています。

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