体つくりで一番大切なもの それはね食習慣よ | 人は食べた物で創られる

体つくりで一番大切なもの それはね食習慣よ

健康維持

私たちの体は食べた物でつくられ、動いています。体に必要な栄養素をしっかり摂り、正しい食習慣で病気を寄せつけない体にする。健康は、毎日の食習慣からつくられます。

あなたの食習慣・食事や栄養の理解度チェック

次のうち、間違っているものはどれでしょう?

  1. 若い頃の食習慣の乱れは、健康にはさほど影響しない。
  2. 炭水化物は摂り過ぎても脂肪にはならない。
  3. 高齢になったらタンパク質は控えめにしたほうがよい。
  4. 各栄養素の必要量に個人差はない。
  5. 食べ物の栄養を吸収するのは胃である。
  6. 消化管の働きはストレスとは直接関係がない。
  7. 日本における生活習慣病の増加は、カロリーの摂り過ぎだけが原因。
  8. 食事は不規則でも、運動していれば体は健康だ。
  9. 朝食は食べないほうが健康によい。
  10. 食べる総量が同じなら、何から食べても体に変化はない。

正解は「全て間違い」です。以降のページを読んでみて下さい。

年代別に見る気をつけたい食習慣

年齢を重ねるごとに体は変化し、生活環境も変わっていきます。
それにより考えられる食習慣の傾向を知っておきましょう。
生活習慣病は全ての年代に関係していることも分かります。

食習慣・ 10代

男性は15~17歳、女性は12~14歳が一生の中で最もエネルギーを必要とする。体や精神の発達、生活習慣の形成にとっても大切な時期。最近は朝食を食べない若者も増え、それが活力や体力の低下につながっているとも。この時期は特に、体の組織をつくるタンパク質や歯をつくるカルシウムの不足に気をつけたいところです。

  • 朝食を食べない習慣は10代の頃から始まるケースが多い。
  • 無理な食事制限は体に必要なタンパク質やカルシウム、鉄、ビタミンを不足させ、その後の健康にもかかわる問題になります。

食習慣・ 20~30代

社会人となって生活が不規則になり、外食や飲酒の機会が増えることで、栄養バランスが崩れやすい。朝食欠食率は20代が最も高い。炭水化物脂肪は摂り過ぎになる一方で、ビタミンやミネラル、食物繊維の摂取機会が減る傾向に。エネルギーの過剰摂取が問題になり始めるこの頃から、生活習慣病予防への心がけをはじめのも必要な時期です。

  • 仕事帰りの外食や飲酒は、栄養の偏りや過剰摂取、メタボリックシンドロームにつながるのでほどほどに。
  • 仕事や家事、育児のストレスから過食に陥るケースも。ストレス管理も大切。

食習慣・ 40~50代

仕事やプライベートでストレスを抱えやすい年代。老眼が始まるなど体の機能の一部で老化現象も見られ、栄養面では生活習慣病の予防が大きな課題になってきます。食物繊維、カルシウム、カリウムの摂取を増やすよう心がけ、一方で、コレステロールや塩分の摂取は控える。60代以降の健康はこの時期の食生活によって決まるといわれます。

  • 40~74歳の男性は、予備群も含め2人に1人がメタボリックシンドロームになってしまいます。

更年期の女性

閉経前後10年間の更年期はホルモンバランスが乱れ、イライラ感からのやけ食いなど、食生活も乱れやすい。大豆や大豆製品から摂れる大豆イソフラボンは、女性ホルモンと似た作用を持ち、更年期症状の改善に有効といわれています。

食習慣・ 60代以上

活動度や消化機能に応じた栄養摂取を心がける時期。かむ力や消化能力の衰えから軟らかい食べ物に偏りがちだが、タンパク質不足は老化現象を早めるので心がけて摂取するのがおすすです。カルシウムの吸収を促し、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の予防にも役立つのがビタミンD。高齢者は日光浴によるビタミンD産生能が衰えるため、食事でしっかり摂取を心がけましょう。

ビタミンDが豊富な食材はカツオやサケなどの魚類、干ししいたけ、しめじなど。

  • 高齢者の食事量は個人差が大きい。食べる量が少ないと、栄養不足を引き起こす原因の1つです。

閉経後の女性

閉経後は女性ホルモンの分泌(ぶんぴつ)量が激減。女性ホルモンが抑制していた悪玉コレステロールや中性脂肪が増えやすくなり、内臓脂肪がつきやすくなる。メタボリックシンドロームのリスクが高まり、生活習慣病の発生率も急激に上がります。

生活 食習慣・ 習慣病の予防・改善に役立つ新しい栄養学講座

日本人の生活習慣病の予防と改善にその効果が期待される今話題の「時間栄養学」など、栄養学の最新情報をご紹介します。※諸説の一つです。

健康な食習慣は遺伝子の働きがカギ

次々と新しい研究・発表が行われている栄養学の世界。単にバランスよく栄養を摂取するだけでは解決できないことがあることも分かってきました。

「日本人のエネルギー摂取量は、統計上のピークである1970年の2210キロカロリーから年々減少傾向にもかかわらず、糖尿病は予備群も含め年々増加傾向。摂取カロリーは減っているのに生活習慣病が増えている。この矛盾を解くカギとなるのが時間栄養学なのです」。

厚生労働省「健康日本21」の調べによれば、日本人は男女共に朝食の欠食率が年々高まっており、夕食の時間も21時以降という人が増えています。生活習慣病を引き起こす原因のひとつが、ここにあると考えられます。

朝食を欠食すると、時計遺伝子(コラム参照)が飢餓の危険を感じ、身体活動を低下させてエネルギーを脂肪に換え、蓄えてしまいます。アメリカの研究ですが、朝食を食べない人は、食べる人に比べて5倍も肥満になりやすいことが分かっています。また、夕食の時間が遅い場合も、脂肪蓄積にかかわる時計遺伝子の働きが影響することで、太りやすくなります。

時計遺伝子とは

私たちの体内時計をコントロールしているのが「時計遺伝子」。時間を感知する遺伝子で、脳の視床下部(ししょうかぶ)をはじめ全身の細胞に存在する。なぜか1日が約25時間でセットされている体内時計のリセットに必要なのが、朝の日差しと朝食。特に、消化管や肝臓にある時計遺伝子のリセットには朝食を摂ることが必須。また、20種類以上ある時計遺伝子産物の中には、体内の脂肪蓄積にかかわる遺伝子産物があり、夜10時から午前2時の間に増える性質がある。夜遅くに食べると太りやすいといわれる理由は、この時計遺伝子の性質によるものです。

  • 「時間栄養学」私たちの体は時計遺伝子の働きによってコントロールされ、時間帯によって分泌されるホルモンの種類や量、栄養素の吸収率などが異なる。時間栄養学ではこの生体リズムを生かし、何を食べるかだけでなく、食べる時間やタイミングを意識することで、生活習慣病の予防や体づくりに活用できるのでは。
  • 「遺伝子対応栄養学」遺伝子の中には、ビタミンや葉酸(ようさん)を代謝しにくくするタイプや、肥満になりやすくするタイプがあり、生活習慣病には遺伝が関係していることが分かっている。生活習慣病の予防には、このような遺伝子の個人差にも対応できる「遺伝子対応栄養学」の考え方が必要となってきます。
  • 栄養素の「トリアージ説」災害医療で緊急の患者から優先的に治療するための選別法を「トリアージ」という。体内の栄養代謝でもトリアージは行われている。ビタミンやミネラルなどが不足すると、当面の生存用に優先的に使われ、長期的な健康のために必要な分は後回しに。その結果、遺伝子を保護するためのビタミン、ミネラルが不足し、長い年月をかけて慢性疾患(しっかん)の発症につながると考えられています。
  • タンパクは質筋肉や血、髪、爪など、私たちの体をつくる栄養素。ゆえに不足すると、体の成長に影響し、老化を早めることにもつながる。
  • 摂取のPOINT
  • 20代以上では年代を問わず1日に60~80gのタンパク質が必要。動物性のタンパク質は栄養価が高く、植物性では大豆が優秀。タンパク質といってもその種類によって栄養価は異なるので、複数の食品から摂取する必要がある。
  • ビタミンは微量ながらも人の健康に不可欠な栄養素。体内では合成できず、食べ物からしか摂取できない。
  • 摂取のPOINT
  • 「水溶性ビタミン」であるビタミンB、Cは体外に排出されてしまうため、毎日の食事で十分に摂ることが大事。「脂溶性ビタミン」のビタミンA、D、E、Kは体内に蓄積するため、サプリメントなどを摂取する場合は、過剰摂取にならないよう注意が必要。
  • 炭水化物(糖質)は脳や体を動かす大切なエネルギー源。体内への吸収が早く、すぐにエネルギーとなるが、すぐに脂肪にもなりやすい。
  • 摂取のPOINT
  • 血糖値の急上昇を防ぐためにも、主食の米は、GI値の低い玄米や雑穀米がおすすめ。食物繊維は消化・吸収されない炭水化物で、大腸内の有用菌を増やし、腸の働きを活発にする。血中コレステロールを減らす働きもあり、生活習慣病の予防に有効とされる。
  • ミネラルは体の機能を維持・調節するのが役割。骨や歯をつくる成分になる、神経や筋肉の働きを調節するなどの役割がある。
  • 摂取のPOINT
  • 過剰摂取には注意が必要。大切なのは体に少しずつ蓄積していくこと。例えば骨をつくるカルシウムは、成長期から毎日牛乳を飲むことで、大人になった時の骨の健康につながる。
  • 脂質体のエネルギー源となる。体脂肪となり体の蓄積エネルギーにも。体温維持をはじめ、神経組織や細胞膜、ホルモンをつくる材料としても重要。
  • 摂取のPOINT
  • 脂質を構成する脂肪酸は種類によって働きが異なる。1種類に偏らず、肉や魚、植物などから複数の脂肪酸を摂ることが大切。植物オイルやナッツ類、魚油などの質のよい油を。

食習慣・ 消化管が大活躍!食べた物で体がつくられる仕組み

食べ物に含まれる栄養素を、体に取り込む役割を果たしている消化管。
私たちの生命活動を支える消化管の働きを見てみましょう

食習慣・ 健康な体の土台は消化管の働きにある

消化管とは、口から食道を通り、肛門に至るまでの1本の道筋のことをいい、全長は約9メートルにもなります。消化管の主な役割は、消化と吸収により、食べ物から栄養素を取り入れること。水分や塩分は直接血液の中に取り入れることができますが、炭水化物やタンパク質、脂質などは消化液などの力を借りて〝小さな物質〟に分解していく必要があります。例えば、タンパク質はアミノ酸に分解され、体に吸収されます。 消化された栄養素は、主に小腸の内側にある血管を経由して肝臓に運ばれ、体を動かすエネルギー源や体をつくる原料となります。こうして食べた物が〝身になる〟のです。消化管は口から食べ物を取り入れる性質上、常に外界の悪い菌とも戦わなければならないため、強い免疫組織を持っています。「つまり、体に栄養素を運ぶ消化管には体の病気を防ぐ役割もあるのです

消化管の働きは、自律神経によってコントロールされています。例えば、食べ物を前に、視覚味覚嗅(きゅう)覚・聴覚などの刺激が脳に達すると、自律神経によって反射的に唾液が分泌されます。自律神経系はストレスの影響を受けやすく、ストレスの多い状態が続くと、消化液の分泌や蠕動運動が抑制され、消化管の働きが低下します。それにより食欲不振や便秘、胃炎、過敏性腸症候群などの不調や病気を引き起こしやすくなります。

腸は神経細胞が多く存在するため、“第2の脳”といわれています

  • 咀嚼(そしゃく)により食べ物を一次消化
  • 唾液には消化液としての働きがある。「よくかんで食べよう」と言われるのは、食べ物を細かくするだけでなく、かむことで消化液である唾液が十分に分泌され、胃や腸での食べ物の消化・吸収を助けるため。
  • ➋食道
  • 蠕動(ぜんどう)運動で食べ物を胃へ
  • 食道に入った食べ物は、青虫の動きのような蠕動運動によって、胃へ押し進められる。飲み込んだ食べ物が胃に届くまでの時間は数秒。
  • 胃液で食べ物を消化
  • 胃は食べ物の一時貯蔵場所であると共に、分泌された胃液と胃壁の蠕動運動によって、食べ物を吸収しやすい形に加工・分解する器官。ストレスを受けると胃液や胃を保護する粘液の分泌に異変が起き、食欲不振や胃炎などを引き起こす。
  • 小腸
  • 内壁から栄養を吸収
  • 小腸は全長6~7mの細く長い管で、上から順に十二指腸、空腸、回腸と続く。胃から送られた食べ物は、ここで膵(すい)臓からの膵液、肝臓からの胆汁(たんじゅう)、小腸液と混じり合って最終段階まで消化される。そして、小腸の内壁から栄養素が吸収され、肝臓に運ばれる。 肝臓で栄養素は体内で活用されやすい形に換わり、全身に送り出される。
  • 大腸
  • 栄養分の残りカスを処理
  • 小腸で栄養分を取り除いた後の残りカスは大腸に運ばれる。大腸の役割は水分を吸収して便を形成する。腸内には数百種、100兆個もの細菌が常在し、善玉菌優勢で腸内環境を整えている。この環境が乱れると便秘や免疫力の低下を引き起こす。
  • ➏肛門
  • 残りカスを排泄
  • 消化管の最後は直腸とつながった肛門。直腸に排泄物がたまると大脳に刺激が伝えられ、排便反射によって便意をもよおし、便が排泄される。
  • 腸は最大の免疫器官
  • 腸には体中の全免疫系細胞の60%以上があり、体に侵入した有害な細菌やウイルスを排除する役割を持つ。腸の免疫機能を高めるためには、腸内細菌のバランスを正しく保つことが大切。食物繊維、ヨーグルトや納豆などの発酵食品は腸内の善玉菌を増やすのに有効である。

ポイントを押さえて実践へ身につけたい食習慣

健康のためには「いつ」、「何を」、「どのように」食べるのがよいか、時間栄養学にかなった食習慣を身につけてみてはどうでしょうか。

食習慣・ 規則正しい生活リズムが健康をつくるワケ

  • 消化管の健康を損なうことは、体全体の健康を損なうこと。では、消化管を健康に保つためには、普段からどんなことを心がけたらよいのでしょうか。
  • ここで再び「時間栄養学」が登場します。時計遺伝子は小腸などの消化管や肝臓にも多く存在し、生活のリズムから食べ物が入ってくるのを予測。それを受けて消化管は消化酵素を分泌して食べ物を待ちます。
  • この時計遺伝子は規則正しい生活が大好き。毎日ほぼ同じ時間に、同じような食べ物が入ってくると消化管の働きもスムーズです。規則正しく食事を摂ることが大切なのはこのためです。
  • そして、時計遺伝子は食べる物でも働きが変わります。消化管の時計遺伝子にとって重要なのがタンパク質。約25時間周期の体内時計を毎朝リセットするのに不可欠です。おすすめの朝食は、アメリカンブレックファスト。「卵にベーコン、パン、サラダと、必要な栄養素がバランスよく摂れます。日本人の場合は量を半分程度に減らして食べましょう」。
  • もう1つのポイントとして、血糖値を急上昇させないものを選ぶことも大切。指標となるのが、「GI(グリセミック・インデックス)値」。食べ物によって血糖値を上昇させるスピードに違いがあり、それを数値化したものです。
  • また、血糖値の急上昇を防ぐ食べ方として、野菜や海藻など、食物繊維の多い食材を先に食べるのも有効です

時計遺伝子を味方につければ、無理せず好きな物が食べられます

いつ

タイミング・時間

  • 朝食を摂り、3食規則正しく朝食を食べないと生体リズムが乱れ、肥満の原因に。消化管は1日3食、食べ物が来るのを予測して働いている。だからこそ生活リズムを整え、規則正しく食事を摂ることが大切。
  • 脂肪をためにくいのは15時時間栄養学的に、15時頃は糖分を摂っても脂肪になりにくい。また、塩分は夕方に摂れば体にたまりにくい。食べる時間を考慮することで、体は健康に近づくと考えられています。

何を

摂るべき栄養素・食品

  • 朝食にはタンパク質が必須!時計遺伝子は約25時間周期。放置しておくと毎日1時間ずつズレが生じる。朝食に摂るタンパク質は時計遺伝子のリセットボタン。生体リズムを整えるのに重要な栄養素。
  • GI値の低い食品でゆっくり吸収血糖を急激に上げる食事は脂肪を増やし、善玉コレステロールを減らしてしまう。食品の血糖上昇指数「GI値」が低い食品を選ぼう。高GI食品(70以上)としては、精白米・食パン・うどん・コーンフレーク・もち・じゃがいも・とうもろこし・人参・パイナップル・すいか・ドーナツ・せんべい低GI食品(55以下)玄米・全粒粉パン・そば・春雨・大豆・葉野菜・りんご・いちご・肉類・魚全般・チーズ・ヨーグルト

どのように

食べ方のコツ

  • 「野菜から先」に食べる食物繊維は吸収に時間がかかり、血糖値の上昇を緩やかにする。食事は「野菜から先」を心がけよう。血糖値の急上昇を防ぐことは、糖尿病の予防にもつながると考えられています。
  • 様々な食材をバランスよく全ての栄養素は人間の体をつくるもとになっています。また、栄養バランスが取れた食事でないと、体の中の時計遺伝子はしっかり働いてくれないと考えられています。

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